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第5話 悪女令嬢、うつけ王子を政務に叩き込む
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第5話 悪女令嬢、うつけ王子を政務に叩き込む
ベルリッタ王国に滞在して五日目。
アクノマジョリーカは、離宮の一室を完全に“執務室”へ変えていた。
机には資料が山のように積まれ、側近すら置かず、二人きりの密室。
「……マジョリーカ、これ、本当に全部やるのか?」
「当然ですわ。あなたはベルリッタの王子なのですから」
(本当は“うつけ”なんて微塵もありませんわよね?)
アクノマジョリーカは冷ややかに微笑む。
「さあ、今日からあなたを正式に“駒”として調整していきますわよ」
「調整されるの、なんか怖い……」
「安心なさい。壊れたら新しい駒を探しますから」
「えっ、捨てるの!?」
半泣きになるドンファムを無視し、彼女は資料を差し出した。
「まず、ベルリッタ王国の現状分析。
三分で読み、要点を十個挙げなさい」
「三分で十……?」
「できなければ“無能王子”として捨てますわ」
「や、やる!!」
ドンファムは一気に真剣な目つきになり、資料へ没頭した。
その姿にアクノマジョリーカは満足げに頷いた。
(やはり。集中すると、恐ろしい速度で理解していきますわね)
三分後、ドンファムは息を整えつつ紙を差し出した。
「できた!」
「どれどれ……」
アクノマジョリーカは目を滑らせ、思わず扇を止めた。
(……完璧。しかも王族でも気づかぬ視点まで網羅してる)
そのうえ字が美しい。
(罪ですわよ、これ)
彼女は表情に出さず、淡々と言い放った。
「まあまあですわね。次の課題です」
「まだあるのか……!」
「当然ですわ。あなたを王にする気はありませんけれど、
“私の計画”のためには有能でいてもらわなくては困りますの」
「その計画って……結局なんなんだ?」
「追々説明しますわ。今は駒として働きなさい」
アクノマジョリーカは次の束を置いた。
「さあ、次はベルリッタ貴族の勢力図を、
“寝返る可能性順”にまとめなさい」
「厳しすぎるーー!!」
「駒なら働きなさい。働けない駒は……」
「捨てないでぇ!!」
泣き叫びつつも課題に取り組むドンファムを観察し、
アクノマジョリーカは薄く微笑んだ。
(……ふふ。やはりこの男。
教えれば教えるだけ伸びる“怪物”ですわね)
(だからこそ、私が利用しきってみせますわ)
そう心に決め、アクノマジョリーカは扇を閉じた。
「王子、次です」
「まだあるのかぁぁぁ!!」
「当たり前ですわ。
あなたが使える駒になるまで、“地獄の仕上げ”は続きますの」
この日、ドンファムの悲鳴が離宮に響き渡った。
しかし――その声に混じって、アクノマジョリーカだけが気づいたことがある。
(……この男、意外と楽しんでますわね?)
(ならばちょうど良い。私も楽しませてもらいますわ)
悪女令嬢は、静かに企みを深めていくのであった。
ベルリッタ王国に滞在して五日目。
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机には資料が山のように積まれ、側近すら置かず、二人きりの密室。
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「当然ですわ。あなたはベルリッタの王子なのですから」
(本当は“うつけ”なんて微塵もありませんわよね?)
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「さあ、今日からあなたを正式に“駒”として調整していきますわよ」
「調整されるの、なんか怖い……」
「安心なさい。壊れたら新しい駒を探しますから」
「えっ、捨てるの!?」
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「や、やる!!」
ドンファムは一気に真剣な目つきになり、資料へ没頭した。
その姿にアクノマジョリーカは満足げに頷いた。
(やはり。集中すると、恐ろしい速度で理解していきますわね)
三分後、ドンファムは息を整えつつ紙を差し出した。
「できた!」
「どれどれ……」
アクノマジョリーカは目を滑らせ、思わず扇を止めた。
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そのうえ字が美しい。
(罪ですわよ、これ)
彼女は表情に出さず、淡々と言い放った。
「まあまあですわね。次の課題です」
「まだあるのか……!」
「当然ですわ。あなたを王にする気はありませんけれど、
“私の計画”のためには有能でいてもらわなくては困りますの」
「その計画って……結局なんなんだ?」
「追々説明しますわ。今は駒として働きなさい」
アクノマジョリーカは次の束を置いた。
「さあ、次はベルリッタ貴族の勢力図を、
“寝返る可能性順”にまとめなさい」
「厳しすぎるーー!!」
「駒なら働きなさい。働けない駒は……」
「捨てないでぇ!!」
泣き叫びつつも課題に取り組むドンファムを観察し、
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(……ふふ。やはりこの男。
教えれば教えるだけ伸びる“怪物”ですわね)
(だからこそ、私が利用しきってみせますわ)
そう心に決め、アクノマジョリーカは扇を閉じた。
「王子、次です」
「まだあるのかぁぁぁ!!」
「当たり前ですわ。
あなたが使える駒になるまで、“地獄の仕上げ”は続きますの」
この日、ドンファムの悲鳴が離宮に響き渡った。
しかし――その声に混じって、アクノマジョリーカだけが気づいたことがある。
(……この男、意外と楽しんでますわね?)
(ならばちょうど良い。私も楽しませてもらいますわ)
悪女令嬢は、静かに企みを深めていくのであった。
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