一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました

しおしお

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第18話暴発魔法で魔王軍が勝手に壊滅した件について

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 真魔王復活から一夜。
 魔王軍本隊が国境に姿を現した。

兵士
「し、進軍速度が速すぎる……!」

文官
「想定より三倍……! 対抗できるのは……」

兵士たちの視線が、自然とナターシャへ向く。

ナターシャ
「…………」

 昨日よりは震えていない。
 けれど――胸の奥がざわついていた。

(私なんかが、国を……守る?
 そんなの……シャーリーと比べたら……)

 弱気が顔を出す。

 しかし。

シャーリー
「ナターシャ、無理しなくていいのよ?」

 シャーリーのやわらかい声が背中を押した。

シャーリー
「“できる範囲”でいいから。一緒に頑張りましょう♪」

ナターシャ
「…………っ」
(なんでこの子は……いつも……)

ナターシャ
「わ、わかったわよ!! やればいいんでしょ!!」

部下
(よし、スイッチ入った!)


---

■ナターシャ、渾身の魔法(のつもり)

 魔王軍はすでに国境の砦へ肉薄していた。

魔族兵
「突撃だ! 人間どもを押し潰せ!」

ナターシャ
「……いくわよ……!」

 深呼吸。
 両手を前に突き出し、魔力を高める。

ナターシャ
「《超高位・連鎖爆雷陣》っ!!」

部下
「なっ、ナターシャ様!? そんな危険魔法を――!」

ナターシャ
「だ、大丈夫よ……! 本気でやるつもりなんて……ないもの……!
 威嚇のつもりで、ちょっとだけ……ちょっと……」

 だが。

 魔力が昨日のスープ効果で異常に増幅していた。

シャーリーの“元気スープ”のせいで。

ナターシャ
「……え?」

部下
「魔力が暴走してます!!」

ナターシャ
「ちょっ……!? 止まれ、止まれ止まれ――!」


---

■大・爆・発

――ドォオオオオォォォン!!

 空が白く切り裂かれ、
 地平線の先が一斉に爆発した。

魔族兵
「ぎゃあああああ!!」

魔族将軍
「戦場一帯が吹き飛んだだと!?
 何が起きた――」

次の瞬間。

――ドゴォンッ!!

魔王軍本陣がまとめて吹き飛んだ。

兵士
「……ま、魔王軍本隊……壊滅……?」

文官
「国境線すべてが更地に……!?
 な、ナターシャ殿が……?」

兵士
「わが国……勝ちました……!!」


---

■そして本人だけが落ち込む

ナターシャ
「…………失敗した…………」

部下
「え? 勝ってますけど?」

ナターシャ
「違うの!!
 本当は“威嚇程度”にとどめるつもりだったの!!
 あれじゃ全然コントロールできてない……!
 暴発じゃない……大暴走よ……!」

部下
「いや、結果は国を救いましたよ?」

ナターシャ
「結果じゃないの!!
 私は……また……失敗した……!」

 その肩に、ぽん、と手が置かれた。

シャーリー
「ナターシャ、すごかったわよ♪」

ナターシャ
「……え?」

シャーリー
「国を救ったんだもん。胸を張りなさい?」

ナターシャ
「……っ」

(なんで……なんでこんな……
 優しい言葉を……迷いなく言えるのよ……
 ずるい……ずるいじゃない……)

 ナターシャの目が潤む。

ナターシャ
「……ありがと……」
「……でもやっぱり失敗は失敗なのよ……」

シャーリー
「なら、今度は一緒に練習しましょう?」

ナターシャ
「えっ……?」

シャーリー
「強火か弱火か、加減を見ながらやろうね♪」

ナターシャ
「なんで料理の単位で魔法を管理しようとするのよ!!?」

部下
(でもそれ多分うまくいく気がする……)


---

■こうして――

真魔王が目覚めた直後にもかかわらず、
魔王軍の7割はナターシャの“失敗魔法”で壊滅した。

だが本人は、ただひたすら反省していた。


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