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女王の帰還
ep2
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「忙しいところごめんなさい。昔から方向音痴でして、それに、よく迷子になる体質でして…」
そんなことを言った女性にアリシアは微笑んだ。
「でも、きちんと王宮までたどり着けたじゃないですか」
「それは、舟守さんが優秀だからです。王宮に行きたいと言ったらすぐに連れて行ってくれましたから。けれど、王宮に入るのに手間取るかと思ったのですが…顔パスでした」
アリシアはキョトンとしていると、彼女はフフッと笑った。
「それだけ、兄が活躍しているということかもしれません。――あ、申し遅れました。私、マチルダと申します。あなたは…確か…」
「アリシアと申します、マチルダ様。ご兄弟がいらっしゃるのですか?」
「はい。兄はセルヴォ・スタイラーと言いまして、マリアンヌ様の円卓の騎士団、その一人なのです。なんというか、王家信者というか、マリアンヌ様こそ至上の存在…という感じの兄ではありますが、私が顔パスで通れるということは兄のおかげだと思っております」
「なるほど」
アリシアは目を細めた。
「ご兄弟の仲がとてもいいんですね」
「兄とはそれなりに。でも、兄と言っても、いとこなのです。両親が亡くなってから、叔父夫婦が私を引き取ってくれたのですけれど、その叔父夫婦に二人の子供がいまして、それが兄と姉なのです」
「お姉さんもいらっしゃるんですね」
「…はい。でも、姉とはあまり仲良くしてもらえなかったというか、ちょっと疎遠でして…。でも、そのおかげでシリウス様のものになれたのですけれど」
マチルダは少し寂し気にはにかんだ。
「シリウス様にはもう、手が届かない存在だと思っていたのに、叔父夫婦に決められた婚約者を姉に奪ってもらったおかげでシリウス様と一緒に過ごせるようになったんです。――けれど、姉とももう少し仲良くしたかったなと、時々思いますけど」
アリシアは少し遠い目をして見えてきた礼拝堂を見つめた。
「でも、家族がいるというのは幸せなことです」
マチルダは曖昧に微笑んだ。
「いなくなったらいなくなったで悲しいものというのは嫌でも実感しました。でも、消えてしまえばいいのにと、憎しむこともあるものだということは知っています。だから、優しい家族に囲まれるというのは特別なことなんですよね」
キョトンとして振り返ったアリシアにマチルダは優しい笑みを向けた。
「どん底の苦しみも、優しくされる温もりも、一人になる悲しみも、感じていられることが『生きている』ってことなんですよね。――なんて、アリシアさんに講釈を垂れるつもりはないのですけれど、家族がいるから一人きりじゃないというのは幻想です。でも、それでも自分の傍にいてくれる人が環境を変えれば必ずいるってことも知っています」
「マチルダ様…?」
「あ、あれが王宮内にある大聖堂ですね!」
「大聖堂というよりは礼拝堂ですけれど、そうです。礼拝スペースしかないですけれど、大きい建物ではありますよ」
マチルダは勢いよくアリシアにお辞儀をして教会へと駆け出したのだが、何もないところで躓いた。
しかし、転ぶ前に教会からちょうど出てきた人物が彼女を抱き留め、事なきを得ていた。
「相変わらず危なっかしいな、スーは」
いつになく甘いトーンでそう言ったのは、シリウスだった。
「シリウス様!」
嬉しそうに顔を綻ばせてギュッと抱き着いたマチルダに、シリウスは優しい笑みを向けて抱き返しながら幸せそうに目を閉じた。
「会いに来てくれてありがとう」
マチルダは少女のように無邪気な笑みを浮かべた。
「シリウス様、あそこにいらっしゃるアリシア様が案内してくれたんです」
「つまり、君に地図を書いてみたけれど、それでも迷子になった、と。…スー、地図の読み方、覚えようか」
言い聞かせるようにシリウスにそう言われ、マチルダが恥ずかしそうにうつむくと、彼はちょっと肩をすくめた後、アリシアを振り返った。
「私のマチルダを連れてきてくれてありがとう」
「光栄であります」
優雅にアリシアが跪くと、シリウスがくすっと笑った。
「女性王家であるアルバート家において、王位のない私にそこまで気を遣う必要はないよ」
「聖龍シリウス様、ですから。私は正教会信徒ではありますが、八聖龍の存在も、もちろん信じておりますゆえ」
「そうかい。――ああ、そうだ。母上が…女王アリューゼがあなたと、そして他に一緒に入った二人とも会いたいと言っていた。3人で一緒に謁見するように」
「女王陛下が…」
アリシアが呆けたような顔をしていると、シリウスはマチルダを抱き上げて背を向けた。
「さて、スー。そんな妬いた顔をされると、たまらなくそそられるんだが、まあ、朝から君にがっつくわけにもいかないし」
「え、まだこの人生でそんなこと、していないじゃないですか。って、ひゃあっ!? 腰は弱いんですから指でつつかないでくださいよ」
「…っと、スー。これ以上は人前でするものじゃないね」
「むぅぅ、またからかいましたね…!」
彼女が拗ねたように頬を膨らませると、シリウスはそんな彼女の頬をピュッと挟み込むように摘まむ。唇を尖らせるような形で息を吐き出したマチルダにクスクスと笑いながら彼は教会のドアをくぐった。
アリシアはそんな二人の様子を見送りながら小さく息を吐き出した。
「あんな風にイチャイチャできるって羨ましいな…」
そんなことを呟いて立ち上がり、教会に背を向けてふと、思い出す。
「あ、ルピルにご飯、作るの忘れていましたね」
☆
ルピルは聖水をガブガブと飲みながら、ぼーっと呆けたようにしているアリシアを見て不思議そうに小首を傾げた。
顔を上げて尋ねる。
「どうかしたんすか、姐さん?」
「んー?」
「気のない返事ですねぇ」
「恋するっていいなぁって、思って。でも、25にもなって恋の一つもしたことないし、異性に対してときめくっていうのがよくわからないなぁって…」
「姐さんはそのままでいいと思うんですけどねぇ」
アリシアは床にしゃがみこむと、くりくりと指先で地面に小さな円を描いた。
「けど、いいなぁって、そう思うんです。まるで、運命の恋? …みたいなものが」
「ちなみに、何を見ちゃったんですか?」
「シリウス様とマチルダ様の逢瀬」
「…マチルダ嬢の顔はしらないっすけど、聖龍は溺愛が過ぎるので参考にしないほうがいいですよ、姐さん。それに、聖龍の愛情を裏切ったら怖いですし」
「裏切るって…前提なのです?」
「いや、そんなことはないんですけど…好きな女を守るために大陸を魔導砲で切り裂いた奴もいますから」
「…まあ、私も女子ですから? そういう誰かが私のために云々って憧れると言えば憧れますけど、…そんなに大げさな愛は…いらないですかね」
「それでこそ姐さんっす!」
ルピルは嬉しそうに顔を綻ばせ、ガブガブと再び聖水を飲んだ。
そんな舎弟の様子に、アリシアは少し拗ねたように口を尖らせた。
「…大げさな愛情はいらないけど、人並みに恋なんてしてみたいって思うのは、我がままなのかな…?」
馬たちの嘶きでその声は消えていった。
そんなことを言った女性にアリシアは微笑んだ。
「でも、きちんと王宮までたどり着けたじゃないですか」
「それは、舟守さんが優秀だからです。王宮に行きたいと言ったらすぐに連れて行ってくれましたから。けれど、王宮に入るのに手間取るかと思ったのですが…顔パスでした」
アリシアはキョトンとしていると、彼女はフフッと笑った。
「それだけ、兄が活躍しているということかもしれません。――あ、申し遅れました。私、マチルダと申します。あなたは…確か…」
「アリシアと申します、マチルダ様。ご兄弟がいらっしゃるのですか?」
「はい。兄はセルヴォ・スタイラーと言いまして、マリアンヌ様の円卓の騎士団、その一人なのです。なんというか、王家信者というか、マリアンヌ様こそ至上の存在…という感じの兄ではありますが、私が顔パスで通れるということは兄のおかげだと思っております」
「なるほど」
アリシアは目を細めた。
「ご兄弟の仲がとてもいいんですね」
「兄とはそれなりに。でも、兄と言っても、いとこなのです。両親が亡くなってから、叔父夫婦が私を引き取ってくれたのですけれど、その叔父夫婦に二人の子供がいまして、それが兄と姉なのです」
「お姉さんもいらっしゃるんですね」
「…はい。でも、姉とはあまり仲良くしてもらえなかったというか、ちょっと疎遠でして…。でも、そのおかげでシリウス様のものになれたのですけれど」
マチルダは少し寂し気にはにかんだ。
「シリウス様にはもう、手が届かない存在だと思っていたのに、叔父夫婦に決められた婚約者を姉に奪ってもらったおかげでシリウス様と一緒に過ごせるようになったんです。――けれど、姉とももう少し仲良くしたかったなと、時々思いますけど」
アリシアは少し遠い目をして見えてきた礼拝堂を見つめた。
「でも、家族がいるというのは幸せなことです」
マチルダは曖昧に微笑んだ。
「いなくなったらいなくなったで悲しいものというのは嫌でも実感しました。でも、消えてしまえばいいのにと、憎しむこともあるものだということは知っています。だから、優しい家族に囲まれるというのは特別なことなんですよね」
キョトンとして振り返ったアリシアにマチルダは優しい笑みを向けた。
「どん底の苦しみも、優しくされる温もりも、一人になる悲しみも、感じていられることが『生きている』ってことなんですよね。――なんて、アリシアさんに講釈を垂れるつもりはないのですけれど、家族がいるから一人きりじゃないというのは幻想です。でも、それでも自分の傍にいてくれる人が環境を変えれば必ずいるってことも知っています」
「マチルダ様…?」
「あ、あれが王宮内にある大聖堂ですね!」
「大聖堂というよりは礼拝堂ですけれど、そうです。礼拝スペースしかないですけれど、大きい建物ではありますよ」
マチルダは勢いよくアリシアにお辞儀をして教会へと駆け出したのだが、何もないところで躓いた。
しかし、転ぶ前に教会からちょうど出てきた人物が彼女を抱き留め、事なきを得ていた。
「相変わらず危なっかしいな、スーは」
いつになく甘いトーンでそう言ったのは、シリウスだった。
「シリウス様!」
嬉しそうに顔を綻ばせてギュッと抱き着いたマチルダに、シリウスは優しい笑みを向けて抱き返しながら幸せそうに目を閉じた。
「会いに来てくれてありがとう」
マチルダは少女のように無邪気な笑みを浮かべた。
「シリウス様、あそこにいらっしゃるアリシア様が案内してくれたんです」
「つまり、君に地図を書いてみたけれど、それでも迷子になった、と。…スー、地図の読み方、覚えようか」
言い聞かせるようにシリウスにそう言われ、マチルダが恥ずかしそうにうつむくと、彼はちょっと肩をすくめた後、アリシアを振り返った。
「私のマチルダを連れてきてくれてありがとう」
「光栄であります」
優雅にアリシアが跪くと、シリウスがくすっと笑った。
「女性王家であるアルバート家において、王位のない私にそこまで気を遣う必要はないよ」
「聖龍シリウス様、ですから。私は正教会信徒ではありますが、八聖龍の存在も、もちろん信じておりますゆえ」
「そうかい。――ああ、そうだ。母上が…女王アリューゼがあなたと、そして他に一緒に入った二人とも会いたいと言っていた。3人で一緒に謁見するように」
「女王陛下が…」
アリシアが呆けたような顔をしていると、シリウスはマチルダを抱き上げて背を向けた。
「さて、スー。そんな妬いた顔をされると、たまらなくそそられるんだが、まあ、朝から君にがっつくわけにもいかないし」
「え、まだこの人生でそんなこと、していないじゃないですか。って、ひゃあっ!? 腰は弱いんですから指でつつかないでくださいよ」
「…っと、スー。これ以上は人前でするものじゃないね」
「むぅぅ、またからかいましたね…!」
彼女が拗ねたように頬を膨らませると、シリウスはそんな彼女の頬をピュッと挟み込むように摘まむ。唇を尖らせるような形で息を吐き出したマチルダにクスクスと笑いながら彼は教会のドアをくぐった。
アリシアはそんな二人の様子を見送りながら小さく息を吐き出した。
「あんな風にイチャイチャできるって羨ましいな…」
そんなことを呟いて立ち上がり、教会に背を向けてふと、思い出す。
「あ、ルピルにご飯、作るの忘れていましたね」
☆
ルピルは聖水をガブガブと飲みながら、ぼーっと呆けたようにしているアリシアを見て不思議そうに小首を傾げた。
顔を上げて尋ねる。
「どうかしたんすか、姐さん?」
「んー?」
「気のない返事ですねぇ」
「恋するっていいなぁって、思って。でも、25にもなって恋の一つもしたことないし、異性に対してときめくっていうのがよくわからないなぁって…」
「姐さんはそのままでいいと思うんですけどねぇ」
アリシアは床にしゃがみこむと、くりくりと指先で地面に小さな円を描いた。
「けど、いいなぁって、そう思うんです。まるで、運命の恋? …みたいなものが」
「ちなみに、何を見ちゃったんですか?」
「シリウス様とマチルダ様の逢瀬」
「…マチルダ嬢の顔はしらないっすけど、聖龍は溺愛が過ぎるので参考にしないほうがいいですよ、姐さん。それに、聖龍の愛情を裏切ったら怖いですし」
「裏切るって…前提なのです?」
「いや、そんなことはないんですけど…好きな女を守るために大陸を魔導砲で切り裂いた奴もいますから」
「…まあ、私も女子ですから? そういう誰かが私のために云々って憧れると言えば憧れますけど、…そんなに大げさな愛は…いらないですかね」
「それでこそ姐さんっす!」
ルピルは嬉しそうに顔を綻ばせ、ガブガブと再び聖水を飲んだ。
そんな舎弟の様子に、アリシアは少し拗ねたように口を尖らせた。
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