婚約破棄されたけれど、頼りない第一王子様と結婚したら溺愛されました

しおしお

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第24話 ベータの“兄を貶める計画”が動き出す

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第24話 ベータの“兄を貶める計画”が動き出す

王宮の一角にある第二王子ベータの私室。
豪奢だが趣味の悪い装飾が目立つ室内で、
ベータとアルティシアは密談をしていた。

「兄上の“慎重さ”を長所だと?
 笑わせるな……!
 あれはただの優柔不断だろうが!」

ベータが怒鳴ると、
アルティシアは落ち着いた笑みで扇子を鳴らした。

「殿下……感情的になっては負けですわ。
 あくまで“兄上が無能に見える状況”を作るのが、私たちの目的」

「……まあな。だがどうやる?」

アルティシアは手元の書類を机に広げた。

「この国の政務は複雑ですわ。
 書類ひとつで判断を誤れば、
 王太子どころか、王族すら信用を失います」

「おい……それ、兄上に失敗させるつもりか?」

「ええ」

アルティシアは微笑む。

「殿下の“慎重さ”は、裏返せば“遅い”ということ。
 決断を急がせれば急がせるほど、兄上は困る」

ベータの表情にニヤリと笑みが浮かぶ。

「なるほど。
 兄上に不利な案件を急がせれば……兄上は混乱し、信用を失う」

アルティシアは頷いた。

「そう。
 本来なら兄上の慎重さは美徳ですが……
 周りが“早く決めろ”と煽ってしまえば、
 その美徳は“欠点”に変わりますわ」

ベータは舌なめずりをした。

「で、どんな案件をぶつける?」

「税制改正案、貴族派閥の融和案、隣国への外交文書……
 どれも兄上には荷が重いでしょうね」

「ふん……兄上は書類に強いらしいが、
 あいつ……決断の場では絶対に詰まる」

アルティシアはさらに続けた。

「さらに、“周囲の目”が多い場を選びます。
 兄上が、たくさんの貴族や官僚の前で、
 言葉を詰まらせるよう誘導するのです」

「……それは面白い。
 兄上が恥をかくほど、俺は次期王としての評価を上げられる」

「ですが――」

アルティシアはベータの袖を軽く引き、

「イメルダが邪魔ですわ」

と真顔で告げた。

「……あいつか……!」

「イメルダが兄上を“支えている”限り、
 兄上は思った以上に強くなりかねません。
 あの女……兄上の弱さすら肯定するから厄介ですわ」

アルティシアは扇子を閉じ、冷たく目を細めた。

「ですから、イメルダにも“兄上を見る目を失わせなければなりません。”」

「どうするつもりだ?」

「簡単ですわ。
 “兄上がイメルダを軽んじているように見せる”のです」

ベータは吹き出した。

「ははっ! 兄上の誠実さが裏目に出るわけだ!」

「ええ。
 イメルダが殿下に不信感を抱けば、
 兄上は支えを失います。
 そうなれば……兄上はますます混乱なさるはず」

アルティシアは、ゆっくりと手帳を閉じる。

「殿下……兄上から“王としての信頼”だけでなく、
 “妻の信頼”まで奪ってしまいましょう」

ベータは満足そうに頷いた。

「いいだろう。
 兄上が国王の器だなんて、そんな馬鹿な話……
 俺が全部ひっくり返してやる!」



しかし――

この二人はまだ知らない。

アルファルファ殿下は“優柔不断”ではなく、

責任ある決断をするために“慎重に考える男”だということを。

そして彼が最も大切にするのは、

イメルダの心。

だからこそ――
この二人の計画は後に、
自分たちの首を絞める結果となる。

だが今はまだ、気づかない。


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