私は悪女らしいので、婚約者のうつけ王子を操り──私を売った父と母国に復讐します

しおしお

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第15話 悪女令嬢、王国の腐敗に気づき「まずは内部から叩き潰しますわ」

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第15話 悪女令嬢、王国の腐敗に気づき「まずは内部から叩き潰しますわ」

マジョリーカの教育を受けたその日から、ドンファム王子は驚くほど勤勉になった。

侍従たちは朝から目を丸くする。

「王子がお早く起きていらっしゃる……!?」
「しかも机に向かって……!!」
「信じられません!?」

王宮内はちょっとした騒ぎとなった。

しかし当の王子は、眉を寄せて書き物を続けている。

「うーん……この街道、やっぱり軍を動かしにくいよな……マジョリーカの言う通り、改修必要だ……」

その姿勢に、周囲がひそひそと囁く。

「うつけが……うつけでなくなっていく……」
「まさか、あの公爵令嬢が……?」
「確実に教育している……!」

その通りだった。

マジョリーカは今日も王宮へ乗り込むと、書類の山を机に積んだ。

「殿下、今日は“ベルリッタ内部の腐敗”について学びますわよ」

「腐敗……?」

「ええ。まずはこの書類を見なさい」

彼女は淡々と、各地の領主による私腹の肥やし方を説明した。

税の中抜き
領地のインフラ予算の横流し
兵の食糧費の偽装
賄賂に塗れて沈黙する官僚たち

「うっ……こんなの……王国が腐る……」

「その通りですわ。ですから私は殿下の力を必要としているのです」

マジョリーカの指が、鋭く書類を叩いた。

「王国が弱る最大の原因は、外敵ではなく“内部の腐敗”。
 敵は国内にも潜んでおりますのよ」

「……どうすればいい?」

「簡単ですわ。殿下が“正しい力”を持てばいいのです」

マジョリーカは王子をじっと見つめた。
その目は、獲物を口説く猛禽のように鋭かった。

「殿下は、誰も期待していない“うつけ”です。
 だからこそ、彼らは殿下を侮っている」

「うん……」

「その侮りを利用して、腐敗した連中を一掃しますわ。
 彼らは、殿下が“本気になった途端”一番驚くのですもの」

王子の喉がゴクリと鳴る。

「……マジョリーカは、本当に……強いね。
 俺なんか……ただのうつけなのに」

「ええ。あなたはうつけですわ」

ズバッと言い切られ、王子は肩を落とす。

だが──

「でも、“伸びしろは無限大”ですのよ?」

「え……?」

「私は殿下を“使える王”に育てます。
 ベルリッタの未来を変えるのは、殿下なのですから」

その瞬間、王子の目に灯った炎は、昨日までのものとはまったく違っていた。

「……やるよ。俺、変わる。変わって……マジョリーカを守る王になる」

「いい返事ですわ。では、最初の仕事です」

マジョリーカは新しい書類を王子の前に置いた。

そこには、ベルリッタの貴族たちの裏金の流れが詳細に記されたリスト。

「殿下――ここから先は、“優しい王子”では務まりません。
 腐敗した者たちには、しっかりと制裁を加えなければならない」

「うん……!」

「弱い王では、国は守れませんわ。
 だから……殿下には“強い王”になっていただきます」

マジョリーカの口元がゆっくりと笑った。

「――私の計画のためにも、ね」

その笑みを見た時、侍従たちは震えたという。

ベルリッタ王国は、この日を境に“悪女と王子の改革”が静かに幕を開けた。



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