傍若無人の悪役令嬢 ―幸せになりたいなら黙って私に従いなさい―

しおしお

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第9話 悪臭問題、即・下水道建設命令

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 新市街に住民が移り始め、街は以前より活気づいていた。
 だが――まだ一つ、どうしても無視できない問題が残っていた。

「……臭いますわね?」

 ヴァイオレットが眉をひそめた瞬間、
 側近アルフレッドの顔色が青ざめる。

「お、お嬢様。それを言われると思っていました……!」

「だって、街全体がうっすら臭うのですもの。
 公営住宅がきれいでも、これでは台無しですわ」

「はい……実は昔から城下の下水道が整備されておらず、
 “汚物を川へ流す”という大変前時代的な方法が……」

「聞くに堪えませんわね」

 ヴァイオレットは扇子を閉じ、くるりと踵を返す。

「役人を全員呼びなさい。今すぐ」

「い、今すぐ!? またですか!?!?」

 役人たちは一時間後、揃いも揃って震えながら集まってきた。

 

◆ヴァイオレット、容赦のない指示を下す

「皆様。まず言いますわ。
 ――この街、臭いです」

 役人たち全員がうつむく。

「原因は下水道がないから。
 ならば作ればよろしい。
 以上ですわ」

「い、いえ、しかし!地盤調査や設計、予算、期間が――」

「地盤は掘れば分かりますわ。
 予算は、私がやれと言ったのだから当然出ます。
 期間? ……長いと言うなら、早くやりなさい」

 役人A「ひぇっ……!」

 ヴァイオレットは続けた。

「それから――」

 視線が鋭くなる。

「せっかく掘るなら、上水道も同時進行に決まっているではありませんの」

「ど、同時進行……!!?」

「下水道を掘って、次にまた上水道のために掘る。
 そんな非合理、聞いただけで頭が痛くなりますわ」

 役人たちが次々と崩れ落ちる。

「“掘るなら一回で全部”
 この簡単な理屈も分からないのですか?」

 静かに笑う悪役令嬢の姿は、もはや恐怖政治そのものだった。

 

◆現場の反応:混乱と、なぜか感動

 その日の午後。
 工事現場では、職人たちが大騒ぎしていた。

「え!?上水道も同時に!?
 正気かよ……!」

「いや……でも確かに合理的だ……」

「素材の運搬もまとめて済むし、期間短縮できる……」

「……この令嬢、恐ろしいけどめちゃくちゃ頭が回るぞ?」

 そんな中、ミーナが現場を覗き込んでいた。

「ねぇねぇ、お兄さん。
 そこからここまでの長さって――“17.3メートル”くらい?」

「……っ!」

 職人が驚いて計算しなおす。

「ピッタリ……!」

「ミーナ。あなた、暗算は得意なの?」

「うん!数字見ると、勝手に頭に浮かぶの!」

「……天才か」

 職人たちが震えた。

(この子……ただの子供じゃない……!)

 

◆ヴァイオレット、ミーナの才能を秒で見抜く

 その報告を聞くや否や、ヴァイオレットは即決した。

「ミーナ、あなた。
 今日から“工事最適化補助員”ですわ」

「えっ!?えへへ……なんかよくわかんないけど、任せて!!」

 側近アルフレッドは天を仰いだ。

「(お嬢様……また常識を遥かに超える人材を発掘した……)」

 

◆街の声:改革の実感

「下水道工事が始まったらしいぞ」
「しかも上水道も同時に……」
「この領地、変わるんじゃないか……?」

 住民の間に静かな期待が漂い始めていた。

 

◆そして伝説の名言が生まれる

「ヴァイオレット様、工事計画の資料を――」

「非合理の塊ですわね。
 こんなものより、実際に掘ったほうが早いでしょう?」

「じ、実際に掘る……!」

「ええ。“走りながら考える”のが優秀な者の仕事ですわ」

 その瞬間、職人と役人全員が思った。

(……ついていくしかない……!)

 

こうして、上下水道“同時進行”という前代未聞の改革が始まった。
悪役令嬢の暴走は止まらず、街はますます彼女の支配下……いえ、改革の加護へと染まっていく。


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