伯爵令嬢の婚約者は執事で王弟で変態です

SEKISUI

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変態と風林火山

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 其疾如風
 其の疾きこと風の如く
 変態は素早くやって来た
 太陽と共にやって来た
 朝日を背に不審者は窓を開けてゴキブリの如し入り込む
 
 其徐如林
 其の徐(しず)かなること林の如く
 抜き足差し足忍び足、音も立てずに忍び込む
 変態は慎重派だ
 ベッドで寝ているアメリアから視線を外さずにベッドの周りを気配を消してグールグル
 寝息よーし、匂いよーし、可愛いさよーし、肌の張りよーし
 しっかり寝てるのを確かめて
 クローゼットに静かに入り込む
 今朝はクローゼットで楽しむことにしたようだ

 侵掠如火
 侵掠(しんりゃく)すること火の如く
 欲望のままに引き出しを開け、下着の中に顔を突っ込み、ゆっくりゆっくり深呼吸
 洗濯しているとはいえアメリアが一度でも着けた下着類は変態の心をざわつかせるのに値する
 顔を上げて視線を夢の引き出しに
 ランランと輝かせた瞳は真剣だった
 今日はどの下着に思いを乗せるか見聞する姿はまるでソムリエを思わせる
 手に持ってる物が下着でなければだが……
 香り質感とデザイン、そしてアメリアが何回履いたかを思案して選び出された今朝の獲物を手に取り愉悦に微笑む姿は紛うことなき変態
 
 不動如山
 動かざること山の如し
 選び抜いた下着を被り
 いざっ!瞑想に耽る!
 ゆっくり深呼吸し早る心を落ち着かせ下着と一体化するのだ
 体全体でベッドにいるアメリアを感じるのだ
 妄想力で心の扉を開きアメリアに履かれてる自分を………現実では有り得ないというか不可能だけど妄想するのは自由だ
 誰にも迷惑かけない
 ビオルヘンは男の子だから好きな女の子に恋焦がれるのは普通のこと
 女の子のクローゼットに入るのはチカンと変態だけど
 クローゼットの中は男の子の夢が詰まっている
 変態の頭の中は『見てはいけません』とお母さん達に言われるだろう
 やばいものしか詰まってないからね
 
 だが、しかし……そんな変態に近寄る者がいた
 クローゼットに影がさす
 変態は瞑想から目覚め被った下着は勿論ポケットへ
 ガチャリと扉は開かれる
 そして扉は開かれ妄想の世界に終わりを告げるのだった
 
 「あれ?ここから嫌な気配がしたんだけど」
 中は衣類があるだけで誰も居なかった
 クローゼットの中を見回しても可笑しなところはない
 「へんねぇ……絶対禍々しい気を感じたのに」
 小首を傾げながら扉を閉める
 部屋を見回しても変わった所もない
 唯一あるとしたら変態がベッドに居ること位だ
 ある意味いつも通りだが
 変態はクローゼットに居たはず………疾きこと風の如しか…………かな
 「アメリア私のここ空いてるよ」
 ベッドで変態が自分の右腕を指す
 死ねばいいのに
 アメリアが息の根を止める如くジャンピングエルボーを変態目掛けて繰り出す
 ドスッ!
 「………チッ」
 がビオルヘンは涼しい顔で避けてしまう
 そんな二人をよそに部屋の扉が開かれた
 「おはよう御座います。今日は珍しく起きてるのですね」
 ルビィナが全く気にせず部屋に入ってくる
 ビオルヘンは時計を見てベッドから降り扉へ向う
 「残念。アメリア時間だ」
 ポトッ
 「んっ?」
 扉から出て行ことしたビオルヘンのポケットから何かが落ちた
 それは紛れもない選び抜かれたアメリアの下着
 今日の変態の整理品だ
 「やっぱりお前かぁぁぁぁ!!」
 
 難知雷霆
 動くこと雷霆の如し
 「死ねこの変態ぃぃ!塵とかせぇぇ!」
 アメリアの右手ストレートが澄ましたビオルヘンの頬にメリ込み吹き飛ばす
 ボコッ!
 「グホッッ!いい拳だアメリア」
 顔を赤らめ喜ぶ変態にとどめの踵落としを振り下ろす
 「ガッ!水色のレースのリボン」
 もう一発いっとくか
 「お嬢様お辞め下さい」
 後ろから羽交い締めにしてアメリアを止めるルビィナ
 「変態を喜ばせるだけで時間の無駄です」
 ルビィナの言葉でアメリアから力が抜ける
 「そうね。貼り付けとかどうかしら」
 「放置プレイですか?」
 「…………憲兵を呼んで……」
 「直ぐに釈放されますが」
 「………眠たい……」
 「30分だけですよ」
 変態をルビィナは部屋から引きずって部屋を後にするのであった
 
 
 
 
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