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第五十話 「イケメントリオ、子供になる!?」

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次の日。
う~ん、ねむ~い。
 
「よっ、おはよう。」
 
おっはー。
 
「ギロは起きたか?」
 
まだ寝ているよ。
 
「どら、俺様が起こしてこよっか。」
 
ウルフ一郎は、料理をするのをやめて、寝室へ行った。
さあてと、テレビを付けるか。
俺は、テレビを付けた。
 
「『今日の天気は晴れです。』」
 
このアナウンサー、かわいいなぁ。
 
「おはようございます、先輩。」
 
おはよう、ギロ。
 
「今日も一日、頑張りましょう。」
 
おう。
 
「ほら、朝飯ができたぞぉ~。」
 
おぉ!うまそうじゃねぇか!
スクランブルエッグに、ポテトサラダに、白ご飯に、みそしる!
 
「いっただっきま―す!」
 
俺とギロは、バクバク食べ始めた。
 
「ん~、うんめぇ~!」
 
「サイコ―ですぅ~!」
 
ん?オオカミヤロー、おめぇは食べねぇのか?
 
「俺様はあとで食べるよ。」
 
ふーん。
みんなで食べた方が、おいしいのに。
ピンポーン。
ん?インターホンが鳴ってるぞ。
 
「こんな朝っぱらから、誰なんだろ。」
 
「さぁ~。」
 
「お―い、桜吹雪のネルだぞぉ。誰もいないのかぁ~?」
 
えっ!?
 
「ネ、ネルだとぉ!?」
 
どうしたんだよ、急に立ち上がって。
 
「い、いや、なんでもないっ。かわりに出てくれ!」
 
はぁ~!?飯食ってるのにぃ!お前が出ろよぉ!
 
「俺様は行っちゃいかねぇんだ!頼む!」
 
ちょっとぉ、どこに行くんだよぉ!
 
「・・・・・・。」
 
ギロは走ってゆくウルフ一郎を、じ―っと見つめた。
ったく、仕方ねぇなぁ。
俺は玄関に行って、くつをはいて、ドアを開けた。
 
「ジュ、ジュンブライト様・・・・・・?」
 
ネルは俺の姿を見て、口をポカーンと開けている。(そりゃあそうだろ。)
 
「な、なんですか、そのお姿はぁ!」
 
えへへ―ん、びっくりしたろ?
 
「そりゃあ、びっくりしますよ!一体、どうしたんですか!」
 
子供になったんだよ、子供に。
 
「子供にぃ~!?なんでですか!?」
 
それは上がってから説明する。子供になったのは、俺だけじゃないから。
 
「?」
 
首をかしげながら、ネルは部屋に上がった。
すると、ギロが飛び出して来た。
 
「ネルちゃ―ん!いらっしゃ―い!」
 
「うわっ!ギロ!お前も子供に!?」
 
「うん!」
 
ギロが笑顔でうなずくと、ネルがくんくんとにおいをかぎ始めた。
どうしたんだ?
 
「・・・・・・におう。獣くさいにおいが。」
 
あ・・・・・・。
 
「確かぁ、この辺かなぁ?」
 
「ネル、犬みてぇだな。」
 
「はい。」
 
「あ、いた。」
 
ネルが立ちどまった先には、ダンボールに隠れている、ウルフ一郎がいた。
こいつ、ぶるぶるふるえてるし、ケツ、ちゃんと隠してないし。
 
「頭隠して尻隠さず・・・・・・だな。」
 
「あぁ。」
 
「こうら、な―に隠れてるんだ?クソオオカミヤロー。」
 
ネルがウルフ一郎の背中をつまみ、ダンボールから出した。
 
「ひぃ!は、離せぇ~!」
 
「離すもんか。お前もガキんちょになってんのかぁ。」
 
「お、俺が説明するから!」
 
ギロが俺達が子供になった理由を、ネルに話した。
 
「ふ―ん。そういうことで、子供になったのかぁ。おい、ギロ!」
 
「ひぃ!」
 
ネルがギロの胸ぐらをひっぱった。
 
「お前のせいで、ジュンブライト様がまた、こ―んな変わり果てた姿になったんじゃろ―が!絶っっっっっ対、ゆるさねぇ!反省せい!」
 
「ひぃぃぃぃぃぃ!わ、わかったから、胸ぐらをひっぱるの、やめてぇ~!」
 
「あのう、子供になったのは、天パヤローだけじゃないんですけどぉ・・・・・・。」
 
「わかっとるわい!」
 
今日のネル、こわいなぁ。
 
「あたり前だろ。」
 
「ところで、ど―するんだ、これから。このままじゃあ、リリア達が帰って来て、大騒ぎになるぞ。」
 
そこをなんとかしたいんだよぉ!
 
「リッちゃん達が帰って来るまで、元に戻らないと!」
 
「もう二度と、真莉亜ちゃんに会わせる顔がねぇ!」
 
「って、おい!それは俺のセリフだ!」
 
「なんだとぉ?」
 
「やんのかオラァ!」
 
俺とオオカミヤローは、けんかをし始めた。
 
「あ―もう、けんかはやめろ、二人とも。」
 
ネルに言われると、俺達はけんかをやめた。
 
「今はど―するかを考えてんだ。けんかすると、先に進まねぇ。」
 
「す、すみません・・・・・・。」
 
俺とオオカミヤローは、表情をしゅんとさせた。
あ!いいこと考えた!
 
「なぁ、遊園地に行かねぇか?」
 
「遊園地にぃ!?」
 
「お前、今どんな状況なのか、わかってんのか!」
 
あぁ、わかってる。なんか、遊園地に行きたくなってきた。
 
「こいつ、本当にわかってねぇな。」
 
「行こう、遊園地に。」
 
おぉ、ネル!さっすが、俺のダチだぜ!
俺はネルに向かって、ニッと笑った。
 
「あたしはあなたの意見しか、賛成しません♡」
 
「お前、頭おかしいんじゃねぇか!?」
 
「行こうよ、遊園地!」
 
「よ―し、決まりだぁ!」
 
「ゆ―えんち!ゆ―えんち!ゆ―えんち!ゆ―えんち!ゆ―えんち!ゆ―えんち!」
 
肩を組んで喜んでいる俺とギロを見て、オオカミヤローは、「はぁ。」とため息をついた。
 
「仕方ねぇ、行くか。」
 
グゥ~。
あ・・・・・・。
オオカミヤローが、顔を真っ赤にして、お腹をおさえた。
 
「・・・・・・俺様が朝飯食ってからな。」
 
グゥ~。
今度はネルが、顔を真っ赤にして、お腹をおさえた。
 
「・・・・・・あたしも、朝っぱらから、なにも食べてない。」
 
「じゃあ、一緒に食うか?」
 
「おう。」
 
ネルはうなずいた。
 
「じゃあ、お前達はその間、準備しな。」
 
「は―い。」
 
 
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