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第3話 王宮廊下すれ違い戦争(片側のみ)
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王宮の長い廊下。
昼下がりの柔らかい光が差し込み、静かで落ち着いた空気が流れていた。
――そこに、軽い足取りで現れる一人の女性。
「今日のランチは煮込み料理にしようかな~。遠赤外線の“炭火の火炎”でじっくり……」
新任王宮厨師、シャーリー・ドット。
白いコックコート姿も違和感がなく、むしろ凛として美しい。
本人はただ献立を考えているだけだ。
だが、この瞬間。
廊下の向こう側から歩いてきた女性が、ぴたりと固まった。
王宮魔術師、一級魔法使いナターシャ・キンスキーである。
(き、き、来たぁぁぁぁぁ……!!
なんで今日に限ってこの廊下を通るのよ……!?)
シャーリーの姿を見た瞬間、
ナターシャの背筋に電流が走った。
(ダメ、絶対に目を合わせてはいけない……!
あの女……私より上の資格を取りながら……本人は気づいてもいない……恐ろしい……!)
部下が小声で問いかける。
「ナターシャ様、どうなさいますか?」
「どうするもこうするも!?
逃げるに決まってるじゃない!!
私があの天才と“対面”なんて……!」
「天才というより天然では……」
「天然ほどタチが悪いのよっ!!」
ナターシャは部下を盾にしながら、そっと視線をそらした。
しかしシャーリーは――
「ん? ナターシャ?久しぶり~」
にこやかに手を振った。
(き、気づかれたぁぁぁぁ!?)
ナターシャの背筋が折れそうになる。
「今日も忙しそうね。王宮魔術師って大変そうだわ」
「い、いや忙しくは……っ、あ、忙しいです!!めちゃくちゃ忙しいです!!」
シャーリーは納得したように微笑んだ。
「そうよね~。私は料理で忙しいけど、ナターシャは魔法で忙しい。
お互いお仕事、頑張りましょうね!」
「っっっ……!」
(やめて……!!
その“普通の友情みたいな声のかけ方”!!
私が勝手に対抗心燃やしてるみたいじゃない……っ)
ナターシャは限界だ、とばかりに踵を返した。
「す、すみませんっ失礼します!!」
「走ったら危ないよ~?」
ナターシャは猛ダッシュで廊下の角を曲がり、
部下は追いかけながらため息をつく。
「ナターシャ様……
なぜあんなにシャーリー殿から逃げるのですか」
「当たり前でしょ!?
あの女、本気を出したら……私なんて足元にも及ばないのよ!!」
「ですが彼女は料理人で……」
「料理が問題なのよ!!
“特級厨師”って魔法で言えば“賢者級”なんだから!!」
「いや違いますよ?」
「違うの!?なんで違うの!?」
ナターシャの中では常識が常に捻れながら回転している。
---
◆その頃のシャーリー
「ナターシャ、今日も元気そうだったわね~。ああいう風に走れるなんて、やっぱり身体能力が高いのね」
彼女は本気でそう思っていた。
(ちょっと話したかったけど……忙しいのね。よし、今日のおやつはナターシャに持って行こう)
その“善意の差し入れ”こそ、のちに
ナターシャをさらなる混乱に陥れることになる。
---
◆廊下の角で、部下とナターシャ
「……はぁっ……はぁっ……
ダメよ……今日のは接触事故……!
あの笑顔……あれでこっちの精神が削られるのよ……!」
「(削っているのはほぼ自分)」
部下は心の中でそっと突っ込んだ。
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昼下がりの柔らかい光が差し込み、静かで落ち着いた空気が流れていた。
――そこに、軽い足取りで現れる一人の女性。
「今日のランチは煮込み料理にしようかな~。遠赤外線の“炭火の火炎”でじっくり……」
新任王宮厨師、シャーリー・ドット。
白いコックコート姿も違和感がなく、むしろ凛として美しい。
本人はただ献立を考えているだけだ。
だが、この瞬間。
廊下の向こう側から歩いてきた女性が、ぴたりと固まった。
王宮魔術師、一級魔法使いナターシャ・キンスキーである。
(き、き、来たぁぁぁぁぁ……!!
なんで今日に限ってこの廊下を通るのよ……!?)
シャーリーの姿を見た瞬間、
ナターシャの背筋に電流が走った。
(ダメ、絶対に目を合わせてはいけない……!
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「ナターシャ様、どうなさいますか?」
「どうするもこうするも!?
逃げるに決まってるじゃない!!
私があの天才と“対面”なんて……!」
「天才というより天然では……」
「天然ほどタチが悪いのよっ!!」
ナターシャは部下を盾にしながら、そっと視線をそらした。
しかしシャーリーは――
「ん? ナターシャ?久しぶり~」
にこやかに手を振った。
(き、気づかれたぁぁぁぁ!?)
ナターシャの背筋が折れそうになる。
「今日も忙しそうね。王宮魔術師って大変そうだわ」
「い、いや忙しくは……っ、あ、忙しいです!!めちゃくちゃ忙しいです!!」
シャーリーは納得したように微笑んだ。
「そうよね~。私は料理で忙しいけど、ナターシャは魔法で忙しい。
お互いお仕事、頑張りましょうね!」
「っっっ……!」
(やめて……!!
その“普通の友情みたいな声のかけ方”!!
私が勝手に対抗心燃やしてるみたいじゃない……っ)
ナターシャは限界だ、とばかりに踵を返した。
「す、すみませんっ失礼します!!」
「走ったら危ないよ~?」
ナターシャは猛ダッシュで廊下の角を曲がり、
部下は追いかけながらため息をつく。
「ナターシャ様……
なぜあんなにシャーリー殿から逃げるのですか」
「当たり前でしょ!?
あの女、本気を出したら……私なんて足元にも及ばないのよ!!」
「ですが彼女は料理人で……」
「料理が問題なのよ!!
“特級厨師”って魔法で言えば“賢者級”なんだから!!」
「いや違いますよ?」
「違うの!?なんで違うの!?」
ナターシャの中では常識が常に捻れながら回転している。
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◆その頃のシャーリー
「ナターシャ、今日も元気そうだったわね~。ああいう風に走れるなんて、やっぱり身体能力が高いのね」
彼女は本気でそう思っていた。
(ちょっと話したかったけど……忙しいのね。よし、今日のおやつはナターシャに持って行こう)
その“善意の差し入れ”こそ、のちに
ナターシャをさらなる混乱に陥れることになる。
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◆廊下の角で、部下とナターシャ
「……はぁっ……はぁっ……
ダメよ……今日のは接触事故……!
あの笑顔……あれでこっちの精神が削られるのよ……!」
「(削っているのはほぼ自分)」
部下は心の中でそっと突っ込んだ。
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