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第11話 変わりゆく夫──小さな成長の始まり
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第11話 変わりゆく夫──小さな成長の始まり
結婚生活が始まって一週間。
イメルダは、夫アルファルファの“ある変化”に気づき始めていた。
それは、ほんの小さな、けれど確かな変化だった。
◆
王城にて、殿下が大臣たちと面会する場面。
かつてのアルファルファならば──
意見を求められた瞬間、
「……」
と黙りこみ、
大臣たちが気まずい顔で助け舟を出すのが常だった。
しかし今日は違った。
「殿下、商会との契約書に署名を求められていますが……」
重苦しい空気が流れる中、
アルファルファは小さく息を吸う。
そして、震える声ながらも言った。
「……これは……少し考えたい。
時 間を……もらえるだろうか」
わずか数秒の沈黙のあと、
大臣が目を丸くした。
「は、はい! もちろんでございます、殿下!」
たったそれだけのこと。
だが、彼にとっては大きな一歩だ。
黙り込み、責任を恐れ、
ただ場を固めてしまうだけだった殿下が──
**“言葉で伝える”**ようになり始めたのだ。
廊下の陰からその様子を見ていたイメルダは、
こっそりと胸元を押さえた。
(殿下……すごい……)
ほんの少しの成長だからこそ、
胸が熱くなる。
◆
その日の午後。
イメルダと話しているときも、
殿下は以前のように黙り込まなくなっていた。
「殿下、この刺繍はいかがです? 来月のお茶会用で……」
きっと、また黙り込んでしまう──
そう思ったイメルダの予想に反して。
「……えっと……その……
とても、きれいだと思う」
そう言ったあと、
殿下は気恥ずかしそうに目をそらした。
イメルダは思わず口元を押さえた。
(かわ……い……)
心臓の跳ね方に、自分でも驚いてしまう。
「殿下。その……ありがとうございます」
「い、いや……その……本当に……きれいで……
似合うと思ったから……」
イメルダは、
胸の奥がじわりと温かくなるのを感じた。
(殿下……昨日よりも……言葉が出てきている……)
夫婦になって、
彼がイメルダに向ける目が変わったことがよく分かる。
慎重で、怖がりで、優しくて、
でも──
ちゃんとイメルダの言葉を受け取り、
返そうと努力してくれている。
それが嬉しかった。
◆
夜。
寝室でも、アルファルファは変わりつつあった。
「……イメルダ。
きょ、今日は……どうだった……?」
以前なら、寝る前に何か言おうとしても
結局言えずに黙り込むだけだった。
だが、今は違う。
「公務……少しだけ……うまくいった気がする。
陛下にも……褒められて……」
「まあ、殿下! 本当に素晴らしいですわ!」
イメルダが心から喜ぶと、
殿下は照れながらも
イメルダの手をそっと握り、ぽつりと呟いた。
「……君がいるから……だと思う。
その……イメルダの言葉が……胸に残っていて……
だから……少し……勇気が出せた」
イメルダの胸が、ふわっと震えた。
(だめ……もう……殿下のことばかり考えてしまう……)
彼を支えていきたい。
その気持ちが、日に日に強くなっていく。
そして──
イメルダの献身が、殿下をさらに大きく変えていくことになる。
その時、王宮の外で蠢く影──
ベータとアルティシアは、まだその変化に気づいていなかった。
---
結婚生活が始まって一週間。
イメルダは、夫アルファルファの“ある変化”に気づき始めていた。
それは、ほんの小さな、けれど確かな変化だった。
◆
王城にて、殿下が大臣たちと面会する場面。
かつてのアルファルファならば──
意見を求められた瞬間、
「……」
と黙りこみ、
大臣たちが気まずい顔で助け舟を出すのが常だった。
しかし今日は違った。
「殿下、商会との契約書に署名を求められていますが……」
重苦しい空気が流れる中、
アルファルファは小さく息を吸う。
そして、震える声ながらも言った。
「……これは……少し考えたい。
時 間を……もらえるだろうか」
わずか数秒の沈黙のあと、
大臣が目を丸くした。
「は、はい! もちろんでございます、殿下!」
たったそれだけのこと。
だが、彼にとっては大きな一歩だ。
黙り込み、責任を恐れ、
ただ場を固めてしまうだけだった殿下が──
**“言葉で伝える”**ようになり始めたのだ。
廊下の陰からその様子を見ていたイメルダは、
こっそりと胸元を押さえた。
(殿下……すごい……)
ほんの少しの成長だからこそ、
胸が熱くなる。
◆
その日の午後。
イメルダと話しているときも、
殿下は以前のように黙り込まなくなっていた。
「殿下、この刺繍はいかがです? 来月のお茶会用で……」
きっと、また黙り込んでしまう──
そう思ったイメルダの予想に反して。
「……えっと……その……
とても、きれいだと思う」
そう言ったあと、
殿下は気恥ずかしそうに目をそらした。
イメルダは思わず口元を押さえた。
(かわ……い……)
心臓の跳ね方に、自分でも驚いてしまう。
「殿下。その……ありがとうございます」
「い、いや……その……本当に……きれいで……
似合うと思ったから……」
イメルダは、
胸の奥がじわりと温かくなるのを感じた。
(殿下……昨日よりも……言葉が出てきている……)
夫婦になって、
彼がイメルダに向ける目が変わったことがよく分かる。
慎重で、怖がりで、優しくて、
でも──
ちゃんとイメルダの言葉を受け取り、
返そうと努力してくれている。
それが嬉しかった。
◆
夜。
寝室でも、アルファルファは変わりつつあった。
「……イメルダ。
きょ、今日は……どうだった……?」
以前なら、寝る前に何か言おうとしても
結局言えずに黙り込むだけだった。
だが、今は違う。
「公務……少しだけ……うまくいった気がする。
陛下にも……褒められて……」
「まあ、殿下! 本当に素晴らしいですわ!」
イメルダが心から喜ぶと、
殿下は照れながらも
イメルダの手をそっと握り、ぽつりと呟いた。
「……君がいるから……だと思う。
その……イメルダの言葉が……胸に残っていて……
だから……少し……勇気が出せた」
イメルダの胸が、ふわっと震えた。
(だめ……もう……殿下のことばかり考えてしまう……)
彼を支えていきたい。
その気持ちが、日に日に強くなっていく。
そして──
イメルダの献身が、殿下をさらに大きく変えていくことになる。
その時、王宮の外で蠢く影──
ベータとアルティシアは、まだその変化に気づいていなかった。
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