伯爵令嬢の婚約者は執事で王弟で変態です

SEKISUI

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変態だって病気する(変態要素は極少です)

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 ビオルヘンが熱を出した。
 鬼の霍乱が起きた
 何時でも何処でも元気なビオルヘン
 3年振りの風邪
 それも扁桃腺が腫れて高熱の為、寝込んでいる
 陛下にはないしょだ
 面倒臭いから
 主治医には高給菓子の下に金の鉱物を土台にして渡したら『ぎっくり腰は薬を飲んで寝ていれば二、三日で治ります。では又何かあったらお呼び下さい』と言って赤い丸薬と粉末と………座薬型の解熱剤をアメリアにこっそり渡して帰って行った
 使う時はハンスに頼もうと心に誓うアメリアだった

 今日のビオルヘンは病人だ
 高熱はベッドの上でビオルヘンを我儘王子に変えてアメリアを困らせていた
 何時もの変態の所業ではなく、但の幼児返りなのでたいしてことはない
 額の汗を拭こうとした侍女の手を白刃取りしてビオルヘンはアメリアじゃないと嫌だ、と駄々を捏ねてアメリアがビオルヘンの世話をしている
 普通は侍女の仕事だが、滅多にない事なので看病をアメリアも心良く引き受け侍女を助手に、額のタオルを替えたり、ご飯を食べさせてたりしていた
 
 食事を終え薬を差し出した所
 「アメリアが薬飲ませて」
 優しく微笑み口元めで薬を持って行くが何故かビオルヘンは口元を手で隠してしまう
 「…違う……アメリアの口から飲ませゴホッゴホッ…て……じゃないと薬が苦くて……飲めない」
 「エッ…そんなの出来ないわよ」
 「……飲まないから!」
 枕に顔を埋め隠してしまう
 「お嬢様………」
 侍女は眉をハの字の下げてアメリアに視線を送る
 薬と枕から覗く潤んだ目を交互に見ながらアメリアは困り果てていた
 「…え…ウゥ……アー……………わ………分かったわよ」
 葛藤のすえ溜息を付きつつもアメリアは了承する
 ビオルヘンに良く唇を舐められたりキスされたりしていて始めてではないが……自分からは恥ずかしいのだ
 躊躇いつつも人命救助だと思って口移しで薬を与える
 アメリアの顔は真っ赤だ
 何時もの軽いバードキスではないがディープキス程濃くはない
 ビオルヘンはフニャフニャしながら薬を飲み干した
 飲んだのを確認したアメリアは恥ずしさで席を立ちその場を去ろうとする
 「待って!……」
 椅子から立ち上がったアメリアの服をとっさに掴んだビオルヘン
 遠慮がちに
 「あっ…あの……そっそそ………その…………」
 恥ずかしそうにしながら
 「………そっ…そそ添い寝して…欲しぃ…………ぉ願い……アメリア………寂しいんだ……………」
 熱で潤んだ瞳を上目遣いでアメリアに哀願する姿は弱々しく、庇護欲を誘う
 普段元気な人は偶に熱を出すと精神虚弱体質になるらしくビオルヘンも漏れなくそれにあたっている
 
 病人に強く出る人は余りいない
 だいたい甘く、弱い
 それが類まれな美形で色気も含むなら鬼に金棒だ
 美しさは罪
 
 「……ダメ?」
 小首を傾げて尚もお願いするビオルヘンをアメリアは未確認生物を見る目で顔を強張らせた
 「…………………偽物?」
 「お嬢様…………」
 侍女が残念な者を見る目でアメリアを見る
 「本物です!早く入って下さい!」
 呆れた侍女がビオルヘンのベッドにアメリアを強制的に押し込み部屋を出て行った
 ビオルヘンはアメリアを抱き枕にして幸せに眠りについた
 アメリアは今回だけは大人しく共に眠りについて朝まで図太く寝た

 
 次の日薬とアメリアの抱き枕のかいあって微熱まで下がったビオルヘン
 「喉乾いた……」
 水を差し出せば
 「ぃヤダ……アメリアの唾液が混じってないと飲まない」
 
 食べさせれば
 「アメリアが咀嚼してからがいい」

 着替えさせて布団に入れれば
 「アメリアの匂いに囲まれ寝たい」
 スカートを裾を捲り上げビオルヘンは顔を突っ込ん来る
 
 一晩寝て元気になったようだ
 変態返りしたようだ

 流石に殴りはしなかったがビオルヘンの顔面を鷲掴みベッドに沈めてアメリアは部屋を後にしたのだった
 「大人しく寝なさい」

 

 
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