婚約破棄されたけれど、頼りない第一王子様と結婚したら溺愛されました

しおしお

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第38話 結婚後の変化――殿下への信頼が王宮を変える

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第38話 結婚後の変化――殿下への信頼が王宮を変える

アルファルファ殿下が“次期国王”を目指す決意を固めた翌日。

その変化は、誰よりも近くで見てきたイメルダが感じ取っていた。

(殿下……
 声の出し方も、姿勢も……
 わずかに変わっておいでですわ)

たった一晩で殿下が別人のように堂々としたわけではない。

しかし――
「迷わない心」
「揺るぎない意志」

その種火が殿下の中に生まれたことで、
全体から漂う雰囲気が確かに違っていた。

そしてその違いは、
王宮の者たちにも徐々に伝染していった。



午前の執務。

殿下は報告を受けながらも、
以前のようにただ頷くのではなく、
はっきりと意見を述べるようになっていた。

「それは……確かに利点もあるが……
 もう少し慎重に検討した方が良い。
 農村側の意見も聞かなければ、
 “王都の都合”と思われるだけだ」

文官が驚きで目を見開く。

「殿下……そんな角度から分析を……」

殿下は顔を赤くしながらも続けた。

「い、いや……その……。
 イメルダと話していて……
 色々考えるようになっただけだ」

イメルダは隣で
“わたくしのせいにされておりますわね……”
と苦笑しつつも嬉しかった。

(殿下……堂々としていらっしゃいますわ)



昼下がり。

王宮の廊下で、
侍女二人がひそひそと話す声が耳に届く。

「あの……第一王子殿下って、最近……」

「なんだか、落ち着きがありますよね……?
 以前は、もっとこう……オドオドされていたと申しますか……」

「やっぱりイメルダ様の影響かしら……?」

「でしょうね。
 夫婦が仲睦まじいと、やっぱり人は変わるのねぇ……」

イメルダは頬を赤らめた。

(……そんな噂が流れているなんて……恥ずかしいですわ)

でも胸はふわりと暖かい。

“良い噂” は、王宮を心地よく変えていく力を持っているから。



夕方。

執務を終えた殿下は、
重く大きな本を抱え、イメルダの元へやってきた。

「イメルダ……
 少し話を聞いてほしい」

「もちろんですわ、殿下」

殿下は本を開き、自分でまとめたメモを見せ始めた。

「……次の政務評議会で、
 父上に提案をしたいことがある」

「提案……ですの?」

殿下は真剣な顔で頷いた。

「地方の教育をもっと整えたいんだ。
 まだ読み書きができない子どもたちも多い……
 でも教育は大切だ。
 民の知識が増えれば、国はもっと豊かになると……」

その声音は静かだが、
かつてよりはるかに“強い”。

イメルダは胸に手を当てた。

(ああ……
 これこそ殿下の良さですわ。
 優しさが、国に向いている……)

殿下は続ける。

「……ただ、私は……
 まだ言葉に自信がない。
 だから、君に……その……手伝ってほしい」

イメルダは深くうなずいた。

「殿下。
 もちろんですわ。
 殿下の願いが叶うよう、
 わたくしも全力を尽くします」

殿下の頬が赤くなった。

「……ありがとう、イメルダ。
 君となら……どこまでも進める気がする」

その言葉に、イメルダもまた顔を赤らめる。

(だめ……わたくし……
 ますます殿下のことばかり考えてしまう……)



その数日後。

殿下は王族評議会で、
堂々と“教育改革案”を発表する。

最初こそ声が震えていたが――
イメルダが後方からそっと微笑むと、
殿下はしっかりと前を向いた。

王族や議員たちも、
この変化には驚いていた。

「……殿下が……ここまで明確に……?」

「いつの間に……こんなに……」

「これは……本当に次期国王として……」

噂は一気に広がり、
殿下の評価は上昇し始めた。

そして同時に――
ベータ王子を失った派閥は、焦りを募らせることになる。

(殿下の変化が……
 王宮全体を変え始めていますわね)

イメルダは静かに誇らしさを感じていた。

――だが、その一方で。

ベータ王子の後ろで
蠢く“別の影”が、
少しずつ動き出していた。

それは、次なる“ザマア”への前触れであった。


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