さくらんぼ

もふ

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〜episode30〜

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HRが終わった後は少し休憩をはさみ、1時間目。
数学だった。
私の一番苦手科目。
特に最近している関数についてはさっぱりだ。
数学の教科担当、山崎先生が入ってきたと同時に学級委員が号令をかけ、挨拶する。
挨拶が終わった後皆席に座り各自教科書やノートを開いている。
私もノートを開いた時だった。
隣の席の葵が自分のノートの端を私に見せてきた。
『山崎、ズラじゃね?』
と、書かれているノート。
その字を見た瞬間山崎先生を見る。
確かに、髪が少しズレてるような気が…。
私も自分のノートの端に
『確かに!でもよく気づいたね!』
と書いて先生にバレないように葵に見せる。
そしたらすぐに
『さっき風でズレてるの見てたから』
とかえってきた。
ここで私が、そうなんだ、とかえすとこの会話は終わってしまうのだろう。
授業中という時間に二人だけの秘密のやりとりをしているみたいで、とても楽しい。
私はまだこのまま話してたいと思い、次の話題を持ちかけていた。

やりとりをし始めて、授業が始まって、30分たった頃。
私達はこの30分でいろいろなやりとりをした。
今日の給食のこと、昨日見たテレビのことなど。
授業中というのも忘れただただこのやりとりに没頭していた時だった。
「ーーーーー。それじゃあ小石、この問題の答え言ってみろ」
「え」
私はいきなり名前を呼ばれたことと、クラス中の視線が私に集まっていることで、目が覚めた。
というより、現実に引き戻された感じだ。
私がしぶしぶ立って、分かりません、と言おうとした時

トントン

と私にしか聞こえないくらいの音が真横からした。
もちろん、葵。
葵が指さしている所には、この問題の回答らしきものがあった。
「えっと…3です」
「お、正解だ。この問題は難しいからな、解けないかもしれないと思っていたが…。心配いらなかったみたいだな」
私はその言葉を聞いた後ゆっくりと椅子に座った。
そして、ノートの端に
『葵、ありがとう』
と書いて葵に向けると
『指の運動してただけだけど』
と、バレバレな嘘をついてきた。
吹き出しそうになったが、なんとか堪え
『そうなんだ、すごいね』
とかえした。

私はこの時初めてもっと数学の時間が続けばいいのに、と思った。
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