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第8章:溺愛旦那様と、ざまぁな日常後日談
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8-1:麗しき日常と、ざまぁの余韻
春の光がやわらかく庭を照らし、花壇のチューリップが風に揺れていた。
大公邸の中庭には、青空の下でふたりの姿があった。
「アレクセイ様、もう少し右へ……はい、そこですわ」
「……君の指示に従っていたら、気づけばずいぶん運ばされているな」
「ふふ、たまには日光を浴びながらのお手伝いも、悪くないでしょう?」
アルテッツァは笑いながら、木箱に入った新しい薬草苗を丁寧に並べていく。
その姿は、かつての冷静で遠巻きだった大公妃というより、庭仕事を楽しむ一人の女性だった。
「思っていたよりも楽しいものだな。君がこんな顔を見せてくれるのなら、毎日でも付き合う」
「まあ……それは、困りますわね。
アレクセイ様が毎日畑仕事をしていたら、王宮の仕事が回らなくなってしまいますもの」
「なら、午前中だけにしよう」
「……本気で言っておられます?」
「半分くらいだ」
「半分、というところがあなたらしくて嫌いになれませんわ」
こんな風に冗談を交わせる日がくるとは――
アルテッツァ自身が、一番驚いていた。
“契約”から始まったこの結婚が、いまやこんなにも穏やかで、あたたかい日常へと変わっている。
そして彼女は、ようやく“誰かに愛されること”の尊さを、心から受け入れられるようになっていた。
「ねえ、アレクセイ様」
「なんだ?」
「これが“当たり前の毎日”になるなんて、思ってもいませんでしたわ」
「私もだ。けれど、だからこそ、この当たり前を守りたいと思っている」
彼の手が、そっと彼女の手を包む。
その優しい感触に、アルテッツァの胸がほんのりと熱くなる。
「この手を、もう離さない。
誰が何を言おうと、君が私の妻であることは変わらない。
そして、それは誇りだ」
「……ええ。私も同じ気持ちですわ」
---
そんな麗らかな日常の裏で、かつて彼女を見下していた者たちは、別の意味で“注目の的”となっていた。
「最近のリヴィス公爵家、すっかり勢いがなくなったそうよ」
「ええ、後継者候補だったエドワール令息は国外留学という名の左遷ですって」
「“未練たらしい男”というあだ名がついたら、社交界ではおしまいよね」
「あと、あのフレーネ令嬢も――“大公妃に取り入ろうとして失敗した残念令嬢”って」
「わたくしの知人が言ってたわ。“侯爵令嬢ごとき”と見下していた人たちが、今や目も合わせられないですって」
そう、社交界は記憶していた。
かつて「地味で役立たず」「お飾り妃」と呼ばれた女性が、いかにして王都随一の大公妃となったかを。
そして、彼女を見下し、傷つけようとした者たちが、
今どうなったのか――すべてが“結果”として記録されていた。
ざまぁ、という言葉は、彼女自身が使うことはなかった。
けれど、それでも彼女の背中は語っていた。
――過去の痛みを、未来の誇りで塗り替えることができるのだと。
---
夕刻、アルテッツァは書斎に座り、薬草研究の報告書に目を通していた。
そこへ、アレクセイがカップを二つ持って入ってくる。
「お疲れだろう。休憩にしよう」
「まあ……ありがとうございます。今夜は、アレクセイ様が紅茶を?」
「君が疲れているときは、私が淹れると決めた。習った通りに入れたはずだが……どうだ?」
「いただきますわね」
アルテッツァは一口含んで、目を細めた。
「……少しだけ渋いですけれど、やさしい味がいたします。
まるで、あなたのようですわ」
「それは褒め言葉と受け取っていいのか?」
「もちろんですわ」
アレクセイがほっとしたように息を吐いた瞬間、ふたりの間に静かな笑いが生まれた。
これが“当たり前の幸せ”なのだと、アルテッツァは胸の奥で実感する。
あのとき、“白い結婚”を受け入れた自分。
愛されることを恐れていた自分。
誰も信じずにいた自分。
――すべての“過去の私”に、今なら優しく言ってあげられる。
「未来は、こんなにも優しいわよ」と。
8-2:薬草研究所の創設、妻としての新たな一歩
「ようやく、ここまで辿り着きましたわね……」
王都北部に広がる静かな丘の上、完成したばかりの白亜の建物を前にして、アルテッツァはゆっくりと息を吐いた。
春の陽光に照らされたその建物は、王国初となる“薬草研究に特化した国営研究所”――正式名称は、《王立薬草調査研究院》だった。
その中央玄関には、金文字でこう刻まれている。
――『アルテッツァ・ヴォルティア主導により創設』
かつて“白い結婚”の契約に安らぎを求め、愛や評価に背を向けていた自分。
けれど今は、こうして堂々と名前を掲げ、未来を形にする存在になれた。
「奥様、本日は記念式典にお集まりの賓客方へご挨拶いただきます」
側に立っていた副官からの声に、アルテッツァは頷く。
「ええ。用意された原稿は読みませんわ。自分の言葉で、感謝を伝えたいと思いますの」
そしてその瞬間、別の方向から歩み寄る長身の影に、彼女の頬が自然と緩んだ。
「アレクセイ様。やっぱり、来てくださったのですね」
「当たり前だ。君が歩んできた道の“節目”を、見届けずにいられるか」
いつもと変わらぬ落ち着いた口調。
けれど、彼の目元にははっきりと誇らしさと温もりがにじんでいた。
「……私は、あなたの支えがなければ、きっとここまで来られませんでした」
「違うな。君がここまで来たのは、君自身の意志と努力だ。
私はただ、その背中を信じて見守っただけだ」
「……ありがとう」
ふたりは静かに手をつなぎ、まるでそれが当然のように、研究所の入り口へと並んで進んだ。
---
式典が始まり、研究者、学会の重鎮、王室関係者まで多数が出席する中、アルテッツァは一人演壇へと上がった。
緊張の面持ちで壇上に立つ彼女を、アレクセイは会場の隅から静かに見守る。
「本日は、お忙しい中、私の小さな夢の完成にお立ち会いいただき、誠にありがとうございます」
その第一声に、ざわついていた会場が静まった。
「私は、侯爵家の令嬢として生まれましたが、いつも“何か足りない存在”として育ってきました。
けれど、薬草だけは、私にとって希望でした。命を癒やすことができる、小さな植物たちに、私は何度も救われてきました」
その声は、かつての社交界では“地味”と評された彼女とは思えないほど、自信に満ちていた。
「この研究所は、王都の誰か一人のものではありません。
病に苦しむ人々のため、学びを求める若者たちのため、そして――未来の命のためにあります」
そして一拍の沈黙のあと、アルテッツァはほんの少しだけ微笑みを浮かべてこう続けた。
「……そして、最後に。
どんなときも私を信じ、見守り、支えてくれた“ひとりの夫”に、心からの感謝を捧げます」
その瞬間、会場の片隅で、アレクセイの表情がわずかに崩れた。
周囲に悟られぬよう静かに顔を伏せたが、その手の中には彼女から贈られたハンカチが握られていた。
「アルテッツァ・ヴォルティアとして、私はこの場所を育ててまいります。
どうか、これからの歩みに、皆様のご助力をいただけましたら幸いです」
最後の一礼に、会場は惜しみない拍手で応えた。
それは、彼女がただ“大公妃”だからという理由ではなく、
一人の“研究者”として、一人の“女性”として尊敬される存在になったことの証だった。
---
式典後、控室で彼女がひと息ついていると、ドアが静かに開いた。
「お疲れさま。……見事だった」
アレクセイが、差し入れのハーブティーを手に現れた。
「まあ……私の淹れたものより香りが優しくなってきましたわね」
「君に近づきたくて、練習した」
「うふふ……もう、完璧ですわ」
カップを受け取った彼女の指に、彼はそっと自分の手を重ねた。
「アルテッツァ。……今日の君を見ていて、私は改めて思った」
「何を、ですの?」
「君を妻に迎えて、本当に良かったと」
「……私も、あなたに出会えて、人生が変わりましたわ」
ふたりはカップを片手に、静かに笑い合った。
契約結婚だったはずのふたりが、こうして“共に何かを成し遂げた夫婦”として隣にいる。
そこには、もはや“白い結婚”だった頃のぎこちなさは一片も残っていなかった。
---
その晩、大公邸に戻ったふたりは、いつものサロンで紅茶を楽しんでいた。
「……式典のとき、涙ぐんでいらっしゃいましたわね?」
「気のせいだ」
「ふふっ、では気のせいにしておいて差し上げますわ」
「だが、君があの場で“夫”と呼んでくれたとき――正直、胸がいっぱいだった」
「それなら、これからは何度でも呼びますわよ。“アレクセイ様、私の夫”って」
「それは、あまりにも破壊力があるな……」
「ふふ、慣れてくださいませ。これから、毎日そう呼びますから」
アレクセイは小さく頷き、紅茶を一口含んだ。
「……それなら、君も“妻らしく”してもらおう」
「まあ、いけず。私は十分、理想的な妻でしょう?」
「それはもちろん。だからこそ――君のような妻を持てた私は、幸せ者だ」
そう言ったアレクセイの表情は、誇らしげで、どこまでも穏やかだった。
8-3:社交界の逆転劇、かつての令嬢たちのざまぁな末路
王都サロン《フローレンス》の昼下がり。
芳醇な紅茶の香りが満ちるなか、貴族令嬢たちの噂話に花が咲いていた。
「それにしても……大公妃様、すっかり“王都の花”になられたわね」
「ええ、今では薬草研究の第一人者として学会でも尊敬されているそうよ」
「しかも、あの大公閣下が心酔しているとまで……愛され方が異次元ですわ」
グラスを傾けながら、令嬢たちは羨望と後悔を交差させた眼差しを交わしていた。
そして、その会話の輪の少し外――ひときわ静かな空気を漂わせている令嬢が、紅茶に口をつけずに俯いていた。
フレーネ・リュシエール。
かつてアルテッツァを“お飾り妃”“学問バカ”と蔑み、社交界での格下と侮っていた張本人だった。
「……大公妃様のお話ばかり、ね」
誰ともなく呟いたその言葉は、周囲に届かぬほどか細く、そして虚ろだった。
フレーネは、あの夜会でアレクセイがアルテッツァを「心からの伴侶」と宣言した瞬間から、完全に社交界の“負け組”と見なされるようになった。
結婚の話はすべて立ち消え。
資産家の次男との縁談すら断られ。
令嬢仲間たちの視線は、今や冷笑と哀れみに染まっている。
「フレーネ様、少しお痩せになりました……?」
「え? あ、はい……少し食が細くなりまして」
気遣うように見えて、その実、傷口を広げる意図のある言葉。
――まさに、以前のフレーネが他人に向けていた“嘲り”そのものだった。
それが今、鏡のように返ってきている。
(私は、あのとき、どうして……あんな態度を取ってしまったのかしら)
振る舞いは貴族然としていても、内心はどこまでも焦りと屈辱にまみれていた。
アレクセイに媚びて近づこうとした過去。
アルテッツァを軽んじて、侮ったあの日々。
すべてが――己の無知と慢心の結果だった。
(あの人は……本物の“妻”だったのよ。
見た目や肩書じゃない、心で愛される人だった)
飲みかけの紅茶が、いつの間にか冷めていた。
---
その頃、王都の別の邸宅では――
「エドワール様。こちら、ご実家からの正式な通知です」
リヴィス家の執事が差し出した封筒を、エドワール・リヴィスは震える手で受け取った。
そこに記されていたのは――
> 『当家の名誉を著しく損ねた責任を問う。
今後の爵位継承権はすべて第三子へ譲渡するものとする。
貴殿には国外留学を命じる。期間は無期限』
「……そんな、馬鹿な……! 私が、リヴィス家の後継ぎだぞ……!」
封筒を握り潰す音が部屋に響いたが、誰もそれを止める者はいなかった。
――すべては、自業自得。
かつてアルテッツァに婚約破棄を告げ、他の令嬢に乗り換え、
そして後に“未練がましく”復縁を迫った姿が、社交界中の笑いものとなったあの日から、
彼の信用も、未来も崩れ去っていた。
「……アルテッツァ、おまえが……っ、あんなに変わるなんて……」
だが、その声に乗せた怨念めいた想いも、もう誰にも届くことはなかった。
今や王都は、アルテッツァ・ヴォルティアの名を称え、
彼女の賢さと穏やかさと、そして大公に深く愛されていることを語り草としていた。
「“泥以下”――そう言ったんだっけな、俺に……」
「……今なら、あの言葉の意味が、わかるよ」
笑いながら泣いているようなその表情は、誰にも見られることなく、沈む夕日のなかに消えていった。
---
夕暮れの大公邸。
中庭で夕焼けに照らされながら、アルテッツァはアレクセイと並んで腰掛けていた。
「ふう……今日もよく働きましたわ」
「明日も忙しいのか?」
「ええ。研究所で若い学者たちとの勉強会がございますの。
皆、目を輝かせて薬草の話をしてくださって……本当に、うれしいですわ」
「君の夢が、誰かの未来になっている。君自身が、“希望”になっている」
「……昔、誰にも必要とされていないと思っていた私が……
今は、あなたに、そしてたくさんの人に必要とされているのですね」
「そうだ。そして私は、世界で一番、君を必要としている」
「まぁ……!」
アルテッツァは、恥ずかしさを隠すように笑いながら、アレクセイの肩にもたれた。
「……かつての令嬢たちが、私の名前を噛みしめる夜が続くかと思うと――
少しだけ、ざまぁですわね」
「その程度で済ませる君の優しさが……私は一番好きだ」
「まあ……調子がいいですわね」
そんな笑い声とともに、暮れなずむ空に灯りがひとつ、ふたりのためにともった。
かつて白だったこの結婚は、今や深く、温かく、美しい紅に染まっていた。
8-4:“これが私の望んだ結婚生活ですわ”──愛と誇りのエピローグ
午前十時。
晴れ渡る青空の下、アルテッツァは研究所の温室で咲き誇る薬草の花々に囲まれていた。
花びら一枚一枚の健康状態を確認し、細かくメモを取りながらも、彼女の顔には満ち足りた笑みが浮かんでいる。
傍らでは、アレクセイがスコップを持ち、土の入れ替えを黙々と行っていた。
「……本当に手慣れていらっしゃいますのね」
「君が隣で笑ってくれるなら、私にとって土いじりも誇らしい仕事だ」
「ふふっ、それはちょっと言いすぎですわ」
そんな何気ない会話も、今では“日常”となった。
“契約”で始まった夫婦の関係は、今や“心”で結ばれた温かな絆となっていた。
---
王都では、アルテッツァの名はもはや単なる大公妃の枠を超え、
“薬草学の第一人者”として、教育機関や医療現場に多大な影響を与える存在となっていた。
彼女の著書は王立図書館に収蔵され、講演の依頼も相次いでいた。
だが、本人はと言えば、変わらず中庭で花の手入れをし、
研究員たちと笑顔で語らい、夜にはアレクセイと紅茶を楽しむ――
そんな、静かで穏やかな日々を大切にしていた。
「これが……私の望んでいた結婚生活ですわね」
夕方、いつものようにアレクセイと並んで中庭のベンチに座ったアルテッツァが、ぽつりと呟いた。
「“白い結婚”で手に入れたかった静かな時間と、
愛を避けることで守ろうとした心の平穏。
でも今は、愛されることでこんなにも満たされるのだと知りました」
「君の幸せが、私の願いのすべてだ。
だからこそ、今こうして隣にいられることが何よりの証だと、私は思う」
「……ほんとうに、もう契約はいらないですわね」
「そうだな。君となら、“誓い”さえも、自然と生まれる」
ふたりはそっと手を重ね、指先を絡めた。
かつて、誰もがこの結婚を“形だけのもの”と侮った。
だがその手の温もりこそが、今では誰にも崩せない絆となっている。
---
夜。
屋敷のサロンでは、クレアと執事のドレイクが、こっそりと紅茶を片手に語り合っていた。
「……お嬢様、いえ、大公妃様は、ようやく“本当の幸せ”を手に入れられましたわね」
「ああ。最初は契約にすがるような表情だったが、今ではすっかり……慈愛に満ちた貴婦人だ」
「旦那様の溺愛ぶりも、日増しに増しておりまして。
今朝など、朝食に使うジャムを“奥様の好みに合わせて変えろ”と厨房に指示が……」
「ははは。あの冷徹な大公が、まるで恋する青年のようだ」
ふたりは紅茶を掲げ、微笑みあった。
「長く、幸せな日々が続きますように」
「ええ。そしてこの邸のすべてが、あのおふたりの愛に包まれ続けますように」
---
ある日の午後。
王立施療院に向かう馬車の中、アレクセイはアルテッツァの手を取り、ふとこう言った。
「アルテッツァ。ひとつ、尋ねていいか」
「なにかしら?」
「“白い結婚”で始まった我々が、今こうして互いを愛し合っている。
君は、それでも……最初の契約を“無駄ではなかった”と思ってくれているか?」
アルテッツァは少しだけ考えたのち、微笑んだ。
「ええ、無駄ではありませんでしたわ。
むしろ、あの契約がなければ、私はあなたと真っ直ぐ向き合うことも、信じることもできなかった。
あの“白”があったからこそ、今の“紅”があるのだと思いますの」
「……そうか」
「でも、ひとつだけ確かに言えることがあります」
「なんだ?」
「今の私は、“あなたの妻であること”を、心から誇りに思っています」
それは、最初の出会いでは決して語られることのなかった、本物の“夫婦の言葉”だった。
そしてアレクセイは静かに頷くと、そっと彼女の額に口づけを落とした。
「君がいてくれて、本当に良かった」
「ふふ……これからもずっと、隣にいてあげますわ」
そして馬車は、柔らかな風に吹かれながら王都の街を進んでいく。
ふたりの未来は、まだ始まったばかりだ。
かつて“白い結婚”に守られていた彼女が、
いまや“溺愛される妻”として、胸を張って言えるようになった。
「これが、私の望んだ結婚生活ですわ」
春の光がやわらかく庭を照らし、花壇のチューリップが風に揺れていた。
大公邸の中庭には、青空の下でふたりの姿があった。
「アレクセイ様、もう少し右へ……はい、そこですわ」
「……君の指示に従っていたら、気づけばずいぶん運ばされているな」
「ふふ、たまには日光を浴びながらのお手伝いも、悪くないでしょう?」
アルテッツァは笑いながら、木箱に入った新しい薬草苗を丁寧に並べていく。
その姿は、かつての冷静で遠巻きだった大公妃というより、庭仕事を楽しむ一人の女性だった。
「思っていたよりも楽しいものだな。君がこんな顔を見せてくれるのなら、毎日でも付き合う」
「まあ……それは、困りますわね。
アレクセイ様が毎日畑仕事をしていたら、王宮の仕事が回らなくなってしまいますもの」
「なら、午前中だけにしよう」
「……本気で言っておられます?」
「半分くらいだ」
「半分、というところがあなたらしくて嫌いになれませんわ」
こんな風に冗談を交わせる日がくるとは――
アルテッツァ自身が、一番驚いていた。
“契約”から始まったこの結婚が、いまやこんなにも穏やかで、あたたかい日常へと変わっている。
そして彼女は、ようやく“誰かに愛されること”の尊さを、心から受け入れられるようになっていた。
「ねえ、アレクセイ様」
「なんだ?」
「これが“当たり前の毎日”になるなんて、思ってもいませんでしたわ」
「私もだ。けれど、だからこそ、この当たり前を守りたいと思っている」
彼の手が、そっと彼女の手を包む。
その優しい感触に、アルテッツァの胸がほんのりと熱くなる。
「この手を、もう離さない。
誰が何を言おうと、君が私の妻であることは変わらない。
そして、それは誇りだ」
「……ええ。私も同じ気持ちですわ」
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そんな麗らかな日常の裏で、かつて彼女を見下していた者たちは、別の意味で“注目の的”となっていた。
「最近のリヴィス公爵家、すっかり勢いがなくなったそうよ」
「ええ、後継者候補だったエドワール令息は国外留学という名の左遷ですって」
「“未練たらしい男”というあだ名がついたら、社交界ではおしまいよね」
「あと、あのフレーネ令嬢も――“大公妃に取り入ろうとして失敗した残念令嬢”って」
「わたくしの知人が言ってたわ。“侯爵令嬢ごとき”と見下していた人たちが、今や目も合わせられないですって」
そう、社交界は記憶していた。
かつて「地味で役立たず」「お飾り妃」と呼ばれた女性が、いかにして王都随一の大公妃となったかを。
そして、彼女を見下し、傷つけようとした者たちが、
今どうなったのか――すべてが“結果”として記録されていた。
ざまぁ、という言葉は、彼女自身が使うことはなかった。
けれど、それでも彼女の背中は語っていた。
――過去の痛みを、未来の誇りで塗り替えることができるのだと。
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夕刻、アルテッツァは書斎に座り、薬草研究の報告書に目を通していた。
そこへ、アレクセイがカップを二つ持って入ってくる。
「お疲れだろう。休憩にしよう」
「まあ……ありがとうございます。今夜は、アレクセイ様が紅茶を?」
「君が疲れているときは、私が淹れると決めた。習った通りに入れたはずだが……どうだ?」
「いただきますわね」
アルテッツァは一口含んで、目を細めた。
「……少しだけ渋いですけれど、やさしい味がいたします。
まるで、あなたのようですわ」
「それは褒め言葉と受け取っていいのか?」
「もちろんですわ」
アレクセイがほっとしたように息を吐いた瞬間、ふたりの間に静かな笑いが生まれた。
これが“当たり前の幸せ”なのだと、アルテッツァは胸の奥で実感する。
あのとき、“白い結婚”を受け入れた自分。
愛されることを恐れていた自分。
誰も信じずにいた自分。
――すべての“過去の私”に、今なら優しく言ってあげられる。
「未来は、こんなにも優しいわよ」と。
8-2:薬草研究所の創設、妻としての新たな一歩
「ようやく、ここまで辿り着きましたわね……」
王都北部に広がる静かな丘の上、完成したばかりの白亜の建物を前にして、アルテッツァはゆっくりと息を吐いた。
春の陽光に照らされたその建物は、王国初となる“薬草研究に特化した国営研究所”――正式名称は、《王立薬草調査研究院》だった。
その中央玄関には、金文字でこう刻まれている。
――『アルテッツァ・ヴォルティア主導により創設』
かつて“白い結婚”の契約に安らぎを求め、愛や評価に背を向けていた自分。
けれど今は、こうして堂々と名前を掲げ、未来を形にする存在になれた。
「奥様、本日は記念式典にお集まりの賓客方へご挨拶いただきます」
側に立っていた副官からの声に、アルテッツァは頷く。
「ええ。用意された原稿は読みませんわ。自分の言葉で、感謝を伝えたいと思いますの」
そしてその瞬間、別の方向から歩み寄る長身の影に、彼女の頬が自然と緩んだ。
「アレクセイ様。やっぱり、来てくださったのですね」
「当たり前だ。君が歩んできた道の“節目”を、見届けずにいられるか」
いつもと変わらぬ落ち着いた口調。
けれど、彼の目元にははっきりと誇らしさと温もりがにじんでいた。
「……私は、あなたの支えがなければ、きっとここまで来られませんでした」
「違うな。君がここまで来たのは、君自身の意志と努力だ。
私はただ、その背中を信じて見守っただけだ」
「……ありがとう」
ふたりは静かに手をつなぎ、まるでそれが当然のように、研究所の入り口へと並んで進んだ。
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式典が始まり、研究者、学会の重鎮、王室関係者まで多数が出席する中、アルテッツァは一人演壇へと上がった。
緊張の面持ちで壇上に立つ彼女を、アレクセイは会場の隅から静かに見守る。
「本日は、お忙しい中、私の小さな夢の完成にお立ち会いいただき、誠にありがとうございます」
その第一声に、ざわついていた会場が静まった。
「私は、侯爵家の令嬢として生まれましたが、いつも“何か足りない存在”として育ってきました。
けれど、薬草だけは、私にとって希望でした。命を癒やすことができる、小さな植物たちに、私は何度も救われてきました」
その声は、かつての社交界では“地味”と評された彼女とは思えないほど、自信に満ちていた。
「この研究所は、王都の誰か一人のものではありません。
病に苦しむ人々のため、学びを求める若者たちのため、そして――未来の命のためにあります」
そして一拍の沈黙のあと、アルテッツァはほんの少しだけ微笑みを浮かべてこう続けた。
「……そして、最後に。
どんなときも私を信じ、見守り、支えてくれた“ひとりの夫”に、心からの感謝を捧げます」
その瞬間、会場の片隅で、アレクセイの表情がわずかに崩れた。
周囲に悟られぬよう静かに顔を伏せたが、その手の中には彼女から贈られたハンカチが握られていた。
「アルテッツァ・ヴォルティアとして、私はこの場所を育ててまいります。
どうか、これからの歩みに、皆様のご助力をいただけましたら幸いです」
最後の一礼に、会場は惜しみない拍手で応えた。
それは、彼女がただ“大公妃”だからという理由ではなく、
一人の“研究者”として、一人の“女性”として尊敬される存在になったことの証だった。
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式典後、控室で彼女がひと息ついていると、ドアが静かに開いた。
「お疲れさま。……見事だった」
アレクセイが、差し入れのハーブティーを手に現れた。
「まあ……私の淹れたものより香りが優しくなってきましたわね」
「君に近づきたくて、練習した」
「うふふ……もう、完璧ですわ」
カップを受け取った彼女の指に、彼はそっと自分の手を重ねた。
「アルテッツァ。……今日の君を見ていて、私は改めて思った」
「何を、ですの?」
「君を妻に迎えて、本当に良かったと」
「……私も、あなたに出会えて、人生が変わりましたわ」
ふたりはカップを片手に、静かに笑い合った。
契約結婚だったはずのふたりが、こうして“共に何かを成し遂げた夫婦”として隣にいる。
そこには、もはや“白い結婚”だった頃のぎこちなさは一片も残っていなかった。
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その晩、大公邸に戻ったふたりは、いつものサロンで紅茶を楽しんでいた。
「……式典のとき、涙ぐんでいらっしゃいましたわね?」
「気のせいだ」
「ふふっ、では気のせいにしておいて差し上げますわ」
「だが、君があの場で“夫”と呼んでくれたとき――正直、胸がいっぱいだった」
「それなら、これからは何度でも呼びますわよ。“アレクセイ様、私の夫”って」
「それは、あまりにも破壊力があるな……」
「ふふ、慣れてくださいませ。これから、毎日そう呼びますから」
アレクセイは小さく頷き、紅茶を一口含んだ。
「……それなら、君も“妻らしく”してもらおう」
「まあ、いけず。私は十分、理想的な妻でしょう?」
「それはもちろん。だからこそ――君のような妻を持てた私は、幸せ者だ」
そう言ったアレクセイの表情は、誇らしげで、どこまでも穏やかだった。
8-3:社交界の逆転劇、かつての令嬢たちのざまぁな末路
王都サロン《フローレンス》の昼下がり。
芳醇な紅茶の香りが満ちるなか、貴族令嬢たちの噂話に花が咲いていた。
「それにしても……大公妃様、すっかり“王都の花”になられたわね」
「ええ、今では薬草研究の第一人者として学会でも尊敬されているそうよ」
「しかも、あの大公閣下が心酔しているとまで……愛され方が異次元ですわ」
グラスを傾けながら、令嬢たちは羨望と後悔を交差させた眼差しを交わしていた。
そして、その会話の輪の少し外――ひときわ静かな空気を漂わせている令嬢が、紅茶に口をつけずに俯いていた。
フレーネ・リュシエール。
かつてアルテッツァを“お飾り妃”“学問バカ”と蔑み、社交界での格下と侮っていた張本人だった。
「……大公妃様のお話ばかり、ね」
誰ともなく呟いたその言葉は、周囲に届かぬほどか細く、そして虚ろだった。
フレーネは、あの夜会でアレクセイがアルテッツァを「心からの伴侶」と宣言した瞬間から、完全に社交界の“負け組”と見なされるようになった。
結婚の話はすべて立ち消え。
資産家の次男との縁談すら断られ。
令嬢仲間たちの視線は、今や冷笑と哀れみに染まっている。
「フレーネ様、少しお痩せになりました……?」
「え? あ、はい……少し食が細くなりまして」
気遣うように見えて、その実、傷口を広げる意図のある言葉。
――まさに、以前のフレーネが他人に向けていた“嘲り”そのものだった。
それが今、鏡のように返ってきている。
(私は、あのとき、どうして……あんな態度を取ってしまったのかしら)
振る舞いは貴族然としていても、内心はどこまでも焦りと屈辱にまみれていた。
アレクセイに媚びて近づこうとした過去。
アルテッツァを軽んじて、侮ったあの日々。
すべてが――己の無知と慢心の結果だった。
(あの人は……本物の“妻”だったのよ。
見た目や肩書じゃない、心で愛される人だった)
飲みかけの紅茶が、いつの間にか冷めていた。
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その頃、王都の別の邸宅では――
「エドワール様。こちら、ご実家からの正式な通知です」
リヴィス家の執事が差し出した封筒を、エドワール・リヴィスは震える手で受け取った。
そこに記されていたのは――
> 『当家の名誉を著しく損ねた責任を問う。
今後の爵位継承権はすべて第三子へ譲渡するものとする。
貴殿には国外留学を命じる。期間は無期限』
「……そんな、馬鹿な……! 私が、リヴィス家の後継ぎだぞ……!」
封筒を握り潰す音が部屋に響いたが、誰もそれを止める者はいなかった。
――すべては、自業自得。
かつてアルテッツァに婚約破棄を告げ、他の令嬢に乗り換え、
そして後に“未練がましく”復縁を迫った姿が、社交界中の笑いものとなったあの日から、
彼の信用も、未来も崩れ去っていた。
「……アルテッツァ、おまえが……っ、あんなに変わるなんて……」
だが、その声に乗せた怨念めいた想いも、もう誰にも届くことはなかった。
今や王都は、アルテッツァ・ヴォルティアの名を称え、
彼女の賢さと穏やかさと、そして大公に深く愛されていることを語り草としていた。
「“泥以下”――そう言ったんだっけな、俺に……」
「……今なら、あの言葉の意味が、わかるよ」
笑いながら泣いているようなその表情は、誰にも見られることなく、沈む夕日のなかに消えていった。
---
夕暮れの大公邸。
中庭で夕焼けに照らされながら、アルテッツァはアレクセイと並んで腰掛けていた。
「ふう……今日もよく働きましたわ」
「明日も忙しいのか?」
「ええ。研究所で若い学者たちとの勉強会がございますの。
皆、目を輝かせて薬草の話をしてくださって……本当に、うれしいですわ」
「君の夢が、誰かの未来になっている。君自身が、“希望”になっている」
「……昔、誰にも必要とされていないと思っていた私が……
今は、あなたに、そしてたくさんの人に必要とされているのですね」
「そうだ。そして私は、世界で一番、君を必要としている」
「まぁ……!」
アルテッツァは、恥ずかしさを隠すように笑いながら、アレクセイの肩にもたれた。
「……かつての令嬢たちが、私の名前を噛みしめる夜が続くかと思うと――
少しだけ、ざまぁですわね」
「その程度で済ませる君の優しさが……私は一番好きだ」
「まあ……調子がいいですわね」
そんな笑い声とともに、暮れなずむ空に灯りがひとつ、ふたりのためにともった。
かつて白だったこの結婚は、今や深く、温かく、美しい紅に染まっていた。
8-4:“これが私の望んだ結婚生活ですわ”──愛と誇りのエピローグ
午前十時。
晴れ渡る青空の下、アルテッツァは研究所の温室で咲き誇る薬草の花々に囲まれていた。
花びら一枚一枚の健康状態を確認し、細かくメモを取りながらも、彼女の顔には満ち足りた笑みが浮かんでいる。
傍らでは、アレクセイがスコップを持ち、土の入れ替えを黙々と行っていた。
「……本当に手慣れていらっしゃいますのね」
「君が隣で笑ってくれるなら、私にとって土いじりも誇らしい仕事だ」
「ふふっ、それはちょっと言いすぎですわ」
そんな何気ない会話も、今では“日常”となった。
“契約”で始まった夫婦の関係は、今や“心”で結ばれた温かな絆となっていた。
---
王都では、アルテッツァの名はもはや単なる大公妃の枠を超え、
“薬草学の第一人者”として、教育機関や医療現場に多大な影響を与える存在となっていた。
彼女の著書は王立図書館に収蔵され、講演の依頼も相次いでいた。
だが、本人はと言えば、変わらず中庭で花の手入れをし、
研究員たちと笑顔で語らい、夜にはアレクセイと紅茶を楽しむ――
そんな、静かで穏やかな日々を大切にしていた。
「これが……私の望んでいた結婚生活ですわね」
夕方、いつものようにアレクセイと並んで中庭のベンチに座ったアルテッツァが、ぽつりと呟いた。
「“白い結婚”で手に入れたかった静かな時間と、
愛を避けることで守ろうとした心の平穏。
でも今は、愛されることでこんなにも満たされるのだと知りました」
「君の幸せが、私の願いのすべてだ。
だからこそ、今こうして隣にいられることが何よりの証だと、私は思う」
「……ほんとうに、もう契約はいらないですわね」
「そうだな。君となら、“誓い”さえも、自然と生まれる」
ふたりはそっと手を重ね、指先を絡めた。
かつて、誰もがこの結婚を“形だけのもの”と侮った。
だがその手の温もりこそが、今では誰にも崩せない絆となっている。
---
夜。
屋敷のサロンでは、クレアと執事のドレイクが、こっそりと紅茶を片手に語り合っていた。
「……お嬢様、いえ、大公妃様は、ようやく“本当の幸せ”を手に入れられましたわね」
「ああ。最初は契約にすがるような表情だったが、今ではすっかり……慈愛に満ちた貴婦人だ」
「旦那様の溺愛ぶりも、日増しに増しておりまして。
今朝など、朝食に使うジャムを“奥様の好みに合わせて変えろ”と厨房に指示が……」
「ははは。あの冷徹な大公が、まるで恋する青年のようだ」
ふたりは紅茶を掲げ、微笑みあった。
「長く、幸せな日々が続きますように」
「ええ。そしてこの邸のすべてが、あのおふたりの愛に包まれ続けますように」
---
ある日の午後。
王立施療院に向かう馬車の中、アレクセイはアルテッツァの手を取り、ふとこう言った。
「アルテッツァ。ひとつ、尋ねていいか」
「なにかしら?」
「“白い結婚”で始まった我々が、今こうして互いを愛し合っている。
君は、それでも……最初の契約を“無駄ではなかった”と思ってくれているか?」
アルテッツァは少しだけ考えたのち、微笑んだ。
「ええ、無駄ではありませんでしたわ。
むしろ、あの契約がなければ、私はあなたと真っ直ぐ向き合うことも、信じることもできなかった。
あの“白”があったからこそ、今の“紅”があるのだと思いますの」
「……そうか」
「でも、ひとつだけ確かに言えることがあります」
「なんだ?」
「今の私は、“あなたの妻であること”を、心から誇りに思っています」
それは、最初の出会いでは決して語られることのなかった、本物の“夫婦の言葉”だった。
そしてアレクセイは静かに頷くと、そっと彼女の額に口づけを落とした。
「君がいてくれて、本当に良かった」
「ふふ……これからもずっと、隣にいてあげますわ」
そして馬車は、柔らかな風に吹かれながら王都の街を進んでいく。
ふたりの未来は、まだ始まったばかりだ。
かつて“白い結婚”に守られていた彼女が、
いまや“溺愛される妻”として、胸を張って言えるようになった。
「これが、私の望んだ結婚生活ですわ」
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