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第一話 「ジュンブライトが帰って来た!」

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私が思った通り、お屋敷も開いていて、中に入ることができた。
広いリビングの赤いじゅうたんのど真ん中に、私は体操ずわりをしていた。
私はポケットの中から、愛のお守りを出した。
愛のお守りとは、永遠に二人の愛が続くお守りのこと。
ジュンブライトが、アルマさん達と温泉旅行に行った時に買ったお守り。
こんなお守りより、ジュンブライトに会いに来て欲しかった・・・・・・。
こんなおみやげなんか、こんなおみやげなんか!

「いらない!」

私は泣きながら、お守りを向こうに投げた。
床に落ちたかと思ったら、誰かが右手でキャッチしていた。
暗くてわからないけど、誰かがこっちに来る。
その影は、どんどんこっちに来ていて、男の人の姿が見えた。
身長は180cmで、とんがった耳で、服も髪も全部黒で、髪型はパーマの男の人。
ま、まさか!

「ジュンブライト!」

やっぱり!ジュンブライトだ!

「ねぇ、ジュンブライトなんでしょ?返事してよ!」

私が大きな声でさけぶと、ジュンブライトはにこりと笑った。

「久しぶりだな、真莉亜。」

ほほ笑みながら、ジュンブライトはお守りを見せた。
私はジュンブライトのところまで走って、お守りを手に取った。

「俺がせっかく買ったおみやげなのに、投げるなんて、ひどいなぁ・・・・・・。」

「ジュンブライト!」

私は泣きながら、ジュンブライトにだきついた。

「あ、会いたかった・・・・・・。あなたに会いたかった・・・・・・。」

「真莉亜・・・・・・。」

ジュンブライトが、私をぎゅっとだきしめた。

「俺も会いたかったよ、真莉亜。」

ジュンブライトの胸、あたたかい・・・・・・。

「ほら、そんなにめぇめぇ泣くなよ。かわいい顔が、もったいないぞ。」

ジュンブライトが親指で、私の涙をぬぐった。
そういえば、さっきから気になることがあるんだけど・・・・・・。

「なんで人間界に戻って来たの?」

すると、ジュンブライトが急に、真剣な顔になって、私の両手をにぎった。

「実は、お前に伝えたいことがあるんだ。」

私に伝えたいこと?なにそれ。

「俺と、つきあってくれないか?」

はぁ?ふざけないでよ。昔みたいに。

「ふざけてない。本気なんだ。」

え?

「俺、親父に相談したんだ。「真莉亜とつきあってもいいかな?」って。そしたら親父、「交際していいぞ。しかし、プロポーズをしたら、すぐに別れてもらうぞ。」って。」

ジュンブライト・・・・・・。

「じゃあ、また人間界で暮らすの?」

「あたり前だろ。真莉亜のそばにずっといたいから、お前の彼氏になりたい。」

ジュンブライトが、なにかを取り出した。
あっ、愛のお守り!私とおそろいだぁ。

「これが、お前のそばにずっといたい証拠だ。真莉亜、俺とつきあってくれ。」

・・・・・いいよ。私も、ジュンブライトのそばにいたいし、ジュンブライトの彼女になりたい。

「本当か!?」

ジュンブライトが喜んでいる。

「うん。」

「真莉亜・・・・・。」

ジュンブライトが、顔を私の方に近づけた。

「これからよろしくね。」

「あぁ。」

そして、私達は唇を近づけて・・・・・・。
チュ・・・・・・。
キスをした。
熱くて、とても甘くて、優しいキスだった。

「愛してるよ、真莉亜。」

「私も。愛してるよ、ジュンブライト。」
チュ・・・・・・。
私達はまた、熱くてとても甘いキスをした。

「真莉亜・・・・・・。」

なに?ジュンブライト。

「俺がもし、いやなことがあった時、つらいことがあった時、イライラしたことがあった時、悲しいことがあった時、お前のそのやわらかい唇に、キスしていいか?」

ジュンブライト・・・・・・。

「いいよ。いつでもキスしていいよ。」

「真莉亜・・・・・・。」

「ジュンブライト・・・・・・。」

チュ・・・・・・。
私達は、熱いキスをした。

「これからよろしくな、真莉亜。」

うん。こちらこそ、よろしくね、ジュンブライト。
パチパチパチパチ。
ん?向こうからはく手している音が聞こえてくるぞ。

「真莉亜お姉様ぁ~!」

その声は!

「マドレーヌちゃん!」

「王子、真莉亜様。おつきあい、おめでとうございます。」

ルクトさん!

「久しぶりね、真莉亜。」

リリアさん!お久しぶりです~。

「あ―!お、お、お前ら、ま、ま、まさか、キスしたところ、見てたのかよ!」

え~!?

「そうよ。熱~いキスまでしちゃって。早速ラブラブモード、出しちゃったわね。」

・・・・・・恥ずかしいです。キスしたところを見られたなんて・・・・・・ん?まてよ。

「ルクトさん達も、人間界で暮らすんですか?」

「はい。」

「真莉亜お姉様とずっと一緒にいられるなんて、夢みたいです~!」

マドレーヌちゃんが、私にだきついて来た。

「で、どこで暮らすんですか?」

「テレサ達が住む、オンボロアパートだよっ!」

あ、満月荘のことだね。

「そ。名前を聞いたとたん、韓国ドラマに出てきた、家の名前に似てたから、建物が、ドラマと一緒かなぁ~?と思ったら、オンボロアパートだったんだぜ!テレサに、「期待はずれじゃねぇか!」って言ったら、「悪かったね!期待はずれで!そんなに文句言うなら、一人で家を探せ!」って、怒られて、結局、あのオンボロアパートに住むことになったんだぜ!」

テレサさんのまね、お上手ですね。
それと、相変わらずわがままですね。

「じいや!なんで家を売ったんだよぉ!俺、あの家、すっごく気に入ってたんだぜ!」

「そう言われても・・・・・・。だって、そうするしかなかったんです・・・・・・。」

ルクトさん、いろいろ考えたんだね。





パーン、パーン、パーン、パーン!

「真莉亜、ジュンブライト、交際、おめでとー!」

あはっ、ありがとうございます。

「まるで、結婚式みたいだねぇ。」

「このピザ、おいし~♡」

「ジュンブライト様!」

あっ、クリスさん。

「なんで真莉亜とつきあい始めたんですか!そんなの、絶対ゆるしませんっ。真莉亜!となり、どいてよ!ここはあたしがすわるところよ!」

クリスさん!そんなに押さないでくださいっ!

「クリス!あたしのマグロ、あげるから、落ち着いて!」

「マグロ!?ニャニャニャーン♡やったニャー!」

テレサさん、ありがとうございます。

「どういたしまして。まったく、あの子はジュンブライトのこと、まだあきらめていないみたいだねぇ。」

そうですね。

「テレサ、ビールをくれ。」

「はいはい。」

テレサさんが、ジュンブライトのグラスにビールをそそいだ。

「んっく、んっく・・・・・・あ―、うまーい。」

「ここでお二人に、キスしてもらいます。」

えぇ~!?

「ちょっと、ルクトじじい!なんでそんなことを言い出すのよっ!」

「そうだ、そうだ!」

「お二人に、これから仲良くしてもらうため、永遠の愛を誓って、キスするんです。」

「いいねぇ。みんなぁ、二人にキスしてもらうけど、いいかなぁ?」

「いいとも!」

『笑っていいとも!』ですかっ。

「・・・・・・しよう。」

へ?

「キス、しよう。」

ジュンブライト・・・・・・。

「今からキスするわよっ。」

「写真、撮ろっと。」

紅葉!スマホをかまえないでください!

「行くぞ。」

うん。
ジュンブライトが、恥ずかしそうな顔をしながら、私の肩を、両手でがっしりつかんで、顔を近づけて、私の唇に・・・・・・。
チュ・・・・・・。
キスをした。

「ヒュー、ヒュー!」

「どうしたの?クリス。」

「真ぁ莉ぃ亜~!もうあたし、ゆるさないからねっ。」

「煮干し、いる?おいしいわよ。」

「ニャニャニャ~ン♡」

「・・・・・・真莉亜。」

なに?ジュンライト。

「俺、真莉亜だけを愛する男になるから、絶対、浮気しない。」

「本当に?」

「あ・・・・・・あぁ。本当さ。」

愛の約束だねっ。

「もし、その約束を破ったら、地球の果てまでぶんなぐるよ!」

「や、やめてくれ~!」

テレサさん、お願いします。

「まかせな!こいつ、絶対に浮気しそうだから。」

ジュンブライトが照れくさそうに、大きな声でさけんだ。
ジュンブライト。これからよろしくねっ。
また一緒にいられるなんて、うれしいよ。
私、あなたの最高の恋人になるから、浮気はしないでね。
愛の約束、絶対に守ってねっ。

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