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178 雪かきをするのねー!?
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少し色々な事があってすっかり忘れていたが、今は冬の真っ只中である。
「……めちゃくちゃ寒いと思ったら、雪が降っていたのねー」
あまりの寒さに、逆に早朝に目覚めてしまったねこさん。
アパートの窓から見える景色は一面の銀世界で、すっかり静まりかえっていた。
『もうやんだようだが、かなり積もっているな』
(ここってあんまり降らないんでしょう? みんな転倒とかしないといいんだけど……)
「なのねー」
ねこさんたちは真っ白な道路を見て、苦々しい顔をしていた。
──と、よろよろと老猫が雪かき用のスコップを持って道路に現れた。
『む、大丈夫か……結構なお年を召しているが……』
「あ、大家さんなのね……」
心配そうに見守っていると、大家猫が雪かき作業を開始した。
ざく……ぷるぷるぷる……ぺい!
ざく……ぷるぷるぷる……ぺい!
緩慢な動きで二かきした所で、スコップにしがみついたまま腰を叩き出す。
『おい、ご主人』
(大家さん、てことは、お世話になっているんでしょう?)
「……さ、さみゅいのねー」
『この道は、ご主人も使うのだろう?』
(年寄りに全部押しつけるなんて、信じられない……)
ジト目の圧に、これ以上ごねられないと悟ったねこさんは、毛糸の帽子をかぶり、マフラーを巻きつけ、モコモコの手袋を装着すると、無言で部屋から出ていった。
『お、ご主人が出てきたぞ』
(なんか話し込んでるわね……)
『もめる事などないだろうに……』
(あ、大家さん何度も頭を下げながら帰っていくわ!)
『そうか……全部自分がやるというご主人の申し出を、大家さんが遠慮していたのか』
(流石ねこさん!)
美談に盛り上がる二人……だが、実際はこうだった。
「おはよーございまーす、大家さん」
「……」
「おはよーございまーす、大家さん!」
「……おお、ねこしゃん、おはよう」
「大変そうなので、お手伝いするのね」
「あ?」
大家さん、じつはかなり耳が遠かった。なので、ついつい大声で叫んだ時に……。
「ねこさんが、やりましょうか!」
「おお! 全部ねこしゃんがやってくれるのかい? そりゃありがたい!」
「え?」
手伝うと言うところを、やると言ってしまい……。
「ありがとねー、ありがとねー」
「ち、ちが……」
「ありがとねー、ありがとねー」
「……え?」
大家さんは頭を下げながら、そのまま去っていったのだった。
アパート周囲の雪かき作業は半日ほどで終わったが、ねこさんには地獄が待っていた。
翌日。
「あだだだだ……うう、動けにゃいのねー」
全身を襲う筋肉痛と言う名の地獄が……。
「……めちゃくちゃ寒いと思ったら、雪が降っていたのねー」
あまりの寒さに、逆に早朝に目覚めてしまったねこさん。
アパートの窓から見える景色は一面の銀世界で、すっかり静まりかえっていた。
『もうやんだようだが、かなり積もっているな』
(ここってあんまり降らないんでしょう? みんな転倒とかしないといいんだけど……)
「なのねー」
ねこさんたちは真っ白な道路を見て、苦々しい顔をしていた。
──と、よろよろと老猫が雪かき用のスコップを持って道路に現れた。
『む、大丈夫か……結構なお年を召しているが……』
「あ、大家さんなのね……」
心配そうに見守っていると、大家猫が雪かき作業を開始した。
ざく……ぷるぷるぷる……ぺい!
ざく……ぷるぷるぷる……ぺい!
緩慢な動きで二かきした所で、スコップにしがみついたまま腰を叩き出す。
『おい、ご主人』
(大家さん、てことは、お世話になっているんでしょう?)
「……さ、さみゅいのねー」
『この道は、ご主人も使うのだろう?』
(年寄りに全部押しつけるなんて、信じられない……)
ジト目の圧に、これ以上ごねられないと悟ったねこさんは、毛糸の帽子をかぶり、マフラーを巻きつけ、モコモコの手袋を装着すると、無言で部屋から出ていった。
『お、ご主人が出てきたぞ』
(なんか話し込んでるわね……)
『もめる事などないだろうに……』
(あ、大家さん何度も頭を下げながら帰っていくわ!)
『そうか……全部自分がやるというご主人の申し出を、大家さんが遠慮していたのか』
(流石ねこさん!)
美談に盛り上がる二人……だが、実際はこうだった。
「おはよーございまーす、大家さん」
「……」
「おはよーございまーす、大家さん!」
「……おお、ねこしゃん、おはよう」
「大変そうなので、お手伝いするのね」
「あ?」
大家さん、じつはかなり耳が遠かった。なので、ついつい大声で叫んだ時に……。
「ねこさんが、やりましょうか!」
「おお! 全部ねこしゃんがやってくれるのかい? そりゃありがたい!」
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「ち、ちが……」
「ありがとねー、ありがとねー」
「……え?」
大家さんは頭を下げながら、そのまま去っていったのだった。
アパート周囲の雪かき作業は半日ほどで終わったが、ねこさんには地獄が待っていた。
翌日。
「あだだだだ……うう、動けにゃいのねー」
全身を襲う筋肉痛と言う名の地獄が……。
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