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第二章:運命の転回と新たなる秩序
しおりを挟む1.ざわつく王都とアレンの決断
アナスタシアとの婚約破棄が正式に国王陛下から認められてから、まだ一週間と経たないある日のことだった。王都ルメリアの宮廷内外では、いつになく激しい噂が飛び交っている。
その噂の中心にいるのは、紛れもなく第三王子アレン・トリスフィアと、没落貴族の令嬢カリーナ・エルドレイン――そして、先に婚約を破棄された公爵令嬢アナスタシア・オルステッドの三名だった。
アレンとカリーナが人目を忍んで愛を育んでいたことや、アレンがアナスタシアとの婚約を破棄するために画策した計略が失敗に終わったこと。そして、アナスタシアは先んじて国王に婚約破棄を申し出ていたため、アレンの目論見は完全に裏目に出たこと……。そうした内情は、もはや王宮の関係者のみならず、貴族社会や富裕な商人たちにまで広く知れ渡っていた。
その結果、アレンの立場は微妙なものとなり、彼を取り巻く空気も以前とは大きく変わっている。かつては「優雅で麗しき第三王子」「白百合の王子」などと称えられ、多くの人々が一目会いたいと彼のもとに足を運んだものだった。ところが今は、一部の者たちが陰で鼻で笑い、あるいは冷たく軽蔑した視線を向けるようになっていた。表立って非難の声を上げる者はさすがに少ないが、アナスタシアが公爵家の令嬢であることを思えば、アレンの行動に眉をひそめるのは無理もない。
では、アレン本人は今、どのような思いで日々を過ごしているのか。
最初こそ、失敗した計画と世間の噂に苛立ちと焦りを感じていた。アナスタシアに先を越されただけでなく、国王(すなわち彼の父)に対しても不誠実な行為を突きつけられたことで、面目を潰されてしまったのだから当然だ。
しかしながら、アレンは王子としてのプライドゆえか、それともカリーナの甘言に乗せられたのか、意外にも早く気持ちを切り替えた。
「……いいさ。アナスタシアとの婚約なんて最初から政治的な思惑だ。もともと心なんて通っていなかったんだから、どのみちうまくいくはずがない。寧ろ、こうして終わるのが必然だったんだ」
そんな独り言を呟き、まるで自分を納得させるかのように、アレンは日増しにカリーナとの関係を深めていく。周囲から冷ややかに見られようとも、彼自身は「自らの意思で愛を貫くロマンティストの王子」くらいに思っているのかもしれない。そして、一部の王族や貴族の中には「王子の自由恋愛を称賛する」ような人々も稀に存在し、彼らはアレンを支持する旨を口にしていた。
そのような流れの末、アレンはついにカリーナと婚約を結ぶ運びとなる。もっとも、国王からはあまり快い返事を得られなかったようだが、アレンが強く意思を示し、さらにカリーナ側が「かつては伯爵位に準ずる家格だった」ことを主張するなどして、最終的には不承不承で認められたという形である。
王宮では形式ばった小規模な婚約発表の場が設けられたが、出席した貴族の数はごくわずか。もはや多くの貴族たちは、アレンの未来を“王位継承権が薄い三男”という程度にしか見ておらず、政治的な旨味も少ない。ましてや、カリーナは没落貴族の出身で、持参金もほとんど期待できない。そのため、この婚約を歓迎する声は極めて少なかった。
それでも、アレン自身は「ようやく自由な愛を手に入れた」とカリーナを抱き寄せ、穏やかな笑みを見せる。カリーナもまた、そんなアレンの胸に顔を寄せ、「私たち、きっと幸せになりましょう」とささやいた。
だが、この瞬間から、二人の運命は思わぬ方向へと転がり始めることを、彼らはまだ知らない――。
2.没落貴族の現実:カリーナとエルドレイン家
カリーナ・エルドレインは、王都ルメリアの片隅にある小さな邸宅に住んでいた。かつては王国に広い領地を持つ名門貴族だったエルドレイン家だが、先代当主が投資に失敗したことを機に大幅に財産を失い、その結果、領地をほとんど売却したのだという。
現在は形式上“子爵”という爵位は残っているものの、実情はほぼ没落といって差し支えない程度の経済規模で、カリーナ自身も豪華な衣服や宝石を買い漁る余裕などほとんどなかった。それでも、彼女は美貌を武器にして王都の社交界に顔を出し、時折開かれる舞踏会や茶会などで男たちの心を奪い、貢ぎ物を受け取るなどして生活費を補っていたようだ。
アレンは、まだエルドレイン家がそこまで困窮しているとは知らず、単に「かつて大きな領地を有していた旧家」という程度の認識だった。カリーナは巧みに言葉を使い、「私の家は不遇続きで、今は苦しいけれど、本来は古くからの名門なのです」「本当に私を大切にしてくれる方が現れれば、きっと家も復興できるでしょう」などと夢見るように語っていたからだ。
しかし、いざ正式にカリーナと婚約を交わし、エルドレイン家を訪れる機会が増えてくると、アレンもさすがに気づき始める。邸宅は広さこそそれなりにあるものの、壁の塗装は剥げかけ、調度品も古びて色あせている。召使いも数えるほどしかおらず、屋敷の手入れも行き届いていない。
それでもアレンは「結婚の前には多少の出費が伴う。今はこうして古びていても、いずれ俺が何とかすればいい」と自らに言い聞かせるかのように、カリーナを安心させる。
「心配することはない。俺は王子だ。たとえ第三王子でも、必要な資金くらい用立てることはできるさ」
「まあ、アレン様……! でも、あまり無理はなさらないでくださいね。私、あなたさえいてくだされば、ほかには何もいらないわ」
そう言いながらも、カリーナの瞳には金銭的な期待がはっきりと浮かんでいた。しかし、アレンはそのことにまるで気づかない――いや、気づかないふりをしているのかもしれない。人の愛情とは、あるとき盲目になりやすいものだ。
こうして婚約後、アレンはカリーナとともに王都での新婚生活――正式な挙式まではもう少し時間があるが、事実上の同棲に近い形――を始めることになる。もっとも、王城の居住区は家族や側近の厳しい視線があり、気ままに暮らせない。そこでアレンは、しばしばエルドレイン家の邸宅に滞在してカリーナと過ごし、やがては彼女の家に必要な改装費を提供し始めた。
3.社交界の視線と二人の思惑
一方、王都の社交界はこの事態に対して、さまざまな反応を見せていた。
まず、公爵家の令嬢アナスタシアとの婚約を破棄し、没落貴族の娘カリーナを選んだアレンに対して、同情する声はごく少ない。「あの方は、よほど運が悪いか、あるいは愚かなのでしょう。公爵家を敵に回してまで手に入れる女性なのかしら」「いえ、それでも王子ならいつか花開く可能性も……」などと語り合う婦人たちもいるが、それはほんの建前や社交辞令程度であり、実際には「どうして第三王子はあんな娘に振り回されているのか」という呆れに近い感情を持つ者が圧倒的だった。
また、アナスタシアの評判は、婚約破棄のあとますます高まっていた。アレンとの一件が明るみに出るにつれ、彼女がどれほど冷静かつ的確に事を処理したかが評価され、公爵家の影響力も相まって「アナスタシア様はやはり只者ではない」「あのような賢明な方が王族に嫁がなかったのは残念だが、かえってわたくしたちには御しやすいかもしれない」などと、むしろ敬意を含んだ声が聞こえてくるようになった。
当のアナスタシアは、華やかな場でも変わらず落ち着いた笑みを浮かべ、必要最低限の応対だけをしている。その姿には、気高さと毅然さが漂い、ほんの少しの隙すら感じられない。王都で開かれる舞踏会や音楽会に顔を出しても、かつての“元婚約者”については一言も口にせず、そっと視線を逸らすだけだ。
「アナスタシア様、本当に強いお方……」
「もし私が同じ境遇だったら、もっと取り乱してしまいそうです」
他の令嬢たちが口々にそうささやくたびに、アナスタシアは微笑で返すだけだった。もちろん、内心で嘆きや辛さがまったくないわけではなかったが、今となってはアレンに執着する理由もなく、ただ公爵家令嬢としての務めを果たすのみ――そう割り切っているのである。
一方のアレンとカリーナは、世間の冷たい視線に気づきながらも、あたかも「私たちは愛のためにすべてを捨ててもかまわない」と言わんばかりに、堂々と手を取り合って街を歩くこともあった。時には貴族向けのオークションや宝飾店を訪れ、カリーナのために高価な首飾りやドレスを購入する姿も目撃されている。
そういった行動は、自然とアレンの財政状況を圧迫していった。第三王子とはいえ、第一王子や第二王子のように王位継承権が高いわけではない彼に、王家が潤沢な資金を与えるはずもない。むしろ、国王からは「これ以上の無駄遣いは許さぬ」「アナスタシア殿への慰謝料もまだ支払っていないだろう」とたしなめられる始末だ。
しかし、カリーナは「貴族としての威厳を見せるためには必要な出費ですわ」「いずれ王家の支援も受けられるのですもの。今は出し渋ってはいけません」と、しきりにアレンを煽る。アレンもまた、彼女を失望させたくないという思いからか、ついつい財布の紐を緩めてしまうのであった。
4.加速する浪費と綻び
カリーナが欲しがる装飾品やドレスは高価なものばかりで、しかも彼女は浪費を隠そうとしない。エルドレイン家の邸宅は改装が進められ、古びた家具は新調され、召使いも増員された。だが、それらの費用の大半はアレンが拠出しているに等しく、王家からの正式な援助があるわけではない。
「一体、あれほどの資金をどこから引っ張ってきているのだろう? まさか借金をしているのでは?」
「アレン殿下は第三王子に過ぎないし、国王陛下もこの状況に眉をひそめていると聞く。もはや王家からの支給は極僅かだろう。もしや、高利貸しや闇商人と……」
そんなよからぬ噂さえ囁かれるようになり、アレンの立場はますます危うくなっていた。しかし、アレン本人は「今が踏ん張りどきだ。カリーナの家が復興すれば、きっと大きな恩恵が返ってくる。そうすれば父上も見直してくださる」と、まるで夢を追いかける少年のように自分を鼓舞しているのである。
一方、カリーナはアレンのその様子に、当初こそ「なんて真っ直ぐな方なの」と満足気だったが、彼女の欲望は止まることを知らなかった。新しいドレスを買えば、今度は高価なアクセサリーを買い揃えたくなる。邸宅を改装すれば、次は馬車や庭園の整備をしたくなる。アレンの財力の限界を考えず、いくらでも金を引き出そうとするのだ。
それでも最初は、アレンがどんなに苦労して資金を捻出しているのかを知らなかったのかもしれない。だが、次第にアレンが険しい表情で帳簿を眺める姿を見かけても、カリーナは優しく言葉をかけるどころか、
「アレン様、私、近々開催される伯爵家の舞踏会に招かれたのです。素敵なドレスが必要ですわね」
「あなたが王子であることを印象づけるためにも、豪華な衣装を着て行きませんか? ほら、王子の品格を見せつけられるでしょう?」
などと、さらなる贅沢を要求してくる。アレンはうんざりした様子を見せながらも、結局は彼女の言う通りにしてしまう。
そうした生活が続くうちに、アレンは次第に自分の立場が危うくなりつつあることを痛感せずにはいられなくなった。すでに王城での居場所は狭まっており、父である国王や兄たちからは冷たい目を向けられるばかり。
さらに、アナスタシアとの一件で決まった慰謝料の支払い期限も近づいているというのに、まだ支払いが滞ったままだった。もちろん、公爵家から公式な督促が来るわけではないが、放置するわけにもいかない。国王の命令として下された慰謝料なのだから、王子と言えども無視すればそれ相応の報いを受けることになる。
「どうする……。いよいよ、金が回らなくなってきた。借金でもしないと、まずいんじゃないか……?」
アレンがそう呟くほどに追い詰められたある日、カリーナはまるで他人事のように言い放った。
「アレン様、私の家が没落したのは前の世代のせいであって、私には関係ありません。あなたは王子なのだから、どうにかして資金を調達してくださいな。まさか、できないなんて言わないわよね? あなたは“愛のためなら何でもする”って言ってくれたではありませんか」
これには、さすがにアレンも苛立ちを隠せない。
「……だが、今の俺にはどうにもならないこともある。父上から援助を断られた以上、王家の財産を勝手に使うわけにもいかないんだ。ましてや、“第三王子”の地位ってのは、思っているほど自由が利くものじゃない……」
「あら、そう? でも、あなたは王子でしょう? なんとかして頂戴。私が恥をかくのは嫌ですもの」
カリーナは拗ねたように唇を尖らせる。それを見たアレンは、再び「愛のためだ」と自分に言い聞かせ、何とか資金の工面を試みる。
しかし、無理な借金は積み重なり、急場しのぎの金策はやがて行き詰まるのは目に見えている。そうした危うい綱渡りがいつまでも続けられるはずがなかった。
5.崩れゆく仮面と冷たい王宮
さらに追い打ちをかけるように、王宮ではアレンの評判が決定的に悪化していた。婚約破棄以前から「第三王子は王位に関心が薄く、趣味にばかり没頭している」と嘆かれていたが、今となっては「さらに女性問題で公爵家を敵に回し、父王の名誉を傷つけた放蕩息子」という評判がついて回るようになっている。
公務の場でも、以前はそれなりに顔を出していたアレンが、今ではほとんど見かけなくなった。その代わり、もっぱらエルドレイン邸や街の華やかな場に出入りする姿ばかり目撃される。国王や第一・第二王子は「これ以上アレンに構っている暇はない」とばかりに冷ややかな態度を取り、重要な儀式や宴にも招かれないことが増えた。
こうして王宮からも、そして社交界からも徐々に孤立し始めたアレンだったが、当の本人はカリーナとの生活がある程度満たされている間は、まだ楽観的だった。
けれども、ある日、王宮の側近の一人が密かにアレンを訪ねてきて、「陛下がこのままではあなたを“王子”として認め続けるのは難しいかもしれない、とおっしゃっている」と忠告してきたことで、事態は深刻さを増していく。
「どういうことだ。俺は王家の血筋だぞ。そう簡単に追放されてたまるか」
アレンが声を荒らげると、側近は困り果てた表情で続けた。
「もちろん、血筋を否定されるわけではありません。しかし、あなたがこれからも王家としての義務を果たさず、むしろ公爵家への慰謝料さえ滞納している状況が続けば、“第三王子”としての地位を剥奪される可能性もございます。……長子や次子ではない以上、決して不可能な話ではありません。実際、歴史的にもそうした例がないわけではないのです」
「そ、そんな……」
アレンはようやく己の立場がどれほど危ういかを理解する。もし王子の称号を失えば、今のような少ないながらの収入や恩恵もすべて消え去ることになる。エルドレイン家の改装費用やカリーナの浪費を支えるどころか、自分の生活さえ危ぶまれるかもしれない。
「国王陛下も、あなたが悔い改めて、きちんと責任を果たすなら、すぐにどうこうという話ではないでしょう。ですが、今のままでは危険です。特に、アナスタシア様への慰謝料の支払いを先延ばしにするのはまずい。あれは一応、陛下の命令という形も取っていますから……」
側近の言葉に、アレンは目を伏せた。もはや、どう取り繕っても状況は好転しそうになかった。
(くそ……。どこで歯車が狂ってしまったんだ。アナスタシアと結婚していれば、こんな苦労は……いや、今さら考えても仕方ない。俺はカリーナを選んだんだ。自分の意思で……)
6.アナスタシアの優雅なる日々
そんな王宮やエルドレイン家の騒動とは裏腹に、公爵令嬢アナスタシアは至って穏やかな日々を送っていた。もちろん、周囲の噂が耳に入らないわけではない。しかし、彼女はあえて首を突っ込もうとはしない。
「アレン殿下とカリーナ様の浪費が酷いそうです」
「王宮でも、第三王子の立場が危ういとか……」
そんな話題が侍女たちの間でひそひそ囁かれているのを聞いても、アナスタシアは軽く微笑むだけだった。
「それはお気の毒ですわね。でも、もう私には関係のない話です」
そう言って、アナスタシアはきっぱりとその場を離れる。まるで、過去の婚約者に未練はないとでも示すように。
公爵家では、彼女のそうした態度を尊重しつつ、周囲の者たちも彼女に配慮して過剰にアレンの話題を持ち込まない。父である公爵も、娘が傷つくことを避けたいのだろう。もちろん、アナスタシアは既に十分な覚悟を持っており、アレンを想って涙を流すことはない。それよりも、公爵家の経営する領地や商会の監査に力を入れたり、次なる縁談の話を持ってくる親戚筋の者と面会したりと、穏やかかつ忙しい日常を過ごしていた。
そんなある日のこと。アナスタシアは公爵領の商会や工房の視察を終え、宮廷へ戻るために馬車を走らせていた。早めに用事が片付いたため、まだ夕刻には少し早い時間帯。街の大通りには活気があり、市井の人々が行き交っている。
すると、ふと道端に人だかりができているのが目に留まった。何やら揉め事が起きているようだ。アナスタシアは騎士を伴っていたこともあり、念のため様子を確かめようと近づいてみる。
そこでは、派手な恰好をした若い貴婦人らしき女性が、露店の商人に怒鳴り散らしていた。見ると、かなり高価そうな布地を扱う商人のようで、その女性は何かの値段に不満を抱いているらしい。
「これくらいの生地、もっと安くできるでしょう? あなたのところ、評判がいいって聞いたけど、所詮は下層の商売人なのね」
「い、いえ、これ以上は勘弁してくださいまし。私どもも商売ですので……」
「はあ? 私を誰だと思っているの。王子の婚約者ですのよ? いいえ、もうすぐ正式に王子妃になる身なのだから、これくらいの値段で譲るのが当然でしょう!」
周囲の野次馬たちからは「おいおい、誰だあれ」「あれが噂の没落貴族の……」などとひそひそ声が聞こえてくる。
アナスタシアは思わず足を止め、驚いた。――カリーナだった。エルドレイン家の紋章があしらわれた小さなブローチを胸につけ、明らかに高価すぎるだろうと思われるドレスを身にまとっている。しかも、言動は見苦しいほど横柄で、商人を見下すような態度をとっているのだ。
(あれが……現在のアレン殿下の婚約者……)
アナスタシアは心中でため息をつく。かつてはアレンに「深い愛を誓った」という女性が、こんなにも浅はかな振る舞いをしているとは。しかし、ここでアナスタシアが口を挟む義務もなければ、必要もない。
それにしても、「王子妃になる身」などと口にしているが、それは正式なものではない。挙式の準備が進んでいるわけでもなく、王家の承認も得ていないはず。つまり、カリーナは既成事実のように周囲へアピールし、それを武器に無理を押し通そうとしているのだろう。
アナスタシアはそっと視線を背け、騎士に言う。
「もう行きましょう。私たちが関わることではありません」
そうして、その場を立ち去る。後ろからカリーナの怒鳴り声が微かに聞こえたが、やがて喧噪の中に溶け込んでいった。
――アナスタシアには心底、あの二人がどうなろうとも、もはや関わりのない話なのだ。
7.行き詰まる二人と迫る危機
やがて、アレンとカリーナの浪費は頂点に達し、とうとう支払いが追いつかなくなる。高利貸しや闇商会にまで手を出したという噂が広がり、王宮の一部では「第三王子が犯罪者紛いの金銭トラブルに巻き込まれるのでは」と危惧する声も上がるほどだ。
さらに、カリーナが街で見せる横柄な態度や、高圧的な買い物スタイルは、多くの商人たちを辟易させていた。中には「もう二度と売らない」と宣言する老舗の店も出てきており、エルドレイン家への信用はどん底へと落ちていく。
アレンは「カリーナ、頼むから少し節約を……」と訴える日々が増えていった。しかし、カリーナにとっては、もう「王子という肩書きを最大限に利用すること」こそが自分の生き残りだ。アレンに節約を促されると、途端に涙ぐんでこう反論する。
「私がどれだけ惨めな思いをしてきたか、あなたはわかっているの? わが家が没落してから、何もかも失ったのよ。ようやくあなたと巡り合って幸せになれると思ったのに、今さら私にさらに我慢しろなんて……」
「そ、そうは言っても、どうにもならないものはどうにもならないんだ……」
「嘘よ! あなたは王子なのに、どうしてそんなに腰が低いの? 本当は私のことなんてどうでもいいんでしょう!」
泣き叫ぶカリーナを前に、アレンはなすすべもなく立ち尽くす。ここで愛を捨てれば、本当に自分は何もかも失うのではないかという恐怖が、彼をさらに縛っていた。
そんな中、国王からは「そろそろ慰謝料を支払え」という厳しい言葉が飛んでくる。公爵家のアナスタシアは、一度たりとも催促したことはないが、それは逆に言えば「公爵家がそんなことをしなくても、王家(つまりはアレン)が責任を果たすのが当然」という立場を示しているとも言える。
やがて、アレンのもとに闇商会の人間が押し掛けたり、カリーナが街で大声で怒鳴ったりする不穏な噂が絶えなくなると、王宮側は「もはや放置できない」として、アレンを事実上の“謹慎”処分にした。これによって、アレンはさらに公的な場に顔を出せなくなり、王宮における発言力は皆無に近い状態にまで陥る。
“王子”としての地位を完全に喪失こそしていないが、それは国王が最後の情けで猶予を与えているだけに過ぎない。もし何らかの重大な不始末を起こすか、慰謝料の支払いがさらに遅延すれば、今度こそアレンは王子の称号を失って放逐されかねない。
――追い詰められたアレンが次にとる行動は、もはや一つしか残されていなかった。
8.崩壊の予兆とアレンの決断
そして、カリーナはついにアレンとの仲をも冷めた目で見るようになる。
「アレン様は、やっぱりお金を持っていないのね。全然私を楽しませてくれないじゃない」
そう愚痴るカリーナに、アレンも限界を感じ始めていた。
「…………もう無理だ。こんなの、愛とは言えないんじゃないか」
自室で一人、アレンは呟く。かつては燃え上がるような情熱や、アナスタシアへの対抗心めいたものがカリーナとの関係を支えていた。だが、今となってはカリーナはただ浪費を繰り返すばかりで、アレンを癒してくれるどころか、責め立てることのほうが多い。
(こんなはずじゃなかった……。俺はただ、アナスタシアのように冷たい高慢な女性ではなく、もっと自分を必要としてくれる女性を愛したかっただけなのに……)
だが、よくよく思い返してみれば、アナスタシアは決して高慢ではなかった。冷静で理知的だったが、相手を見下す態度など一度も取らなかったし、王族としてのアレンを丁重に立てようと努めていたのは確かだ。――それを裏切ったのは、ほかでもない自分自身だという事実が、今さら胸に突き刺さってくる。
そうして悶々とする日々が続いたある夜、ついにカリーナがアレンへと婚約破棄を口にした。
「もういいわ。あなたのような、何の後ろ盾にもならない王子なんて必要ない。私にはもっと良い縁談があるのだから」
「な、何を言っているんだ……? お前が俺を選んだんじゃなかったのか……?」
「ふん、あれは昔の話よ。あなたが私を幸せにしてくれるなら、ずっと一緒にいるつもりだったけれど、今じゃ逆に私を不幸にしかしないじゃない。王位継承権だってほとんど期待できないくせに、お金がないなら愛もないのと同じ。もううんざりよ」
あまりに身勝手な言葉。それでも、アレンは反論しようにも言葉が出ない。ただ、虚しく唇を震わせるだけだった。結局、その夜を境にカリーナは邸宅を出て行き、後日正式に「やはり、この婚約はなかったことにしてほしい」と王宮に申し立てる。
国王は「勝手な話だ」と大いに憤慨したが、これまでの経緯を考えれば、アレンにも非がありすぎる。もはや取り繕うことはできない。こうしてアレンとカリーナの婚約は、あっけなく破談に終わったのだ。
9.「アナスタシア、君こそが真実の相手だ」
カリーナとの関係を失い、王宮でも居場所を失いつつあるアレンは、完全に行き詰まった。金策も尽きかけており、慰謝料の支払いも目処が立たない。もはや誰も彼に金を貸してくれず、あろうことか闇商会からの取り立てが始まりつつある。
「こんな……こんなの、あんまりじゃないか。俺はただ、幸せになりたかっただけなのに……」
うわ言のように呟きながら、アレンの脳裏をよぎるのは、公爵令嬢アナスタシアの落ち着いた瞳と微笑みだ。
もし彼女と結婚していたら、こんな惨めな状況にはならなかっただろう。――そう考えずにいられない。
アレンはついに、思い切った行動に出る。
王宮からもはや歓迎されていない身でありながら、公爵オルステッド家の屋敷を訪ねたのだ。アナスタシアと再び話をするために。
門番たちは最初、一様に怪訝な顔をした。そもそも、第三王子が公爵家の門をくぐるなど、かつての婚約時代ならまだしも、今となってはほとんどあり得ない行為である。
「ご用件は……?」
「アナスタシア様にお会いしたい。――いや、会わせてくれ。頼む、どうしても話があるんだ」
アレンのその顔は、以前の高潔な王子の面影もない。やつれきった様子で、目の下に深い隈がある。服装もよれよれで、袖口にはほころびが見える。門番は戸惑いつつも、公爵家の中へと連絡を取りに行った。
やがて案内を受け、アレンは客間へと通される。しかし、そこは以前アナスタシアと最後に話した応接室ではなく、少し格下の部屋。かつて王子を迎えるときに使われた部屋より明らかに簡素な室内が、今のアレンの立場を物語っているようだった。
しばらく待たされていると、アナスタシアがやってくる。
「お久しぶりです、アレン殿下」
落ち着いた声でそう挨拶したアナスタシアは、相変わらずの気品を漂わせながら、しかしどこか冷淡な色を宿した瞳でアレンを見やった。
アレンはその姿を見ただけで、もう何も言えないほどに胸が締めつけられる。やがて何かを振り切るようにして、彼は椅子から立ち上がり、アナスタシアへと近づいた。
「アナスタシア、頼む……俺ともう一度、婚約をしてほしいんだ。カリーナとのことは終わった。やはり俺には、君しかいない……君こそが俺の真実の相手だ」
必死の形相で懇願するアレン。それを見ても、アナスタシアは微動だにせず、静かな声で返す。
「は? カリーナ様は?」
「彼女とは……婚約を破棄した。あんな女性、俺には相応しくなかった。君を失って初めて気づいたんだ。どうか、俺を許してくれ。君こそが俺の本当の婚約者なんだ……」
その言葉は、ある種の懇願というより、自己保身の叫びにしか聞こえない。それをアナスタシアも敏感に察する。
やがて、まるで子どもを見るような冷めた目で、アナスタシアは息をついた。
「呆れたお方ですね。……あらかた、生活に困り果てて、そんなことを言い始めたのでしょう? 私が公爵令嬢であるから、お金もあるし、安定もしている。アレン殿下のような方は、そういう打算なしには人に声をかけられないのかしら」
「ち、違う! 俺はただ、愛して――」
「もう結構です。そんな浅薄な言葉に付き合う余裕はありませんわ。あなたみたいな男性には、二度と関わりたくないのです。どうぞ、お帰りくださいませ」
アナスタシアは明確な拒絶の言葉を告げ、扉の方向を促す。もしここでアレンがさらにしつこく食い下がれば、侍女や衛兵たちによって強制的に追い出されるだろう。
アレンは愕然と立ち尽くし、最後の頼みを失った子どものように慟哭する。
「な、なんで……どうしてもだめなのか……! 俺が間違っていたんだ。ちゃんと反省もした。俺にはもう、君しかいないんだよ……!」
「口先だけの反省に、どれだけの価値があると思って? あなたは私を捨て、自分で選んだ道を歩まれた。結果、何も得られず行き詰まった。だから“都合よく”私のもとへ戻ってくる。そんな考え、下衆の極みですわ」
ピシャリと言い放たれ、アレンは視線を落とす。そこに、もはやかつてのプライドなど微塵も残ってはいなかった。
「お帰りください」
最後通告を受けたアレンは、がくりと肩を落として歩き出す。今にも泣きそうな表情で、それでも誇りを失った自分の姿を他人に見られたくないのか、足早に部屋を出ていく。
屋敷の門を出た瞬間、彼は崩れるように膝をつく。もう帰る場所などどこにもない。王宮に戻れば国王と兄たちの冷たい視線があるばかりで、あげくの果てに自分は今、闇商会の取り立てに追われる身なのだ。
――こうして、アレンは王宮にも戻れず、街の片隅へと姿を消した。後日「行方不明になった」という報せが王宮と公爵家に届いたが、誰も彼を探そうとはしなかったという。
10.アナスタシアの決意と次の章へ
アレンが去ったあとの応接室に、一人残されたアナスタシアは、まるで無関心を装うようにティーカップを手に取る。
「……お嬢様、よろしかったのですか?」
遠慮がちに声をかけるのは、長年アナスタシアに仕える侍女長だ。
「ええ、もちろんです。気に病むこともありませんわ。私はただ、私の正当な権利を主張しただけ。……かつてあの方が私を捨てたように、今度は私があの方を拒否したまでのことです」
カップを口元に運ぶアナスタシア。その仕草からは優雅さが失われていないが、その瞳にはほんの少しの哀愁が感じられる。
(……あの方はいったい、何を求めていたのかしら)
わずかな沈黙ののち、アナスタシアは心の中でそう問いかける。かつての婚約時代も、彼女はどちらかといえば受け身であり、アレンの意思を尊重していた。もし彼が真摯に向き合い、少しずつでも愛情を育もうと務めていたなら、二人の未来は違っていたかもしれない。
けれど、今となってはすべてが“もしもの話”でしかない。アレンは自らの意思で別の道を歩み、そして挫折した。もうそこに、同情する余地など残されていない。
アナスタシアはそれ以上何も言わず、静かに紅茶を飲み干す。
――こうして、第三王子アレン・トリスフィアはすべてを失い、王都から姿を消した。一方、アナスタシアは公爵家の令嬢としての地位を盤石なものとし、日々を着実に歩んでいく。
世間では「ざまあみろ」「自業自得だ」という声もあれば、「あの美しき第三王子はいずこへ」と寂しがる声もあるが、いずれ時間が経てば、この出来事も過去の一つの大事件として語り継がれるだけだろう。
しかし、アナスタシアの人生は、これで終わりではない。公爵家の跡取りにふさわしい彼女の元には、新たな縁談が次々と舞い込んできている。どれも一筋縄ではいかない話ばかりかもしれないが、アナスタシアはもう、どんな逆境にも揺らがないだけの強さを手にしていた。
「私の幸せは、私の手でつかむ」
そう心に誓って、アナスタシアは新たな一歩を踏み出すのだった。
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