一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました

しおしお

文字の大きさ
14 / 33

第13話黄金のスープは爆発から生まれる

しおりを挟む
 王宮魔導研究室。
 今日はナターシャが一人で新魔術の調整中だった。

「よし……今日こそ成功させるわ。《魔力圧縮式多層結界(コンプレッション・バリア)》……出力を少しずつ上げて……」

 集中していたナターシャの額には汗が滲む。

(ここまで来たら後戻りはできない……!
 私は一級魔法使い、王国最高峰の魔術師……
 あんな特級厨師なんかに負けてたまるものですか!)

 ナターシャが気合を入れた、その瞬間。

コンコン。

「ナターシャ、スープの差し入れに来たわよ~」

「今だけは来るなあああああ!!!!」

 ドアが開く。

ガチャッ。

シャーリー
「わ、わっ!?」

ナターシャ
「――きゃあああああああ!!!」


---

■研究室、爆発

 ナターシャが制御していた結界が一気に暴走し、
 研究室全体をぬりつぶすように光が広がった。

ドォォォォン!!!

 ものすごい音と共に、魔術爆発が研究室を揺らした。

シャーリー
「きゃっ! な、なにこれ!?すごい光……!」

ナターシャ
「ちょっと!? なんで今入るのよ!!
 タイミング最悪よ!!」


---

■爆発のあとに残ったもの

 爆心地にあったはずのシャーリーのスープ鍋が、
 なぜか――

黄金に輝いていた。

鍋の中
「ぽわぁぁぁ~ん……(神々しい湯気)」

シャーリー
「えっ……?」

ナターシャ
「嘘でしょ……?
 なんでスープが光ってるのよ……?」

部下リカルド
「さすがに……これは……魔術実験ではなく料理実験なのでは……?」

ナターシャ
「違うわよ!?!?
 私は研究してただけ!!
 なんで料理が完成してるのよ!!?」


---

■シャーリーが味見する

シャーリーはおそるおそる黄金の液体をすくい、口に含む。

「…………!」

リカルド
「シャ、シャーリー殿?」

シャーリー
「ナターシャ……すごいわこれ……
 素材の旨味が魔力で極限まで引き出されてる……
 しかも味の層が……複雑に重なって……
 これは……」

ナターシャ(ゴクリ)
「……ど、どういう味なのよ……?」

シャーリー
「“神に選ばれたスープの味”って感じ」

ナターシャ
「意味がわからないのよ!!!?」


---

■国王、まっしぐらに来る

騒ぎを聞きつけ、国王が研究室へ駆け込んだ。

「なにごとだ!? 今の爆発は……」

シャーリー
「あ、陛下。スープできました」

国王
「……スープ?」

 鍋が黄金に光っているのを見て、
 国王は震える手でスプーンを取った。

一口。

「……………………」

ナターシャ
(ど、どうなのよ……?)

国王
「……うますぎて……もう笑うしかない……!!」

ナターシャ
「なんでぇぇぇぇぇえええ!!?」

シャーリー
「ナターシャの魔術、料理と相性がいいのねぇ」

ナターシャ
「相性よくていいわけないでしょ!?
 私は魔法使い!!!
 料理人じゃないの!!」

リカルド
「才能って残酷ですね」

ナターシャ
「誰もうまいこと言わなくていいわよ!!!!!」


---

■ナターシャのメンタル崩壊

ナターシャ
「なんで……?
 私は最強の一級魔法使いなのよ……?
 なんで爆発しただけでスープが完成するの……?
 料理のほうが向いてるってこと……?」

シャーリー
「向いてると思うわ♪」

ナターシャ
「やめてぇぇぇぇぇぇぇ!!!」


---

■国王の追い打ち

国王
「ナターシャよ、次の休日に王宮厨房でもう一回爆発してくれんか?」

ナターシャ
「絶対にイヤよ!!!!!」

リカルド
「陛下、爆発依頼はやめましょう」


---

■シャーリーの素直な一言(追撃)

シャーリー
「でもナターシャ、料理苦手そうに見えたけど、
 実は天才なのかもしれないわよ?」

ナターシャ
「その言葉が一番ダメージ大きいのよぉぉぉぉ!!!!」


---
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

王太子に理不尽に婚約破棄されたので辺境を改革したら、王都に戻ってきてくれと言われました

水上
恋愛
【全18話完結】 「君は中身まで腐っている」と婚約破棄されたエリアナ。 そんな彼女は成り行きで辺境へ嫁ぐことに。 自身の知識と技術で辺境を改革するエリアナ。 そんな彼女を、白い結婚のはずなのに「膝枕は合理的だ」と甘やかす夫。 一方、エリアナを追放した王都では、彼女の不在の影響が出始めて……。

聖女の座を追われた私は田舎で畑を耕すつもりが、辺境伯様に「君は畑担当ね」と強引に任命されました

さら
恋愛
 王都で“聖女”として人々を癒やし続けてきたリーネ。だが「加護が弱まった」と政争の口実にされ、無慈悲に追放されてしまう。行き場を失った彼女が選んだのは、幼い頃からの夢――のんびり畑を耕す暮らしだった。  ところが辺境の村にたどり着いた途端、無骨で豪胆な領主・辺境伯に「君は畑担当だ」と強引に任命されてしまう。荒れ果てた土地、困窮する領民たち、そして王都から伸びる陰謀の影。追放されたはずの聖女は、鍬を握り、祈りを土に注ぐことで再び人々に希望を芽吹かせていく。  「畑担当の聖女さま」と呼ばれながら笑顔を取り戻していくリーネ。そして彼女を真っ直ぐに支える辺境伯との距離も、少しずつ近づいて……?  畑から始まるスローライフと、不器用な辺境伯との恋。追放された聖女が見つけた本当の居場所は、王都の玉座ではなく、土と緑と温かな人々に囲まれた辺境の畑だった――。

殿下に寵愛されてませんが別にかまいません!!!!!

さら
恋愛
 王太子アルベルト殿下の婚約者であった令嬢リリアナ。けれど、ある日突然「裏切り者」の汚名を着せられ、殿下の寵愛を失い、婚約を破棄されてしまう。  ――でも、リリアナは泣き崩れなかった。  「殿下に愛されなくても、私には花と薬草がある。健気? 別に演じてないですけど?」  庶民の村で暮らし始めた彼女は、花畑を育て、子どもたちに薬草茶を振る舞い、村人から慕われていく。だが、そんな彼女を放っておけないのが、執着心に囚われた殿下。噂を流し、畑を焼き払い、ついには刺客を放ち……。  「どこまで私を追い詰めたいのですか、殿下」  絶望の淵に立たされたリリアナを守ろうとするのは、騎士団長セドリック。冷徹で寡黙な男は、彼女の誠実さに心を動かされ、やがて命を懸けて庇う。  「俺は、君を守るために剣を振るう」  寵愛などなくても構わない。けれど、守ってくれる人がいる――。  灰の大地に芽吹く新しい絆が、彼女を強く、美しく咲かせていく。

見た目は子供、頭脳は大人。 公爵令嬢セリカ

しおしお
恋愛
四歳で婚約破棄された“天才幼女”―― 今や、彼女を妻にしたいと王子が三人。 そして隣国の国王まで参戦!? 史上最大の婿取り争奪戦が始まる。 リュミエール王国の公爵令嬢セリカ・ディオールは、幼い頃に王家から婚約破棄された。 理由はただひとつ。 > 「幼すぎて才能がない」 ――だが、それは歴史に残る大失策となる。 成長したセリカは、領地を空前の繁栄へ導いた“天才”として王国中から称賛される存在に。 灌漑改革、交易路の再建、魔物被害の根絶…… 彼女の功績は、王族すら遠く及ばないほど。 その名声を聞きつけ、王家はざわついた。 「セリカに婿を取らせる」 父であるディオール公爵がそう発表した瞬間―― なんと、三人の王子が同時に立候補。 ・冷静沈着な第一王子アコード ・誠実温和な第二王子セドリック ・策略家で負けず嫌いの第三王子シビック 王宮は“セリカ争奪戦”の様相を呈し、 王子たちは互いの足を引っ張り合う始末。 しかし、混乱は国内だけでは終わらなかった。 セリカの名声は国境を越え、 ついには隣国の―― 国王まで本人と結婚したいと求婚してくる。 「天才で可愛くて領地ごと嫁げる?  そんな逸材、逃す手はない!」 国家の威信を賭けた婿争奪戦は、ついに“国VS国”の大騒動へ。 当の本人であるセリカはというと―― 「わたし、お嫁に行くより……お昼寝のほうが好きなんですの」 王家が焦り、隣国がざわめき、世界が動く。 しかしセリカだけはマイペースにスイーツを作り、お昼寝し、領地を救い続ける。 これは―― 婚約破棄された天才令嬢が、 王国どころか国家間の争奪戦を巻き起こしながら 自由奔放に世界を変えてしまう物語。

料理スキルしか取り柄がない令嬢ですが、冷徹騎士団長の胃袋を掴んだら国一番の寵姫になってしまいました

さら
恋愛
婚約破棄された伯爵令嬢クラリッサ。 裁縫も舞踏も楽器も壊滅的、唯一の取り柄は――料理だけ。 「貴族の娘が台所仕事など恥だ」と笑われ、家からも見放され、辺境の冷徹騎士団長のもとへ“料理番”として嫁入りすることに。 恐れられる団長レオンハルトは無表情で冷徹。けれど、彼の皿はいつも空っぽで……? 温かいシチューで兵の心を癒し、香草の香りで団長の孤独を溶かす。気づけば彼の灰色の瞳は、わたしだけを見つめていた。 ――料理しかできないはずの私が、いつの間にか「国一番の寵姫」と呼ばれている!? 胃袋から始まるシンデレラストーリー、ここに開幕!

断罪された私ですが、気づけば辺境の村で「パン屋の奥さん」扱いされていて、旦那様(公爵)が店番してます

さら
恋愛
王都の社交界で冤罪を着せられ、断罪とともに婚約破棄・追放を言い渡された元公爵令嬢リディア。行き場を失い、辺境の村で倒れた彼女を救ったのは、素性を隠してパン屋を営む寡黙な男・カイだった。 パン作りを手伝ううちに、村人たちは自然とリディアを「パン屋の奥さん」と呼び始める。戸惑いながらも、村人の笑顔や子どもたちの無邪気な声に触れ、リディアの心は少しずつほどけていく。だが、かつての知り合いが王都から現れ、彼女を嘲ることで再び過去の影が迫る。 そのときカイは、ためらうことなく「彼女は俺の妻だ」と庇い立てる。さらに村を襲う盗賊を二人で退けたことで、リディアは初めて「ここにいる意味」を実感する。断罪された悪女ではなく、パンを焼き、笑顔を届ける“私”として。 そして、カイの真実の想いが告げられる。辺境を守り続けた公爵である彼が選んだのは、過去を失った令嬢ではなく、今を生きるリディアその人。村人に祝福され、二人は本当の「パン屋の夫婦」となり、温かな香りに包まれた新しい日々を歩み始めるのだった。

婚約者に捨てられた私ですが、なぜか宰相様の膝の上が定位置になっています 

さら
恋愛
 王太子との婚約を一方的に破棄され、社交界で居場所を失った令嬢エリナ。絶望の淵に沈む彼女の前に現れたのは、冷徹と名高い宰相だった。  「君の居場所は、ここだ」  そう言って彼は、ためらいもなくエリナを自らの膝の上に抱き上げる。  それ以来、エリナの定位置はなぜか宰相様の膝の上に固定されてしまう。  周囲からの嘲笑や陰口、そして第一王子派の陰謀が二人を取り巻くが、宰相は一切怯むことなく、堂々とエリナを膝に抱いたまま権力の中枢に立ち続ける。  「君がいる限り、私は負けぬ」  その揺るぎない言葉に支えられ、エリナは少しずつ自信を取り戻し、やがて「宰相の妻」としての誇りを胸に刻んでいく。  舞踏会での公然の宣言、王妃の承認、王宮評議会での糾弾――数々の試練を経ても、二人の絆は揺らがない。むしろ宰相は、すべての人々の前で「彼女こそ我が誇り」と高らかに示し、エリナ自身もまた「膝の上にいることこそ愛の証」と誇らしく胸を張るようになっていく。  そしてついに、宰相は人々の前で正式に求婚を告げる。  「エリナ。これから先、どんな嵐が来ようとも――君の定位置は私の膝の上だ」

婚約破棄された際もらった慰謝料で田舎の土地を買い農家になった元貴族令嬢、野菜を買いにきたベジタリアン第三王子に求婚される

さら
恋愛
婚約破棄された元伯爵令嬢クラリス。 慰謝料代わりに受け取った金で田舎の小さな土地を買い、農業を始めることに。泥にまみれて種を撒き、水をやり、必死に生きる日々。貴族の煌びやかな日々は失ったけれど、土と共に過ごす穏やかな時間が、彼女に新しい幸せをくれる――はずだった。 だがある日、畑に現れたのは野菜好きで有名な第三王子レオニール。 「この野菜は……他とは違う。僕は、あなたが欲しい」 そう言って真剣な瞳で求婚してきて!? 王妃も兄王子たちも立ちはだかる。 「身分違いの恋」なんて笑われても、二人の気持ちは揺るがない。荒れ地を畑に変えるように、愛もまた努力で実を結ぶのか――。

処理中です...