無資格魔法使いが最強すぎる件 ―資格ってなんですか? 強いのでそんな資格いりません―

しおしお

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第27話 禁止魔法の破砕

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アークト公爵邸・大広間。

そこには、隣国の精鋭騎士団、魔導士団、公爵家の重臣たちが一堂に会していた。

ルーチェは広間の中央へ一歩進み出る。

薄い光を放つ禁呪が胸元で脈打ち、
まるで「壊されまい」と抵抗しているようだった。

しかし、ルーチェは落ち着いた表情で言った。

「みなさま、少し離れてくださいませ。
 ……飛び散るかもしれませんので」

その声には、一切の冗談がなかった。


---

◆ 禁呪が“恐れる”気配

アークト公爵と騎士たちはすぐに後方へ下がり、
固唾を飲んで見守る。

魔導士団の長は驚きを隠せなかった。

「禁呪は通常、解除コードがなければ絶対に崩せないはず……。
 本当に……破壊など可能なのか?」

「不可能だ。あの禁呪は王宮でも扱える者が数人しかおらん」

「継承者レベルでなければ――」

騎士団長の言葉は、
次の瞬間、途切れた。

ルーチェが静かに目を閉じたからだ。

彼女の足元から、
空気が震えるような“古代の気配”が広がっていく。

まるで時間そのものが巻き戻されるような感覚。

魔導士団長が青ざめた。

「……嘘だろ……これは……古代系魔力……?」


---

◆ 歴史が震える、一瞬の破砕

ルーチェは胸に手を当て、淡く呟く。

「あなた、よく頑張りましたわ。
 でももう……必要ありませんのよ」

禁呪が、まるで意思を持ったかのように震え出す。

バチッ……! と青白い火花が散り、
周囲の空気が張りつめた。

騎士たちは思わず一歩後ずさる。

アークト公爵だけは、真っ直ぐに彼女を見ていた。

「――壊れなさい」

ルーチェが指先を軽く払った。

その瞬間。

パァンッ!

花瓶が割れるよりも軽い音が響き、
禁呪が霧散した。

跡形もなく。
苦し紛れの抵抗すら見せず。
まるで最初から存在しなかったかのように。

広間が、完璧な静寂に包まれた。


---

◆ 騎士団と魔導士団、震える

「……え……?」

「今、なにが……?」

「禁呪……砕けた……? 一瞬で……?」

魔導士団長は膝から崩れ落ち、震える声を出す。

「ありえん……!
 あの禁呪は、王国史上最強の封鎖魔法だぞ……!?
 破壊には古代継承者級の魔力が――」

そこで言葉を失う。

ルーチェが振り返ったからだ。

その瞳には、
淡い金色の光が宿っていた。

「みなさま、ご心配をおかけしましたわ。
 これで、思う存分戦えます」

その一言に、
広間の全員が震えた。

誰もが理解した。

――この少女は、世界の理を越えている。


---

◆ 公爵、確信する

アークト公爵はゆっくりと歩み寄り、
ルーチェの手を軽く取った。

「……やはり、君は特別だ」

「特別なんて……わたくしはただの無資格魔法使いですのに」

その言葉に、公爵は微笑む。

「無資格なのではない。
 この時代の資格体系が、君に追いついていないだけだ」

ルーチェはぽかんとした。

魔導士団長も震えながら叫ぶ。

「そ、そうだ!
 資格制度は近代魔法基準だ!
 古代魔法継承者が出現するなど、誰も想定していない!!」

アークト公爵はうなずいた。

「ルーチェ。
 君は――古代魔法の正統継承者だ」

静まり返った広間に、その宣告が響き渡る。

そして同時に、
皆が悟った。

この少女こそ、世界を救う存在なのだ。

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