52 / 170
第1章
第二十一話 「結婚へ」
しおりを挟む
コトン。
はぁ~、緊張するぅ~。
こーんな広い大広間で、まさかウルフ一郎とウルフ一郎の母ちゃんと一緒になるとは。
おまけに、せんべいとお茶が置いてある。
ウルフ一郎の母ちゃんは、お茶を飲んだ。
「んで、話ってのは、なんなんだい?」
「じ、実はぁ、俺様達、結婚するんだ。」
「ブー!」
「ぬわんだとぉ~!?」
ウルフ次郎、ウルフ三郎!
「お前ら、聞いてたのか!」
「あったりめぇだぁ!ウルフ一郎兄貴!ネル様と結婚するなんて、ゆるさないぞ!」
「お、俺様達、つきあってたんだよ。」
「ブー!」
またお義母さん、お茶を吐き出して!
「はぁ!?貴様、よくも俺様のネル様に手を出しやがって!この、裏切り者め!」
もう、そのくらいにしといたらどーだ!
「は~い♡」
ふぅ、やっとおさまったぁ。
「まさか、結婚前提でつきあっていたのかい?」
ひぃぃぃぃ!
ウルフ一郎の母ちゃん、今、ぎろりとあたしの方を見つめたよぉ!
や、やっぱこわーい。
「いや、ちがう。これには深ーいわけがあって。」
「深いわけぇ?」
「あぁ。ネル。」
お、おう。
あたしはお義母さんの前に出た。
「お義母さん、驚かないでください。実はあたし、妊娠してるんだ。」
「ブー!」
「ぬわんだとぉ~!?」
はぁ、また始まった。
「て、てめぇ!なにネル様を妊娠させやがったんだよぉ!ああん?」
「そ、それはぁ……。」
「もういい。やめろ。」
ウルフ三郎は、ウルフ一郎の胸ぐらをひっぱるのをやめた。
あれっ?ウルフ一郎の母ちゃん、すっごい真剣な顔になってるし。
どうしたんだろ?
「母ちゃん!よかったらここにサインしてくれ!」
「なんだなんだ?」
ウルフ三郎が、婚姻届をパッと取った。
「な、なにすんだよ!返せ!」
「返すもんか!この婚姻届、すぐウルフ三郎に変えてやるぅ!」
「もうやめるんだって、言ってんだろ!」
ウルフ一郎の母ちゃんは怒鳴ると、ウルフ三郎はしゅんとして、ウルフ一郎に婚姻届を返した。
「あんたの気持ちはわかった。だが、一つだけ言っておく。」
「えっ?」
「……あたしは、結婚を認めないよ。」
!?
「な、なんでだ母ちゃん!母ちゃんは、俺様の味方だろ?なんで反対するんだよぉ!」
「あんたが父ちゃんと同じことをしたからさ!」
えっ?
ウルフ一郎、それってまさか……。
「あぁ。俺様の父ちゃんは、母ちゃんと結婚せずに、母ちゃんを妊娠させてしまったんだ。」
そ、そんな……。
「あたしはね、あんたをそういう子に育てた覚えはない!もう一度、やり直したらどうだね!そのお腹の子をおろすとかさぁ!」
!?
「母ちゃん!それは言いすぎだろ!」
「あんたはだまっとき!」
「……。」
ウルフ次郎は、そのままだまりこんだ。
「おい、母ちゃん。」
えっ?
ウルフ一郎、土下座してる……。
「父ちゃんに似て、すみませんでした。」
ウルフ一郎……。
そうしたらウルフ一郎の母ちゃんは、後ろを振り向いた。
「……この、バカ息子が。さぁ、とっとと出ておゆき。あたしはもう、あんたの母親じゃないよ。」
「ま、まてよ、母ちゃん!」
三人はそう言って、行っちゃった。
……ウルフ一郎。
「……。」
悔しいのか?
「……ううん、悔しくない。母ちゃんはそういう人だからなぁ。さ、次へ行こう。ここで立ち止まっちゃあ、先へ進めないからなぁ。」
ウルフ一郎……。
本当は、悲しいんじゃないのか?
☆
あたし達はあたしの家に行って、結婚のことと、あたしが妊娠していることを話した。
そしたら……。
「君!」
バカ親父がウルフ一郎の胸ぐらをひっぱった。
「ぐ……!」
「てめぇ、よくもうちの娘を襲ったなぁ!ゆるさない!いい人だと思ってたのに!ああん?」
「す、すみませんっ。俺様は、こーゆーことになると知ってて……。」
「言い訳は無用!娘との結婚は、認めん!二度と娘に近づくなっ!」
お、おい!親父、やめろ!
「ネル!」
おふくろ!
おふくろは、首を小さく振った。
な、なんだよ。止めるなって言ってるのか、おい。
「ネル。さっさと子供をおろしなさい。おろして、桜吹雪のネルに戻るんだ。」
いやだ!
あたしは泣きながら言った。
「ネル!」
「あたしは……あたしは!この子を産むと決めたんだ!この子を産んで、ウルフ一郎と一緒に、しあわせに暮らすと決めたんだ!もう、大切な人を離してくれ!離さないと、お前を殺すぞ!」
そのとたん、召使い達がざわついた。
「……。」
親父はウルフ一郎を離した。
「ゴホッ、ゴホッ、ゴホッ!」
「ウルフ一郎!」
あたしはウルフ一郎のところへかけつけた。
大丈夫か!?
「あぁ。大丈夫だ。」
ウルフ一郎……。
あたし達は手を握った。
「ふん!この、バカオオカミめ!」
親父は怒りながら、去ってしまった。
「ちょっと、あなた!」
おふくろはそんな親父のあとを追いかけた。
「大丈夫ですか?お嬢様。」
あぁ。大丈夫だ。
「私はお嬢様とウルフ一郎様の結婚に賛成します。だって、お嬢様は私達にとって、大切な宝物ですから。」
……ありがとう。
結局、全部、だめだったなぁ~。
☆
さっきから、ウルフ一郎の様子がおかしい。
道をフラフラして歩いてるし。このままじゃ、たおれそうだ。
わ!あたしの言う通り、たおれそうになったし!
おい、大丈夫か?ウルフ一郎。
「あぁ。大丈夫だよ。そのくらいのことで、男がたおれるかよ。」
……そっか。
あまり、フラフラすんなよ。
「おう。」
あたしはそれから、ウルフ一郎に会わなくなった。
はぁ~、緊張するぅ~。
こーんな広い大広間で、まさかウルフ一郎とウルフ一郎の母ちゃんと一緒になるとは。
おまけに、せんべいとお茶が置いてある。
ウルフ一郎の母ちゃんは、お茶を飲んだ。
「んで、話ってのは、なんなんだい?」
「じ、実はぁ、俺様達、結婚するんだ。」
「ブー!」
「ぬわんだとぉ~!?」
ウルフ次郎、ウルフ三郎!
「お前ら、聞いてたのか!」
「あったりめぇだぁ!ウルフ一郎兄貴!ネル様と結婚するなんて、ゆるさないぞ!」
「お、俺様達、つきあってたんだよ。」
「ブー!」
またお義母さん、お茶を吐き出して!
「はぁ!?貴様、よくも俺様のネル様に手を出しやがって!この、裏切り者め!」
もう、そのくらいにしといたらどーだ!
「は~い♡」
ふぅ、やっとおさまったぁ。
「まさか、結婚前提でつきあっていたのかい?」
ひぃぃぃぃ!
ウルフ一郎の母ちゃん、今、ぎろりとあたしの方を見つめたよぉ!
や、やっぱこわーい。
「いや、ちがう。これには深ーいわけがあって。」
「深いわけぇ?」
「あぁ。ネル。」
お、おう。
あたしはお義母さんの前に出た。
「お義母さん、驚かないでください。実はあたし、妊娠してるんだ。」
「ブー!」
「ぬわんだとぉ~!?」
はぁ、また始まった。
「て、てめぇ!なにネル様を妊娠させやがったんだよぉ!ああん?」
「そ、それはぁ……。」
「もういい。やめろ。」
ウルフ三郎は、ウルフ一郎の胸ぐらをひっぱるのをやめた。
あれっ?ウルフ一郎の母ちゃん、すっごい真剣な顔になってるし。
どうしたんだろ?
「母ちゃん!よかったらここにサインしてくれ!」
「なんだなんだ?」
ウルフ三郎が、婚姻届をパッと取った。
「な、なにすんだよ!返せ!」
「返すもんか!この婚姻届、すぐウルフ三郎に変えてやるぅ!」
「もうやめるんだって、言ってんだろ!」
ウルフ一郎の母ちゃんは怒鳴ると、ウルフ三郎はしゅんとして、ウルフ一郎に婚姻届を返した。
「あんたの気持ちはわかった。だが、一つだけ言っておく。」
「えっ?」
「……あたしは、結婚を認めないよ。」
!?
「な、なんでだ母ちゃん!母ちゃんは、俺様の味方だろ?なんで反対するんだよぉ!」
「あんたが父ちゃんと同じことをしたからさ!」
えっ?
ウルフ一郎、それってまさか……。
「あぁ。俺様の父ちゃんは、母ちゃんと結婚せずに、母ちゃんを妊娠させてしまったんだ。」
そ、そんな……。
「あたしはね、あんたをそういう子に育てた覚えはない!もう一度、やり直したらどうだね!そのお腹の子をおろすとかさぁ!」
!?
「母ちゃん!それは言いすぎだろ!」
「あんたはだまっとき!」
「……。」
ウルフ次郎は、そのままだまりこんだ。
「おい、母ちゃん。」
えっ?
ウルフ一郎、土下座してる……。
「父ちゃんに似て、すみませんでした。」
ウルフ一郎……。
そうしたらウルフ一郎の母ちゃんは、後ろを振り向いた。
「……この、バカ息子が。さぁ、とっとと出ておゆき。あたしはもう、あんたの母親じゃないよ。」
「ま、まてよ、母ちゃん!」
三人はそう言って、行っちゃった。
……ウルフ一郎。
「……。」
悔しいのか?
「……ううん、悔しくない。母ちゃんはそういう人だからなぁ。さ、次へ行こう。ここで立ち止まっちゃあ、先へ進めないからなぁ。」
ウルフ一郎……。
本当は、悲しいんじゃないのか?
☆
あたし達はあたしの家に行って、結婚のことと、あたしが妊娠していることを話した。
そしたら……。
「君!」
バカ親父がウルフ一郎の胸ぐらをひっぱった。
「ぐ……!」
「てめぇ、よくもうちの娘を襲ったなぁ!ゆるさない!いい人だと思ってたのに!ああん?」
「す、すみませんっ。俺様は、こーゆーことになると知ってて……。」
「言い訳は無用!娘との結婚は、認めん!二度と娘に近づくなっ!」
お、おい!親父、やめろ!
「ネル!」
おふくろ!
おふくろは、首を小さく振った。
な、なんだよ。止めるなって言ってるのか、おい。
「ネル。さっさと子供をおろしなさい。おろして、桜吹雪のネルに戻るんだ。」
いやだ!
あたしは泣きながら言った。
「ネル!」
「あたしは……あたしは!この子を産むと決めたんだ!この子を産んで、ウルフ一郎と一緒に、しあわせに暮らすと決めたんだ!もう、大切な人を離してくれ!離さないと、お前を殺すぞ!」
そのとたん、召使い達がざわついた。
「……。」
親父はウルフ一郎を離した。
「ゴホッ、ゴホッ、ゴホッ!」
「ウルフ一郎!」
あたしはウルフ一郎のところへかけつけた。
大丈夫か!?
「あぁ。大丈夫だ。」
ウルフ一郎……。
あたし達は手を握った。
「ふん!この、バカオオカミめ!」
親父は怒りながら、去ってしまった。
「ちょっと、あなた!」
おふくろはそんな親父のあとを追いかけた。
「大丈夫ですか?お嬢様。」
あぁ。大丈夫だ。
「私はお嬢様とウルフ一郎様の結婚に賛成します。だって、お嬢様は私達にとって、大切な宝物ですから。」
……ありがとう。
結局、全部、だめだったなぁ~。
☆
さっきから、ウルフ一郎の様子がおかしい。
道をフラフラして歩いてるし。このままじゃ、たおれそうだ。
わ!あたしの言う通り、たおれそうになったし!
おい、大丈夫か?ウルフ一郎。
「あぁ。大丈夫だよ。そのくらいのことで、男がたおれるかよ。」
……そっか。
あまり、フラフラすんなよ。
「おう。」
あたしはそれから、ウルフ一郎に会わなくなった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる