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第1章

第六十三話 「ウルフ一郎さん、かぜをひく」

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「うぇ~ん、うぇ~ん!」

「ああ!おむつ替えるの、どーしよう!」

ほら。思った通り、だめだめです。

「おむつをこー、外せばいいんだよっ!」

「おぉ!先輩、さすがプロですねっ!」

「おむつ替えに、プロなどあるかぁ!さぁ、外してみろ!」

「はいっ!」

ギロさんが、おむつを外すと……。
ピシャー!
あぁ!ギロさんの顔面に、おしっこが!

「……。」

よくあることです。

「あぁ!ミルクを作るの、どーしよう!」

「粉ミルクと、お湯を準備しろ!」

「はいっ!準備できました!」

「って、お前!それはミルクじゃなくて、おからだっ!」

「うわぁぁぁぁぁぁ!ごめんなさい、ごめんなさ~い!」

ギロさん、その天然さで、父親になれるのでしょうか。

「うぇ~ん、うぇ~ん!」

「ガオンくーん、泣かないでぇ~。いないなーい、ばあ。」

って、無表情だし!

「うぇ~ん、うぇ~ん!」

「うわぁぁぁぁぁぁぁ!どんどん、ひどくなってくよぉ~!」

「スー、スー。」

「あー、やっと寝たよぉ~。」

「父親ってのは、大変だろ?」

「はい。先輩とウルフ一郎のきつさが、よくわかりましたぁ。」

「だろ?」

「お父しゃーん、一緒に寝よう!」

「あ、は~い♡今行きまちゅよ~ん♡」

「……俺も、先輩みたいになれるかな~?ねー、ガオンくーん。って、寝てるか。」


                              ☆

「うんうん、わかった。ありがとう、ちゃんとめんどう見てくれて。明日も、よろしくな。じゃ。」

ピッ。
ガオン、今すやすや寝てるって。

「そう。よかったなぁ。」

「ああ。」

「……ネル……。」

なに?ウルフ一郎。

「……ごめんな。お前の言うことを聞かなくて。神様からのバチが当たったぜ……。」

もういいよ。けど、今度から予防接種、受けるように!わかった?

「へーい、へい。わかりましたよ、鬼嫁さんっ。」

ああん?今、なんつった。

「いや、なんでもねぇ!」

「そう。」

「それと、めいわくかけちまったな。お前さんと、ガオンに。」

いいよ。かぜをひいてめいわくをかけるのは、あたり前さ!

「ネル……。」

ウルフ一郎が、マスクを外して、あたしの唇に近づいて……。
チュッ。
キスをした。
ちょっ、なにすんだよぉ!熱があるのに!あたしにうつしたら、ただじゃおかねぇからなっ。

「わかってるよ、そんなもん。だって、お前さんを愛してるから。胸の奥でずっと、愛してるから。こんな俺様を、休むことなく、看病してくれて、ありがとう。」

ウルフ一郎……。
あたしは、思いっきり、ウルフ一郎にだきついて、熱いキスをした。
そのとたん、ウルフ一郎が、あたしに熱いキスをした。

「ネル、愛してる。」

「あたしも。愛してるよ、ウルフ一郎。」

あたし達は、熱いキスをし続けた。


                             ☆


5日後……。

「ゴホッ、ゴホッ!ったくぅ、責任取れよ、お前!」

「ごめん!」

今度はネルさんが、インフルエンザになりました。

「てんめぇ~!よくも俺様のネル様に、かぜうつしたなぁ!ゆるさん!」

「ちょっ、ゆるしてぇ~!」
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