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3話 今夜、私、駆け落ちします
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「じゃあ……逃げろよ」
大野君はそう言って立ち上がった。
「逃げる……?」
「ああ、このまま家にいたら、確実に結婚させられるぞ……ここらで親父から離れた方がいい。……小田桐の未来は小田桐が決めろ」
大野君はちょっと待ってて、と言って部屋を出て行った。
家を……出る?
そっか……そういう生き方もあるのか。
私、このまま大学を卒業して、それなりのところに就職出来たらいいな、なんてぼんやり考えてた。
そしていつか一人暮らしが出来たら最高だって夢見てた。
でも、いつかじゃなくて今そうしたっていいんだ。
「こんなものしかなくて悪い……」
大野君がカップラーメンを二つ持って戻って来た。
「あ、でも着物か……汁が飛んだらヤバイな」
そう独り言をいうとまた部屋から出て行く。
次に戻って来た時には手に洋服を持っていた。
「小田桐、とりあえず着替えてこいよ、俺のじゃさすがに大きすぎるだろうから妹の服を借りてきた」
渡されたのはサクラ色のパーカーにデニムのレギンスパンツ。
「……ありがとう、でも、勝手に借りていいのかな……?」
「ああ、Sサイズなんて、あいつとっくにサイズアウトしてる」
大野君はニヤリと笑った。
なんと一つ年下の妹さんは、今じゃ身長百六十八センチもあるんだって!
うらやましいっ!
洗面所を借りて私は着物を脱いだ。
あー、解放感が半端ない!
やっと一息つけた。
大野君が渡してくれた紙袋に振袖を入れる。
畳み方が分からないので少しぐしゃっとなってしまった……。
お母さん、ごめん……。
妹さんから借りた洋服を着てみると驚くほどサイズがぴったりだった。
デニムレギンスはストレッチがきいていて楽ちんだ。
私は鏡に向かってほほ笑んだ。
えへへ、嬉しい。
こういうカジュアルなカッコ、一度してみたかったんだよね。
長崎は坂道が多くて、私が通う大学も坂の上にある。だから、付属の女子高に通い始めた頃からスニーカーを履いて通学していた。
私だってホントは皆みたいにスニーカーに合わせてジーンズをはいたりしてみたい。
だけど……お父さんがそういうカッコをすごく嫌うから、仕方なく毎日ワンピースやスカートで女子大に通っている。
……ふふっ、こんなに体の線がでるパンツを私が履いているのを見たらお父さんはカンカンになって怒るだろうな。
「はしたない格好をするな!」って真っ赤になって怒鳴る姿が目に浮かぶ。
お父さんは世間の流行や女の子がやりたい事なんてこれっぽっちも理解する気がないんだもん。
今時ジーンズを持ってない子なんて私ぐらいだよ。
時代錯誤もいいところだ。
ああ、なんだか、すごく気分がいい。
着たい服を着るのってこんなに楽しい事なんだ。
正直、今朝振袖を着付けてもらった時よりテンションが上がっている。
大野君の部屋に戻ると、
「お、いいじゃん、似合ってる」
そう褒められてますます私の気分は盛り上がった。
この勢いに乗ってお父さんから逃げ出そうか?
「ねえ、大野君、私……逃げてもいいのかな?」
「……今、小田桐自身を守るにはそれしか方法がないよ」
大野君はちらりと私の手首に視線を向けた。
「そうだね……うん、そうだよ。……私、家を出るよ……もう、帰らない」
「ああ……そうしろ」
大野君のスマホのアラームが鳴った。
「とりあえず、腹ごしらえだな」
「うん」
私たちは床に座ってカップラーメンを食べた。
醤油味のラーメンは私には少ししょっぱかった。
「大野君、私、パーカーもレギンスもカップラーメンも初めて」
「は!? 小田桐、どんだけお嬢様なんだよ……そんなんで家を出て大丈夫なのか?」
大野君は私の告白を受けて、とたんに不安そうな表情になった。
その心配はごもっともです……。
家を出る決意をしたものの私も心配になって来た……。
「まあ、でも実際、小田桐みたいなお嬢様育ちが家出を成功させるのはかなり難しいだろうな。親に見つかって連れ戻されるか、泣いて帰るのがおちだ」
「そ、そうだよね……じゃ、じゃあどうしたら……?」
いつかは家を出たいって夢見ていたものの具体的なことは何も考えていなかった。
私はやっぱりあまちゃんだ。
「まずは住むところの確保だな」
「う……ん、どうしよう?」
「小田桐が男なら、家が決まるまで友達の家を渡り歩いたりネカフェに泊まるっていうのもありだろうけど……」
ネカフェ……? あ、ああ、ネットカフェ……。
そ、そんなところ行ったことがない。
「うーん……」
大野君は考え込んでしまった。
ごめんね、大野君には関係ない事なのに。
「そうだな……うん……そうすれば……なあ、小田桐……」
大野君は私の顔を正面から見据えて言った。
「俺のところに来るか?」
「…………」
……今、なんて言った?
オレノトコロ……。
おれのところ?
って、俺の、ところぉぉぉおおお!?
私は驚いて後ずさった。
お、俺のところって大野君、ど、どういうつもりでそんな事を……!?
私はジトッと大野君をねめつけた。
「いや、待て、小田桐、誤解するな。やましい気持ちは一切ないぞ!」
大野君は首を振ると、
「勘弁してくれ……」
と呟いた。
「……だって小田桐、生活力が皆無じゃないか。家事なんてやったことないだろ? 洗濯も、炊事も。っつーかそういう道具を揃えるだけでも随分金も時間もかかるんだぞ。小田桐みたいなお嬢様が無計画に家出なんてしたら簡単にのたれ死ぬ。……それに、悪い奴に騙されでもしたらどうするんだ?」
そんな事、考えてもみなかった……。
「俺は……小田桐に家出を勧めた責任も感じてるし。まあ、いわゆる乗り掛かった船ってやつだ。こうなったら小田桐の家出が成功するまでとことん付き合うよ」
「大野君……」
大野君はなんていい人なんだ。
さっきは変な目で見てゴメン。
「でさ、今の俺んちの事なんだけど、今朝、もう引っ越しは済んでるって言ったろ? ここからバイクで一時間位離れてるから生活圏も違うし、そうそう家族には見つかんないだろうと思う」
「……うん」
「あっちの家なら一部屋空いてるから、しばらく小田桐に貸してやるよ」
「でも……ホントにいいの? 迷惑じゃ、ない……?」
大野君の提案は本当に嬉しいけど、お世話になってもいいのかな……?
「そんなに深く考えるなよ……まあ、俺にとっては捨て猫を拾うようなもんだ」
「す、捨て猫って……」
そ、そんな簡単に私を拾っちゃっていいの?
「俺が小田桐を親父からかくまってやる。……つまり、しばらく保護してやるって言ってんだよ。……だから小田桐は遠慮なく俺に甘えろ」
うん……。
うん、ありがとう……。
大野君の眼差しと声音があまりに優しくて私は無言でうなずいた。
今日、大野君と出会えて良かった。
本当に良かった。
「じゃあ、早速準備をするか?……まずは手紙だな」
「手紙……?」
「ああ、書置きを残しておけば、事故や事件に巻き込まれたわけじゃないと分かるから、捜索願を出されずに済む……そうだ」
大野君はスマホの画面を見せてくれた。
なるほど、家出の仕方を検索したのね。
「じゃあ、俺の言う通りに書けよ」
「うん」
大野君が便箋を用意してくれたので私は床の上でペンを構える。
「今夜」
こんや……。
「私」
わたし……。
「駆け落ちします」
かけお……かけおち? か、駆け落ちぃぃぃいいい!?
私、今夜、大野君と『駆け落ち』するの!?
「所長にお許し頂けないのであれば私たちは今夜……駆け落ちします」
冬馬先生にこう言われてしまっては、父も私も何も言えなかった。
……実際、私には一年半前に駆け落ちした前科があるし……。
苦虫を噛み潰したような表情で父は呟いた。
「……勝手にしろ」
お父さんがが引き下がるのを初めて見た気がする。
こうして冬馬先生は私の偽りの婚約者になった。
「それでは、所長。千尋さんをご自宅に送ってきます」
「……ああ……」
やっと冬馬先生の腕の中から解放されて私はそっと息を吐く。
ああ、ドキドキした……。
「さあ、千尋さん、行きましょう」
冬馬先生に促されて父の部屋を出る。
廊下ですれ違った男の人が、冬馬先生の事をすごい目つきで睨んでいた。
「やあ、これは永田先生、私達はお先に失礼しますよ」
冬馬先生は立ち止まって軽く頭を下げた。
この人が本来の婚約者候補だった永田先生……?
冬馬先生の同僚だと言っていたから、若い男性なのだろうと勝手に思っていたけど、実際は私よりかなり年上の様で驚いた。きっと、三十代後半だろう。
ホントだったら私、今頃この人と婚約させられていたのかも知れないんだ……。
見ず知らずのこの人と……。
そんなの……ムリだ。
見知らぬ人と手を繋いだり、キ、キスをするって考えただけでゾッとする……。
『偽装婚約』だなんて突拍子もない提案につい頷いちゃったけど……。
……助かった……の、かも……?
それにしても、トーマ先生の態度ったら……。
よっぽど永田先生の事が嫌いなんだろう。
案の定、廊下の角を曲がると、
「はははっ、永田のあの悔しそうな顔! 可笑しいったらないな」
と笑いだした。
ト、トーマ先生、子供みたい。
それに、とっても意地悪だ……。
この時、私は初めてこれまで冬馬先生に抱いていたイメージが間違っていたことに気が付いた……。
もっと紳士的な人だと思っていたのに。
私……ヤバイ人と『偽装婚約』しちゃったのかも!?
大野君はそう言って立ち上がった。
「逃げる……?」
「ああ、このまま家にいたら、確実に結婚させられるぞ……ここらで親父から離れた方がいい。……小田桐の未来は小田桐が決めろ」
大野君はちょっと待ってて、と言って部屋を出て行った。
家を……出る?
そっか……そういう生き方もあるのか。
私、このまま大学を卒業して、それなりのところに就職出来たらいいな、なんてぼんやり考えてた。
そしていつか一人暮らしが出来たら最高だって夢見てた。
でも、いつかじゃなくて今そうしたっていいんだ。
「こんなものしかなくて悪い……」
大野君がカップラーメンを二つ持って戻って来た。
「あ、でも着物か……汁が飛んだらヤバイな」
そう独り言をいうとまた部屋から出て行く。
次に戻って来た時には手に洋服を持っていた。
「小田桐、とりあえず着替えてこいよ、俺のじゃさすがに大きすぎるだろうから妹の服を借りてきた」
渡されたのはサクラ色のパーカーにデニムのレギンスパンツ。
「……ありがとう、でも、勝手に借りていいのかな……?」
「ああ、Sサイズなんて、あいつとっくにサイズアウトしてる」
大野君はニヤリと笑った。
なんと一つ年下の妹さんは、今じゃ身長百六十八センチもあるんだって!
うらやましいっ!
洗面所を借りて私は着物を脱いだ。
あー、解放感が半端ない!
やっと一息つけた。
大野君が渡してくれた紙袋に振袖を入れる。
畳み方が分からないので少しぐしゃっとなってしまった……。
お母さん、ごめん……。
妹さんから借りた洋服を着てみると驚くほどサイズがぴったりだった。
デニムレギンスはストレッチがきいていて楽ちんだ。
私は鏡に向かってほほ笑んだ。
えへへ、嬉しい。
こういうカジュアルなカッコ、一度してみたかったんだよね。
長崎は坂道が多くて、私が通う大学も坂の上にある。だから、付属の女子高に通い始めた頃からスニーカーを履いて通学していた。
私だってホントは皆みたいにスニーカーに合わせてジーンズをはいたりしてみたい。
だけど……お父さんがそういうカッコをすごく嫌うから、仕方なく毎日ワンピースやスカートで女子大に通っている。
……ふふっ、こんなに体の線がでるパンツを私が履いているのを見たらお父さんはカンカンになって怒るだろうな。
「はしたない格好をするな!」って真っ赤になって怒鳴る姿が目に浮かぶ。
お父さんは世間の流行や女の子がやりたい事なんてこれっぽっちも理解する気がないんだもん。
今時ジーンズを持ってない子なんて私ぐらいだよ。
時代錯誤もいいところだ。
ああ、なんだか、すごく気分がいい。
着たい服を着るのってこんなに楽しい事なんだ。
正直、今朝振袖を着付けてもらった時よりテンションが上がっている。
大野君の部屋に戻ると、
「お、いいじゃん、似合ってる」
そう褒められてますます私の気分は盛り上がった。
この勢いに乗ってお父さんから逃げ出そうか?
「ねえ、大野君、私……逃げてもいいのかな?」
「……今、小田桐自身を守るにはそれしか方法がないよ」
大野君はちらりと私の手首に視線を向けた。
「そうだね……うん、そうだよ。……私、家を出るよ……もう、帰らない」
「ああ……そうしろ」
大野君のスマホのアラームが鳴った。
「とりあえず、腹ごしらえだな」
「うん」
私たちは床に座ってカップラーメンを食べた。
醤油味のラーメンは私には少ししょっぱかった。
「大野君、私、パーカーもレギンスもカップラーメンも初めて」
「は!? 小田桐、どんだけお嬢様なんだよ……そんなんで家を出て大丈夫なのか?」
大野君は私の告白を受けて、とたんに不安そうな表情になった。
その心配はごもっともです……。
家を出る決意をしたものの私も心配になって来た……。
「まあ、でも実際、小田桐みたいなお嬢様育ちが家出を成功させるのはかなり難しいだろうな。親に見つかって連れ戻されるか、泣いて帰るのがおちだ」
「そ、そうだよね……じゃ、じゃあどうしたら……?」
いつかは家を出たいって夢見ていたものの具体的なことは何も考えていなかった。
私はやっぱりあまちゃんだ。
「まずは住むところの確保だな」
「う……ん、どうしよう?」
「小田桐が男なら、家が決まるまで友達の家を渡り歩いたりネカフェに泊まるっていうのもありだろうけど……」
ネカフェ……? あ、ああ、ネットカフェ……。
そ、そんなところ行ったことがない。
「うーん……」
大野君は考え込んでしまった。
ごめんね、大野君には関係ない事なのに。
「そうだな……うん……そうすれば……なあ、小田桐……」
大野君は私の顔を正面から見据えて言った。
「俺のところに来るか?」
「…………」
……今、なんて言った?
オレノトコロ……。
おれのところ?
って、俺の、ところぉぉぉおおお!?
私は驚いて後ずさった。
お、俺のところって大野君、ど、どういうつもりでそんな事を……!?
私はジトッと大野君をねめつけた。
「いや、待て、小田桐、誤解するな。やましい気持ちは一切ないぞ!」
大野君は首を振ると、
「勘弁してくれ……」
と呟いた。
「……だって小田桐、生活力が皆無じゃないか。家事なんてやったことないだろ? 洗濯も、炊事も。っつーかそういう道具を揃えるだけでも随分金も時間もかかるんだぞ。小田桐みたいなお嬢様が無計画に家出なんてしたら簡単にのたれ死ぬ。……それに、悪い奴に騙されでもしたらどうするんだ?」
そんな事、考えてもみなかった……。
「俺は……小田桐に家出を勧めた責任も感じてるし。まあ、いわゆる乗り掛かった船ってやつだ。こうなったら小田桐の家出が成功するまでとことん付き合うよ」
「大野君……」
大野君はなんていい人なんだ。
さっきは変な目で見てゴメン。
「でさ、今の俺んちの事なんだけど、今朝、もう引っ越しは済んでるって言ったろ? ここからバイクで一時間位離れてるから生活圏も違うし、そうそう家族には見つかんないだろうと思う」
「……うん」
「あっちの家なら一部屋空いてるから、しばらく小田桐に貸してやるよ」
「でも……ホントにいいの? 迷惑じゃ、ない……?」
大野君の提案は本当に嬉しいけど、お世話になってもいいのかな……?
「そんなに深く考えるなよ……まあ、俺にとっては捨て猫を拾うようなもんだ」
「す、捨て猫って……」
そ、そんな簡単に私を拾っちゃっていいの?
「俺が小田桐を親父からかくまってやる。……つまり、しばらく保護してやるって言ってんだよ。……だから小田桐は遠慮なく俺に甘えろ」
うん……。
うん、ありがとう……。
大野君の眼差しと声音があまりに優しくて私は無言でうなずいた。
今日、大野君と出会えて良かった。
本当に良かった。
「じゃあ、早速準備をするか?……まずは手紙だな」
「手紙……?」
「ああ、書置きを残しておけば、事故や事件に巻き込まれたわけじゃないと分かるから、捜索願を出されずに済む……そうだ」
大野君はスマホの画面を見せてくれた。
なるほど、家出の仕方を検索したのね。
「じゃあ、俺の言う通りに書けよ」
「うん」
大野君が便箋を用意してくれたので私は床の上でペンを構える。
「今夜」
こんや……。
「私」
わたし……。
「駆け落ちします」
かけお……かけおち? か、駆け落ちぃぃぃいいい!?
私、今夜、大野君と『駆け落ち』するの!?
「所長にお許し頂けないのであれば私たちは今夜……駆け落ちします」
冬馬先生にこう言われてしまっては、父も私も何も言えなかった。
……実際、私には一年半前に駆け落ちした前科があるし……。
苦虫を噛み潰したような表情で父は呟いた。
「……勝手にしろ」
お父さんがが引き下がるのを初めて見た気がする。
こうして冬馬先生は私の偽りの婚約者になった。
「それでは、所長。千尋さんをご自宅に送ってきます」
「……ああ……」
やっと冬馬先生の腕の中から解放されて私はそっと息を吐く。
ああ、ドキドキした……。
「さあ、千尋さん、行きましょう」
冬馬先生に促されて父の部屋を出る。
廊下ですれ違った男の人が、冬馬先生の事をすごい目つきで睨んでいた。
「やあ、これは永田先生、私達はお先に失礼しますよ」
冬馬先生は立ち止まって軽く頭を下げた。
この人が本来の婚約者候補だった永田先生……?
冬馬先生の同僚だと言っていたから、若い男性なのだろうと勝手に思っていたけど、実際は私よりかなり年上の様で驚いた。きっと、三十代後半だろう。
ホントだったら私、今頃この人と婚約させられていたのかも知れないんだ……。
見ず知らずのこの人と……。
そんなの……ムリだ。
見知らぬ人と手を繋いだり、キ、キスをするって考えただけでゾッとする……。
『偽装婚約』だなんて突拍子もない提案につい頷いちゃったけど……。
……助かった……の、かも……?
それにしても、トーマ先生の態度ったら……。
よっぽど永田先生の事が嫌いなんだろう。
案の定、廊下の角を曲がると、
「はははっ、永田のあの悔しそうな顔! 可笑しいったらないな」
と笑いだした。
ト、トーマ先生、子供みたい。
それに、とっても意地悪だ……。
この時、私は初めてこれまで冬馬先生に抱いていたイメージが間違っていたことに気が付いた……。
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