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第15話 二人の絆が深まる夜、そして小さな誤解
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第15話 二人の絆が深まる夜、そして小さな誤解
アルティシアの冷たい言葉を受けたその夜。
イメルダは寝室で、静かに鏡の前に座っていた。
(……殿下を侮辱されるのは……胸が痛みますわ……)
決して言い返せなかったわけではない。
ただ──
アルティシアに向かって感情的になることは、
殿下のためにも、王妃としても避けるべきだった。
イメルダは鏡に映る自分にそっと触れた。
(殿下のために……もっとしっかりしなくては)
そう決意していると、
寝室の扉が控えめにノックされた。
「……イメルダ、入ってもいいか……?」
アルファルファの声だ。
「もちろんですわ、殿下」
扉が静かに開き、殿下がそろりと入ってきた。
どこか落ち着かない様子で、手を胸の前にぎゅっと握りしめている。
◆
「イメルダ……その……今日……何かあったのか……?」
唐突な問いにイメルダは目を瞬いた。
「えっ……なぜ、そう思われましたの?」
「……夕方……君の顔……少し……悲しそうだったから……」
イメルダの心がふるりと震えた。
(殿下……そんなに気にしてくださっていたの……?)
思わず微笑んでしまう。
「殿下……お気づきだったのですね」
「う……うん。
言ったほうがいいか……言わないほうがいいか……
ずっと……迷っていた……」
首まで赤くしながら言う殿下が、
あまりにも愛おしくて胸が痛む。
(だめ……もう……殿下のことばかり考えてしまう……)
イメルダは静かに首を振る。
「殿下……少し、嫌味を言われただけですわ。
でも……わたくしは平気です」
殿下の眉がぎゅっと寄る。
「……誰に……?」
イメルダは一瞬だけ、答えるのをためらった。
殿下を煽るような真似は避けたい。
だが──
殿下は優しい声で言った。
「……言いたくなければ……言わなくていい。
ただ……君が傷ついていたのなら……
それが……嫌なんだ……」
その言葉は、
イメルダの心を一瞬で溶かした。
◆
「殿下……」
イメルダは静かに殿下の胸に額を寄せた。
殿下は驚いたように固まり、ぎこちなくもイメルダの背に手を回す。
「わたくしは……殿下のこと……尊敬しております。
誰が何を言おうと……殿下のお人柄を信じていますわ」
殿下の肩がびくりと震えた。
「……そ……そんなふうに言われたら……
僕は……」
イメルダは顔を上げる。
殿下の目はうるんでいて、
まるで言葉を探している子どものようだった。
「……僕は……もっと……君にふさわしい男になりたい……」
イメルダの胸が締め付けられる。
(殿下……そんなこと……言わないで……
もう十分、素晴らしい方ですのに……)
言葉が出てこなくなり、
その代わりにイメルダは殿下の手をそっと握った。
「殿下……ゆっくりでいいのです。
わたくしは……殿下の歩みに合わせてまいりますわ」
殿下はゆっくりと頷き、
静かに、イメルダを抱きしめた。
そして、いつものように、
控えめなキスを額に落としてくれる。
イメルダの頬はまた紅く染まり、
胸の奥がふわりと温かくなる。
◆
しかし──
その甘い空気は、
床に落ちた「小さなひっかかり」によって揺らぐことになる。
翌朝。
殿下が机に置かれた文書に目を通していると、
何気なく呟いた。
「……イメルダ……アルティシアとも……仲良くしたほうが……」
イメルダはぴたりと固まった。
(殿下……どうして……その名前が?)
殿下は何も知らない無邪気な表情のまま続ける。
「きょ、距離があると……国のためにも……よくないから……」
イメルダは穏やかに微笑んで返したものの──
胸の奥に、針のような痛みが残った。
(……殿下は何もご存じないから……。
でも……あの人と仲良くなんて……できません)
小さな誤解が、
イメルダの胸に静かに沈んだまま、
解けないままでいた。
その小さな影が、
やがて大きな争いを呼ぶなど──
この時の二人はまだ気づいていなかった。
アルティシアの冷たい言葉を受けたその夜。
イメルダは寝室で、静かに鏡の前に座っていた。
(……殿下を侮辱されるのは……胸が痛みますわ……)
決して言い返せなかったわけではない。
ただ──
アルティシアに向かって感情的になることは、
殿下のためにも、王妃としても避けるべきだった。
イメルダは鏡に映る自分にそっと触れた。
(殿下のために……もっとしっかりしなくては)
そう決意していると、
寝室の扉が控えめにノックされた。
「……イメルダ、入ってもいいか……?」
アルファルファの声だ。
「もちろんですわ、殿下」
扉が静かに開き、殿下がそろりと入ってきた。
どこか落ち着かない様子で、手を胸の前にぎゅっと握りしめている。
◆
「イメルダ……その……今日……何かあったのか……?」
唐突な問いにイメルダは目を瞬いた。
「えっ……なぜ、そう思われましたの?」
「……夕方……君の顔……少し……悲しそうだったから……」
イメルダの心がふるりと震えた。
(殿下……そんなに気にしてくださっていたの……?)
思わず微笑んでしまう。
「殿下……お気づきだったのですね」
「う……うん。
言ったほうがいいか……言わないほうがいいか……
ずっと……迷っていた……」
首まで赤くしながら言う殿下が、
あまりにも愛おしくて胸が痛む。
(だめ……もう……殿下のことばかり考えてしまう……)
イメルダは静かに首を振る。
「殿下……少し、嫌味を言われただけですわ。
でも……わたくしは平気です」
殿下の眉がぎゅっと寄る。
「……誰に……?」
イメルダは一瞬だけ、答えるのをためらった。
殿下を煽るような真似は避けたい。
だが──
殿下は優しい声で言った。
「……言いたくなければ……言わなくていい。
ただ……君が傷ついていたのなら……
それが……嫌なんだ……」
その言葉は、
イメルダの心を一瞬で溶かした。
◆
「殿下……」
イメルダは静かに殿下の胸に額を寄せた。
殿下は驚いたように固まり、ぎこちなくもイメルダの背に手を回す。
「わたくしは……殿下のこと……尊敬しております。
誰が何を言おうと……殿下のお人柄を信じていますわ」
殿下の肩がびくりと震えた。
「……そ……そんなふうに言われたら……
僕は……」
イメルダは顔を上げる。
殿下の目はうるんでいて、
まるで言葉を探している子どものようだった。
「……僕は……もっと……君にふさわしい男になりたい……」
イメルダの胸が締め付けられる。
(殿下……そんなこと……言わないで……
もう十分、素晴らしい方ですのに……)
言葉が出てこなくなり、
その代わりにイメルダは殿下の手をそっと握った。
「殿下……ゆっくりでいいのです。
わたくしは……殿下の歩みに合わせてまいりますわ」
殿下はゆっくりと頷き、
静かに、イメルダを抱きしめた。
そして、いつものように、
控えめなキスを額に落としてくれる。
イメルダの頬はまた紅く染まり、
胸の奥がふわりと温かくなる。
◆
しかし──
その甘い空気は、
床に落ちた「小さなひっかかり」によって揺らぐことになる。
翌朝。
殿下が机に置かれた文書に目を通していると、
何気なく呟いた。
「……イメルダ……アルティシアとも……仲良くしたほうが……」
イメルダはぴたりと固まった。
(殿下……どうして……その名前が?)
殿下は何も知らない無邪気な表情のまま続ける。
「きょ、距離があると……国のためにも……よくないから……」
イメルダは穏やかに微笑んで返したものの──
胸の奥に、針のような痛みが残った。
(……殿下は何もご存じないから……。
でも……あの人と仲良くなんて……できません)
小さな誤解が、
イメルダの胸に静かに沈んだまま、
解けないままでいた。
その小さな影が、
やがて大きな争いを呼ぶなど──
この時の二人はまだ気づいていなかった。
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