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第23話 イメルダ、初めて見る“国王教育の殿下”に驚く
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第23話 イメルダ、初めて見る“国王教育の殿下”に驚く
翌日。
イメルダは王家の書庫前に立ち尽くしていた。
侍女が困ったように声をかける。
「殿下妃様……本日は、殿下の“国王教育の講義”を見学されるのですよね?」
「え、ええ……そのつもりでしたけれど……」
イメルダは少し緊張していた。
昨夜――
“あの夜”を経て、
殿下に対する感情がまるで別物になった気がする。
朝のキス。
呼び捨て。
さりげない気遣い。
(だめ……考えるだけで胸が……)
自分がこんなにも殿下のことで頭がいっぱいになるとは、
イメルダ自身が一番驚いていた。
(しっかりしないと……私は政略結婚で王妃となる身ですわ。
公務を見学するだけなのに……なんでこんなに緊張してるの……?)
◆
扉をそっと開けると――
そこには机に向かい、
書類を前に真剣な表情でペンを走らせる殿下の姿があった。
「…………!」
イメルダは思わず息をのんだ。
いつもオロオロしている殿下。
人の目を気にして、気弱で、不器用で。
そんな彼の姿はそこにはない。
そこにいたのは――
“未来の王”にふさわしい姿勢のアルファルファ殿下。
真剣な横顔。
慎重に読み込み、
丁寧に一字一句確認しながら書き込む。
講師の側近が説明する。
「殿下は、もともと文官としての能力は高いのです。
ただ、人前に出るとお緊張なさって……」
「そ、その……殿下は書類を読むのが苦手なのでは……?」
イメルダが小声で尋ねると、
側近は驚いたように目を見開いた。
「まさか!
殿下は幼少期から“文章を読む速度と理解力”は宮廷一です。
ただ……人前ですと、うまく発言できず誤解されることが多いのです」
「そ、そんな……」
(誤解……ずっと誤解されていた……?
それなのに私は……“ダメ殿下”なんて……)
胸がチクリと痛んだ。
◆
「……ふぅ」
殿下が書類を置き、肩を回した。
その動きすら以前より堂々として見える。
講師が尋ねる。
「殿下。この税制改正案について、
ご意見を伺ってもよろしいでしょうか?」
イメルダは固唾を飲む。
以前の殿下なら――
こんな時は必ず黙り込み、視線を泳がせてしまっていた。
だが殿下は、
ほんの少し目線を落とし、
静かに言葉を選んだ。
「……少し時間をいただけますか?
決断を急いで失敗するより、
慎重に確認したいのです。
……私の性格上、性急な判断は向いておりませんので」
その言葉に、講師は微笑んだ。
「殿下の慎重さは長所です。
王となる者にとって、最大の美徳でもあります」
イメルダの胸がじんわりと熱くなる。
(慎重……深く考える……
それって、誠実で責任感のあることですわ……
今まで私は……“気弱”と決めつけていた……)
講師がさらに続ける。
「殿下の特徴は、“考えすぎるほど丁寧”という点。
即断しないのは、逃げているのではなく、
“失敗しないように誠実であろうとしている”からです」
イメルダは唇を震わせた。
(そんな……そんなこと……知らなかった……
私は、殿下を誤解していた……)
◆
講義が終わり、殿下が席を立つ。
ふと視線が合い、
殿下はほんの少し照れたように笑った。
「……イメルダ。来ていたんだね」
「は、はい……」
「……その、さっきは……見苦しいところを見せたかもしれないが……」
(見苦しい?
どこがですの!?
むしろ……素敵でしたわ……!)
しかし声に出せず、
イメルダは小さく首を振る。
「いえ……
殿下は……とても立派でしたわ」
殿下は頬を掻きながら、
少しだけふわっと笑う。
「……そう言ってもらえると……嬉しい」
イメルダの胸が跳ねる。
(だめ……本当に……殿下のことばかり……)
彼女は自分でも知らぬうちに、
殿下の袖をそっと掴んでいた。
「イメルダ?」
「……その……失礼いたしました……!」
慌てて手を離したイメルダに、
殿下は柔らかく微笑んだ。
「また……見に来てほしい。
イメルダに見られても……もう嫌ではないから」
イメルダは瞳を大きく見開いた。
(もう……嫌ではない……?
それって……)
言葉にできない喜びが胸にあふれていく。
そしてイメルダはそっと呟いた。
「殿下……
私は……殿下のことを……もっと知りたいですわ」
殿下は一瞬驚き、
そして優しく頷いた。
「……僕もだよ、イメルダ」
◆
この瞬間、二人の距離は
確かに縮まり始めた。
だがその裏で――
ベータとアルティシアの“策動”も本格的に動き始める。
それは……
やがて自らの首を絞める糸となることも知らずに。
---
翌日。
イメルダは王家の書庫前に立ち尽くしていた。
侍女が困ったように声をかける。
「殿下妃様……本日は、殿下の“国王教育の講義”を見学されるのですよね?」
「え、ええ……そのつもりでしたけれど……」
イメルダは少し緊張していた。
昨夜――
“あの夜”を経て、
殿下に対する感情がまるで別物になった気がする。
朝のキス。
呼び捨て。
さりげない気遣い。
(だめ……考えるだけで胸が……)
自分がこんなにも殿下のことで頭がいっぱいになるとは、
イメルダ自身が一番驚いていた。
(しっかりしないと……私は政略結婚で王妃となる身ですわ。
公務を見学するだけなのに……なんでこんなに緊張してるの……?)
◆
扉をそっと開けると――
そこには机に向かい、
書類を前に真剣な表情でペンを走らせる殿下の姿があった。
「…………!」
イメルダは思わず息をのんだ。
いつもオロオロしている殿下。
人の目を気にして、気弱で、不器用で。
そんな彼の姿はそこにはない。
そこにいたのは――
“未来の王”にふさわしい姿勢のアルファルファ殿下。
真剣な横顔。
慎重に読み込み、
丁寧に一字一句確認しながら書き込む。
講師の側近が説明する。
「殿下は、もともと文官としての能力は高いのです。
ただ、人前に出るとお緊張なさって……」
「そ、その……殿下は書類を読むのが苦手なのでは……?」
イメルダが小声で尋ねると、
側近は驚いたように目を見開いた。
「まさか!
殿下は幼少期から“文章を読む速度と理解力”は宮廷一です。
ただ……人前ですと、うまく発言できず誤解されることが多いのです」
「そ、そんな……」
(誤解……ずっと誤解されていた……?
それなのに私は……“ダメ殿下”なんて……)
胸がチクリと痛んだ。
◆
「……ふぅ」
殿下が書類を置き、肩を回した。
その動きすら以前より堂々として見える。
講師が尋ねる。
「殿下。この税制改正案について、
ご意見を伺ってもよろしいでしょうか?」
イメルダは固唾を飲む。
以前の殿下なら――
こんな時は必ず黙り込み、視線を泳がせてしまっていた。
だが殿下は、
ほんの少し目線を落とし、
静かに言葉を選んだ。
「……少し時間をいただけますか?
決断を急いで失敗するより、
慎重に確認したいのです。
……私の性格上、性急な判断は向いておりませんので」
その言葉に、講師は微笑んだ。
「殿下の慎重さは長所です。
王となる者にとって、最大の美徳でもあります」
イメルダの胸がじんわりと熱くなる。
(慎重……深く考える……
それって、誠実で責任感のあることですわ……
今まで私は……“気弱”と決めつけていた……)
講師がさらに続ける。
「殿下の特徴は、“考えすぎるほど丁寧”という点。
即断しないのは、逃げているのではなく、
“失敗しないように誠実であろうとしている”からです」
イメルダは唇を震わせた。
(そんな……そんなこと……知らなかった……
私は、殿下を誤解していた……)
◆
講義が終わり、殿下が席を立つ。
ふと視線が合い、
殿下はほんの少し照れたように笑った。
「……イメルダ。来ていたんだね」
「は、はい……」
「……その、さっきは……見苦しいところを見せたかもしれないが……」
(見苦しい?
どこがですの!?
むしろ……素敵でしたわ……!)
しかし声に出せず、
イメルダは小さく首を振る。
「いえ……
殿下は……とても立派でしたわ」
殿下は頬を掻きながら、
少しだけふわっと笑う。
「……そう言ってもらえると……嬉しい」
イメルダの胸が跳ねる。
(だめ……本当に……殿下のことばかり……)
彼女は自分でも知らぬうちに、
殿下の袖をそっと掴んでいた。
「イメルダ?」
「……その……失礼いたしました……!」
慌てて手を離したイメルダに、
殿下は柔らかく微笑んだ。
「また……見に来てほしい。
イメルダに見られても……もう嫌ではないから」
イメルダは瞳を大きく見開いた。
(もう……嫌ではない……?
それって……)
言葉にできない喜びが胸にあふれていく。
そしてイメルダはそっと呟いた。
「殿下……
私は……殿下のことを……もっと知りたいですわ」
殿下は一瞬驚き、
そして優しく頷いた。
「……僕もだよ、イメルダ」
◆
この瞬間、二人の距離は
確かに縮まり始めた。
だがその裏で――
ベータとアルティシアの“策動”も本格的に動き始める。
それは……
やがて自らの首を絞める糸となることも知らずに。
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