私は悪女らしいので、婚約者のうつけ王子を操り──私を売った父と母国に復讐します

しおしお

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第25話 黒鉄の城塞へ ―― 悪女令嬢の進軍開始

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第25話 黒鉄の城塞へ ―― 悪女令嬢の進軍開始

夜明け前のベルリッタ王都。
まだ薄暗い空の下、城門前には整然と並ぶ兵士の列があった。

鎧の鳴る音、蹄の響き、武具の確認をする声――
どれもが、これから始まる“大反撃”の空気を象徴していた。

その中心に立つのはレオン王子。
そしてそのすぐ隣には、黒髪を風に揺らす女――
アクノ・マジョリーカが立っていた。

将軍B
「全軍、出陣準備完了!」

レオン
「よし。黒鉄の城塞へ向かう。
今日我々は――侵略される側から抜け出す!」

兵士たちが一斉に剣を掲げ、雄叫びを上げた。

「「おおおおおおおおッ!!」」

その勢いを前にしても、
マジョリーカだけは、いつもの冷静さを崩さなかった。


---

1 悪女令嬢、行軍の最中に不吉な笑み

行軍が始まる。

兵士たちは緊張の面持ちで前を向いているが、
マジョリーカは違った。

小さく、深く、静かに笑っていた。

レオン
「……マジョリーカ。恐ろしいほど落ち着いているな」

マジョリーカ
「当然ですわ殿下。
あの城塞の指揮官は、父ではなく“父の側近”ですもの。
わたくしの脅威度は、まだ伝わっていませんわ」

レオン
「まるで……獲物を追い詰める捕食者だな」

マジョリーカ
「殿下が獲物のように扱われなければ、それで結構です」

レオン
(え……これ、惚れる……?)

将軍たち
(殿下、惚れるな……惚れるな……)


---

2 予想外の状況 ―― 公爵領の荒廃

国境を越え、公爵領へ足を踏み入れた瞬間。
兵士たちは息を呑んだ。

「な、なんだこの荒れた大地は……?」

「畑が……焼けている?」

「まるで……戦場を通った後のようだ」

だが、どこにも戦いの痕跡はない。
兵士がマジョリーカに問う。

兵士A
「これはどういう……?」

マジョリーカ
「父は“力”で支配する男ですわ。
恩恵も、庇護も、指導もない。
民は疲弊し、土地は荒れ果て……
結果、こうなるのは当然ですわね」

レオン
「……お前は、そんな場所で育ったのか?」

マジョリーカ
「ええ。
だからこそベルリッタの方が、よほど温かい国ですわ」

レオン
「……それは、ありがとうと言っていいのか?」

マジョリーカ
「褒めてはいませんわよ?」

レオン
(褒められた気がして喜んだ俺を返して……)


---

3 黒鉄の城塞が見える

行軍を続けること数時間。
遠方に、黒々とした巨城が姿を現した。

将軍B
「あれが……エリフィン公爵軍の本陣……!」

兵士C
「なんという威圧感……!」

黒鉄の城塞――
エリフィン公爵が四十年かけて築いた、鉄と魔法の砦。

その姿を見ながら、マジョリーカは静かに言った。

「……殿下。
いま、城塞は“矛盾”の中にあります」

レオン
「矛盾?」

マジョリーカ
「父は私を“邪魔者”として排除しながら、
同時に“私以外は誰も信用しない”男。
だから側近の参謀たちは優秀でも、判断はすべて父任せ。
父がここにいない今……
この城塞は、実質“指揮官不在”ですわ」

将軍たち
((怖いほど分析が鋭い……))

マジョリーカ
「敵の動きは鈍い。
父がいない今、あそこで指揮を取れる者は……誰もいませんわ」

レオン
「つまり、落とせると?」

マジョリーカ
「今の城塞は、殻だけの烏合の衆。
……殿下。ここからは一気に押し潰しますわよ?」

レオン
「ああ。お前が隣にいるなら、必ず勝てる」

マジョリーカ
「殿下、そのお言葉……軽率に聞こえますわ」

レオン
「え? どの辺が?」

マジョリーカ
「“私がいるなら勝てる”ではなく……
“私がいるから勝てる”ですわ」

レオン
「……はい、すみません」

将軍たち
(ヒロインか殿下……? 立場が逆……?)


---

4 王都からの緊急伝令

そこへ、馬の蹄が駆けてきた。

伝令兵
「レオン殿下! マジョリーカ様!
王都より緊急の知らせ!」

レオン
「何があった!」

伝令兵
「エリフィン公爵――
本軍を率いて急行中!!」

レオン
「……何?」

マジョリーカ
「やはり。
父が“黒鉄の城塞”を守るために戻ってきたようですわ」

伝令兵
「本軍は三日で到達すると!」

将軍B
「三日!? 普通の軍の倍以上の速度だと……!?
無茶では!?」

マジョリーカ
「父は権力のためなら軍を死なせても構わない人間ですもの。
急行させて当然ですわ」

レオン
「つまり……三日以内にここを落とさねばならない、か」

マジョリーカ
「いいえ、殿下。
三日もいりませんわ」

レオン
「……え?」

マジョリーカ
「この城塞。
“中身が空っぽ”ですもの。
今日、落としますわよ」

レオン
「……今日!?」

マジョリーカ
「父の帰還より先に、終わらせるのです」


---

ベルリッタ軍、ついに黒鉄の城塞へ突撃開始。

果たして悪女令嬢の“逆侵略”は成功するのか――?

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