コーポ小林事件

５

201号室
チャイムを押すとすぐに出てきた。
ノリカさんの言う通り韓国人だった、パッとしない感じというのも。
マッシュルームヘアと言うやつで、背は高かった。
歳は20歳、大学生。
大学生には見えなかった。
名前は【パク フンミン】君。
・大学に馴染めていないので家に帰りたいが就職のことを考えると、日本にいるしかない。
・先月引っ越してきた。
・何も知らなかった。
・ハナちゃんのことも知らない。

101号室
留守だった。
留守どころかしばらく家に戻っていないかもしれないようで郵便が溜まっていた。

ハナちゃんは最後にとのことだったので先に一番奥の部屋に向かった。

104号室
留守だった。
おそらく男の人。
しばらく雨は降ってはいないが部屋の外に傘があった。
ビニール傘と汚れた黒い傘。
汚いスニーカーも部屋の外にあった。

最後にハナちゃんの部屋へ向かった。

102号室
ハナちゃんも留守だった。
引きこもりとのことだったのでいると思ったがいなかった。
ノリカさんとハナちゃんは女性なだけあり部屋の前も綺麗だった。


次は大家さんに連絡するのかと思い先輩に聞くと、一度署に戻るそうだ。
何か確認することができたと考え込んでいた。
署に戻り私に報告書を書くように言うと、先輩はパソコンで何かを調べ始めた。
少し前のことは木村さんから聞くことが出来たが、最近のことを知ってそうな人は留守で何があったでは分からなかった。
そう書くしかないと思いながら書いていると、先輩は見つけたとパソコンを見せてきた。
どうやらノリカさんに誘惑されたようで調べたようだ。
最悪だ、スケベだとは思っていた、むっつりスケベ。
私利私欲、職権乱用、もう今から先輩ではない、ただの大悟、いいかい、お前の名前は鼻の下長大悟だよ。
まぁ、それは置いておいて、そんなにノリカさんに興味があったのか。
見せられたパソコンには歳をとったノリカさんが映し出されていた。
若返りなどありえないので、詳しく見るとどうやらノリカさんには前科があったようだ。
化粧の力は偉大だ、木村さんのノリカさんについての証言が間違っていると思っていたが、資料を見ると間違っていなかった。
結婚詐欺、これはありえなくない。
大悟もさぞショックだろうと思いながら、顔を見るといつものようにメラメラとやる気に満ちた顔をしていた。
歳も前科も関係ないのだろうかと思っていると、資料室で詳しく見ると連れて行かれた。
ノリカさんの本名は【三田紀華（みた のりか）】。
歳はなんと56歳。
見た目は40半ば。
大悟、お前は年上が好きなのか？そう、心のなかで問いかけている。