伯爵は借金の形に公爵家へ嫁ぐ

SEKISUI

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 伯爵が勘違いしたのは仕方がなかった
 手紙を持って来たのは娘のリルアだった
 偶々リルアは家令に頼まれて伯爵に渡しただけなのだが内容を読んでリルア宛の物だと勘違いした
 伯爵は疲れていた
 色々なことが重なり心身共に疲弊していた伯爵は宛先を確認せずに手紙を開いた
 内容は結婚の申し出だった
 釣り書も一緒に入っていた
 リルアに直接申込みがあり父親である伯爵に判断を仰ぐ為に手紙を渡されたのだと勘違いした
 宛先を見ればリルア宛ではないと分かるのに
 手紙には貴方と書かれているだけで名が綴られていなかったのも助けて勘違いしたままとなった

 娘のリルアは15歳、そろそろ婚約者が欲しいお年頃
 公爵は26歳の美青年、特殊な性癖も趣味もなく人当たりの良い好青年だったと伯爵は記憶している
 リルアはまだデェビュダント前だが何処かで見初められたのかと考えて親として喜んだ
 公爵の援助を受けられれば身売りもせずに済むし、復興も進むと喜ばしい限りだ
 但し嫁ぐのは娘ではなく伯爵なのだが
 伯爵は直ぐに了承の返事を返した

 伯爵は自分であるとは微塵も思わない
 伯爵家には年頃の娘と食べ頃の息子、ショタ枠の息子がいる
 伯爵家は美青年でも美少年でもまして美魔女でもない、ただの萎びたおっさんだから
 男を選ぶなら瑞々しい長男か青い果実の息子だろう
 世間的には娘を選ぶのが妥当だが
 公爵が望んだのは伯爵だった
 伯爵はまだ気付いていない
 宛先が自分だったことに
 貴方が己を指すことに
 自分が結婚を快諾したことに
 公爵の妻になることに
 そして己が身を公爵に捧げることを了承したことに
 
 返事を返せばその日に公爵家の家令が日時の確認の為に伯爵家に訪れた
 公爵の本気が伺える
 家令は一週間後に書類を揃えて持って来る旨を伝えて帰っていった
  
 


 
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