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第25話 イメルダ、殿下の“迷いと誠実”を知り、さらに惹かれてしまう
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第25話 イメルダ、殿下の“迷いと誠実”を知り、さらに惹かれてしまう
夕方。
王宮の窓から差し込む柔らかな光が、
執務室の机いっぱいに広がる書類を照らしていた。
イメルダは侍女に案内され、
殿下の執務室へ向かった。
(殿下……今日もお忙しいのでしょうけれど……
せめて、お茶だけでも差し上げたくて)
胸の奥が、そわそわと甘い緊張で満ちている。
昨夜以来、
彼に触れられるたび、名前を呼ばれるたび、
心は勝手に熱を帯びてしまう。
(だめ……もう本当に……殿下のことばかり……)
◆
ノックをすると、控えめな声が返る。
「……どうぞ」
扉を開くと、
殿下が書類の山を前に難しい顔をしていた。
「殿下、イメルダでございます。
お疲れではないかと……その、差し入れを」
「……ありがとう、イメルダ」
殿下は驚いたように顔を上げ、柔らかく微笑んだ。
その笑顔だけで――胸が震える。
「座ってもいいか?」
「え、ええ……もちろんですわ!」
イメルダが椅子を引くと、
殿下は少し照れながら座った。
イメルダはお茶を淹れ、
そっと殿下の前へ置いた。
「殿下、お疲れなのですね……?」
「……少し、悩んでいる」
殿下は手元の書類を見つめながら、
ぽつりと語り始めた。
「今日……国王陛下から大きな案件を任されたんだ。
貴族派と市民派の融和政策。
国の未来を左右しかねない案件だ」
イメルダは息を呑む。
重大な政務だ。
その決断には慎重にも慎重を期さねばならない。
「殿下……ご自分を責めてはいませんか?」
殿下は驚いたようにイメルダを見る。
「……なぜ、そう思う?」
(だって……分かるから)
イメルダは静かに答える。
「殿下は……いつも慎重で、誠実で……
だからこそ、“正しく決められないかもしれない”と
ご自分を責めてしまうところがあります」
殿下はしばし沈黙し――
苦笑した。
「……僕は本当に弱いんだな」
「ち、違いますわ!」
イメルダは思わず立ち上がり、机に手をついた。
「殿下は弱くなんてありません!
むしろ……誰よりも強い方です!」
殿下が驚いて目を見開く。
イメルダは頬を紅潮させながら続ける。
「即断即決できることだけが“強さ”ではありません。
大切なことほど慎重になるのは……責任感があるからですわ。
殿下は“逃げるために黙る”のではなく、
“正しい道を選ぶために考えている”のです」
殿下は、胸を押さえるように小さく息を呑んだ。
「イメルダ……君は……どうしてそんなふうに……僕を……」
(あなたを好きだから……)
その言葉が喉までこみ上げる。
でも、まだ言えない。
代わりに――
イメルダはそっと微笑んだ。
「私には……殿下の良いところが、たくさん見えますわ。
誰よりも真面目で、誠実で、優しいところ……
私は……それを知っていますもの」
殿下は照れたように目を逸らす。
しかしその頬は――
わずかに赤い。
イメルダはさらにそっと続けた。
「殿下……今の殿下は……
“慎重であるからこそ、正しい道を選べる方”です。
私は……それが好き……いえ、尊敬しておりますわ」
殿下は目を閉じ、深く息を吸ってから――
ゆっくりと立ち上がった。
イメルダの前に歩み寄り、
その手を両手で包み込む。
「……僕の弱さも、強さも……
全部を見て……それでも“そばにいたい”と言ってくれる君を……
僕は……大切にしたい。
君の期待に応えられるような男になりたい」
イメルダの胸が熱くなる。
(殿下……そんな……そんな言葉……)
殿下は、不器用で控えめながらも、
はっきりとイメルダを見つめた。
「イメルダ……
君が支えてくれるなら……
僕は変われると思う」
イメルダは目を潤ませ、
震える声で返した。
「はい……殿下……
私は、殿下を……いつまでも支えますわ」
二人の距離が自然と近づき――
殿下はそっとイメルダの額に口づけを落とした。
優しく、愛おしく、深い誠実さを込めて。
イメルダの心臓は大きく跳ねる。
(ああ……だめ……
本当に……殿下のことばかり……)
◆
しかし、二人の絆が深まるほど、
ベータとアルティシアの焦りは増し、
動きは加速していく。
その火種はすでに――
王宮内で静かに広がりつつあった。
-
夕方。
王宮の窓から差し込む柔らかな光が、
執務室の机いっぱいに広がる書類を照らしていた。
イメルダは侍女に案内され、
殿下の執務室へ向かった。
(殿下……今日もお忙しいのでしょうけれど……
せめて、お茶だけでも差し上げたくて)
胸の奥が、そわそわと甘い緊張で満ちている。
昨夜以来、
彼に触れられるたび、名前を呼ばれるたび、
心は勝手に熱を帯びてしまう。
(だめ……もう本当に……殿下のことばかり……)
◆
ノックをすると、控えめな声が返る。
「……どうぞ」
扉を開くと、
殿下が書類の山を前に難しい顔をしていた。
「殿下、イメルダでございます。
お疲れではないかと……その、差し入れを」
「……ありがとう、イメルダ」
殿下は驚いたように顔を上げ、柔らかく微笑んだ。
その笑顔だけで――胸が震える。
「座ってもいいか?」
「え、ええ……もちろんですわ!」
イメルダが椅子を引くと、
殿下は少し照れながら座った。
イメルダはお茶を淹れ、
そっと殿下の前へ置いた。
「殿下、お疲れなのですね……?」
「……少し、悩んでいる」
殿下は手元の書類を見つめながら、
ぽつりと語り始めた。
「今日……国王陛下から大きな案件を任されたんだ。
貴族派と市民派の融和政策。
国の未来を左右しかねない案件だ」
イメルダは息を呑む。
重大な政務だ。
その決断には慎重にも慎重を期さねばならない。
「殿下……ご自分を責めてはいませんか?」
殿下は驚いたようにイメルダを見る。
「……なぜ、そう思う?」
(だって……分かるから)
イメルダは静かに答える。
「殿下は……いつも慎重で、誠実で……
だからこそ、“正しく決められないかもしれない”と
ご自分を責めてしまうところがあります」
殿下はしばし沈黙し――
苦笑した。
「……僕は本当に弱いんだな」
「ち、違いますわ!」
イメルダは思わず立ち上がり、机に手をついた。
「殿下は弱くなんてありません!
むしろ……誰よりも強い方です!」
殿下が驚いて目を見開く。
イメルダは頬を紅潮させながら続ける。
「即断即決できることだけが“強さ”ではありません。
大切なことほど慎重になるのは……責任感があるからですわ。
殿下は“逃げるために黙る”のではなく、
“正しい道を選ぶために考えている”のです」
殿下は、胸を押さえるように小さく息を呑んだ。
「イメルダ……君は……どうしてそんなふうに……僕を……」
(あなたを好きだから……)
その言葉が喉までこみ上げる。
でも、まだ言えない。
代わりに――
イメルダはそっと微笑んだ。
「私には……殿下の良いところが、たくさん見えますわ。
誰よりも真面目で、誠実で、優しいところ……
私は……それを知っていますもの」
殿下は照れたように目を逸らす。
しかしその頬は――
わずかに赤い。
イメルダはさらにそっと続けた。
「殿下……今の殿下は……
“慎重であるからこそ、正しい道を選べる方”です。
私は……それが好き……いえ、尊敬しておりますわ」
殿下は目を閉じ、深く息を吸ってから――
ゆっくりと立ち上がった。
イメルダの前に歩み寄り、
その手を両手で包み込む。
「……僕の弱さも、強さも……
全部を見て……それでも“そばにいたい”と言ってくれる君を……
僕は……大切にしたい。
君の期待に応えられるような男になりたい」
イメルダの胸が熱くなる。
(殿下……そんな……そんな言葉……)
殿下は、不器用で控えめながらも、
はっきりとイメルダを見つめた。
「イメルダ……
君が支えてくれるなら……
僕は変われると思う」
イメルダは目を潤ませ、
震える声で返した。
「はい……殿下……
私は、殿下を……いつまでも支えますわ」
二人の距離が自然と近づき――
殿下はそっとイメルダの額に口づけを落とした。
優しく、愛おしく、深い誠実さを込めて。
イメルダの心臓は大きく跳ねる。
(ああ……だめ……
本当に……殿下のことばかり……)
◆
しかし、二人の絆が深まるほど、
ベータとアルティシアの焦りは増し、
動きは加速していく。
その火種はすでに――
王宮内で静かに広がりつつあった。
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