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第1章

第六十二話 「しばらくの別れ」

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ちょっと、マドレーヌちゃん、話そう。

「やだですぅ!真莉亜お姉様は、ほっといてくださいっ!」

そんなの、マドレーヌちゃんらしくないよ。

「うるさいですぅ!私のことは、どーでもいいんですぅ!」

私は、マドレーヌちゃんのうでを、ぎゅっとひっぱって……。
バシッ!
ビンタした。
私、マドレーヌちゃんをブッたの、初めてだよ……。
マドレーヌちゃんは、ビンタされたほっぺをさわって、私の方を見た。

「さびしい気持ちはわかるよ。けど、いくらなんでも、さっきの言い方は、ひどすぎるよ。私、あんなマドレーヌちゃん、初めて見たよ!リリアさんだけじゃない。お腹にいる赤ちゃんまで傷付いた!いなくなればいい?そんなの、ひどいよ!せっかくできた温かい命を、そう簡単に殺せるわけないでしょ!?もう少し、考えてみな!そうしたら、スッキリするよ。」

「真莉亜お姉様……うわ~ん!」

マドレーヌちゃんは、泣きながら、私にだきついた。

「私……私!リリアに謝りたいです!あと、赤ちゃんにも!謝りたいです!」

うん、謝ろう。


                                 ☆

翌日。
私達は、リリアさんを見送りに来た。

「本当に行っちゃうんですね。わたくし、悲しいです。」

ルクトさんが、涙をハンカチでふいている。

「泣かないで。産休明けてから、またこっちにもどってくるから。マドレーヌのこと、よろしく頼むわよ。」

「かしこまりました。リリア様、お体にお気を付けて。」

「はい。」

マドレーヌちゃん、来ないねぇ。

「きっと、さびしがって、部屋に閉じこもっているかもしんねぇぞ?」

来るって言ってたもん!マドレーヌちゃん!

「リリア~!」

ほら!マドレーヌちゃんが、走って来たよ!
マドレーヌちゃんは、はぁはぁと、息切れしながら、ひざに両手を置いている。

「これ、持って行ってください!」

マドレーヌちゃんが、リリアさんにピンクの包み紙を渡した。

「これ、何が入っているのかしら?」

リリアさんが、包み紙を開けると……。

「あ……これ、よだれかけじゃなーい!」

「はいっ。昨日、真莉亜お姉様に教えてもらいながら、作りましたぁ!」

そう。
あの後、マドレーヌちゃんが、「仲直りの印に、赤ちゃんに何かしてあげたい!」って言って、作ったんだよねー。
とても簡単にできて、よかったです。

「これ、お腹の中の赤ちゃんに、あげるですぅ!」

「まあ、ありがとう、マドレーヌ。」

「いえいえ~。どういたしまして!あ、リリア。昨日はごめんなさい、あんなことを言ってしまって。」

「いいのよ、マドレーヌ。気持ちだけで、十分、わかったわ。」

「はい!あ、あと……。」




マドレーヌちゃんは、リリアさんのところに来て、お腹をさわった。

「赤ちゃん、ごめんなさい。ひどいことを言ってしまって。」

「いいよって、言ってるわ。産まれたら、あなたにだっこさせるわ。」

「はい!楽しみにしてますっ!」

マドレーヌちゃんは、笑顔になった。
こうして、リリアさんは、子供を産むため、実家に戻りました。

「じゃあね、マドレーヌ……。」

「リッちゃん、なにしてるの~?置いて行くよ~。」

「あ、ちょっとまって!」
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