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第三十五話 「熱く、燃え上がれ、運動会!(前編)」
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うゔ、さむーい。こんな時期なのに、体育なんてありえましぇん。
あ。私、なにやってるのかって?そりゃあもちろん、運動会の練習だよ、練習!
私達の学校は、紅と白で分けて対決するのではなく、なんと、学年で対決するのです!
それで私は、「春間」という、ぜっけんに力がこもった文字のぜっけんがついた、体操服を着ています。
ま、体育は私の大嫌いな教科だけど。
ちなみに、私は最後の学年女子対抗リレーで、アンカーの人の前、12番目に走ります。
「真莉亜様、バトン、バトン!」
比奈多さんに声をかけられた後、私は後ろを振り返った。
えぇ~!?バトンを持っている人が、くーるーぅ!
私はオロオロしながら、バトンをキャッチして走った。
「真莉亜様、遅いですわよ!」
「そうよ、そうよ。」
ひぇー。私、実は運動神経、ダメダメなんですぅ!
思い出すなぁ。年中さんのころ、鉄棒に挑戦しようかな~と思ってしてみたら、頭からずっこけて、血が出て、救急車に運ばれて、3日間、入院したんだ。そしたら入院して、気付いたんだ。
発見!私って、運動神経、ダメダメなんだ!って。
「春間さん、こっちこっちー!」
しまった!思い出話をしていたら、いつの間にか、アンカーの近くに来てるぅ!
私はさっと速く走って、アンカーにバトンを渡した。
はぁ、はぁ。きつかったよぉ。
そこへ、京花がやって来た。
「相変わらず、遅いね。」
むかぁ!運動神経ダメダメの人に向かって、笑うなぁ!
「ごめん、ごめん。」
それにしても、アンカーの人、速いね~。まるで、ヒョウみたーい。
かける
「あの子?あの子、翔翼っていうんだ。」
翔翼?そんな子、いたっけ?
「いたよ。」
わ!恵!
「私と一緒のクラスで、男みたいでかっこよくて、女子に人気があって、足が速いのに陸上部に入ってなくて、市内の陸上クラブに入ってるんだよ!比奈多が言ってた。「翼様がいれば、2年生はゆうしょうできますわ~。オーホッホッホッホ!」って。」
アハハハハ。恵って、比奈多さんのものまね、上手だね。
「キャー、潤様~!」
女の子のさけび声が聞こえた。
後ろを振り返ると・・・・・・女子が大勢、男子対抗リレーを見ています!
その先は・・・・・・。
ジュンブライト!
「黒月くん、いい汗かいてるねぇ。」
後ろから声が聞こえた。
後ろを振り返ると・・・・・・。
うわぁ!身長が172cmぐらいあって、むらさき色のショートヘアをしていて、いっぱい汗をかいてる女の子がいるぅ!
むむむ!?ゼッケンに名前がかいてあるぞ。
えっと、名前は・・・・・・。
『翔』。
えぇ~!?この人が、翔翼さん!?
「びっくりさせて、ごめんね。」
あ、いいですけど・・・・・・。
「汗をいっぱいかくっていうことは、いいことだよ。ほら、あたしもめちゃくちゃ、汗をかいてるし。」
翼さんが、肩にのせている白いタオルで汗をふきながら、にこっと笑っている。
キーンコーンカーコーン。
あ、チャイムが鳴ってる!もう、教室に戻らなくちゃ。
運動場には、私と翼さんだけが残っている。
「春間さん。」
教室に戻ろうとしている私に、翼さんが声をかけた。
「何ですか?」
「足、遅かったね。」
がくっ。それ、言われたの、2回目・・・・・・。
「あ、ごめんごめん。放課後、あたしと春間さんだけで、リレーの特訓、しない?月野さん達にはないしょね!」
ゔ・・・・・・。このさそいを、心待ちにしてましたぁ!
「はい!ぜひ、ビシバシやらせてください!厳しくやらせても、OKですっ!」
「うん!じゃあ、放課後で会おうね!」
翼さんが手を振りながら走って、学校の中に入った。
私も戻ろう。
☆
「おい真莉亜!今日、一緒に遊ばねぇか?」
教室で、ジュンブライトに声をかけられた。
教室に残ってるのは、私とジュンブライトだけ。
「ごめーん。私、リレーの特訓にさそわれたの。遊ぶのは、運動会が終わってからにして。」
そう言うと、ジュンブライトは口をとんがらせた。
「ちぇ。真莉亜と一緒に、コオロギをつかまえたかったぁ。」
コオロギを?なんで?
「決まってんじゃねぇか!俺のおやつだぞ!あぁ、コオロギのカリカリ食感が、たまんねぇ。」
それ、遊びではありません。コオロギ狩りです。てか、お前はリリスザルかぁ!
「仕方ない。俺が菜の花広場に行って、コオロギを大漁にとろう。じいや達の分までとろう。」
ジュンブライトはそう言って、口笛をふきながら、教室を出た。
あ!約束の時間、おくれてるぅ!
私は急いで、教室を出た。
やばい、やばーい!翼さん、怒ってんのかな?
いや、相当怒っているはず!
やっばーい!
「春間さん!廊下で走ってはいけません!」
ひぇー!学校一、こわーい二年生の理科の担当の、林美紅先生から怒られたぁ!
すみませーん!今、急いでるんでーす!
「やれやれ。春間さんはおっちょこちょいですね。」
林先生がめがねを上げながら言った。
私は林先生の言葉を気にせず、くつを履いて、外に出た。
運動場のトラック(車じゃないよ。)の中で、翼さんが辺りをキョロキョロ見渡している。
怒ってるのかなぁ?ちょっと、そこらへんが心配・・・・・・。
すると翼さんが、私の方を見て、はっと気付いた。
「春間さん!」
ごめんなさーい!約束の時間に遅れてしまって・・・・・・。あのう、怒ってますよね?
「ううん。」
翼さんが首を左右に振った。
「あたし、約束の時間に遅れてしまった子を怒るタイプじゃないから。てか、そういうの、苦手だし。」
や・・・・・・優しーい!
私は翼さんにいきなり、だきついた。
「ありがとうございます!私、怒られるかと、心配で心配で・・・・・・。」
「春間さん、ぐるじーい。」
あ、すみません。
私は翼さんにだきつくのをやめた。
「よし。さっそく、特訓、始めるか!」
「はーい!」
「じゃあ、一回、走ってみて。」
「あ、はい。」
私は翼さんが言った通りに走った。
すると、翼さんが、手をたたいた。
「ちょっとストーップ。」
翼さんの声と同時に、私は止まった。
なんでしょうか?
「もっとひじ、振らないとダメだよ。ほら、こうゆう風に。」
翼さんが、私の前で手本を見せた。
うわぁ。速すぎて、ひじが見えないよぉ。
「春間さんも、やってみる?」
はい。
私は翼さんの手本通りに、ひじを振って、やってみた。
「まだまだ!ひじをもっと振る!」
あ、はーい。
「もう少し!そうしないと、あたしに上手くバトンを渡せないぞ!」
こ・・・・・・こうですか?
「そうそう。春間さんのひじ、あたしみたいに見えなくなってるよ~。」
あ・・・・・・。それほどでも~。次、なにをやるんですか?
「走るよ。」
へ?今、なんとおっしゃいましたか?
「走るよって、言ったじゃん。」
その言葉で、私は止めた。
えぇ~!?やだやだ、無理ですぅ!
「自分に無理に決めつけない!いい?あたしのふで箱を、バトンと思って、もちながら走って。あたし、今日の練習みたいにここでまっとくから。」
翼さんが私にリラ〇クマのふで箱を差し出した。
翼さんって、かわいい物、大好きなんですね。
「いいから、いいから!向こうまで走って!」
はーい。私は向こうまで走った。
「いい?あたしが位置についてって言ったら、クライジングスタートをしてね。よーいドン!って言ったら、走ってね。わかった?」
わかりましたぁ。
「位置について。」
私はクライジングスタートをした。
「よーいドン!」
私は全力疾走で走った。
さっき習った、ひじを速く振る練習も、完ペキにできている。
「春間さん、上手にできてるじゃん!」
えへへへへ。それほどでも・・・・・・。アリアリかな?アハハハ。
うお!私、もう翼さんのすぐに来ているぅ!
これって、きせきかも!
「ゴール!」
はぁはぁ。もう、つかれましたぁ。
その時、翼さんがはく手をした。
「すっごいよ。春間さん!あたし、感動しちゃった!」
本当だ。翼さんが目から出ている涙を、おさえながらにこっと笑っている。
もう、夕方になってるし。
「あ!春間さん、あたし、家の事情があるんだ!今日はここまでね!バイバーイ!」
翼さんはそう言って、カバンをからって、帰っちゃった。
あ、リラックマのふで箱!
どうしよう・・・・・・。届けよっかな?でも、家、わかんないし。
恵に聞こっかな?私はカバンから、スマホを取り出して、恵のケータイ番号を押して、スマホを耳に当てた。
出てくれ・・・・・・。早く出てくれぇ!
「『もしもし?』」
キター!
「もしもし恵?ちょっと、聞きたいことがあるの。」
「『聞きたいこと?』」
そう。実は翼さんがふで箱を忘れてて、それで、家まで届けようと思うの。でも、家がわかんなくて・・・・・・。恵なら、わかるでしょ?教えて!
「『うん。いいよ。』」
やったぁ!ありがとう!
「『どういたしまして。いい?翔さんの家は、菜の花広場に右に曲がってピアノ教室があって、そのピアノ教室を左に曲がって、坂道があるの。その坂道をのぼって、家がたくさんあるの。その後ろから2番目の家が、翔さんの家だよ。』」
ありがとう、恵!恵がもし、翼さんと同じクラスじゃなかったら、私、どうなったことやら・・・・・・。
「『ホンギャー、ホンギャー!』」
あれ?恵の末っ子が、泣いてるよ。
「『ごめーん。たぶん、ミルクが欲しいのかな?じゃあ、またね。』」
プープー。
恵って、いそがしいんだね。
よし!さっそく、翼さんの家に行こう。
☆
はぁはぁ。坂道、いつまで続くんだろ。
もう、6時だし。お母さんには帰りが遅くなるって、メールしたし。
ん?なんか、いいにおいがしてきたぞ。あそこの家からだ!
このにおいは・・・・・・肉じゃがかな?いやいや、じゃがバター?それとも、コロッケ?
やばい!においにつられて、体が勝手に動くよぉ!
もう、止まれぇ、止まれぇ!
ふぅ。やっと止まってくれたぁ。
てか、この家、誰の家なんだろ。
表札になんか、私のゼッケンみたいに、筆が力がこもった字で書いてるし。
私は表札をじーと眺めた。
『翔』。
えぇ~!?ここって、翼さんの家!?これはラッキー!
私はルンルンとスキップしながら、翼さんの家の扉に立った。
ピンポーン。
インターホーンの音、昔の音じゃん。
・・・・・・。あれ?おかしいなぁ。留守かなぁ?
「おじいちゃーん。ご飯、できたよぉ。」
「今日のご飯はなんじゃ?」
「おじいちゃんが大好きな、肉じゃがだよ。」
ん?向こうから声が聞こえるぞ。私は家の庭のところに行って、窓から家の中をのぞいた。そこには翼さんが、車いすに乗っているおじいさんに、にこっと笑いながら、車いすを押して、話しかけている。
翼さんの家の事情って、これだったんだぁ。
すると翼さんが私に気付いた。
「おじいちゃん。ちょっと先に食べてて。」
翼さんが、おじいさんをおいて、扉へと向かった。
そして扉が、ガラガラと開いた。
「春間さん!」
「翼さん!」
翼さんが私のところまで走って来た。
「あ。もしかして、あたしのふで箱を、届けに来たの!?」
はい。そうですけど・・・・・・。
するといきなり、翼さんが私にだきついた。
「ありがとう!あたし、リラックマのふで箱がないと、勉強できないんだよ!」
やっぱり。翼さんって、かわいい物、大好きなんですね。
するといきなり、翼さんの顔が赤くなって、私にだきつくのをやめた。
「な・・・・・・。これは、プライベートだから、誰にも言わないでね!?」
はい。絶対に言いません。ところで、家の事情って、おじいさんのお世話?
「うん。」
翼さんがうなずくと、ベランダにあった、いすにすわって、私もそのとなりにすわった。
「両親が陸上選手で、オリンピックに出場することが決まったの。あたしが2歳の時だけど。そして、会場に向かう途中、飛行機が墜落したの。あたしは3日間、入院したけど、両親は、あたしを残して、亡くなったんの。おじいちゃんがあたしを育てるって、はりきって日本に帰ったの。あたしが5歳の時、おばあちゃんがガンで亡くなって、あたしとおじいちゃん二人きりになったんだ。一年生になって、おじいちゃんはあたしに陸上をすすめたんだ。ま、おじいちゃんも実は元陸上選手だったけどね。その後、あたしは県大会、全国大会で優勝したんだ。全部、おじいちゃんのおかげだと、あたしは思うの。けど、2年前、おじいちゃんが交通事故にあったって、電話がかかったの。結果、全身マヒで、二度と、走れないって告げられたんだ。今、おじいちゃんは午前にヘルパーさんをたのんで、午後にはあたしがお世話をしているの。ま、リハビリはがんばってるけどね。あの人、負けず嫌いなんだから。ウフフフフ。」
そんなに、おじいちゃんのこと、好きなんだ。
「うん。昔っからね。お年玉はなんと、1万円が一札入ってて、びっくりしちゃうの。ま、毎年のことなんだけど。老人ホームにはあたしが陸上の大会がある時に、あずけてるんだけどね。」
ゔぅ。そんな話をすると、私、泣けます・・・・・・って、あー!もう、6時40分だしぃ!それでは翼さん、さよーならー!
私は翼さんの家を、走って去った。
☆
1時間目はいきなり、体育。ダンスの練習をしたり、もうグッダグダ。
後半はリレーの練習に入った。
昨日の練習の成果、うまくいくかなぁ。ちょっと、そこら辺が心配・・・・・・。
「春間さん!」
一人の女の子が、声をかけて来た。
よし!比奈多さんが驚くような走りっぷりを、見せてやろうじゃないの!
私はバトンを受け取って、すばやく走った。
それを見た、比奈多さん達は、呆然としている。
「真莉亜様の走りはまるで、ヒョウ・・・・・・いや、風みたい・・・・・・ですわ。」
「真莉亜様、すごいですわ!」
「翼様みたいですわ!」
私が思ってた通り!比奈多さん達は驚いているぅ!
もう、運動神経ダメダメ時代とは、もう、おさらばです。
「春間さん!」
わ、いつの間に翼さんのところにもうすぐついちゃう!
「翼さんっ!」
私は翼さんにバトンを渡した。
「春間さん、さっすが!練習の成果、発揮できたね!」
そう言いながら、翼さんは走った。
さっき私、ほめられた!?女の子にほめられたの、人生で初めてです!
「春間さん、すごいわぁ。」
私の前に、女の子たちが大勢、集まってきた。
もちろん、比奈多さん、なぎささん、雪さん、恵、京花、冬香、きららさんも、集まっている。
「これで2年生は、優勝、間違いないですわね。オーホッホッホッホ!」
比奈多さんの上機嫌な声が、運動場に響き渡ります。
「それはどうかしら。」
向こうから声が聞こえた。私達が後ろを振り向くと、そこには1年生の女子軍団がいた。
先頭には見たことがある、女の子が立っていた。
「あなたは!」
私はびしっと、女の子の方を指さした。
えっと、名前、思いつかないなぁ。
「誰だっけ?」
私の発言で、1、2年生の女子はズッコケた。
「名前を覚えてないなんて、失礼ね!桐崎小春よ!潤様をいつまでも愛してる、潤様がいないと生きていけない中学1年生よ!」
あ、思い出した!入学式の時、ジュンブライトに一目ぼれして、それで私をすっごくうらんで、バナナの皮を廊下においたり、トイレで水をかけて、おまけにジュンブライトをゆうかいした子!
でも、存在感がなさすぎる・・・・・・。
「運動会で優勝するのはあ・た・し・た・ちよ。こーんなおばさん二年生には優勝、させないわ。」
比奈多さんの顔に、怒りのマークが出てきた。
「誰がおばさん二年生ですって!?よーく、言ってくれましたわね!先輩に向かって!」
小春さんは平気な顔で、話を聞いている。
「先輩って、よーくこんな感じで、怒りますね。こっちには陸上部の緑さん、紗代さんがいますから、優勝は一年生でお決まりです!」
あ、緑さん、紗代さん!なんか二人だけ、オロオロしているけど、なんだかヤバイです。
すると、比奈多さんがえらそうに鼻をふんっと、鳴らした。
「残念ですわね。こっちには翼様という、二年生の中で一番足が速く。おまけに県大会、全国大会で優勝した方がいらっしゃいますわ。それと、今まで運動神経ダメダメだった真莉亜様が進化していらっしゃるのよ。」
そのとたん、小春さんがぷっとほっぺをふくらませて、アハハハハと、お腹をおさえた。
「あの、春間真莉亜が進化した!?アハハハハ!ま、とうぜん、あたしが勝つけどね、アハハハハ!」
「なんですって!?」
比奈多さんの怒りパワーが、さくれつした!
「まぁまぁ。比奈多さん落ち着いて。無視しましょう、無視を・・・・・・。」
私が止めようとした時、比奈多さんが私の方を怒った顔で振り向いた。
「無視なんか、できませんわ!あーんな中学一年生にそんなこと言われるなんて、恥ずかしいとは思わないのですか!?」
あ、そうと思います・・・・・・。
すると比奈多さんが小春さんの方をくるっと振り向いた。
「いいですか?優勝するのはわたくし達、二年生ですわよ!オーホッホッホッホ!」
その時、小春さんがキレた。
「違うわよ!優勝するのは、このあ・た・し・た・ちよ!おばさん先輩には絶対、負けるもんか!」
「キィー!今度はおばさん先輩って言いましたわね!司様、なにか言いたいことはありますの!?」
比奈多さんが司ちゃんの方を振り向いた。
「・・・・・・なんで人はそう、争うの?別に、勝っても負けてもいいんじゃない。運動会は戦争みたいなものよ。」
司ちゃん、久しぶりのセリフ、こわ!
「もう、そろそろ授業が始まるわ。次の時間は、数学。」
あぁ!もう、行かなくちゃ!
「どいてくれない?これから、あたし達の体育の時間だから。あたし達のトラックになるのよ。」
うわぁ!翼さんに向かって、そんなことを言うなんて、ありえません!
翼さんはなにも言わず、トラックの中を出た。翼さんが通ったら、小春さんは翼さんの耳元に口をもってきた。
「あんた、消えればいいのに。」
うわぁ。ひどすぎるよぉ。
翼さんは黙ったまま、走って教室に戻っちゃった。
「おい。なにがあったんだ?」
ジュンブライト!
「いや・・・・・・。ただのけんかだよ、け・ん・か!アハハハハハ。」
「ふーん。」
ジュンブライトは納得したか、教室に歩いて戻っちゃった。
☆
あ。私、なにやってるのかって?そりゃあもちろん、運動会の練習だよ、練習!
私達の学校は、紅と白で分けて対決するのではなく、なんと、学年で対決するのです!
それで私は、「春間」という、ぜっけんに力がこもった文字のぜっけんがついた、体操服を着ています。
ま、体育は私の大嫌いな教科だけど。
ちなみに、私は最後の学年女子対抗リレーで、アンカーの人の前、12番目に走ります。
「真莉亜様、バトン、バトン!」
比奈多さんに声をかけられた後、私は後ろを振り返った。
えぇ~!?バトンを持っている人が、くーるーぅ!
私はオロオロしながら、バトンをキャッチして走った。
「真莉亜様、遅いですわよ!」
「そうよ、そうよ。」
ひぇー。私、実は運動神経、ダメダメなんですぅ!
思い出すなぁ。年中さんのころ、鉄棒に挑戦しようかな~と思ってしてみたら、頭からずっこけて、血が出て、救急車に運ばれて、3日間、入院したんだ。そしたら入院して、気付いたんだ。
発見!私って、運動神経、ダメダメなんだ!って。
「春間さん、こっちこっちー!」
しまった!思い出話をしていたら、いつの間にか、アンカーの近くに来てるぅ!
私はさっと速く走って、アンカーにバトンを渡した。
はぁ、はぁ。きつかったよぉ。
そこへ、京花がやって来た。
「相変わらず、遅いね。」
むかぁ!運動神経ダメダメの人に向かって、笑うなぁ!
「ごめん、ごめん。」
それにしても、アンカーの人、速いね~。まるで、ヒョウみたーい。
かける
「あの子?あの子、翔翼っていうんだ。」
翔翼?そんな子、いたっけ?
「いたよ。」
わ!恵!
「私と一緒のクラスで、男みたいでかっこよくて、女子に人気があって、足が速いのに陸上部に入ってなくて、市内の陸上クラブに入ってるんだよ!比奈多が言ってた。「翼様がいれば、2年生はゆうしょうできますわ~。オーホッホッホッホ!」って。」
アハハハハ。恵って、比奈多さんのものまね、上手だね。
「キャー、潤様~!」
女の子のさけび声が聞こえた。
後ろを振り返ると・・・・・・女子が大勢、男子対抗リレーを見ています!
その先は・・・・・・。
ジュンブライト!
「黒月くん、いい汗かいてるねぇ。」
後ろから声が聞こえた。
後ろを振り返ると・・・・・・。
うわぁ!身長が172cmぐらいあって、むらさき色のショートヘアをしていて、いっぱい汗をかいてる女の子がいるぅ!
むむむ!?ゼッケンに名前がかいてあるぞ。
えっと、名前は・・・・・・。
『翔』。
えぇ~!?この人が、翔翼さん!?
「びっくりさせて、ごめんね。」
あ、いいですけど・・・・・・。
「汗をいっぱいかくっていうことは、いいことだよ。ほら、あたしもめちゃくちゃ、汗をかいてるし。」
翼さんが、肩にのせている白いタオルで汗をふきながら、にこっと笑っている。
キーンコーンカーコーン。
あ、チャイムが鳴ってる!もう、教室に戻らなくちゃ。
運動場には、私と翼さんだけが残っている。
「春間さん。」
教室に戻ろうとしている私に、翼さんが声をかけた。
「何ですか?」
「足、遅かったね。」
がくっ。それ、言われたの、2回目・・・・・・。
「あ、ごめんごめん。放課後、あたしと春間さんだけで、リレーの特訓、しない?月野さん達にはないしょね!」
ゔ・・・・・・。このさそいを、心待ちにしてましたぁ!
「はい!ぜひ、ビシバシやらせてください!厳しくやらせても、OKですっ!」
「うん!じゃあ、放課後で会おうね!」
翼さんが手を振りながら走って、学校の中に入った。
私も戻ろう。
☆
「おい真莉亜!今日、一緒に遊ばねぇか?」
教室で、ジュンブライトに声をかけられた。
教室に残ってるのは、私とジュンブライトだけ。
「ごめーん。私、リレーの特訓にさそわれたの。遊ぶのは、運動会が終わってからにして。」
そう言うと、ジュンブライトは口をとんがらせた。
「ちぇ。真莉亜と一緒に、コオロギをつかまえたかったぁ。」
コオロギを?なんで?
「決まってんじゃねぇか!俺のおやつだぞ!あぁ、コオロギのカリカリ食感が、たまんねぇ。」
それ、遊びではありません。コオロギ狩りです。てか、お前はリリスザルかぁ!
「仕方ない。俺が菜の花広場に行って、コオロギを大漁にとろう。じいや達の分までとろう。」
ジュンブライトはそう言って、口笛をふきながら、教室を出た。
あ!約束の時間、おくれてるぅ!
私は急いで、教室を出た。
やばい、やばーい!翼さん、怒ってんのかな?
いや、相当怒っているはず!
やっばーい!
「春間さん!廊下で走ってはいけません!」
ひぇー!学校一、こわーい二年生の理科の担当の、林美紅先生から怒られたぁ!
すみませーん!今、急いでるんでーす!
「やれやれ。春間さんはおっちょこちょいですね。」
林先生がめがねを上げながら言った。
私は林先生の言葉を気にせず、くつを履いて、外に出た。
運動場のトラック(車じゃないよ。)の中で、翼さんが辺りをキョロキョロ見渡している。
怒ってるのかなぁ?ちょっと、そこらへんが心配・・・・・・。
すると翼さんが、私の方を見て、はっと気付いた。
「春間さん!」
ごめんなさーい!約束の時間に遅れてしまって・・・・・・。あのう、怒ってますよね?
「ううん。」
翼さんが首を左右に振った。
「あたし、約束の時間に遅れてしまった子を怒るタイプじゃないから。てか、そういうの、苦手だし。」
や・・・・・・優しーい!
私は翼さんにいきなり、だきついた。
「ありがとうございます!私、怒られるかと、心配で心配で・・・・・・。」
「春間さん、ぐるじーい。」
あ、すみません。
私は翼さんにだきつくのをやめた。
「よし。さっそく、特訓、始めるか!」
「はーい!」
「じゃあ、一回、走ってみて。」
「あ、はい。」
私は翼さんが言った通りに走った。
すると、翼さんが、手をたたいた。
「ちょっとストーップ。」
翼さんの声と同時に、私は止まった。
なんでしょうか?
「もっとひじ、振らないとダメだよ。ほら、こうゆう風に。」
翼さんが、私の前で手本を見せた。
うわぁ。速すぎて、ひじが見えないよぉ。
「春間さんも、やってみる?」
はい。
私は翼さんの手本通りに、ひじを振って、やってみた。
「まだまだ!ひじをもっと振る!」
あ、はーい。
「もう少し!そうしないと、あたしに上手くバトンを渡せないぞ!」
こ・・・・・・こうですか?
「そうそう。春間さんのひじ、あたしみたいに見えなくなってるよ~。」
あ・・・・・・。それほどでも~。次、なにをやるんですか?
「走るよ。」
へ?今、なんとおっしゃいましたか?
「走るよって、言ったじゃん。」
その言葉で、私は止めた。
えぇ~!?やだやだ、無理ですぅ!
「自分に無理に決めつけない!いい?あたしのふで箱を、バトンと思って、もちながら走って。あたし、今日の練習みたいにここでまっとくから。」
翼さんが私にリラ〇クマのふで箱を差し出した。
翼さんって、かわいい物、大好きなんですね。
「いいから、いいから!向こうまで走って!」
はーい。私は向こうまで走った。
「いい?あたしが位置についてって言ったら、クライジングスタートをしてね。よーいドン!って言ったら、走ってね。わかった?」
わかりましたぁ。
「位置について。」
私はクライジングスタートをした。
「よーいドン!」
私は全力疾走で走った。
さっき習った、ひじを速く振る練習も、完ペキにできている。
「春間さん、上手にできてるじゃん!」
えへへへへ。それほどでも・・・・・・。アリアリかな?アハハハ。
うお!私、もう翼さんのすぐに来ているぅ!
これって、きせきかも!
「ゴール!」
はぁはぁ。もう、つかれましたぁ。
その時、翼さんがはく手をした。
「すっごいよ。春間さん!あたし、感動しちゃった!」
本当だ。翼さんが目から出ている涙を、おさえながらにこっと笑っている。
もう、夕方になってるし。
「あ!春間さん、あたし、家の事情があるんだ!今日はここまでね!バイバーイ!」
翼さんはそう言って、カバンをからって、帰っちゃった。
あ、リラックマのふで箱!
どうしよう・・・・・・。届けよっかな?でも、家、わかんないし。
恵に聞こっかな?私はカバンから、スマホを取り出して、恵のケータイ番号を押して、スマホを耳に当てた。
出てくれ・・・・・・。早く出てくれぇ!
「『もしもし?』」
キター!
「もしもし恵?ちょっと、聞きたいことがあるの。」
「『聞きたいこと?』」
そう。実は翼さんがふで箱を忘れてて、それで、家まで届けようと思うの。でも、家がわかんなくて・・・・・・。恵なら、わかるでしょ?教えて!
「『うん。いいよ。』」
やったぁ!ありがとう!
「『どういたしまして。いい?翔さんの家は、菜の花広場に右に曲がってピアノ教室があって、そのピアノ教室を左に曲がって、坂道があるの。その坂道をのぼって、家がたくさんあるの。その後ろから2番目の家が、翔さんの家だよ。』」
ありがとう、恵!恵がもし、翼さんと同じクラスじゃなかったら、私、どうなったことやら・・・・・・。
「『ホンギャー、ホンギャー!』」
あれ?恵の末っ子が、泣いてるよ。
「『ごめーん。たぶん、ミルクが欲しいのかな?じゃあ、またね。』」
プープー。
恵って、いそがしいんだね。
よし!さっそく、翼さんの家に行こう。
☆
はぁはぁ。坂道、いつまで続くんだろ。
もう、6時だし。お母さんには帰りが遅くなるって、メールしたし。
ん?なんか、いいにおいがしてきたぞ。あそこの家からだ!
このにおいは・・・・・・肉じゃがかな?いやいや、じゃがバター?それとも、コロッケ?
やばい!においにつられて、体が勝手に動くよぉ!
もう、止まれぇ、止まれぇ!
ふぅ。やっと止まってくれたぁ。
てか、この家、誰の家なんだろ。
表札になんか、私のゼッケンみたいに、筆が力がこもった字で書いてるし。
私は表札をじーと眺めた。
『翔』。
えぇ~!?ここって、翼さんの家!?これはラッキー!
私はルンルンとスキップしながら、翼さんの家の扉に立った。
ピンポーン。
インターホーンの音、昔の音じゃん。
・・・・・・。あれ?おかしいなぁ。留守かなぁ?
「おじいちゃーん。ご飯、できたよぉ。」
「今日のご飯はなんじゃ?」
「おじいちゃんが大好きな、肉じゃがだよ。」
ん?向こうから声が聞こえるぞ。私は家の庭のところに行って、窓から家の中をのぞいた。そこには翼さんが、車いすに乗っているおじいさんに、にこっと笑いながら、車いすを押して、話しかけている。
翼さんの家の事情って、これだったんだぁ。
すると翼さんが私に気付いた。
「おじいちゃん。ちょっと先に食べてて。」
翼さんが、おじいさんをおいて、扉へと向かった。
そして扉が、ガラガラと開いた。
「春間さん!」
「翼さん!」
翼さんが私のところまで走って来た。
「あ。もしかして、あたしのふで箱を、届けに来たの!?」
はい。そうですけど・・・・・・。
するといきなり、翼さんが私にだきついた。
「ありがとう!あたし、リラックマのふで箱がないと、勉強できないんだよ!」
やっぱり。翼さんって、かわいい物、大好きなんですね。
するといきなり、翼さんの顔が赤くなって、私にだきつくのをやめた。
「な・・・・・・。これは、プライベートだから、誰にも言わないでね!?」
はい。絶対に言いません。ところで、家の事情って、おじいさんのお世話?
「うん。」
翼さんがうなずくと、ベランダにあった、いすにすわって、私もそのとなりにすわった。
「両親が陸上選手で、オリンピックに出場することが決まったの。あたしが2歳の時だけど。そして、会場に向かう途中、飛行機が墜落したの。あたしは3日間、入院したけど、両親は、あたしを残して、亡くなったんの。おじいちゃんがあたしを育てるって、はりきって日本に帰ったの。あたしが5歳の時、おばあちゃんがガンで亡くなって、あたしとおじいちゃん二人きりになったんだ。一年生になって、おじいちゃんはあたしに陸上をすすめたんだ。ま、おじいちゃんも実は元陸上選手だったけどね。その後、あたしは県大会、全国大会で優勝したんだ。全部、おじいちゃんのおかげだと、あたしは思うの。けど、2年前、おじいちゃんが交通事故にあったって、電話がかかったの。結果、全身マヒで、二度と、走れないって告げられたんだ。今、おじいちゃんは午前にヘルパーさんをたのんで、午後にはあたしがお世話をしているの。ま、リハビリはがんばってるけどね。あの人、負けず嫌いなんだから。ウフフフフ。」
そんなに、おじいちゃんのこと、好きなんだ。
「うん。昔っからね。お年玉はなんと、1万円が一札入ってて、びっくりしちゃうの。ま、毎年のことなんだけど。老人ホームにはあたしが陸上の大会がある時に、あずけてるんだけどね。」
ゔぅ。そんな話をすると、私、泣けます・・・・・・って、あー!もう、6時40分だしぃ!それでは翼さん、さよーならー!
私は翼さんの家を、走って去った。
☆
1時間目はいきなり、体育。ダンスの練習をしたり、もうグッダグダ。
後半はリレーの練習に入った。
昨日の練習の成果、うまくいくかなぁ。ちょっと、そこら辺が心配・・・・・・。
「春間さん!」
一人の女の子が、声をかけて来た。
よし!比奈多さんが驚くような走りっぷりを、見せてやろうじゃないの!
私はバトンを受け取って、すばやく走った。
それを見た、比奈多さん達は、呆然としている。
「真莉亜様の走りはまるで、ヒョウ・・・・・・いや、風みたい・・・・・・ですわ。」
「真莉亜様、すごいですわ!」
「翼様みたいですわ!」
私が思ってた通り!比奈多さん達は驚いているぅ!
もう、運動神経ダメダメ時代とは、もう、おさらばです。
「春間さん!」
わ、いつの間に翼さんのところにもうすぐついちゃう!
「翼さんっ!」
私は翼さんにバトンを渡した。
「春間さん、さっすが!練習の成果、発揮できたね!」
そう言いながら、翼さんは走った。
さっき私、ほめられた!?女の子にほめられたの、人生で初めてです!
「春間さん、すごいわぁ。」
私の前に、女の子たちが大勢、集まってきた。
もちろん、比奈多さん、なぎささん、雪さん、恵、京花、冬香、きららさんも、集まっている。
「これで2年生は、優勝、間違いないですわね。オーホッホッホッホ!」
比奈多さんの上機嫌な声が、運動場に響き渡ります。
「それはどうかしら。」
向こうから声が聞こえた。私達が後ろを振り向くと、そこには1年生の女子軍団がいた。
先頭には見たことがある、女の子が立っていた。
「あなたは!」
私はびしっと、女の子の方を指さした。
えっと、名前、思いつかないなぁ。
「誰だっけ?」
私の発言で、1、2年生の女子はズッコケた。
「名前を覚えてないなんて、失礼ね!桐崎小春よ!潤様をいつまでも愛してる、潤様がいないと生きていけない中学1年生よ!」
あ、思い出した!入学式の時、ジュンブライトに一目ぼれして、それで私をすっごくうらんで、バナナの皮を廊下においたり、トイレで水をかけて、おまけにジュンブライトをゆうかいした子!
でも、存在感がなさすぎる・・・・・・。
「運動会で優勝するのはあ・た・し・た・ちよ。こーんなおばさん二年生には優勝、させないわ。」
比奈多さんの顔に、怒りのマークが出てきた。
「誰がおばさん二年生ですって!?よーく、言ってくれましたわね!先輩に向かって!」
小春さんは平気な顔で、話を聞いている。
「先輩って、よーくこんな感じで、怒りますね。こっちには陸上部の緑さん、紗代さんがいますから、優勝は一年生でお決まりです!」
あ、緑さん、紗代さん!なんか二人だけ、オロオロしているけど、なんだかヤバイです。
すると、比奈多さんがえらそうに鼻をふんっと、鳴らした。
「残念ですわね。こっちには翼様という、二年生の中で一番足が速く。おまけに県大会、全国大会で優勝した方がいらっしゃいますわ。それと、今まで運動神経ダメダメだった真莉亜様が進化していらっしゃるのよ。」
そのとたん、小春さんがぷっとほっぺをふくらませて、アハハハハと、お腹をおさえた。
「あの、春間真莉亜が進化した!?アハハハハ!ま、とうぜん、あたしが勝つけどね、アハハハハ!」
「なんですって!?」
比奈多さんの怒りパワーが、さくれつした!
「まぁまぁ。比奈多さん落ち着いて。無視しましょう、無視を・・・・・・。」
私が止めようとした時、比奈多さんが私の方を怒った顔で振り向いた。
「無視なんか、できませんわ!あーんな中学一年生にそんなこと言われるなんて、恥ずかしいとは思わないのですか!?」
あ、そうと思います・・・・・・。
すると比奈多さんが小春さんの方をくるっと振り向いた。
「いいですか?優勝するのはわたくし達、二年生ですわよ!オーホッホッホッホ!」
その時、小春さんがキレた。
「違うわよ!優勝するのは、このあ・た・し・た・ちよ!おばさん先輩には絶対、負けるもんか!」
「キィー!今度はおばさん先輩って言いましたわね!司様、なにか言いたいことはありますの!?」
比奈多さんが司ちゃんの方を振り向いた。
「・・・・・・なんで人はそう、争うの?別に、勝っても負けてもいいんじゃない。運動会は戦争みたいなものよ。」
司ちゃん、久しぶりのセリフ、こわ!
「もう、そろそろ授業が始まるわ。次の時間は、数学。」
あぁ!もう、行かなくちゃ!
「どいてくれない?これから、あたし達の体育の時間だから。あたし達のトラックになるのよ。」
うわぁ!翼さんに向かって、そんなことを言うなんて、ありえません!
翼さんはなにも言わず、トラックの中を出た。翼さんが通ったら、小春さんは翼さんの耳元に口をもってきた。
「あんた、消えればいいのに。」
うわぁ。ひどすぎるよぉ。
翼さんは黙ったまま、走って教室に戻っちゃった。
「おい。なにがあったんだ?」
ジュンブライト!
「いや・・・・・・。ただのけんかだよ、け・ん・か!アハハハハハ。」
「ふーん。」
ジュンブライトは納得したか、教室に歩いて戻っちゃった。
☆
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