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第33話 御前裁き・後編――罪の断罪
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第33話 御前裁き・後編――罪の断罪
謹慎部屋に収容されたアルティシアとベータは、
数時間後、再び大広間へと連れ出された。
先ほどの「前編」はあくまでも証拠提示。
今回、国王陛下のもとで下されるのは――
正式な罪状と処罰の通達である。
大広間には、すでに多くの貴族たちが集まっていた。
最後列では、興味本位の者ですら緊張した面持ち。
その中心に、
白い正装に包まれたアルファルファ殿下とイメルダが立つ。
殿下は緊張した面はあるものの、
以前のような怯えた様子ではなく、
静かに覚悟を湛えた表情だった。
イメルダはその横顔を見ながら
(……殿下、立派になられましたわ)
と誇らしく思う。
◆
玉座に国王が座り、
宰相が進み出る。
「これより――
ベータ第二王子、ならびにアルティシア嬢の
“王家失墜の企て”に関する裁定を行う!」
重々しい声が大広間に響く。
ベータは目を見開き、
アルティシアは震えながら手を握りしめている。
「ベータ第二王子。
汝は王弟でありながら、
第一王子の誠実な提案を“王の器にあらず”と貶め、
誤った噂を流布することに加担した罪――重大である。」
「そっ、そんな……!
ぼ、僕は……兄上のためを思って……!」
ベータの叫びは大広間の冷たい空気に溶けて消えた。
「アルティシア嬢。
汝は私的な野心のため、
複数の貴族を扇動し、噂を拡散。
王家と王城の秩序を乱した罪――重い。」
アルティシアは泣き叫ぶ。
「違います!
わたくしは……ただベータ殿下を愛して……
殿下が“兄上の陰で怯えている”と言って――
わたくしは、その……殿下の助けになりたくて……!」
ベータが怒鳴る。
「嘘つけ!
君が“王妃の座に近づける”と言ったんだろう!
君のために僕は……!」
言い合いがまた始まる。
国王は重いままの表情で
ピシャリと手を叩いた。
「どちらが先かなど、もはやどうでもよい。
二人の行為が“王家を揺るがした”という事実は、
揺るがぬのだ。」
ベータとアルティシアは言葉を失う。
◆
宰相が淡々と告げる。
「処罰を読み上げよとの陛下のご命令である」
その声に
大広間の空気がさらに張り詰めた。
「ベータ第二王子。
王位継承権を 第三位へ降格。
しばらくは城外の離宮にて謹慎生活とし、
公務からも一切排除とする。」
「なっ……!
さ、三位!?
ぼ、僕が王になれないなんて……ッ!」
ベータは膝をつく。
そして続く言葉は――
彼をさらに絶望へ追い込む。
「アルティシア嬢。
貴女は王族を混乱させた罪により、
貴族籍の 剝奪。
領地は没収のうえ、
王都からの 追放 とする。」
アルティシアは崩れ落ちた。
「いや……いや……いや……!
殿下、助けて……ベータ殿下ぁぁッ!」
ベータは振り返らない。
彼自身も自分の処罰で精一杯だ。
◆
ベータは藁にもすがる思いで、
アルファルファ殿下にすがりついた。
「兄上、兄上!
僕は……悪気はなかったんだ……!
助けて!
兄上なら……兄上なら助けてくれるだろう!?」
殿下は目を閉じ、
静かに言った。
「……ベータ。
私はいつでもお前の兄だ。
だが、兄である前に……王家の血を引く者だ。
罪があるなら、向き合わねばならない。」
ベータの手は震え、
しだいに宙を掴んで落ちる。
「そんな……兄上……!」
その姿を見て、
イメルダは胸が締め付けられた。
(殿下……こんなに強く……)
かつては何を言われても
弱々しく俯くだけだった王子。
その殿下が、
今は誰よりも強く、まっすぐに立っている。
イメルダの中で
誇らしさと愛しさが膨らんだ。
◆
国王が厳かに告げる。
「以上をもって、裁きは終わりとする。
これ以上王家の恥が広がらぬよう、
二人は即刻、連れて行け。」
衛兵がベータとアルティシアを拘束し、
大広間から連れ去っていく。
アルティシアの絶叫が遠ざかり、
ベータの震える嗚咽が続く。
――そして静寂。
国王は静かに息を吐き、
アルファルファ殿下に視線を移した。
「アルファルファ。
今回の一件……よくぞ揺るがず対処した。
お前は……想像以上に成長していた。」
殿下は深々と頭を下げた。
「ありがとうございます、父上」
国王は微笑み、
次の王としての器を見たような顔をした。
イメルダは横で、
胸がいっぱいになる。
(殿下……本当に……立派ですわ……)
殿下は小さくイメルダの手を握り返す。
それは、
周りには気づかれないほどの優しい仕草だった。
イメルダの頬がほんのりと染まる。
(……だめ……こんな時なのに……
殿下のことばかり考えてしまう……)
◆
こうして王家を揺るがす事件は、
ひとつの終結を迎えた。
だが――
物語はこれで終わらない。
ここから 溺愛夫婦の黄金時代 が始まるのだ。
謹慎部屋に収容されたアルティシアとベータは、
数時間後、再び大広間へと連れ出された。
先ほどの「前編」はあくまでも証拠提示。
今回、国王陛下のもとで下されるのは――
正式な罪状と処罰の通達である。
大広間には、すでに多くの貴族たちが集まっていた。
最後列では、興味本位の者ですら緊張した面持ち。
その中心に、
白い正装に包まれたアルファルファ殿下とイメルダが立つ。
殿下は緊張した面はあるものの、
以前のような怯えた様子ではなく、
静かに覚悟を湛えた表情だった。
イメルダはその横顔を見ながら
(……殿下、立派になられましたわ)
と誇らしく思う。
◆
玉座に国王が座り、
宰相が進み出る。
「これより――
ベータ第二王子、ならびにアルティシア嬢の
“王家失墜の企て”に関する裁定を行う!」
重々しい声が大広間に響く。
ベータは目を見開き、
アルティシアは震えながら手を握りしめている。
「ベータ第二王子。
汝は王弟でありながら、
第一王子の誠実な提案を“王の器にあらず”と貶め、
誤った噂を流布することに加担した罪――重大である。」
「そっ、そんな……!
ぼ、僕は……兄上のためを思って……!」
ベータの叫びは大広間の冷たい空気に溶けて消えた。
「アルティシア嬢。
汝は私的な野心のため、
複数の貴族を扇動し、噂を拡散。
王家と王城の秩序を乱した罪――重い。」
アルティシアは泣き叫ぶ。
「違います!
わたくしは……ただベータ殿下を愛して……
殿下が“兄上の陰で怯えている”と言って――
わたくしは、その……殿下の助けになりたくて……!」
ベータが怒鳴る。
「嘘つけ!
君が“王妃の座に近づける”と言ったんだろう!
君のために僕は……!」
言い合いがまた始まる。
国王は重いままの表情で
ピシャリと手を叩いた。
「どちらが先かなど、もはやどうでもよい。
二人の行為が“王家を揺るがした”という事実は、
揺るがぬのだ。」
ベータとアルティシアは言葉を失う。
◆
宰相が淡々と告げる。
「処罰を読み上げよとの陛下のご命令である」
その声に
大広間の空気がさらに張り詰めた。
「ベータ第二王子。
王位継承権を 第三位へ降格。
しばらくは城外の離宮にて謹慎生活とし、
公務からも一切排除とする。」
「なっ……!
さ、三位!?
ぼ、僕が王になれないなんて……ッ!」
ベータは膝をつく。
そして続く言葉は――
彼をさらに絶望へ追い込む。
「アルティシア嬢。
貴女は王族を混乱させた罪により、
貴族籍の 剝奪。
領地は没収のうえ、
王都からの 追放 とする。」
アルティシアは崩れ落ちた。
「いや……いや……いや……!
殿下、助けて……ベータ殿下ぁぁッ!」
ベータは振り返らない。
彼自身も自分の処罰で精一杯だ。
◆
ベータは藁にもすがる思いで、
アルファルファ殿下にすがりついた。
「兄上、兄上!
僕は……悪気はなかったんだ……!
助けて!
兄上なら……兄上なら助けてくれるだろう!?」
殿下は目を閉じ、
静かに言った。
「……ベータ。
私はいつでもお前の兄だ。
だが、兄である前に……王家の血を引く者だ。
罪があるなら、向き合わねばならない。」
ベータの手は震え、
しだいに宙を掴んで落ちる。
「そんな……兄上……!」
その姿を見て、
イメルダは胸が締め付けられた。
(殿下……こんなに強く……)
かつては何を言われても
弱々しく俯くだけだった王子。
その殿下が、
今は誰よりも強く、まっすぐに立っている。
イメルダの中で
誇らしさと愛しさが膨らんだ。
◆
国王が厳かに告げる。
「以上をもって、裁きは終わりとする。
これ以上王家の恥が広がらぬよう、
二人は即刻、連れて行け。」
衛兵がベータとアルティシアを拘束し、
大広間から連れ去っていく。
アルティシアの絶叫が遠ざかり、
ベータの震える嗚咽が続く。
――そして静寂。
国王は静かに息を吐き、
アルファルファ殿下に視線を移した。
「アルファルファ。
今回の一件……よくぞ揺るがず対処した。
お前は……想像以上に成長していた。」
殿下は深々と頭を下げた。
「ありがとうございます、父上」
国王は微笑み、
次の王としての器を見たような顔をした。
イメルダは横で、
胸がいっぱいになる。
(殿下……本当に……立派ですわ……)
殿下は小さくイメルダの手を握り返す。
それは、
周りには気づかれないほどの優しい仕草だった。
イメルダの頬がほんのりと染まる。
(……だめ……こんな時なのに……
殿下のことばかり考えてしまう……)
◆
こうして王家を揺るがす事件は、
ひとつの終結を迎えた。
だが――
物語はこれで終わらない。
ここから 溺愛夫婦の黄金時代 が始まるのだ。
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