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第一章:朝、目が覚めたらお姫様一行の保護者になっていた俺。

第7話「俺、かみ合わない」

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「ふぃー、極楽、極楽。
 なんつったかねーこの丸っこいの。
 すっげえいい匂いするな、まるで、エルフの森にでもいるみたいだぜ!」

 あの後、身体を洗ってくれるというんで女たちについてきた俺。

 飯にがっついてた時点で、こいつらにロクな拠点がないことは予想してたが……割とひどい。

 カギはかからねえし、天井はガチの吹き抜け……板もなんもない。

 掃除は頑張っているのか、埃っぽさこそないが、きっと汚れが染みついてて、どんなに拭いても落ちないのだろう。

 全体的に……汚い。

 その代わりに宿泊費が安いという話だが、ぶっちゃけこれで満足できるなら、適当な空き家でも使わせてもらえばいいのに。

 冒険者なら、ギルドで手続きできるだろ?

 試しにそう言ってみたら、まるで頭に雷でも落ちたかのように硬直した後、ぷるぷると震えだした。

 おいおい……まさか知らなかったのか?

 まあ、ギルドも親切な所ばっかりじゃねえし、腕がいくら良くても新人じゃあ仕方ねえかもな。

「あれ、私たちが何で新人だと思うんですか?」

「え、だってお前らライセンスぶら下げてねえじゃん。
 冒険者は、ライセンスを見える所に下げとかねえと規約違反だぞ?
 納品待ちなんだろ?」

 ……

 え、何で黙ってんのこいつら。

「ち、ちなみにだけどな、冒険者じゃないのに自分が冒険者だと誰かに言ったら、ギルドの治安部隊が取り調べに来るぞ。
 まあ、犯罪歴とかなければ、大して怒られないと思うけど……」

 ……

 え、だからなんで黙ってんだよ、こいつら。

 ぺポは、まるで何も聞こえてなかったかのように目を閉じているし、娼婦っぽい女は、さっきから俺の身体を嘗め回すように凝視していて、俺の話を聞いてるのかすらわかんねえ。

 腹ペコ女にいたっては、ちゃんと俺の話を聞いてるはずなのに、まったく何もわかってなさそうだ。

「あ、そういえばお前ら名前なんて言うんだ?
 そっちのパプは覚えたけど、他のやつはまだ名前教えてもらってねえぞ」

 ちゃぷちゃぷと、腹ペコ女に用意してもらった湯が張ってある洗い桶で体を揺らしながら、女たちに問いかけた。

「あ、そうでしたね!
 私はレイア・レイモンド・シルバー・エレーメン・ヒスイ・シャーロット―ー」

 ああ、レイア・レイモンドね、家名持ちってことは……続くの?

 シルバ、エレエレ、ヒッスン、シャロン、マロン、シンフォリウス……まだ続くの?

 フォピン、トモリ、シンガン・キャニス……

 ……ターメイ、ロマンド……

 ……ロロナ

 ……

 …………長いっっっ!!!?

 はぁ、何だよその名前、ふざけてんのか!?

 どこにそんな馬鹿みたいに長い名前を付ける親がいるんだよ!

 覚えらんねえし、覚えられたとしても長すぎて名前呼ぶたびに日が暮れてしまうわ!!!

「……私たちは娼婦、うかつに身元を知られると悪人に狙われる。
 仮の名前をつかうのは、極めて一般的のはず、あと、私の名前はポポ、パプじゃない」

 お、こいつ、ちゃんと話聞いてたのか。

 だけど……仮の名前?

「ああ、悪かったな、ピピ。
 それより、確かに娼婦の中には仮の名前を使うやつがいるが、娼婦ギルドでは名前に文字数制限があるだろ?
 前に文字の長さで女の格を表現しようとする娼婦の争いがあって、指名するたびに全部読み上げるのが大変だって客から苦情が殺到したから、長くても10文字程度になったはずだけど……?」

「あっ、あらあら、私たちは個人で請け負う娼婦なのよ?
 その方がお金も多く貰えるし、お楽しみ中に邪魔が入らないから――」

 え、なにそれ。

「個人で娼婦なんてやったら、それこそ悪人に狙われ放題じゃね?」

「「「え?」」」

 …………え?

 えって何だよ、若い女と話がかみ合わないと、なんか不安になるじゃねえかよ。

 俺、なんか変なこと言ったか?
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