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第16話《炭火の火炎》はじっくり焼くから怖い
しおりを挟む魔王軍残党襲撃から数分後――
王宮厨房は、まだ焦げた匂いと熱気が残っていた。
料理人A
「シャーリー様……本当に手加減してたんですか……?」
シャーリー
「もちろん♪ 強火は外カリ、中ジューシーになっちゃうから、料理には不向きよ?」
料理人たち
「(料理の話じゃなかった……!?)」
---
■第二波、来る
そこへ――
廊下が再び揺れた。
魔族隊長
「貴様が特級厨師か……!
仲間を焦がされた恨み、ここで返す!!」
シャーリー
「あら、ごめんなさい。焦げてた?
私、焼き加減にはこだわる方なんだけど」
魔族隊長
「こ、こだわりの問題じゃない!!」
ナターシャ
(見学するつもりではなかったが、巻き込まれた)
ナターシャ
「シャーリー、今日はもう十分よ! 後は私が――」
シャーリー
「大丈夫よ。
まだ“弱火”しか使ってないし♪」
ナターシャ
「“まだ”って言った!?
あなたの弱火は弱くなかった!!」
---
■特級厨師、次の魔法を選び始める
シャーリー
「そうね……
せっかくだから、今日の新作を試してみようかしら」
料理人全員
(新作って何!?)
シャーリー
「いきます――
《炭火の火炎(チャコール・インフレイム)》!」
ナターシャ
「それ聞いたことある!
料理の火力じゃないの!? 魔法なの!?」
---
■《炭火の火炎》発動
ふわり、と空気が震え、
次の瞬間、厨房の床に“見えない炭火”が展開した。
魔族たち
「……な、なんだ……?
熱く……ない?」
シャーリー
「炭火はね、遠赤外線で内側からじっくり焼き上げるのよ♪」
魔族隊長
「じ、じっくり……?
や、やめ――」
――ボゥッ。
魔族たち
「ぎゃああああああああ!!
身体の芯から熱いぃぃぃ!!
外側は無事なのに内側だけ焼けてくぅぅ!!」
料理人A
「えっ、これ……魔法……?」
料理人B
「料理技術と融合しすぎてて判断がつかん……」
ナターシャ
「じっくり焼かなくていいの!!!
一気に倒して!! 早く!!」
---
■シャーリー、悪びれもなく説明する
シャーリー
「だって、一気に焼いたら旨味が飛ぶじゃない?」
ナターシャ
「敵に旨味求めるなぁぁぁ!!」
シャーリー
「でも今日の魔族さん、脂のノリが良さそうだから――」
ナターシャ
「評価するなぁぁぁぁ!!!」
---
■魔族、壊滅
数分後。
魔族隊長
「も、もう無理……
我ら……料理人に……勝てぬ……」
魔族たちは全員、内部だけふんわり焼けて昇天した。
料理人C
「……シャーリー様って、ほんとに料理人なんですよね?」
料理人D
「“料理人”の定義がわからなくなってきた……」
ナターシャ
「……ねえシャーリー。
あなた、実は料理の神か何かじゃない?」
シャーリー
「えっ、違うわよ?
ただの “料理好きな一般人” です♪」
ナターシャ
「一般人とは……?」
(ナターシャの精神、今日だけで3回死んだ)
---
■事件後の報告
王宮文官
「報告いたします。
魔王軍残党、厨房で全滅しました」
国王
「……厨房?」
文官
「ええ、厨房でございます」
国王
「……シャーリーがいたのだな?」
文官
「はい。むしろ“シャーリー様がいたから”厨房が戦場になりました」
国王
「……うん、納得した」
---
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