無資格魔法使いが最強すぎる件 ―資格ってなんですか? 強いのでそんな資格いりません―

しおしお

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第22話 公爵の宣告

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王国使者たちは、ルーチェに論破され、
アークト公爵に威圧され、半ば泣き崩れながらも――

それでも、諦めるわけにはいかなかった。

王都の周囲は大魔獣の群れに包囲され、
王国は今まさに崩壊寸前。

その責任を押しつけて追放した少女に
すがるしかないという屈辱。

それでも、人々を守るため、彼らは震える声で言った。

「ど、どうか……最後に……陛下からの伝言を……」

アークト公爵は腕を組み、無言で顎をしゃくって続きを促す。

使者は涙をこぼしながら言った。

「陛下は……“国を救ってほしい”と……
“何を望むか、言ってほしい”と……」

あまりに遅い、あまりに軽い。
その願いを聞いたルーチェは、
静かに目を伏せたまま答えなかった。

代わりに――
アークト公爵が動いた。


---

◆静かに、しかし圧倒的な宣告

公爵はゆっくりと立ち上がる。

冷気をまとったような視線が王国使者たちを射抜く。

「……聞き間違いでなければ」

低く静かな声が、部屋に響く。

「王国は、彼女を追放したのだな?」

使者たち「……は、はい……」

「国外追放というのは――
“国として保護しない”という強い意思表示だ」

公爵の言葉が、一つ一つ鋭く突き刺さる。

「そのうえ、王国は彼女に禁呪を刻み、
“王国内で魔法を使わせない”という処罰まで課した」

使者たちは泣き崩れそうになりながら頷くことしかできない。

アークトはため息をひとつつき、

そして――
静かに、残酷な宣告を口にした。


---

◆「彼女を返す気はない」

「結論から言えば――」

その瞬間、王国使者たちは全員固まった。

「彼女を王国へ返す意思は、我らにはない。」

雷が落ちたような衝撃だった。

使者たちは椅子から転げ落ち、
声にならない悲鳴を漏らす。

「なっ……! なっ……!!」

アークトは淡々と続けた。

「追放したのは王国だ。
つまり王国は“彼女を保護しない”と宣言した。
その者を、我が国が救い、守り、助けている」

振り返る。

視線の先にいるのはルーチェ。

彼は彼女を包むように微笑む。

「彼女は――我が国の宝だ」

ルーチェの目がまんまるに見開かれた。

周囲の騎士たちは息をのむ。

使者たちは完全に崩れ落ちる。

「宝にした以上、
危険な場所へ返す理由はない」

それは王国に対する、
“助けない”と同義の宣告だった。


---

◆滅びの予感と、ざまぁの極致

使者のひとりがかすれた声で叫ぶ。

「そ……そんな……!
王国が……滅びてしまう……!!」

アークト公爵は冷たい目を向ける。

「それは君たちの采配の結果だろう」

完全な切り捨て。

王国側の顔から血の気が引き、
震える手で頭を抱える者もいた。

「た、助け……!」

「今さら何を言う。
彼女を捨てたのは王国だ」

淡々と、しかし一片の情けもなく。

公爵の一言は、
王国の滅亡を告げる鐘のように響いた。


---

◆絶望のまま退出する王国使者たち

重臣は涙を流しながら立ち上がる。

足元はふらつき、
出口へ向かう姿は亡霊のようだった。

「……ルーチェ様……どうか……」

最後まで懇願は続いたが、
返事はなかった。

扉が閉まると同時に、
王国の未来も閉ざされたかのようだった。


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