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第11話 元婚約者、華麗にざまぁされる
しおりを挟むその日、王宮の中庭は穏やかな陽光に照らされていた。
シャーリーは料理の材料を抱えて歩きながら、次の王の食事プランを考えていた。
(王様、最近食欲が戻ってきてるし……次は新作の回復スープでも作ろうかな♪)
そこへ――
「シャーリー!!」
聞き覚えのある低い声が響いた。
振り返ると、かつての婚約者である ローウェン公爵家の長男・ヒューバート が立っていた。
彼は相変わらず傲慢な表情を浮かべ、腕を組んでいる。
(……あら、いたわね、こんな人)
シャーリーは少しだけ思い出す。
一級魔法使いになれなかったという理由で、彼は一方的に婚約破棄を告げてきたのだ。
---
■突然の“復縁宣言”
「久しぶりだな、シャーリー。どうやらお前、王宮厨師になったらしいな」
「ええ、そうですけど……何かご用ですか?」
ヒューバートはなぜか勝ち誇ったように頷いた。
「よく考えた結果だが――
お前と“復縁してやってもいい”」
「…………へ?」
「本来、私ほどの男と釣り合う女はそういない。
だが、お前はそこそこ美貌もあるし、家柄も悪くない。
そして何より……王宮に出入りできる立場。
つまり、俺にとって“利用価値が高い”と判断した」
「……あら、そうなんですか」
「だから、もう一度婚約してやる。
ありがたく思え」
「…………」
シャーリーは、少しだけ考えた。
(この人……まだ自分が“選ぶ側”だと思ってるのね)
そして、笑顔で言った。
---
■シャーリー、爽やかに一刀両断
「ごめんなさい。復縁は結構です」
ヒューバートは固まった。
「……い、今なんと言った?」
「復縁は結構です。
だって――」
シャーリーは抱えていた野菜籠を持ち直し、爽やかに微笑んだ。
「婚約すると料理の邪魔になるんですもの。
私、忙しいので」
「料理……の……邪魔……?」
「ええ。恋愛とか結婚のことで時間を取られるの、嫌なので」
ヒューバートの顔がみるみる赤くなっていく。
「お、お前……!
貴族令嬢としての自覚が――」
「ありませんね。
私は料理人ですから」
「ぐっ……!!」
---
■陰から見ていた者
実は近くの廊下の柱の陰――
「…………(ガッツポーズッ!!)」
ナターシャが全力で拳を握っていた。
(言った……! 言ったわねシャーリー……!!
よくぞあんなクズ男を一刀両断したわ!!
最高よ!!!)
部下がひそひそと呟く。
「ナターシャ様……なんでそんなに嬉しそうなんです?」
「嬉しいに決まってるでしょ!
あの男、学院時代からシャーリーを利用できる女だとしか思ってなかったのよ!
ああスッキリした……っ!」
「でも、シャーリー殿とは仲良くないですよね?」
「仲良くないわよ!?
けど……なんか敗北感がなくなった……っ!」
ナターシャの感情は今日も複雑だった。
---
■ヒューバート、さらに追い打ちをくらう
「シャ、シャーリー……!
考え直せ……! 俺と結婚すれば、お前の家も繁栄し――」
「繁栄はもうしてますよ?
王様が毎日食べに来てくれるおかげで、家の農園も大忙しですし」
「王様……?
ま、まさか……陛下が、お前に……」
「ええ。『王妃にならないか』と言われましたけど、お断りしました」
「王妃を……断った……だと……!?」
ヒューバートはついに膝をついた。
「そんなバカな……!
俺に捨てられた女が……王妃候補……だと……?
やめてくれ……俺のプライドが……崩壊する……!」
「大丈夫ですよ。
人は誰でも、間違いから学べますから」
「今、その言葉が一番つらい!!!」
シャーリーは軽く会釈して立ち去った。
---
■ナターシャ、決意する(?)
シャーリーが去った後。
「…………よし!」
ナターシャは柱の陰で拳を握った。
(わかったわシャーリー……
あなたは敵でも味方でもなく……
“私が勝手に張り合う対象”なのね!!
ならば――)
「次こそ私が勝つわ!!!
何に勝つかはまだわからないけど!!!」
「ナターシャ様、勢いだけの宣言やめてください」
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