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第1章

第二十一話 「結婚へ」

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「では、二人の結婚を祝って、カンパ~イ!」

んくんく……あー!お二人とも、結婚、おめでとうございますぅ。

「いえいえ。君に祝ってもらうほどではないよぉ。」

「ちっ、酒が飲みたかったぁ。」

「仕方ないでしょ?妊娠してるし。お腹の子供が産まれてくるまで、がまんしなさい。」

「……おう。」

「ところで二人とも、婚姻届は書いたのか?」

「あぁ!書いたさ!ほらっ!」

うわぁ~。なんという、字のきたなさ。
ウルフ一郎さん、誰かさんと似ています。

「ったく、これじゃあ、なんて書いてあっか、わかんねぇよ。」

「はい、すみません。」

「ん?まてよ?」

どうしたんですか、ギロさん。

「ウルフ一郎とネルちゃんが結婚するってことは、俺とウルフ一郎が、義理の兄弟になるってこと!?」

「あぁ。そうだけど?」

「うわ~い!お義兄さ~ん!」

「ちょっ、だきつくなよっ!」

「そんなに照れないで。」

「て、照れてねぇ!」

うふふふふ。

「ところでお二人とも、あと、それぞれの両親にサインをもらわないといけませんねぇ。」

あぁ、確かに。
残るはお家の人のサイン。
これがないと、入籍できないもんね。

「大丈夫。明日、両親にあいさつをするから。」

「けど、妊娠していること、言うんですか?」

「あたり前だろ?ちゃんと話さないと、結婚なんかできねぇ。」

そうですよねぇ。

「お義兄さん、お義兄さんっ。」

「……おい、やめてくれよ、いーかげん。」


                                ☆


いよいよ、結婚のあいさつへ。

「楽しみだね、ウルフ一郎。」

「あぁ。親が認めてくれたら、結婚式を挙げられる。」

そうだな。

「それに、仲良く三人で暮らせるし。」

あぁ。そうだな。
あたしはお腹をさわった。
ビクッ。
あ、動いた!

「アハハハハ!あ、もう着くぞ。」

ほんとだ。ウルフ一郎の家が見える。
そしてあたし達は、ウルフ一郎の家の前へ。

「さ、行くぞ。」

うん。
ピンポーン。

「……あれっ?留守なのかなぁ?」

もう一回、押してみたら?

「あぁ。」

ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポ……。

「あーっ!やっかましいね!ったく、どこのどいつだい!」

「あ、母ちゃん。俺様だけど?」

「ウ、ウルフ一郎?」

「あぁ。」

「ウルフいちろ~う!」

「わ!母ちゃん!?」

ウルフ一郎の母ちゃんは泣きながら、ウルフ一郎にだきついちゃった。
親バカか。

「会いたかったよぉ~!」

「俺様も、会いたかったぜ、母ちゃん。」

ウルフ一郎は母ちゃんを優しくだきしめた。

「一体、今までどこに行ってたんだい!母ちゃん、心配して、ヴァンパイア界を探し回ったよ!」

「心配してくれてありがとう、母ちゃん。」

ウルフ一郎のほほえむ顔、かっこいいなぁ。
あ、そういうことをしている場合じゃない!

「お、お義母さん、こんにちは。」

「ん?あら、桜吹雪のネルじゃないかぁ。どうしたんだい?」

じ、実は、お話がありましてぇ。

「話?」

あたしの予想通り、お義母さんは首をかしげました、はい。

「あぁ。大切な話なんだ、とっても。」

「あー、わかったから、さっさと家の中に入りな。」

「お、おう!」  「は、はいっ!」

ウルフ一郎の母ちゃん、けっこう優しいところもあるんだなぁ。


                                      ☆
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