26 / 32
第26話 選ぶという勇気
しおりを挟む
第26話 選ぶという勇気
朝の空気は、少しだけ張りつめていた。
私は庭に出て、まだ誰も踏んでいない小道をゆっくり歩いていた。昨夜の雨の名残が、葉の先で小さな雫になって揺れている。
(……考えすぎ、かな)
第25話の“触れない手”の感触が、まだ指先に残っていた。
触れられていない。
でも、確かに伝わってきた。
それが、嬉しくて、怖かった。
選ぶということは、何かを手に入れる代わりに、別の可能性を閉じることだ。
私はずっと、“身代わり”として生きてきた。
選ばれたのではない。
選ぶことも、許されなかった。
「……リネア」
背後から、カインの声がした。
振り返ると、彼はいつもの距離で立っていた。近すぎず、遠すぎず。私が逃げようと思えば、いくらでも逃げられる距離。
「散歩か」
「はい。頭を、整理したくて」
「……そうか」
それだけで、追及はしない。
彼は隣に並んで歩き出す。歩幅を、私に合わせて。
しばらく、足音だけが続いた。
「……君は、選ぶことが怖いか」
不意に、カインが言った。
胸が、きゅっと縮む。
「……はい」
正直に答えた。
「選んだら……間違えたら、って思ってしまって」
「間違いは、戻れぬものだと思うか」
「……思います」
選んでしまったら、もう“身代わり”には戻れない。
それは、楽でもあるけれど――逃げ場を失うことでもある。
カインは、歩みを止めた。
私も、立ち止まる。
「……私は、君に“正解”を与えることはできない」
彼は、まっすぐ私を見て言った。
「だが、“選んだ後に一人にしない”ことはできる」
その言葉が、胸に落ちる。
「……それって」
「責任だ」
重い言葉なのに、声は静かだった。
「君が選んだ結果が、喜びであれ、後悔であれ――私は、隣にいる」
私は、思わず目を伏せた。
選ぶことが怖いのは、間違えることよりも――
その結果を、一人で抱えることが怖いからだ。
「……ずるいです」
小さく呟く。
「なぜだ」
「そんなふうに言われたら……選びたく、なってしまうじゃないですか」
カインは、少しだけ驚いたように目を見開き、そして柔らかく笑った。
「それは、君の勇気だ」
「……勇気?」
「選びたいと思う気持ちは、恐怖と同じくらい強い」
私は、ゆっくりと息を吐いた。
胸の奥で、何かがほどけていく。
そのとき――
「奥方様」
遠くから、使用人の声が聞こえた。
「村より、使いの者が到着しております」
私は、思わず肩を強張らせた。
“村”。
かつて私を差し出した場所。
視線が、自然とカインに向く。
「……行きますか」
彼は、私に判断を委ねた。
逃げることもできる。
無視することもできる。
私は、少しだけ迷ってから――
「……行きます」
自分の声が、思ったよりはっきりしていた。
「過去を、放置したままじゃ……選べない気がして」
カインは、頷いた。
「なら、共に行こう」
その言葉に、“導く”でも“守る”でもない、“共に”という響きがあった。
私は、一歩、前に出た。
身代わりとしてではなく。
逃げる者としてでもなく。
“選ぶ者”として。
この日、私は知った。
選ぶという勇気は、
恐れを消す力ではない。
恐れを抱えたまま、
それでも一歩を踏み出すことだということを。
朝の空気は、少しだけ張りつめていた。
私は庭に出て、まだ誰も踏んでいない小道をゆっくり歩いていた。昨夜の雨の名残が、葉の先で小さな雫になって揺れている。
(……考えすぎ、かな)
第25話の“触れない手”の感触が、まだ指先に残っていた。
触れられていない。
でも、確かに伝わってきた。
それが、嬉しくて、怖かった。
選ぶということは、何かを手に入れる代わりに、別の可能性を閉じることだ。
私はずっと、“身代わり”として生きてきた。
選ばれたのではない。
選ぶことも、許されなかった。
「……リネア」
背後から、カインの声がした。
振り返ると、彼はいつもの距離で立っていた。近すぎず、遠すぎず。私が逃げようと思えば、いくらでも逃げられる距離。
「散歩か」
「はい。頭を、整理したくて」
「……そうか」
それだけで、追及はしない。
彼は隣に並んで歩き出す。歩幅を、私に合わせて。
しばらく、足音だけが続いた。
「……君は、選ぶことが怖いか」
不意に、カインが言った。
胸が、きゅっと縮む。
「……はい」
正直に答えた。
「選んだら……間違えたら、って思ってしまって」
「間違いは、戻れぬものだと思うか」
「……思います」
選んでしまったら、もう“身代わり”には戻れない。
それは、楽でもあるけれど――逃げ場を失うことでもある。
カインは、歩みを止めた。
私も、立ち止まる。
「……私は、君に“正解”を与えることはできない」
彼は、まっすぐ私を見て言った。
「だが、“選んだ後に一人にしない”ことはできる」
その言葉が、胸に落ちる。
「……それって」
「責任だ」
重い言葉なのに、声は静かだった。
「君が選んだ結果が、喜びであれ、後悔であれ――私は、隣にいる」
私は、思わず目を伏せた。
選ぶことが怖いのは、間違えることよりも――
その結果を、一人で抱えることが怖いからだ。
「……ずるいです」
小さく呟く。
「なぜだ」
「そんなふうに言われたら……選びたく、なってしまうじゃないですか」
カインは、少しだけ驚いたように目を見開き、そして柔らかく笑った。
「それは、君の勇気だ」
「……勇気?」
「選びたいと思う気持ちは、恐怖と同じくらい強い」
私は、ゆっくりと息を吐いた。
胸の奥で、何かがほどけていく。
そのとき――
「奥方様」
遠くから、使用人の声が聞こえた。
「村より、使いの者が到着しております」
私は、思わず肩を強張らせた。
“村”。
かつて私を差し出した場所。
視線が、自然とカインに向く。
「……行きますか」
彼は、私に判断を委ねた。
逃げることもできる。
無視することもできる。
私は、少しだけ迷ってから――
「……行きます」
自分の声が、思ったよりはっきりしていた。
「過去を、放置したままじゃ……選べない気がして」
カインは、頷いた。
「なら、共に行こう」
その言葉に、“導く”でも“守る”でもない、“共に”という響きがあった。
私は、一歩、前に出た。
身代わりとしてではなく。
逃げる者としてでもなく。
“選ぶ者”として。
この日、私は知った。
選ぶという勇気は、
恐れを消す力ではない。
恐れを抱えたまま、
それでも一歩を踏み出すことだということを。
朝の空気は、少しだけ張りつめていた。
私は庭に出て、まだ誰も踏んでいない小道をゆっくり歩いていた。昨夜の雨の名残が、葉の先で小さな雫になって揺れている。
(……考えすぎ、かな)
第25話の“触れない手”の感触が、まだ指先に残っていた。
触れられていない。
でも、確かに伝わってきた。
それが、嬉しくて、怖かった。
選ぶということは、何かを手に入れる代わりに、別の可能性を閉じることだ。
私はずっと、“身代わり”として生きてきた。
選ばれたのではない。
選ぶことも、許されなかった。
「……リネア」
背後から、カインの声がした。
振り返ると、彼はいつもの距離で立っていた。近すぎず、遠すぎず。私が逃げようと思えば、いくらでも逃げられる距離。
「散歩か」
「はい。頭を、整理したくて」
「……そうか」
それだけで、追及はしない。
彼は隣に並んで歩き出す。歩幅を、私に合わせて。
しばらく、足音だけが続いた。
「……君は、選ぶことが怖いか」
不意に、カインが言った。
胸が、きゅっと縮む。
「……はい」
正直に答えた。
「選んだら……間違えたら、って思ってしまって」
「間違いは、戻れぬものだと思うか」
「……思います」
選んでしまったら、もう“身代わり”には戻れない。
それは、楽でもあるけれど――逃げ場を失うことでもある。
カインは、歩みを止めた。
私も、立ち止まる。
「……私は、君に“正解”を与えることはできない」
彼は、まっすぐ私を見て言った。
「だが、“選んだ後に一人にしない”ことはできる」
その言葉が、胸に落ちる。
「……それって」
「責任だ」
重い言葉なのに、声は静かだった。
「君が選んだ結果が、喜びであれ、後悔であれ――私は、隣にいる」
私は、思わず目を伏せた。
選ぶことが怖いのは、間違えることよりも――
その結果を、一人で抱えることが怖いからだ。
「……ずるいです」
小さく呟く。
「なぜだ」
「そんなふうに言われたら……選びたく、なってしまうじゃないですか」
カインは、少しだけ驚いたように目を見開き、そして柔らかく笑った。
「それは、君の勇気だ」
「……勇気?」
「選びたいと思う気持ちは、恐怖と同じくらい強い」
私は、ゆっくりと息を吐いた。
胸の奥で、何かがほどけていく。
そのとき――
「奥方様」
遠くから、使用人の声が聞こえた。
「村より、使いの者が到着しております」
私は、思わず肩を強張らせた。
“村”。
かつて私を差し出した場所。
視線が、自然とカインに向く。
「……行きますか」
彼は、私に判断を委ねた。
逃げることもできる。
無視することもできる。
私は、少しだけ迷ってから――
「……行きます」
自分の声が、思ったよりはっきりしていた。
「過去を、放置したままじゃ……選べない気がして」
カインは、頷いた。
「なら、共に行こう」
その言葉に、“導く”でも“守る”でもない、“共に”という響きがあった。
私は、一歩、前に出た。
身代わりとしてではなく。
逃げる者としてでもなく。
“選ぶ者”として。
この日、私は知った。
選ぶという勇気は、
恐れを消す力ではない。
恐れを抱えたまま、
それでも一歩を踏み出すことだということを。
朝の空気は、少しだけ張りつめていた。
私は庭に出て、まだ誰も踏んでいない小道をゆっくり歩いていた。昨夜の雨の名残が、葉の先で小さな雫になって揺れている。
(……考えすぎ、かな)
第25話の“触れない手”の感触が、まだ指先に残っていた。
触れられていない。
でも、確かに伝わってきた。
それが、嬉しくて、怖かった。
選ぶということは、何かを手に入れる代わりに、別の可能性を閉じることだ。
私はずっと、“身代わり”として生きてきた。
選ばれたのではない。
選ぶことも、許されなかった。
「……リネア」
背後から、カインの声がした。
振り返ると、彼はいつもの距離で立っていた。近すぎず、遠すぎず。私が逃げようと思えば、いくらでも逃げられる距離。
「散歩か」
「はい。頭を、整理したくて」
「……そうか」
それだけで、追及はしない。
彼は隣に並んで歩き出す。歩幅を、私に合わせて。
しばらく、足音だけが続いた。
「……君は、選ぶことが怖いか」
不意に、カインが言った。
胸が、きゅっと縮む。
「……はい」
正直に答えた。
「選んだら……間違えたら、って思ってしまって」
「間違いは、戻れぬものだと思うか」
「……思います」
選んでしまったら、もう“身代わり”には戻れない。
それは、楽でもあるけれど――逃げ場を失うことでもある。
カインは、歩みを止めた。
私も、立ち止まる。
「……私は、君に“正解”を与えることはできない」
彼は、まっすぐ私を見て言った。
「だが、“選んだ後に一人にしない”ことはできる」
その言葉が、胸に落ちる。
「……それって」
「責任だ」
重い言葉なのに、声は静かだった。
「君が選んだ結果が、喜びであれ、後悔であれ――私は、隣にいる」
私は、思わず目を伏せた。
選ぶことが怖いのは、間違えることよりも――
その結果を、一人で抱えることが怖いからだ。
「……ずるいです」
小さく呟く。
「なぜだ」
「そんなふうに言われたら……選びたく、なってしまうじゃないですか」
カインは、少しだけ驚いたように目を見開き、そして柔らかく笑った。
「それは、君の勇気だ」
「……勇気?」
「選びたいと思う気持ちは、恐怖と同じくらい強い」
私は、ゆっくりと息を吐いた。
胸の奥で、何かがほどけていく。
そのとき――
「奥方様」
遠くから、使用人の声が聞こえた。
「村より、使いの者が到着しております」
私は、思わず肩を強張らせた。
“村”。
かつて私を差し出した場所。
視線が、自然とカインに向く。
「……行きますか」
彼は、私に判断を委ねた。
逃げることもできる。
無視することもできる。
私は、少しだけ迷ってから――
「……行きます」
自分の声が、思ったよりはっきりしていた。
「過去を、放置したままじゃ……選べない気がして」
カインは、頷いた。
「なら、共に行こう」
その言葉に、“導く”でも“守る”でもない、“共に”という響きがあった。
私は、一歩、前に出た。
身代わりとしてではなく。
逃げる者としてでもなく。
“選ぶ者”として。
この日、私は知った。
選ぶという勇気は、
恐れを消す力ではない。
恐れを抱えたまま、
それでも一歩を踏み出すことだということを。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】転生したら悪役継母でした
入魚ひえん@発売中◆巻き戻り冤罪令嬢◆
恋愛
聖女を優先する夫に避けられていたアルージュ。
その夜、夫が初めて寝室にやってきて命じたのは「聖女の隠し子を匿え」という理不尽なものだった。
しかも隠し子は、夫と同じ髪の色。
絶望するアルージュはよろめいて鏡にぶつかり、前世に読んだウェブ小説の悪妻に転生していることを思い出す。
記憶を取り戻すと、七年間も苦しんだ夫への愛は綺麗さっぱり消えた。
夫に奪われていたもの、不正の事実を着々と精算していく。
◆愛されない悪妻が前世を思い出して転身したら、可愛い継子や最強の旦那様ができて、転生前の知識でスイーツやグルメ、家電を再現していく、異世界転生ファンタジー!◆
*旧題:転生したら悪妻でした
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
王太子妃は離婚したい
凛江
恋愛
アルゴン国の第二王女フレイアは、婚約者であり、幼い頃より想いを寄せていた隣国テルルの王太子セレンに嫁ぐ。
だが、期待を胸に臨んだ婚姻の日、待っていたのは夫セレンの冷たい瞳だった。
※この作品は、読んでいただいた皆さまのおかげで書籍化することができました。
綺麗なイラストまでつけていただき感無量です。
これまで応援いただき、本当にありがとうございました。
レジーナのサイトで番外編が読めますので、そちらものぞいていただけると嬉しいです。
https://www.regina-books.com/extra/login
【完結】奇跡のおくすり~追放された薬師、実は王家の隠し子でした~
いっぺいちゃん
ファンタジー
薬草と静かな生活をこよなく愛する少女、レイナ=リーフィア。
地味で目立たぬ薬師だった彼女は、ある日貴族の陰謀で“冤罪”を着せられ、王都の冒険者ギルドを追放されてしまう。
「――もう、草とだけ暮らせればいい」
絶望の果てにたどり着いた辺境の村で、レイナはひっそりと薬を作り始める。だが、彼女の薬はどんな難病さえ癒す“奇跡の薬”だった。
やがて重病の王子を治したことで、彼女の正体が王家の“隠し子”だと判明し、王都からの使者が訪れる――
「あなたの薬に、国を救ってほしい」
導かれるように再び王都へと向かうレイナ。
医療改革を志し、“薬師局”を創設して仲間たちと共に奔走する日々が始まる。
薬草にしか心を開けなかった少女が、やがて王国の未来を変える――
これは、一人の“草オタク”薬師が紡ぐ、やさしくてまっすぐな奇跡の物語。
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
好きすぎます!※殿下ではなく、殿下の騎獣が
和島逆
恋愛
「ずっと……お慕い申し上げておりました」
エヴェリーナは伯爵令嬢でありながら、飛空騎士団の騎獣世話係を目指す。たとえ思いが叶わずとも、大好きな相手の側にいるために。
けれど騎士団長であり王弟でもあるジェラルドは、自他ともに認める女嫌い。エヴェリーナの告白を冷たく切り捨てる。
「エヴェリーナ嬢。あいにくだが」
「心よりお慕いしております。大好きなのです。殿下の騎獣──……ライオネル様のことが!」
──エヴェリーナのお目当ては、ジェラルドではなく獅子の騎獣ライオネルだったのだ。
【完結】無口な旦那様は妻が可愛くて仕方ない
ベル
恋愛
旦那様とは政略結婚。
公爵家の次期当主であった旦那様と、領地の経営が悪化し、没落寸前の伯爵令嬢だった私。
旦那様と結婚したおかげで私の家は安定し、今では昔よりも裕福な暮らしができるようになりました。
そんな私は旦那様に感謝しています。
無口で何を考えているか分かりにくい方ですが、とてもお優しい方なのです。
そんな二人の日常を書いてみました。
お読みいただき本当にありがとうございますm(_ _)m
無事完結しました!
旦那様、離婚してくださいませ!
ましろ
恋愛
ローズが結婚して3年目の結婚記念日、旦那様が事故に遭い5年間の記憶を失ってしまったらしい。
まぁ、大変ですわね。でも利き手が無事でよかったわ!こちらにサインを。
離婚届?なぜ?!大慌てする旦那様。
今更何をいっているのかしら。そうね、記憶がないんだったわ。
夫婦関係は冷めきっていた。3歳年上のキリアンは婚約時代から無口で冷たかったが、結婚したら変わるはずと期待した。しかし、初夜に言われたのは「お前を抱くのは無理だ」の一言。理由を聞いても黙って部屋を出ていってしまった。
それでもいつかは打ち解けられると期待し、様々な努力をし続けたがまったく実を結ばなかった。
お義母様には跡継ぎはまだか、石女かと嫌味を言われ、社交会でも旦那様に冷たくされる可哀想な妻と面白可笑しく噂され蔑まれる日々。なぜ私はこんな扱いを受けなくてはいけないの?耐えに耐えて3年。やっと白い結婚が成立して離婚できる!と喜んでいたのに……
なんでもいいから旦那様、離婚してくださいませ!
王宮地味女官、只者じゃねぇ
宵森みなと
恋愛
地味で目立たず、ただ真面目に働く王宮の女官・エミリア。
しかし彼女の正体は――剣術・魔法・語学すべてに長けた首席卒業の才女にして、実はとんでもない美貌と魔性を秘めた、“自覚なしギャップ系”最強女官だった!?
王女付き女官に任命されたその日から、運命が少しずつ動き出す。
訛りだらけのマーレン語で王女に爆笑を起こし、夜会では仮面を外した瞬間、貴族たちを騒然とさせ――
さらには北方マーレン国から訪れた黒髪の第二王子をも、一瞬で虜にしてしまう。
「おら、案内させてもらいますけんの」
その一言が、国を揺らすとは、誰が想像しただろうか。
王女リリアは言う。「エミリアがいなければ、私は生きていけぬ」
副長カイルは焦る。「このまま、他国に連れて行かれてたまるか」
ジークは葛藤する。「自分だけを見てほしいのに、届かない」
そしてレオンハルト王子は心を決める。「妻に望むなら、彼女以外はいない」
けれど――当の本人は今日も地味眼鏡で事務作業中。
王族たちの心を翻弄するのは、無自覚最強の“訛り女官”。
訛って笑いを取り、仮面で魅了し、剣で守る――
これは、彼女の“本当の顔”が王宮を変えていく、壮麗な恋と成長の物語。
★この物語は、「枯れ専モブ令嬢」の5年前のお話です。クラリスが活躍する前で、少し若いイザークとライナルトがちょっと出ます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる