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星獣と元聖女
ep3
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前線に向かっていたアリシアの耳に聞き慣れた声が聞こえてきた。
随分大声で叫んでいるのだろう。一歩を踏み出すたびに声量が次第に大きくなっていく。
「姐さんを出せ! この、スケベどもが! 俺様の姐さんに手を出すなんてとんだケダモノ野郎だな!!」
アリシアは思わず足を止めた。
「ん…?」
小首を傾げる彼女にマリアンヌが振り返る。
「どうかしたの?」
「いえ、この叫び声の内容って…」
その瞬間、アリシアの顔が耳まで赤くなった。
「俺様の姐さんをどうやって誑かしたのか知らんけど、清らかじゃなくたって姐さんは姐さんなんだ! 近づくんじゃねぇよ、この特大トカゲ! うぉらぁ! てめぇか!? とりゃあ! てめぇなのか!?」
アリシアが顔を真っ赤にしたまま俯きながら早足で歩きだし、やがて駆け足になって全力疾走し始めた。それをマリアンヌたちは不思議そうに追いかける。
やがて景色が開けてきて、次第に暴れている星獣が見え始めた時、アリシアが呪文を詠唱し始めた。
「静かなる黄の旋律よ、我が意に従いて大地の怒りを顕現せよ。愚者への槌――葬送槌」
朗々と詠唱が響き渡り、星獣の一匹である『清浄』の象徴、一角獣が振り返った。
「姐さん!?」
目を輝かせた一角獣の前にアリシアがたどり着き、俯きながら握り拳を固めていたが、ゆっくりと顔を上げると同時に一角獣の頭上に巨大な岩の柱が現れた。
そして、顔を上げたアリシアは今にも泣きそうな顔で頬をリスのように膨らませている。
「姐さん、今日も麗しいっす! けど、なんでそんなに怒っているんです?」
不思議そうに小首を傾げる一角獣に、アリシアは口をへの字にした
「世の中には言われたくない”乙女の秘密”があるんですよ? スリーサイズと、お付き合いした人の数は聞いちゃいけないって、教科書に書いていませんでしたか?」
頭上の岩の柱がギギッと音を立て、一角獣は物凄く慌てた顔をした。
「ちょっと待ってくれよ、姐さん! ある方に、姐さんが教会から出ることになったって聞いて、姐さんは根っからの修道女だったし、教会を出るなんて結婚くらいだろう? で、とうとう結婚しちまったんだと思って悲しくなってな。しかも、お相手のことを聞いたら騎士だって言われて…お祝いしようと駆け付けたら、なんか囲まれて…そいつらは騎士だから思わずカッとなっちまった」
アリシアは拗ねた顔をして地面にしゃがみ込み、人さし指で砂をくりくりとこね回した。
「そんなデマ、誰に聞いたのですか?」
「そんなこと、恐ろしくて俺様の口では言えません。いくら姐さんの頼みでも、です」
アリシアは再び頬をリスのように膨らますと、一角獣は物凄い慌てた。
「いや、姐さん。そんな顔をしたって…」
マリアンヌがやれやれと首を横に振ってため息を漏らした。
「アリシア様を試すとはいえ、これではどちらにつくか試験になりませんわね」
「え?」
アリシアがキョトンとしてマリアンヌを振り返ると、集中力が切れて岩の柱が砂となって消えていった。
それには応えず、マリアンヌが一角獣を冷ややかに見据える。
「どうせ、あなたを唆したのは『青の聖龍』でしょう?」
一角獣がビクッと震え、冷や汗が大量に浮かび始めた。
「そ、そんなことは、ない、と、想う」
「星獣は聖龍から与えられた『星の贈り物』であり、聖女の特権ではあるけれど、送り主であり創造主である聖龍には逆らえないものね?」
マリアンヌの瞳が細められ、その薄水色の瞳に紫の虹彩が差した。
一方の一角獣はダラダラと冷や汗が伝い、そっぽを向いて口笛を吹きながら「今日はいい天気だな」と現実逃避を始めている。
「えっと…?」
「アリシア様。転生伝承って知っているかしら?」
「えっと、異世界で彷徨える魂を神の慈悲で復元し、この世界に蘇らせる『異世界転生』と、この世界の循環を司る八つの神が器を変えて転生する『権利転生』の二種類があるとか。異世界転生者は見た目こそ変わらないけれど、権利転生者はその『色』を持つ、…というあれですか?」
「ええ。そして、ウィノンの国旗は青を司る聖龍『シリウス』を表現した旗。気まぐれに聖龍シリウスが血を交わした人間との末裔がウィノン王家にいて、その血を伝って『シリウス』が転生し、兄さまはそうして王子なんてものをしているだけ」
「ということは、王子のシリウスという名前は偶然つけられたのではない、と?」
「ええ。精霊が名を運んでくるなんて言われるけれど、よくわからないわ。私の方が後に生まれたわけであって、兄さまの出生に立ち会ったわけではないから。けど、兄さまは根っからの聖龍よ。――あなたを試すにしても、聖龍としてのことでしょうから」
一角獣が冷や汗をダラダラと垂らしたまま「姐御とピクニックに行きたいなぁ」などと現実逃避をしているのを振り返り、マリアンヌは呆れ顔をした。
「ということだから、兄さまには逆らえないってこと。特に、この一角獣は青の聖龍が最初の聖女に与えた八つの贈り物の一つだから、特に逆らえないのでしょう」
そうよね? とマリアンヌが話を振ると、一角獣は急にムスッとして背を向け、プルプルと震えながら笑顔で振り返った。
「そ、そんなわけないじゃん」
「あ、これ、絶対嘘だわ」
アリシアは思わずツッコミを入れたマリアンヌを振り返って不安げな顔をした直後、どこからともなく飛んできた黒い光の矢が一角獣の背中に突き刺さった。
「グボォ…」
妙な呻き声をあげ、がくんと項垂れた一角獣にアリシアが叫んだ。
「ルピル!」
駆け出そうとした彼女だったが、すっと顔を上げた一角獣は目が据わっており、きりりと引き締まっていた。そして、アリシアは違和感に気が付いて足を止め、バックステップでマリアンヌの横まで下がった。
「ルピルの様子がおかしいです」
グレイスとハインツが前に進み出て二人を庇うように立ち、武器を構える。マリアンヌも身構えた。
「まるで、私と出会ったばかりの頃みたいです」
後ろ足で立ち上がり、雷のような大声で嘶いた一角獣は先ほどまでのチャラい様子とは打って変わり、厳粛な低い声で告げた。
「試験を受けに来たのは汝らか。よろしい。その覚悟に免じて特別に試験を行う」
アリシアはゆっくりと進み出た。
「私たちは試験を受けに来たのではありません」
しかし、聞く耳を持たない一角獣は淡々と告げた。
「笑止。ここに来たのであれば受けに来たものと同意である。――ゆえに、死ぬか合格するか、どちらかだ」
龍騎士たちが阻止しようと一斉に襲い掛かったが、強力なバリアに阻まれ、弾き飛ばされた。そのバリアは龍騎士たちを押しのけ、4人を残して邪魔者を追い出した。
「さあ、かかってこい」
随分大声で叫んでいるのだろう。一歩を踏み出すたびに声量が次第に大きくなっていく。
「姐さんを出せ! この、スケベどもが! 俺様の姐さんに手を出すなんてとんだケダモノ野郎だな!!」
アリシアは思わず足を止めた。
「ん…?」
小首を傾げる彼女にマリアンヌが振り返る。
「どうかしたの?」
「いえ、この叫び声の内容って…」
その瞬間、アリシアの顔が耳まで赤くなった。
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アリシアが顔を真っ赤にしたまま俯きながら早足で歩きだし、やがて駆け足になって全力疾走し始めた。それをマリアンヌたちは不思議そうに追いかける。
やがて景色が開けてきて、次第に暴れている星獣が見え始めた時、アリシアが呪文を詠唱し始めた。
「静かなる黄の旋律よ、我が意に従いて大地の怒りを顕現せよ。愚者への槌――葬送槌」
朗々と詠唱が響き渡り、星獣の一匹である『清浄』の象徴、一角獣が振り返った。
「姐さん!?」
目を輝かせた一角獣の前にアリシアがたどり着き、俯きながら握り拳を固めていたが、ゆっくりと顔を上げると同時に一角獣の頭上に巨大な岩の柱が現れた。
そして、顔を上げたアリシアは今にも泣きそうな顔で頬をリスのように膨らませている。
「姐さん、今日も麗しいっす! けど、なんでそんなに怒っているんです?」
不思議そうに小首を傾げる一角獣に、アリシアは口をへの字にした
「世の中には言われたくない”乙女の秘密”があるんですよ? スリーサイズと、お付き合いした人の数は聞いちゃいけないって、教科書に書いていませんでしたか?」
頭上の岩の柱がギギッと音を立て、一角獣は物凄く慌てた顔をした。
「ちょっと待ってくれよ、姐さん! ある方に、姐さんが教会から出ることになったって聞いて、姐さんは根っからの修道女だったし、教会を出るなんて結婚くらいだろう? で、とうとう結婚しちまったんだと思って悲しくなってな。しかも、お相手のことを聞いたら騎士だって言われて…お祝いしようと駆け付けたら、なんか囲まれて…そいつらは騎士だから思わずカッとなっちまった」
アリシアは拗ねた顔をして地面にしゃがみ込み、人さし指で砂をくりくりとこね回した。
「そんなデマ、誰に聞いたのですか?」
「そんなこと、恐ろしくて俺様の口では言えません。いくら姐さんの頼みでも、です」
アリシアは再び頬をリスのように膨らますと、一角獣は物凄い慌てた。
「いや、姐さん。そんな顔をしたって…」
マリアンヌがやれやれと首を横に振ってため息を漏らした。
「アリシア様を試すとはいえ、これではどちらにつくか試験になりませんわね」
「え?」
アリシアがキョトンとしてマリアンヌを振り返ると、集中力が切れて岩の柱が砂となって消えていった。
それには応えず、マリアンヌが一角獣を冷ややかに見据える。
「どうせ、あなたを唆したのは『青の聖龍』でしょう?」
一角獣がビクッと震え、冷や汗が大量に浮かび始めた。
「そ、そんなことは、ない、と、想う」
「星獣は聖龍から与えられた『星の贈り物』であり、聖女の特権ではあるけれど、送り主であり創造主である聖龍には逆らえないものね?」
マリアンヌの瞳が細められ、その薄水色の瞳に紫の虹彩が差した。
一方の一角獣はダラダラと冷や汗が伝い、そっぽを向いて口笛を吹きながら「今日はいい天気だな」と現実逃避を始めている。
「えっと…?」
「アリシア様。転生伝承って知っているかしら?」
「えっと、異世界で彷徨える魂を神の慈悲で復元し、この世界に蘇らせる『異世界転生』と、この世界の循環を司る八つの神が器を変えて転生する『権利転生』の二種類があるとか。異世界転生者は見た目こそ変わらないけれど、権利転生者はその『色』を持つ、…というあれですか?」
「ええ。そして、ウィノンの国旗は青を司る聖龍『シリウス』を表現した旗。気まぐれに聖龍シリウスが血を交わした人間との末裔がウィノン王家にいて、その血を伝って『シリウス』が転生し、兄さまはそうして王子なんてものをしているだけ」
「ということは、王子のシリウスという名前は偶然つけられたのではない、と?」
「ええ。精霊が名を運んでくるなんて言われるけれど、よくわからないわ。私の方が後に生まれたわけであって、兄さまの出生に立ち会ったわけではないから。けど、兄さまは根っからの聖龍よ。――あなたを試すにしても、聖龍としてのことでしょうから」
一角獣が冷や汗をダラダラと垂らしたまま「姐御とピクニックに行きたいなぁ」などと現実逃避をしているのを振り返り、マリアンヌは呆れ顔をした。
「ということだから、兄さまには逆らえないってこと。特に、この一角獣は青の聖龍が最初の聖女に与えた八つの贈り物の一つだから、特に逆らえないのでしょう」
そうよね? とマリアンヌが話を振ると、一角獣は急にムスッとして背を向け、プルプルと震えながら笑顔で振り返った。
「そ、そんなわけないじゃん」
「あ、これ、絶対嘘だわ」
アリシアは思わずツッコミを入れたマリアンヌを振り返って不安げな顔をした直後、どこからともなく飛んできた黒い光の矢が一角獣の背中に突き刺さった。
「グボォ…」
妙な呻き声をあげ、がくんと項垂れた一角獣にアリシアが叫んだ。
「ルピル!」
駆け出そうとした彼女だったが、すっと顔を上げた一角獣は目が据わっており、きりりと引き締まっていた。そして、アリシアは違和感に気が付いて足を止め、バックステップでマリアンヌの横まで下がった。
「ルピルの様子がおかしいです」
グレイスとハインツが前に進み出て二人を庇うように立ち、武器を構える。マリアンヌも身構えた。
「まるで、私と出会ったばかりの頃みたいです」
後ろ足で立ち上がり、雷のような大声で嘶いた一角獣は先ほどまでのチャラい様子とは打って変わり、厳粛な低い声で告げた。
「試験を受けに来たのは汝らか。よろしい。その覚悟に免じて特別に試験を行う」
アリシアはゆっくりと進み出た。
「私たちは試験を受けに来たのではありません」
しかし、聞く耳を持たない一角獣は淡々と告げた。
「笑止。ここに来たのであれば受けに来たものと同意である。――ゆえに、死ぬか合格するか、どちらかだ」
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