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第12話 王妃教育と、少し拗ねる殿下
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第12話 王妃教育と、少し拗ねる殿下
結婚から十日ほどが過ぎ、
イメルダのもとには“王妃教育”の予定が次々と入りはじめた。
礼儀作法、外交儀礼、歴史学、文書処理……
名門の娘として基本はすべて身についているが、
「王妃」としての教育は想像以上に緻密で、時間も取られる。
そのため──
殿下と過ごす時間が、以前より短くなってしまった。
◆
イメルダが王妃教育のために席を立つと、
アルファルファは、ほんの少しだけ目を伏せた。
「……今日も行くのか……?」
「はい、殿下。午後は外交儀礼の講義がございますわ」
「そ、そうか……その……がんばって……」
その言い方が、どこか寂しげで、
子犬のように尾を垂れた雰囲気に見える。
(なっ……殿下、そんな顔をなさらないでくださいまし……!
罪悪感が……胸に……刺さりますのよ……!)
しかしイメルダは、
あえて毅然と微笑んで見せる。
「殿下の王妃としてふさわしいように、努力いたしますわ。
どうか行ってまいりますね」
「……うん」
それでも、殿下の声はどこか不満げだった。
◆
夕方、教育を終えて戻ると──
珍しく、アルファルファが部屋の前で待っていた。
「……おかえり、イメルダ」
「殿下? わざわざここで……?」
「う、うん……
君の帰りを……待っていた……少しだけ……」
いつもなら廊下で立ち尽くすだけの殿下が、
今はイメルダのほうに一歩近づき、
胸の前で手をぎこちなく握りしめている。
イメルダの胸はきゅんと鳴った。
「お待たせしてしまい、申し訳ございません」
「謝らなくて……いい。ただ……」
殿下は言葉を探すように視線を泳がせ、
ぽつりと言った。
「君と……話したくて……」
イメルダは頬が緩みそうになるのを必死にこらえた。
(殿下……かわいい……!
これはもう……かわいすぎますわ……!)
◆
夕食後。
侍従が茶を運び出たあと、
二人きりの静かな時間が降りてくる。
殿下は、カップを指先で撫でながら、控えめに口を開いた。
「その……王妃の勉強……大変だろう……?」
「ええ、難しいことも多いですが……
殿下のお力になれるのなら、努力いたしますわ」
「……そう、か。君が……がんばっているのは……わかる」
言いかけて、殿下は視線を落とした。
イメルダはゆっくりと問いかける。
「殿下……何か、お悩みで?」
「……いや……悩みというか……」
殿下はほんの少しだけがっかりしたように言った。
小さな声で、でも確かに。
「……もっと……君と話したい……だけ」
イメルダの胸が跳ねた。
(なんて……なんて……愛しい……!)
王子からの“もっと一緒にいたい”という言葉に、
イメルダは一瞬で沼に沈む。
震える声で返す。
「殿下……わ、わたくしも……
もっと殿下と時間を過ごしたいと思っておりますわ……」
その言葉に、アルファルファは照れながらも微笑んだ。
「そ、そうか……よかった……」
その表情が、あまりに優しくて──
イメルダは思わず胸に手を当ててしまう。
(だめ……もう……殿下のことばかり考えてしまう……)
◆
その夜、寝室。
殿下は、イメルダを抱き寄せながら、
少しだけ拗ねたように囁いた。
「……昼間……君が隣にいないと……
なんだか……落ち着かなくて……」
イメルダは殿下の胸に顔を埋めた。
「殿下……そんなことを言われたら……
明日も……がんばれなくなってしまいますわ……」
「……じゃあ……夜は……もっと……君にいてほしい」
耳元に落ちた甘い言葉に、
イメルダは一瞬で真っ赤になった。
そして──その夜、
二人はゆっくりと寄り添い、
以前よりさらに深く惹かれ合った。
イメルダの努力は、
殿下の心を確実に変え始めている。
その変化は、
次第に王宮内でも囁かれ始めることになるのだった。
結婚から十日ほどが過ぎ、
イメルダのもとには“王妃教育”の予定が次々と入りはじめた。
礼儀作法、外交儀礼、歴史学、文書処理……
名門の娘として基本はすべて身についているが、
「王妃」としての教育は想像以上に緻密で、時間も取られる。
そのため──
殿下と過ごす時間が、以前より短くなってしまった。
◆
イメルダが王妃教育のために席を立つと、
アルファルファは、ほんの少しだけ目を伏せた。
「……今日も行くのか……?」
「はい、殿下。午後は外交儀礼の講義がございますわ」
「そ、そうか……その……がんばって……」
その言い方が、どこか寂しげで、
子犬のように尾を垂れた雰囲気に見える。
(なっ……殿下、そんな顔をなさらないでくださいまし……!
罪悪感が……胸に……刺さりますのよ……!)
しかしイメルダは、
あえて毅然と微笑んで見せる。
「殿下の王妃としてふさわしいように、努力いたしますわ。
どうか行ってまいりますね」
「……うん」
それでも、殿下の声はどこか不満げだった。
◆
夕方、教育を終えて戻ると──
珍しく、アルファルファが部屋の前で待っていた。
「……おかえり、イメルダ」
「殿下? わざわざここで……?」
「う、うん……
君の帰りを……待っていた……少しだけ……」
いつもなら廊下で立ち尽くすだけの殿下が、
今はイメルダのほうに一歩近づき、
胸の前で手をぎこちなく握りしめている。
イメルダの胸はきゅんと鳴った。
「お待たせしてしまい、申し訳ございません」
「謝らなくて……いい。ただ……」
殿下は言葉を探すように視線を泳がせ、
ぽつりと言った。
「君と……話したくて……」
イメルダは頬が緩みそうになるのを必死にこらえた。
(殿下……かわいい……!
これはもう……かわいすぎますわ……!)
◆
夕食後。
侍従が茶を運び出たあと、
二人きりの静かな時間が降りてくる。
殿下は、カップを指先で撫でながら、控えめに口を開いた。
「その……王妃の勉強……大変だろう……?」
「ええ、難しいことも多いですが……
殿下のお力になれるのなら、努力いたしますわ」
「……そう、か。君が……がんばっているのは……わかる」
言いかけて、殿下は視線を落とした。
イメルダはゆっくりと問いかける。
「殿下……何か、お悩みで?」
「……いや……悩みというか……」
殿下はほんの少しだけがっかりしたように言った。
小さな声で、でも確かに。
「……もっと……君と話したい……だけ」
イメルダの胸が跳ねた。
(なんて……なんて……愛しい……!)
王子からの“もっと一緒にいたい”という言葉に、
イメルダは一瞬で沼に沈む。
震える声で返す。
「殿下……わ、わたくしも……
もっと殿下と時間を過ごしたいと思っておりますわ……」
その言葉に、アルファルファは照れながらも微笑んだ。
「そ、そうか……よかった……」
その表情が、あまりに優しくて──
イメルダは思わず胸に手を当ててしまう。
(だめ……もう……殿下のことばかり考えてしまう……)
◆
その夜、寝室。
殿下は、イメルダを抱き寄せながら、
少しだけ拗ねたように囁いた。
「……昼間……君が隣にいないと……
なんだか……落ち着かなくて……」
イメルダは殿下の胸に顔を埋めた。
「殿下……そんなことを言われたら……
明日も……がんばれなくなってしまいますわ……」
「……じゃあ……夜は……もっと……君にいてほしい」
耳元に落ちた甘い言葉に、
イメルダは一瞬で真っ赤になった。
そして──その夜、
二人はゆっくりと寄り添い、
以前よりさらに深く惹かれ合った。
イメルダの努力は、
殿下の心を確実に変え始めている。
その変化は、
次第に王宮内でも囁かれ始めることになるのだった。
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