私の婚約者を奪った義妹は、幸せになるはずでした

しおしお

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5 公開婚約破棄

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5 公開婚約破棄

 公開の場で恥をかかせるつもりなのだと知ったのは、舞踏会の招待状が届いた時だった。

 王都でも名の知れたベルナール伯爵家の春の夜会。名目は長男の叙爵祝いだが、実際には社交界の有力者たちが集う大きな場であり、婚約の披露や新たな縁談の顔合わせにもよく使われる。ランベール侯爵家にも当然招待状は届き、ロシュフォール公爵家の名も、アルディシア公国の使節が参加する可能性も、すでに社交界では噂になっていた。

 その招待状を見た瞬間、フィオレッタは直感した。

 これは、ただ出席するためのものではない。

 見せるための場だ、と。

「お嬢様……」

 エマが、招待状を持つ彼女の手元を不安そうに見た。

「嫌な予感がいたします」

「私もよ」

 フィオレッタは素直にそう答えた。

「でも、欠席すればそれこそ逃げたように見えるわ」

 婚約者交換の話は、まだ形式の上では整えられていない。だが屋敷の中ではもう既成事実のように進んでおり、ロシュフォール家とランベール侯爵家の間でも話はかなり詰められているらしい。父は表向き慎重な顔をしていたが、実際にはもう止める気はない。

 そしてギルベルトの性格を考えれば、曖昧なまま内々で済ませるより、人前で「正しい選択」を示したがるだろう。

 自分が間違っていないことを、皆に見せたい男だ。

「ドレスのご用意をいたしますか」

「ええ。いつも通りでいいわ。派手すぎず、でも見劣りしないものを」

 エマは一瞬だけためらってから言った。

「勝ち負けのように申し上げるのは本意ではございませんが、どうか……どうか、お嬢様が惨めに見えるような装いだけはお避けくださいませ」

 フィオレッタは少しだけ目を細めた。

「あなた、たまにずいぶんはっきり言うわね」

「今日は、そのくらい申し上げたくなります」

 エマの声音には怒りが滲んでいた。

 フィオレッタはふっと息を吐いた。

「そうね。ありがとう」

 結局、彼女が選んだのは深い青紫のドレスだった。夜会の灯りの下で落ち着いた光沢を帯びる絹に、銀糸の繊細な刺繍が施されている。侯爵家の長女として不足なく、それでいて悲劇のヒロインのような白でも、未練を装う淡色でもない。

 鏡の前に立ったフィオレッタは、自分でも不思議なくらい静かな顔をしていた。

 怒っている。

 傷ついている。

 けれど、もう取り乱したくはなかった。

 今さら泣き顔を見せたところで、誰が何を変えるというのだろう。義妹はますます「恐ろしい姉に虐げられた可哀想な妹」になり、ギルベルトは「冷たい婚約者と別れて正解だった」と満足するだけだ。

 それだけは嫌だった。

 馬車がベルナール伯爵邸へ到着すると、すでに正門前は華やかな車列で埋まっていた。伯爵邸は王都でも古く格式ある屋敷で、正面玄関へ続く階段には無数の灯火が並び、春の花々がふんだんに飾られている。夜気はまだ少し冷たかったが、屋敷の中から流れてくる音楽とざわめきは熱を帯びていた。

 ランベール侯爵家として父、義母、カトリーヌ、そしてフィオレッタがそろって入場すると、いくつもの視線が集まるのを感じた。

 すでに噂は流れているのだろう。

 好奇心。

 憐れみ。

 値踏み。

 社交界の視線というものは、絹のように滑らかで、刃物のように鋭い。

「フィオレッタ様」

 入場して間もなく、何人かの令嬢が声をかけてきた。表向きは親しげな笑顔だが、その目の奥には探る色がある。

「お久しゅうございます」

「ええ、お久しぶりですわ」

「本日は皆様おそろいでいらして、華やかですこと」

「ありがとうございます」

 それ以上の言葉は出ない。

 向こうも踏み込みすぎるのは品がないとわかっている。だが、今夜何か起こるのではないかと期待しているのは隠せていなかった。

 少し離れた場所では、カトリーヌが義母とともに柔らかく微笑んでいる。淡い桃色のドレスは、彼女の可憐さを際立たせるために仕立てられたようだった。守ってやりたくなる、繊細で愛らしい令嬢。まさにそんな印象だ。

 そして、その傍らへギルベルトが現れた。

 今夜の彼は深緑の礼装だった。高い身分の男らしい堂々たる装いで、人目を引く華やかさがある。だがフィオレッタには、その姿がずいぶん空虚に見えた。

 ギルベルトはまず父へ挨拶をし、それから義母へ、最後にカトリーヌへやわらかな視線を向ける。

「今夜はひどくお綺麗だ」

 甘い声音だった。

 カトリーヌが頬を染める。

「そんな……ギルベルト様こそ」

 まるで、すでに婚約者同士であるかのようなやり取り。

 周囲の視線が一段と濃くなったのがわかった。

 フィオレッタは少し離れた場所からその光景を見ていたが、胸は思ったより静かだった。怒りも悔しさもある。だが、あまりにわかりやすく見せつけられると、かえって冷めるのかもしれない。

 やがて、主催であるベルナール伯爵が中央広間で挨拶を始め、音楽が少し控えめになった。舞踏会の正式な開幕だ。

 乾杯が終わり、会場が再びざわめきを取り戻した、その時だった。

「皆の前で、きちんと申し上げたいことがある」

 よく通る男の声が、広間の中央で響いた。

 ギルベルトだった。

 周囲の会話がぴたりと止まる。

 フィオレッタは少しだけ目を伏せた。

 やはり、やるのね。

 ギルベルトは一歩前へ出て、居並ぶ貴族たちを見渡した。その横にはカトリーヌが立ち、義母は少し後ろで娘を支えるように控えている。父は表情を硬くしたまま、あくまで当主としての顔を保とうとしていた。

「ロシュフォール公爵家嫡男として、そしてランベール侯爵家との縁に関わる者として、曖昧なままにしておくべきではないと判断した」

 その口調は、自分が責任ある決断を下す側だと信じきっている男のものだった。

「私は本日をもって、フィオレッタ・ランベール嬢との婚約を解消する意思を、ここに明らかにする」

 広間にどよめきが走る。

 驚いたふりをしている者もいるが、多くは噂を確かめるような目だった。

 フィオレッタは視線を上げた。

 周囲の好奇と憐れみの波が押し寄せてくる。まるで舞台の中心に立たされたようだった。けれど不思議と、足は震えなかった。

 ギルベルトは続ける。

「互いの家のため、そして将来を誤らぬためにも、誤った婚約を正すべきと考えた」

 誤った婚約。

 その言葉に、会場のあちこちで息を呑む音がした。

 誰もが聞きたがるのだ。破綻の瞬間を。しかもそれが高位貴族同士の婚約なら、なおさらだ。

 ギルベルトはそこで、隣のカトリーヌへ手を差し出した。

「私が選ぶのは、カトリーヌ・ランベール嬢だ」

 カトリーヌは、今にも泣きそうな顔でその手を見つめ、ためらうように、だがしっかりとその手に自分の指先を乗せた。

 ざわめきが広がる。

 わかりやすい絵だった。

 守る男。

 怯えた可憐な少女。

 そして捨てられる冷たい姉。

 いかにも社交界が好みそうな物語だ。

「お姉様……」

 カトリーヌが、かすかにフィオレッタのほうを見た。

 悲しげな顔をしている。けれどその目の奥には、勝ち取った者だけが持つ安堵が見えた。

 義母はハンカチを目元に当てている。泣いているふりなのか、本当に感極まっているのか、もうどうでもよかった。

 父が前へ出ようとしたが、その前に、フィオレッタは自分から歩み出た。

 広間の中心へ向かう数歩が、妙に長く感じられた。

 あちこちから視線が突き刺さる。

 哀れな娘を見る目。

 次の反応を期待する目。

 泣くのか、怒るのか、取り乱すのか。

 でもフィオレッタはどれも選ばなかった。

 ギルベルトの前で立ち止まる。

「フィオレッタ」

 彼が言った。どこか、もう終わった話を確認するような口調だった。

「私の決定は、君にも理解できるはずだ」

「理解?」

 フィオレッタは静かに問い返した。

「ええ。よく理解できましたわ」

 広間がしんと静まる。

 ギルベルトは、一瞬だけ眉を動かした。

「ならば」

「あなたが、どれほど軽い方であるか」

 その一言に、周囲が小さく息を呑んだ。

 ギルベルトの顔色が変わる。まさか公の場でそう返されるとは思っていなかったのだろう。

 フィオレッタは続ける。

「婚約とは家同士の約束。けれどあなたにとっては、ご気分ひとつで差し替えられるものだったのですね」

「言葉を慎め」

 低い声だった。だがそこには余裕がなかった。

「慎むべきはどちらでしょう」

 フィオレッタは少しも怯まない。

「婚約を解消なさる自由がないとは申しません。けれど、それを“誤った婚約を正す”と仰るのは、あまりにも礼を失しておりますわ。過ちであったと公言されるほど、私との年月は軽かったのですか」

 ギルベルトは口を開いたが、すぐには言葉が出なかった。

 周囲の貴族たちの視線が、今度は彼へ向かっている。見世物として一方的に断罪するつもりだったのに、逆に問い返されたのだ。さぞ居心地が悪いだろう。

 だが彼はすぐに体勢を立て直した。

「私は正しい選択をしたまでだ」

「そうでしょうね」

 フィオレッタは淡々と言った。

「可憐で、頼ってきて、自分を気分よくさせてくれる娘のほうが、お好みだったのでしょう」

 カトリーヌの顔がさっと青ざめる。

「お姉様……」

「安心なさい、カトリーヌ」

 フィオレッタは義妹を見た。

「あなたが望んだものは、確かに手に入ったわ」

 その言葉の意味を、周囲はどこまで理解しただろうか。

 義妹が自ら婚約者交換を望んだことまで、はっきり知る者はまだ少ない。けれど聡い者なら、いまの一言で十分に察するはずだ。

 義母が慌てて一歩出る。

「フィオレッタさん、今はそのような言い方をなさる場では」

「そうですわね」

 フィオレッタはあっさりとうなずいた。

「では、私も公の場にふさわしく、正式に申し上げます」

 彼女は広間全体を見渡した。

 無数の目が向いている。

 けれど今さら怖くはなかった。どうせもう見世物にされたのだ。ならば、黙って終わる必要もない。

「ランベール侯爵家長女フィオレッタ・ランベールとして、ロシュフォール公爵家嫡男ギルベルト・ド・ロシュフォール様のお申し出を承ります」

 ざわめきがまた広がる。

 受け入れたのだと、誰もが思っただろう。

 けれど次の一言で、そのざわめきの質が変わった。

「ただし、私が受け入れるのは婚約解消そのものだけです」

 ギルベルトの目が細まる。

「どういう意味だ」

「あなたの物語に同意するつもりはない、という意味ですわ」

 静かな声だった。

「私は冷たかったから捨てられたのでも、妹を虐げたから退けられたのでもありません。ただ、あなたがより気分のよい相手を選んだ。それだけのこと。それを“正しさ”と呼ぶかどうかは、社交界の皆様がご判断なさればよろしいでしょう」

 広間のあちこちで、視線が揺れる。

 噂好きの令嬢たち、表情を消す老貴族たち、面白がる若い貴公子たち。皆それぞれに思うところがある顔だった。

 ギルベルトは明らかに不快そうだったが、それでもこの場で怒鳴るほど愚かではないらしい。

「……好きに言うがいい」

「ええ、好きに申し上げます」

 フィオレッタは一礼した。

「今までのお付き合いには感謝いたします。ですが、今宵をもって、私はあなたに対する一切の期待を手放します」

 それは宣言だった。

 捨てられたのではなく、自分から断ち切るための。

 ギルベルトの顔から、わずかに余裕が消える。おそらく彼は、もっと取り乱す姿を想像していたのだろう。泣いて縋るか、怒って醜態を晒すか。そのどちらかを。

 だが現実に目の前にいるのは、背筋を伸ばし、静かな声で婚約者を見限る女だ。

 それが彼には予想外だったに違いない。

「お姉様……」

 カトリーヌがまた呼んだ。

 その声音には、わずかな怯えが混じっていた。勝ったはずなのに、なぜか胸の奥がざわついている、そんな顔だった。

 フィオレッタはもう何も答えなかった。

 父が苦い表情で前へ出て、形式的な収拾を図り始める。ベルナール伯爵も慌てて場を和らげようと声を張り、楽団に合図を送った。止まっていた音楽が、ぎこちなく再開する。

 だが社交界の空気は、一度裂ければ元には戻らない。

 人々は笑顔を作り直しながらも、先ほどの一幕をそれぞれの胸に刻みつけている。今夜のこの出来事は、明日には王都中へ広まるだろう。

 ロシュフォール公爵家嫡男が侯爵令嬢との婚約を公に解消し、義妹を選んだこと。

 そして捨てられたはずの姉が、泣きもせず、堂々とその場を受けたこと。

 フィオレッタは静かにその場を離れようとしたが、その時、背後から低く整った声がした。

「見事でした」

 振り返ると、そこには見知らぬ男が立っていた。

 年はギルベルトより少し上だろうか。淡い金髪を後ろへ流し、薄い色の瞳は驚くほど静かだった。衣装はこの国の流儀とは微妙に異なり、仕立ても装飾も洗練されている。目立つようでいて、下品ではない。

 そして何より、その立ち姿には揺るぎがなかった。

 フィオレッタは一瞬で察した。

 この人だ。

 フェリクス・アルディシア公爵。

 相手もすぐに一礼する。

「初めてお目にかかります。フェリクス・アルディシアです」

 フィオレッタは胸の奥で小さく息を呑んだ。

 噂には聞いていた。若き公爵。冷徹とも理知的とも評される男。けれど実際に目の前に立つその人は、少なくとも冷笑してはいなかった。

「……フィオレッタ・ランベールです」

「存じております」

 フェリクスの声は低く、よく通るが、不思議と圧を感じさせない。

「無礼を承知で申し上げますが、先ほどの場で取り乱さず立っていられたこと、心より敬意を表します」

 慰めではない。

 庇いでもない。

 敬意。

 その言葉が、フィオレッタの胸に静かに落ちた。

 今夜、誰もが自分を哀れむか、見世物として眺めるか、そのどちらかだった。そこへ来て、初めて向けられたまともな言葉だった。

「ありがとうございます」

 それだけ言うのが精一杯だった。

 フェリクスは、ちらりと広間の中央を見た。そこではカトリーヌがギルベルトの傍らに寄り添い、義母と父が周囲へ取り繕っている。

「事情は、ある程度耳にしております」

 彼はそう言った。

「ですが、あのような形で公にされるとは思っておりませんでした」

「私もですわ」

 フィオレッタは正直に答えた。

「ただ、あの方らしいとも思いました」

 フェリクスの口元が、ごくわずかに動いた。笑ったというほどではない。けれど、今の言葉が理解されたことはわかった。

「今宵はお疲れでしょう」

「ええ」

「それでも、あなたが気丈に立っておられたことは、ここにいる多くの者が忘れないでしょう」

 それは気休めではなかった。

 事実として、彼はそう言っているのだ。

 フィオレッタはほんの少しだけ、肩の力が抜けるのを感じた。

「……その記憶が、私にとって悪いものにならなければよいのですが」

「悪くなさいません」

 フェリクスはきっぱりと言った。

「少なくとも、私はそうは受け取りません」

 その一言が、なぜだか胸に残った。

 短い挨拶だけで彼はそれ以上踏み込まず、一礼して去っていく。その背を見送りながら、フィオレッタはようやく、自分が少しだけ息を詰めていたことに気づいた。

「お嬢様!」

 少し遅れてエマが駆け寄ってくる。今夜は外付き侍女として別の場所で待機していたのだ。

「もう戻りましょう。これ以上、ここにおられる必要はございません」

「そうね」

 フィオレッタはうなずいた。

 広間の灯りはまだ華やかで、音楽も流れ続けている。だが、自分にとってこの夜会はもう終わっていた。

 馬車へ戻る途中、夜風が頬に触れる。

 少し冷たい。

 でも、思ったより痛くなかった。

 婚約は、公の場で終わった。

 恥もかかされた。

 明日から噂も広がるだろう。

 それでも――最後まで見苦しく縋らなかったことだけは、自分で自分を認めてやれた。

 そしてもう一つ。

 あの夜会で、自分を哀れみではなく敬意で見た男がいた。

 その事実だけが、長い夜の中で小さな灯のように残っていた。
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