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第一章:朝、目が覚めたらお姫様一行の保護者になっていた俺。

第8話「俺、寝て起きただけなのに」

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「……詳しく教えて欲しい。
 あと、私の名前はポポ、ピピじゃない、これは一族に伝わる名で、私の命より大切な――」

 ふむ?

 こいつら、もしかして娼婦のこと、なんもわかってねえのか?

「教えるのは別にいいが……
 なあ、パポ、娼婦って何するか知ってるか?」

「……当然、男を自分の身体を柄って気持ちよくする……つまり、マッサージ師の事でしょう」

 ほぉ、まあ概ね間違ってねえな。

「じゃあ、次は……胸が一番デカいお前、言ってみ?」

「殿方をトロっトロに甘やかす仕事です。
 方法は……言えません、知りたいならあちらでお教えします。
 あと、私の名前はオリヴィアと申します」

 ん、こいつは分かってそうだな。

「私もですか?
 ええと……あ、頭をなでなでしてあげるとか、かな?」

 まあ、そういうのが好きなやつもいると思うが……ふむふむ。

 よし。

 どうやら、こいつら娼婦じゃねえみたいだ。

 つーことは、冒険者だっていうのも怪しい。

 若い女で腕が立って、職業不明の不審者……それも3人組。

 どう考えてもまともじゃねえ。

 身体を洗ってくれるっていうから、思わずついてきちまったが、やっかいごとはごめんだ。

「あ、そうだ、そうだ!
 俺さ、この後用事があったんだよ。
 いや、また今度ゆっくり話そうぜ、じゃあ、そういうことで……え?」

 洗い桶から飛び出して、そのままこの宿モドキから脱出を試みるも、いつの間にかオリヴィアが扉の前に立っていた。

「あらあら。
 ちゃんと身体を拭かないと、せっかくの色男が台無しですよ?」

「いやいや、水も滴るいい男っていうだろ?
 俺くらいの色男になると、身体中が滴ってるくらいでちょうどいいんだよ」

「あらあら。
 うふふふふふふ」

「そういうこと!
 ははははははは……じゃ、俺は帰るから……へぷちんっ!!!?」

 え、今の何?

 なんかすっげえ衝撃が脳天に……

「あ、ごめんなさいぬいぐるみさん!
 身体を拭こうとしたら、躓いてしまって……っ!」

 あ、そうなの?

 別に怒ってねえけど、これ、結構キてる……わ

「……さすが、姫様。
 見事な不意打ちです」

「このご様子なら、朝までまともに動けないと思うわ。
 人間と体の構造が違うと言っても、お父様に教わった「魔力神経」の構造は一緒みたいだから」

 姫様?

 何言ってんだこいつら、まさかほん、とうに……

「大丈夫ですか?
 今、ベッドにお連れしますから!」

「……さすが、オリヴィアの見立て通り。
 魔力神経なんて、私には見ることすらできないのに……で、殺す?」

「それも手だけど、万が一のことがあるかもしれないわ。
 すぐにお父様をお呼びするから、ポポはここで姫様の安全を守っておいてもらえる?」

 おいおい、あのオリヴィアとかいう女、さっきまでの「あらあら口調」はどこ行ったんです……かね?

 ったく、これだから女ってやつは怖いんだ。

 男が弱ると見りゃ、良くも悪くも、女は信じられないくらい……強く……なりやが……る。

「ぬいぐるみさん寝ちゃったんですか?
 なら、私たちも今日はもう寝ましょう。
 ほらほら、寝ている間に干さないといけないので、みんな服を脱いでくださいね。
 全部洗っちゃいますから!」

 寝てねえよ……まだ、な……、それに、客でもねえ男の前で服を脱ぐんじゃ……

 あ、そうか……こいつらは娼婦じゃないんだっけ、じゃ、あ……いいのか?

 だめだ、頭が回んねえ……家に帰らねえと、アメリ、アが……も、し泣いてたらお……れ、が一緒にいてやんね、え……と…………ぱたり。



 ――

 ちゅんちゅん。

 ん、もう朝か……ひぃ!

 眼を開けた瞬間、目の前に刃物を振りかぶる人影が見えた。

 何とかとっさに回避できたけど、一体何なんだよ!?

「目が覚めたのか、レオナルド?
 では、もう一度眠るといい……未来永劫な」

 誰だお前……って、もしかして、フェイシンか?

 なんでお前こんなところにいんの?

 忍者になるとか言って、村を出たはずじゃ……

「忍者ではない、暗殺者だ。
 お前の方こそ、いったい今まで何をしていた……いや、どうでもいい」

 はぁ、どうでもいいって何だよ!?

 こちとら、ぐっすりお休みしてるところを殺されかけたんだぞ!?

「もう俺たちも大人なんだ、忍者ごっこはよそでやれ。
 俺は何も悪いことはしてねえぞ……ん、なんか柔らけえな」

 ふにふに……おお?

 ふにふにふに……おおお!!!

 俺のベッドってこんなに上等だったっけ?

 もしかして、アメリアのやつが用意してくれたのか?

 そうだよな、俺がんばってるからご褒美の一つくらい貰っても……ひぃぃ!!!

「聞け、レオナルド。
 お前がちゃらんぽらんな男だということは、幼い頃より知っている。
 だが、俺の女にだけは手を出すなと言っておいたはずだ、覚えているな?」

 はぁ、何だよそれ……あ、もしかしてアメリアの事か!?

 違うんだよ、聞いてくれって、これには理由があってだな?

「違う、アメリアがお前を好いていたのは、村のやつなら誰でも知っていることだ。
 俺の女というのは、そこでお前のベッド代わりにさせられている女のことだ……素っ裸でな」

 は?

 何言ってんだよ、俺がそんなことするわけ……あ、こんにちわ!

 ぽよぽよ様ったら、いらしてたなら言ってくださいよ?

 あ、少し太りました?

 なんか、いつもと形が……違います……ね?

 なんででしょう、ね……あはは。

 ええっと……?

 俺はそのまま視線を上にスーッとずらしていく。

 見慣れない顔がある、このぽよぽよ様の持ち主はどうやらアメリアじゃないらしい。

 
 やべえよ、このままだと対男性・究極兵器が……てか、誰だこの女?


 こんなやつ、俺の知り合いにいたっけか?

 ……あ、そうだそうだ。

 昨日なんかわけわかんねえ女に身体を洗ってもらって、そのまま……いや、なんか頭が痛かったような……っと!

「いい動きをするようになったじゃないか。
 女を盾代わりにするとはな」

「してねえよ!
 お前こそ、女がいるのにお構いなしに殺しに来やがって、バカじゃねえのか!?」

「私は殺すと決めたもの以外に傷をつけることは決してない。
 理解できたか?
 では、お休みの時間だぞ……永遠のな」

 はっ、この俺が簡単に殺せるとでも?

「いいぜ、やってやるよ。
 女一人のことで頭に血が上って、昔なじみを殺すとかいう忍者なんて、返り討ちだ!
 一生土の中でフトンの術を練習させてやるよ!!!」

「それを言うなら、どとんの術だ。
 やれるものなら……やってみせろっ!!!」

「くらえぅっ、レオナルド流・奥義改、「柔らかいのに固いものはな~んだ、俺の拳だパンチぃぃいいいいい!!!!」

「あら~?
 何で私の娘が、実の父親と悪ガキなんかに弄ばれているのかしら?」

 うぐっ、急に割り込むな、危ねえだろ……って、お前は――

「わ、私は何もしていない。
 全て、レオナルドがやったこ……むっ、今なにをし……すー、すー」

 あのフェイシンが一撃で……って、ことは、やっぱり……

「あら~?
 私に口答えしていいのは、寝屋の中だけっていったでしょ。
 レオナルドちゃん、久しぶり~」

 レオナルドちゃん……やっぱりそうだ、こいつ……

「モリアナちゃん、来ちゃったぞ?
 で、私の娘のお味はどうだったかは後でじ~っくりと、聞くことにして。
 とりあえず、これだけ払ってね?」

 そう言って、何やら紙を目の前に突き出す。

「モリアナちゃん指名料……300万!?」

「あら~?
 私を指名したいの?
 でも、だ~め!
 その前に、下に書いてある金額払ってから、ね?」

 下?

 えっと、下、下、下……これか?

「娘に手を出したら、お支払いはてめえの命♡」

 あ、あはは。

 何……これ?

「どうしたの?」

「えっと……分割払いって、あり?」

「な~し♡」

 ははっ、そうか。

 そうだよな。

 でもな、俺はお前の娘のことなんて知らないし、そもそも何もやましいことはしてねえ。

 そうだよ、ちゃんと説明すれば、きっとわかってくれる!

 だって、俺たちは同郷の仲間なんだから。

「なあ、モリアナ?
 俺、最近色々あったんだ、何怒ってるのか知らねえが、まあ聞いてくれよ!」

「モリアナお姉ちゃん……でしょ?」

 う……相変わらずの威圧感だ。

 やっぱりモリアナも超越してんのか。

「お、お姉ちゃん!
 僕の話を聞いてよ……へぷんっ!!」

「ちょっとレオ!
 これは一体どういうことなのか、説明しなさいっ!!!」

 あ、アメリア……どうしてここに。

 ていうか、本当に俺は何もしてないんだってば……がくっ。
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