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17話 かつての婚約者の失墜
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かつての婚約者の失墜
胸こそ女性の価値――。
胸の大きさで妻を選ぶのが当然――。
そんな胸至上主義の象徴のような男が、アルブレイド公爵だった。
シンディの前で、彼は何度も吐き捨てるように言った。
「その胸では、公爵夫人など務まらない」
その言葉は、今もシンディの胸の奥に棘のように残っている。
だが、時代は動いた。
王子レオナードの布告によって、胸差別が“正式な罪”となった今――
アルブレイド公爵は、まさに「真っ先に裁かれる」側の人間だった。
王城の大広間では、裁定が始まっていた。
「被告、アルブレイド公爵。
胸の大小に基づく不当な婚約破棄、
胸差別による侮辱行為、
ならびに胸至上主義を理由とした複数の女性への不当行為――
証言は山のようにある」
裁定官の声は冷たく響く。
公爵は、顔をひきつらせながら抗弁した。
「ち、違う!!
私は胸の大きい女性が好きなだけで……
好き嫌いの問題であって、罪では……!」
「布告をご存じないとでも?
胸の大小を理由に女性の名誉や未来を奪う行為は、
禁止されております」
「ぐっ……!」
その場にいた誰もが、
「ついに胸至上主義の頂点にいた男が裁かれる」と息を呑んだ。
そこへ、裁定官が冷静に書類を読み上げていく。
「“胸が大きければ誰でもいい”と断言し、
婚約者(シンディ)を公衆の面前で貶めた」
「胸が小さい侍女に“触る価値もない”と言った」
「胸の大きい令嬢ばかり側室候補にし、
胸が小さい女性を不当に降格させた」
記録は次々と朗読される。
公爵は青ざめた。
「ち、違う! 申し訳ないが……私は本当に……
胸を愛しているだけで……!」
傍聴席の女性たちがざわめいた。
「胸しか見ないバカ……」
「胸を愛するなら、胸だけと結婚すればいいのに」
「胸が世界の中心だと思ってる男の末路ね」
そして――
凛とした足音が、大広間に響いた。
シンディがレオナードとともに入室したのだ。
公爵はその姿に狼狽し、思わず叫んだ。
「シンディ!? 来ていたのか!?」
シンディは静かに一礼し、
裁定官の許可を得て証言台へ進んだ。
その姿は、胸の大小に囚われていた頃の
弱々しい少女ではなく――
胸の価値観を打ち破った象徴として堂々としていた。
「アルブレイド公爵に質問があります」
シンディの声は、凛として澄んでいた。
「――あなたは、私の胸だけを見て婚約を決め、
胸だけを見て婚約を破棄したのですか?」
「そ、それは……!
公爵家の夫人となるには、ある程度の胸が必要で……!」
「女性の胸は地位の象徴ではありません」
シンディが一歩進む。
「胸の大きさは、人格を測る物差しではありません」
「ぐっ……!」
「あなたの婚約破棄で、私は心に傷を負いました。
胸が小さいだけで価値がないと言われ続けてきた。
でも――
あなたは私を見ていなかった。
胸しか見ていなかったのです」
傍聴席の女性たちが静かに頷く。
「事実です。
私は、胸以外のあなたを見たことがなかった」
公爵の言葉は、自己弁護にもならない。
シンディは続けた。
「胸しか見ないあなたを相手にする必要はもうありません。
私は、胸ではなく“心”を見てくれる人と歩んでいきます」
そう言って、レオナードを見つめた。
王子の瞳は、シンディの胸ではなく――
その心だけを見つめていた。
公爵は耐えきれず膝をつく。
「すまぬ……!
婚約を破棄したのは……間違いだった……!
どうか、許してくれ……!
もう一度だけ……婚約を――」
シンディは、冷静に首を振った。
「胸しか見なかった人とは、もう未来を語れません。
あなたのせいで私がどれだけ苦しんだか……。
でも、復讐はしません。
ただ――あなたの価値観は、もうこの国では受け入れられません」
裁定官が宣言した。
「アルブレイド公爵。
胸差別に基づく不当行為の数々により――
爵位剥奪、資産半減、政治的地位の剥奪とする」
大広間がざわめいた。
公爵は青ざめ、崩れ落ちた。
「な、なぜだ……!?
胸を……胸を愛しただけなのに……!」
その姿は哀れというより、
胸しか見えなくなった男の末路そのものだった。
シンディはそっと目を閉じる。
(胸しか見ない人は、胸だけを失ったら終わり。
でも――胸に関係なく、心を見てくれる人は、
どんな姿でも手を取ってくれる)
レオナードは静かにシンディの背に手を添えた。
「行こう。こんな男に、君の時間を使う必要はない」
「はい」
大広間を出るその瞬間――
女性たちから拍手が起きた。
胸の大小で苦しんだすべての女性たちの、
“解放”の拍手だった。
胸こそ女性の価値――。
胸の大きさで妻を選ぶのが当然――。
そんな胸至上主義の象徴のような男が、アルブレイド公爵だった。
シンディの前で、彼は何度も吐き捨てるように言った。
「その胸では、公爵夫人など務まらない」
その言葉は、今もシンディの胸の奥に棘のように残っている。
だが、時代は動いた。
王子レオナードの布告によって、胸差別が“正式な罪”となった今――
アルブレイド公爵は、まさに「真っ先に裁かれる」側の人間だった。
王城の大広間では、裁定が始まっていた。
「被告、アルブレイド公爵。
胸の大小に基づく不当な婚約破棄、
胸差別による侮辱行為、
ならびに胸至上主義を理由とした複数の女性への不当行為――
証言は山のようにある」
裁定官の声は冷たく響く。
公爵は、顔をひきつらせながら抗弁した。
「ち、違う!!
私は胸の大きい女性が好きなだけで……
好き嫌いの問題であって、罪では……!」
「布告をご存じないとでも?
胸の大小を理由に女性の名誉や未来を奪う行為は、
禁止されております」
「ぐっ……!」
その場にいた誰もが、
「ついに胸至上主義の頂点にいた男が裁かれる」と息を呑んだ。
そこへ、裁定官が冷静に書類を読み上げていく。
「“胸が大きければ誰でもいい”と断言し、
婚約者(シンディ)を公衆の面前で貶めた」
「胸が小さい侍女に“触る価値もない”と言った」
「胸の大きい令嬢ばかり側室候補にし、
胸が小さい女性を不当に降格させた」
記録は次々と朗読される。
公爵は青ざめた。
「ち、違う! 申し訳ないが……私は本当に……
胸を愛しているだけで……!」
傍聴席の女性たちがざわめいた。
「胸しか見ないバカ……」
「胸を愛するなら、胸だけと結婚すればいいのに」
「胸が世界の中心だと思ってる男の末路ね」
そして――
凛とした足音が、大広間に響いた。
シンディがレオナードとともに入室したのだ。
公爵はその姿に狼狽し、思わず叫んだ。
「シンディ!? 来ていたのか!?」
シンディは静かに一礼し、
裁定官の許可を得て証言台へ進んだ。
その姿は、胸の大小に囚われていた頃の
弱々しい少女ではなく――
胸の価値観を打ち破った象徴として堂々としていた。
「アルブレイド公爵に質問があります」
シンディの声は、凛として澄んでいた。
「――あなたは、私の胸だけを見て婚約を決め、
胸だけを見て婚約を破棄したのですか?」
「そ、それは……!
公爵家の夫人となるには、ある程度の胸が必要で……!」
「女性の胸は地位の象徴ではありません」
シンディが一歩進む。
「胸の大きさは、人格を測る物差しではありません」
「ぐっ……!」
「あなたの婚約破棄で、私は心に傷を負いました。
胸が小さいだけで価値がないと言われ続けてきた。
でも――
あなたは私を見ていなかった。
胸しか見ていなかったのです」
傍聴席の女性たちが静かに頷く。
「事実です。
私は、胸以外のあなたを見たことがなかった」
公爵の言葉は、自己弁護にもならない。
シンディは続けた。
「胸しか見ないあなたを相手にする必要はもうありません。
私は、胸ではなく“心”を見てくれる人と歩んでいきます」
そう言って、レオナードを見つめた。
王子の瞳は、シンディの胸ではなく――
その心だけを見つめていた。
公爵は耐えきれず膝をつく。
「すまぬ……!
婚約を破棄したのは……間違いだった……!
どうか、許してくれ……!
もう一度だけ……婚約を――」
シンディは、冷静に首を振った。
「胸しか見なかった人とは、もう未来を語れません。
あなたのせいで私がどれだけ苦しんだか……。
でも、復讐はしません。
ただ――あなたの価値観は、もうこの国では受け入れられません」
裁定官が宣言した。
「アルブレイド公爵。
胸差別に基づく不当行為の数々により――
爵位剥奪、資産半減、政治的地位の剥奪とする」
大広間がざわめいた。
公爵は青ざめ、崩れ落ちた。
「な、なぜだ……!?
胸を……胸を愛しただけなのに……!」
その姿は哀れというより、
胸しか見えなくなった男の末路そのものだった。
シンディはそっと目を閉じる。
(胸しか見ない人は、胸だけを失ったら終わり。
でも――胸に関係なく、心を見てくれる人は、
どんな姿でも手を取ってくれる)
レオナードは静かにシンディの背に手を添えた。
「行こう。こんな男に、君の時間を使う必要はない」
「はい」
大広間を出るその瞬間――
女性たちから拍手が起きた。
胸の大小で苦しんだすべての女性たちの、
“解放”の拍手だった。
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