私は悪女らしいので、婚約者のうつけ王子を操り──私を売った父と母国に復讐します

しおしお

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第23話 「悪女令嬢、独断で敵軍の補給線を潰す」

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第23話 「悪女令嬢、独断で敵軍の補給線を潰す」

ベルリッタ王国の北部。
深い霧が立ち込める森の中を、エリフィン公爵軍の補給隊が進んでいた。

馬車には大量の食料、薬、武器。
侵略の要となる貴重な物資が積まれている。

補給隊長
「急げ! 公爵様の命令は“最速で王都へ”だ!」

兵士A
「はっ! しかし……進軍が早すぎて補給が追いつきません!」

補給隊長
「構うな! 王都を陥落させれば、物資などあとでいくらでも――」

その瞬間、
進行方向の霧が静かに裂けた。

ヒュオォォ……。

冷たい風が吹き抜ける。

補給隊長
「ん……? なんだ、この寒気は……?」

霧の向こうに、
ある“黒髪の令嬢”が立っていた。

アクノ・マジョリーカである。


---

1 悪女令嬢の“待ち伏せ”

マジョリーカは薄く笑い、
氷のように冷えた声で言い放った。

「ご苦労様ですわね、補給隊の皆様。
ベルリッタ王国への侵略のお手伝い、ご苦労さま」

補給隊全員が凍りつく。

兵士B
「な、なに者だ!?」

マジョリーカ
「わたくし?
ただの“婚約中の悪女令嬢”ですわ。
……侵略に加担する趣味はありませんので、
ここで皆さん、一度休んでいただきますわ」

補給隊長
「休む……? どういう……」

マジョリーカは、右手を軽く振った。

その瞬間――
霧が凍り、地面が白く染まっていく。

バキバキバキバキッ!!

補給隊の荷車、馬、兵士たちの足元が一気に凍結し、
動きを封じられた。

補給隊長
「なっ……!? 足が……動かない!!」

マジョリーカは、飄々と髪を整えながら言う。

「うふふ。殿下は優しい方ですから、
“なるべく被害を抑えて”なんておっしゃるでしょうけれど……」

わずかに笑みを深くし、
白く息を吐いた。

「侵略者を生かして帰すほど――
わたくしは甘くありませんわ」


---

2 補給隊の壊滅

バキィィィィィン!!!

補給物資の荷車が丸ごと凍りつき、
その重さに耐えきれず粉砕された。

兵士たちは血の気が引く。

「ひ、ヒィィィ!?」
「な、何だこの力!!」

マジョリーカは淡々と説明する。

「補給がなければ父の軍は一日ももちません。
皆さんには、“ベルリッタ侵略を諦めていただく”ために――」

両手を広げた。

「ここでお眠りいただくだけですわ」

真っ白な冷気が溢れ、
補給隊は次々と凍結する。

倒れた兵士たちは、まるで氷像。

補給隊長
「お、おのれ……悪女め……!!」

アクノ・マジョリーカは、
その叫びに無表情で返した。

「ええ、悪女ですわ。
――ベルリッタに手を出した時点で、あなた方の負けです」

そして踵を返し、
レオンの待つ王都へと歩き出した。


---

3 王都に戻る悪女令嬢

王都の門前。

レオンは不安げに兵士と話し込んでいた。

レオン
「……マジョリーカは大丈夫だろうか。
補給隊に奇襲を仕掛けに行ったと聞いたが……」

兵士A
「す、すぐに戻って来られるかと……」

その時、遠くから黒髪がひらりと揺れた。

マジョリーカ
「ただいま戻りましたわ、殿下。
補給隊は完全に壊滅させました」

レオン
「えっ……!?
補給隊“三千”と聞いていたが……」

マジョリーカ
「殿下。
数は関係ありませんわ。
侵略者は皆、同じように凍るだけですもの」

レオン
「そ、それは……まあ、そうだけど……」

兵士たちはざわついた。

「や、やっぱり……この人、とんでもない……」
「悪女どころじゃない……」
「いや、国を守っているのだから英雄だ……!」

本人は気づいていないが、
兵士たちの評価は急上昇していた。


---

4 “悪女令嬢”という名の守護者

レオンはふと、柔らかく笑った。

「マジョリーカ。
君が来てくれて……本当に良かった」

マジョリーカ
「殿下。そのように褒めても、
私はコマとして機能するだけですわ」

レオン
「……その言い方、少しは変えてくれない?」

マジョリーカ
「嫌ですわ」

冷たく言い放ちつつも、
どこか照れを含んだ声。

兵士たちは思った。

(……この二人、案外お似合いなのでは?)

こうして――
ベルリッタ侵略を目論むエリフィン公爵軍は、
“補給線壊滅”という致命的打撃を受けることとなった。

しかし、これはまだ序章にすぎない。

悪女令嬢アクノ・マジョリーカの“反逆譚”は、
さらに加速度を増していく……!

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