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第1章

第九話 「ネルさん、大丈夫!?」

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「なに?ネルが体をこわしたぁ?」

うん。
最近、吐き気とか頭痛がくるんだって。

「へぇー。で、ネルはどーした。」

ウルフ一郎さんが迎えに来たの。私がLINEで伝えたけどねっ。

「ここは学校じゃねぇんだぞ、学校じゃ。」

出た。毒舌王、ジュンブライト。
だって、そのままほったっとくと、お城がゲロだらけになっちゃうから。
あ、リリアさんと同じこと、言ってしまった。

「う~ん、おかしいなぁ。」

どうしたの?

「生理も出ないだろ?吐き気がするし、頭痛がする
                                      ・・
     し。きっと、ネルはあれじゃない?」
・・・
あれぇ~?                        ・・
はっ、まさか。ネルさんがあれするわけないでしょ。

「いーや、ありえる。よし、ネルんところに行ってやる!」

ジュンブライト、まって!
まだわからないし、一応、様子を見とけば?

「……あぁ。そうだな。」

ジュンブライトは、ベッドに腰をかけた。


                             ☆


「ネル、ネル。」

う、う~ん。
あ、あれっ?ウルフ一郎?
なんでここに?

「お前、あれからずーっと、寝てたろ?」

あ……そうだった……。
あたしはスッと起き上がった。

「大丈夫か?具合は。」

うん。だいぶ、よくなってる。

「そっか……。ネル……。」

なんだ?

「……これ、やるよ。」

ウルフ一郎があるものを、あたしに渡した。
なにこれ?体温計みたいなものだけど。
                                                     ・・
「薬局で買ったんだ。まあ、もしあれだったらと思ってな。」
・・・
あれぇ?はっ、バカバカしい。
                           ・・
このあたしが、あれするわけ、ねぇだろ。

「いーや、ありえるかもしれねぇから、おしっこする時、これを持って行くように。あと、紙コップも。」

ウルフ一郎が、あたしに紙コップを渡した。

「け、けど、やり方は?」

「裏に書いてある。もし、結果が出たら、俺様に知らせろ。わかったな?」

うん。
あたしは、こくりとうなずいた。

「あと、紙コップでも使っていいぜ。」

わかった。


                                  ☆


「♪フフフフフーン、フフフフフーン♪」

「……ねぇ。」

「ん?どうした?リッちゃん。」

「……もし、あの子になにかあったら、どうしよう。」

「ネルちゃんのこと?」

「えぇ。」

「はっ、大丈夫だよ、きっと。ネルちゃんなら。」

「……でしょうね。」


                                        ☆


                             ートイレの中ー


あ……。
うそだろ?
……陽性だ……。
赤紫色のラインの色が、濃くなってる……。
あたしはお腹をさわった。
あたし、妊娠してる……。

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