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6話
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私の名前はリリアンヌ。
乙女ゲーム、「貴方に心ときめいて」のヒロインである。
そう、正真正銘のヒロイン。
容姿はふんわりとしたストロベリーブロンドに、エメラルドグリーンの瞳を持つ美少女。
年齢の割には胸の発達が中々、良い……。
社交界デビューの時のドレス姿での、胸の豊かさ。
美貌よりも胸に注目を浴びそう。
世の男性が生唾を飲みそうな、美味しそうだと囁かれそうと言うのが率直な感想。
うーん、少し品が無かったかしら。
だって、それが「私」の感想だもの。
あ、話が逸れたわ。
私、リリアンヌはこのゲームのヒロインらしく、波瀾万丈な人生を幼い頃から歩んでいるのだが……。
幼い頃に母親が病気で他界。
父親は生まれた時には既にこの世を去っていた。
両親は身分違いの恋愛の末結ばれて、私と言う愛の結晶を手に入れた。
母が幼い頃から子守唄の様に私に語ってくれた愛の物語。
幼い私は両親の様に、大恋愛を夢みたのだが。
女手一つで親族に頼る事なく、私を育ててくれたが、8歳の頃、流行病に罹り呆気なくこの世を去った。
父に対する愛を最後まで胸に抱きながら。
母を亡くした天涯孤独になった私に手を差し伸べる親族は誰一人、存在しなかった。
母は身分差での大恋愛と語っていたが、実際は違っていた。
母は私の遺伝子上の父親にオモチャの様に弄ばれたのだ。
侍女として使えていた子爵家の跡取り息子である生物上の父の甘言に騙され、盲目となり乙女を捧げたのであった。
子爵家の御曹司であり、既に婚約者がいる身でありながら、初心な母が物珍しかったのか、母との恋愛に父親という男はのめり込んだのだが、それが婚約者の実家にばれ危うく婚約破棄へと展開しそうになったが。
侯爵家の令嬢との婚約だけに、もし、婚約破棄になった場合、社交界での地位は直ちに剥奪されるだろう。
大切な一人娘を傷物にされた侯爵の怒りは想像し難く……。
直ぐに侯爵家へ謝罪し、今度一切、不実な行為はしないと誓約書を書きどうにか婚約破棄を止める事に成功した。
王都でも有数な実力を持つ侯爵家の令嬢との婚約破棄、それは即ち、社交界での抹殺を物語っている。
王族との姻戚関係もある侯爵家。
その令嬢との婚約は、父親もどきにとっては逆バージョンのシンデレラストーリーである。
社交界での出世を望む者にとって、そんな僥倖をみすみす潰す馬鹿がいたら見てみたいと、嘲笑いながら囁かれていたが。
ああ、父親もどきはかなり頭の栓が緩い。
下半身と同じく。
あ、またまた品性の無い言葉で言ってしまった。
その令嬢が、とある貴族の誕生パーティーに招かれ、そこに偶然いた子爵家の跡取りである父親もどきに一目惚れして、強引に婚約へとこぎつけた。
最初は純粋に父親もどきに恋心を抱いていた。
まあ、一応、見目麗しい貴公子然とした容姿を持つ父親もどきである。
うっとりと頬を染め父親もどきとの結婚に夢を抱いていたのだか、母との浮気を知り、一気に気持ちが覚めたのであろう。
王族との姻戚関係があり身分の高い己が爵位が低い父親もどきにプライドを傷つけ粉々にされた。
まだ自分よりも爵位も上であり、美貌も凌駕する存在であれば、それでも納得は出来たのだが。
身分の低い、凡庸な容姿の女にうつつを抜かし、己の尊厳を踏み潰した。
婚約破棄等、絶対にしない。
ずっと側にいて、私の、侯爵家の機嫌を常に窺いながら、生きればいい。
誰が自由にするものか。
生涯をかけてじっくりいたぶりながら復讐してやる。
令嬢の心に父親もどきに対する復讐心が芽生えた瞬間であった。
***
数ヶ月後の婚約期間を経て、婚姻を結ぶのだが、その時には既に、令嬢は父親もどきを等身大の人形と考えるようになった。
爵位が低くても、節操が無く下半身が緩くても、愛玩するには丁度良いと悟ったのだろう。
侯爵家の令嬢も社交界を賑わす程の美貌と謳われたので、令嬢は自分の審美眼を満たす事が出来ればと考え、父親もどきの性格など歯牙にかけなかった。
小心者の父親もどきである。
実家の権威をちらつかせば逆らう事など出来る訳が無い。
父親もどきを蔑む様に見詰め、酷薄を浮かべている。
その、冷ややかな眼差しに、麗しい美貌に父親もどきは心を射抜かれ、令嬢の虜になったのだが既に遅し。
令嬢は婚姻を結んでも父親もどきには一切の感情を持ち合わせなかった。
父親もどきの一時の過ちが令嬢の心を凍てつかせ取り返しのつかない亀裂を作ってしまった。
半年後、父親もどきの懇願に、一度だけ夫婦の契りを受け賜る事に成功した。
毎日、毎日、しつこく妻に纏わり付き、泣き落としたそうだ。
余りにうっとしいので、最後には根負けしたのが現実。
愛などある訳が無い。
私だって嫌だわ、こんな男。
父親もどきの情念が結ばせたのか、一年後、娘が誕生する。
そう、私、リリアンヌの義理の妹であるマリーベル。
後の、この世界での稀代の悪役令嬢と謳われる、絶世の美女……。
「貴方に心ときめいて」はヒロインである私と、義理の妹であるマリーベルが、未来の王妃になる為、競い合うゲームなのだが。
それは建前であり、本当は、二人の少女がそれ以上の「あれ」な世界を目指す、桃色物語。
え、どうしてそれを知っているかって言うと。
それは私が転生者だから。
ヒロインである私リリアンヌは、この世界を模造したゲームをプレイしていた転生者だから。
うふふ。
乙女ゲーム、「貴方に心ときめいて」のヒロインである。
そう、正真正銘のヒロイン。
容姿はふんわりとしたストロベリーブロンドに、エメラルドグリーンの瞳を持つ美少女。
年齢の割には胸の発達が中々、良い……。
社交界デビューの時のドレス姿での、胸の豊かさ。
美貌よりも胸に注目を浴びそう。
世の男性が生唾を飲みそうな、美味しそうだと囁かれそうと言うのが率直な感想。
うーん、少し品が無かったかしら。
だって、それが「私」の感想だもの。
あ、話が逸れたわ。
私、リリアンヌはこのゲームのヒロインらしく、波瀾万丈な人生を幼い頃から歩んでいるのだが……。
幼い頃に母親が病気で他界。
父親は生まれた時には既にこの世を去っていた。
両親は身分違いの恋愛の末結ばれて、私と言う愛の結晶を手に入れた。
母が幼い頃から子守唄の様に私に語ってくれた愛の物語。
幼い私は両親の様に、大恋愛を夢みたのだが。
女手一つで親族に頼る事なく、私を育ててくれたが、8歳の頃、流行病に罹り呆気なくこの世を去った。
父に対する愛を最後まで胸に抱きながら。
母を亡くした天涯孤独になった私に手を差し伸べる親族は誰一人、存在しなかった。
母は身分差での大恋愛と語っていたが、実際は違っていた。
母は私の遺伝子上の父親にオモチャの様に弄ばれたのだ。
侍女として使えていた子爵家の跡取り息子である生物上の父の甘言に騙され、盲目となり乙女を捧げたのであった。
子爵家の御曹司であり、既に婚約者がいる身でありながら、初心な母が物珍しかったのか、母との恋愛に父親という男はのめり込んだのだが、それが婚約者の実家にばれ危うく婚約破棄へと展開しそうになったが。
侯爵家の令嬢との婚約だけに、もし、婚約破棄になった場合、社交界での地位は直ちに剥奪されるだろう。
大切な一人娘を傷物にされた侯爵の怒りは想像し難く……。
直ぐに侯爵家へ謝罪し、今度一切、不実な行為はしないと誓約書を書きどうにか婚約破棄を止める事に成功した。
王都でも有数な実力を持つ侯爵家の令嬢との婚約破棄、それは即ち、社交界での抹殺を物語っている。
王族との姻戚関係もある侯爵家。
その令嬢との婚約は、父親もどきにとっては逆バージョンのシンデレラストーリーである。
社交界での出世を望む者にとって、そんな僥倖をみすみす潰す馬鹿がいたら見てみたいと、嘲笑いながら囁かれていたが。
ああ、父親もどきはかなり頭の栓が緩い。
下半身と同じく。
あ、またまた品性の無い言葉で言ってしまった。
その令嬢が、とある貴族の誕生パーティーに招かれ、そこに偶然いた子爵家の跡取りである父親もどきに一目惚れして、強引に婚約へとこぎつけた。
最初は純粋に父親もどきに恋心を抱いていた。
まあ、一応、見目麗しい貴公子然とした容姿を持つ父親もどきである。
うっとりと頬を染め父親もどきとの結婚に夢を抱いていたのだか、母との浮気を知り、一気に気持ちが覚めたのであろう。
王族との姻戚関係があり身分の高い己が爵位が低い父親もどきにプライドを傷つけ粉々にされた。
まだ自分よりも爵位も上であり、美貌も凌駕する存在であれば、それでも納得は出来たのだが。
身分の低い、凡庸な容姿の女にうつつを抜かし、己の尊厳を踏み潰した。
婚約破棄等、絶対にしない。
ずっと側にいて、私の、侯爵家の機嫌を常に窺いながら、生きればいい。
誰が自由にするものか。
生涯をかけてじっくりいたぶりながら復讐してやる。
令嬢の心に父親もどきに対する復讐心が芽生えた瞬間であった。
***
数ヶ月後の婚約期間を経て、婚姻を結ぶのだが、その時には既に、令嬢は父親もどきを等身大の人形と考えるようになった。
爵位が低くても、節操が無く下半身が緩くても、愛玩するには丁度良いと悟ったのだろう。
侯爵家の令嬢も社交界を賑わす程の美貌と謳われたので、令嬢は自分の審美眼を満たす事が出来ればと考え、父親もどきの性格など歯牙にかけなかった。
小心者の父親もどきである。
実家の権威をちらつかせば逆らう事など出来る訳が無い。
父親もどきを蔑む様に見詰め、酷薄を浮かべている。
その、冷ややかな眼差しに、麗しい美貌に父親もどきは心を射抜かれ、令嬢の虜になったのだが既に遅し。
令嬢は婚姻を結んでも父親もどきには一切の感情を持ち合わせなかった。
父親もどきの一時の過ちが令嬢の心を凍てつかせ取り返しのつかない亀裂を作ってしまった。
半年後、父親もどきの懇願に、一度だけ夫婦の契りを受け賜る事に成功した。
毎日、毎日、しつこく妻に纏わり付き、泣き落としたそうだ。
余りにうっとしいので、最後には根負けしたのが現実。
愛などある訳が無い。
私だって嫌だわ、こんな男。
父親もどきの情念が結ばせたのか、一年後、娘が誕生する。
そう、私、リリアンヌの義理の妹であるマリーベル。
後の、この世界での稀代の悪役令嬢と謳われる、絶世の美女……。
「貴方に心ときめいて」はヒロインである私と、義理の妹であるマリーベルが、未来の王妃になる為、競い合うゲームなのだが。
それは建前であり、本当は、二人の少女がそれ以上の「あれ」な世界を目指す、桃色物語。
え、どうしてそれを知っているかって言うと。
それは私が転生者だから。
ヒロインである私リリアンヌは、この世界を模造したゲームをプレイしていた転生者だから。
うふふ。
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