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第四十五話 「ギロさんの仕事場に潜入!」

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今日はいい天気です。
 
「ねぇ、みんな。ちょっと、話があるんだけど。」
 
「話ぃ?」
 
一体、なんの話だろ。
 
「明日、俺の仕事場に来ていいよ!」
 
え~!?
 
「本当か、ギロ!」
 
「はい!みんなに俺の働きっぷりを見せてもらいたいから、誘おっと思って。」
 
うわぁ~。楽しみだなぁ。
 
「お母さん、楽しみだねっ!」
 
うん!
でも、明日、早く起きた方がいいよね?
 
「えぇ。ギロのお仕事は、6時から出勤だしね。」
 
じゃあ、5時に起きよう。
 
 

 
 
午前6時。私達は鏡の前に立っていた。
いよいよだね、ジュンブライト。
 
「あぁ。」
 
ジュンブライトは、ニッと笑って、うなずいた。
 
「みなさん、準備いいですか?」
 
「おう!」 「はい!」 「うん!」 「えぇ!」
 
「じゃあ、行きますよ。」
 
そのとたん、鏡がピカ―ッと光り出した。
 
「さぁ、入って。」
 
みんなは次々、鏡の中に入ってゆく。
 
「真莉亜、早く入れ!」
 
わっ、ちょっと!押さないでよ!
私は、さっと鏡の中に入った。
その次に、ジュンブライトも入った。
うわぁ~!
 
 

 
 
「真莉亜、真莉亜!」
 
ん?誰?私の体をゆすってるの。
 
「早く起きれ!」
 
「ヴァンパイア界に着いてますよ!」
 
う、う~ん。
目を少しずつ開けると・・・・・・。
わ!本当だ!ヴァンパイア界だ!
久しぶりに見るなぁ、このヴァンパイア界の景色。
 
「ほら、俺んちが見えるぞ!」
 
ジュンブライトがびしっと、遠くに見える自分の家を指さした。
 
「ジュンブライト、今日は自分の家に遊びに行くんじゃないよ。」
 
「あ、そうだった。」
 
「下を降りましょう。。」
 
ねぇ、ギロさん。ギロさんの病院は、歩いて何分かかるんですか?
 
「えっとぉ、だいたい、25分だね。」
 
25分!?そんなぁ~。きついよぉ~。
 
「真莉亜、わがまま言わないよ。」
 
はい・・・・・・。
私達は、山を下りた。
そして、歩いて25分。
 
「着きましたよ。」
 
はぁ、はぁ。やっと着いた~。
 
「ここが、俺が働いている病院です!」
 
うわぁ。でっか―い。
駐車場が普通の病院よりとても広くて、建物も、普通の病院とちがってでかくって、病院の周りには、きれいなお花の花壇がある。
 
「うわぁ~。」
 
「ギロの病院、すっごくでかいのね!」
 
「あぁ。ちなみに、ここの病院、俺の親父の病院なんです。」
 
その瞬間、みんなは目を点にした。
 
「へ?今、なんて言った?」
 
「だぁかぁらぁ、俺の親父の病院ですって。」
 
「え~!?」
 
ギ、ギ、ギ、ギ、ギロさんのお父さんの病院っていうことは・・・・・・。
 
「そう。ギロのお父さんは、ヴァンパイア記念病院の院長なの。」
 
「ってことは、ギロ、お前、ここの病院の・・・・・・。」
 
「はい、息子です。」
 
ギロさんは、笑顔で答えた。
 
「俺よりすんげぇー大金持ち、はっけ―ん!」
 
「ギロの家は、超~大金持ちぃ~!」
 
「アハハハハハハ!」
 
あらら。いつも仲が悪い二人が、仲良く肩を組んでるよぉ。
 
「ギロ様は、お父様の病院で、働いているんですか?」
 
「はい。小さい頃、親父から、「お前は将来、立派な医者になって、ここの病院を継ぐんだぞ。そのためには、しっかり勉強しなさい。」って言われて、3歳のころから、ず―っと、塾に通ってたんです。」
 
へぇー。ギロさん、英才教育を受けてたんですね。
 
「さ、病院の中に案内しますよ。あの裏口から入ってるんです。」
 
私達は、裏口の方へ向かって歩き始め、裏口から中に入った。
うわぁ。せまいし、暗―い。
そして、私達は男子更衣室の前に立った。
 
「じゃあ、俺はここで着がえますから、まっててくださいね。」
 
「はーい。」
 
ギロさんが、バタンとドアを閉めた。
と、その時!
 
「うわぁ!」
 
ん!?今、ギロさんの声が聞こえなかった!?」
 
「行ってみよう!」
 
「おう!」
 
ジュンブライトは、ドアをガチャッと開けた。
 
「大丈夫か、ギロ・・・・・・って、え―っ?」
 
どうしたのよ。
 
「見てみろ!」
 
なにを?
 
「いーから!」
 
ジュンブライトが、指をさした方を見ると・・・・・・。
うわぁ!なんなの、このラブレターの数!
 
「ギロ、大丈夫かい!?」
 
って言っても、ギロさんはラブレターにうめつくされていて、どこにいるかわからない。
 
「ぶはっ!」
 
うわぁ!ラブレターの中から、ヴァンパイアキャット姿のギロさんが現れたよぉ!
 
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!ヴァンパイアキャットだぁ~!」
 
ウルフ一郎さん、うっさい。
 
「これが俺の1日の始まりですぅ。」
 
ギロさんって、仕事場では、モテるんですね。
 
「あぁ。看護師さん達からも、女性の医者さん達からも、女性の患者さん達からも、ラブレターをいっぱい、もらうんだよ・・・・・・。リッちゃんがいるのに。」
 
ボンッ!
 
「で、なんでロッカーの中から、こんなにラブレターが飛び出すんだよ。」
 
ウルフ一郎さんが、一枚のラブレターを拾いながら、言った。
 
「その人たちが俺が来る前に、ロッカーに入れて行くんだよぉ。」
 
「あっ、これ、見て!ギロ先生へ ずっと、あなたのことが、好きでした!って!」
 
「こっちのほうがすごいわよ!ギロ先生へ 愛してる♡だーいすき♡PS お父様に結婚していいか聞いたら、OKもらいました♡って!」
 
「ちょっとぉ!読まないでよぉ!」
 
こっちはどう?ギロ先生へ かっこいいです♡って。
 
「真莉亜ちゃんもぉ!」
 
「・・・・・・もう、やめて。」
 
あれ、リリアさんの様子がおかしい。
 
「どうしたんだ。」
 
「・・・・・・いや、なんっでもない。」
 
「リリアさん、もしかして、やきもちやいてるんじゃないですか・・・・・・。」
 
「ちがうわよ!からかわないで!」
 
顔、真っ赤になってるし。
 
「今日のリリア、かわいいですね。」
 
そうだねぇ。
 
 
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