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第20話この国はシャーリーで持ってる……でも私も誰かの支えになりたい
しおりを挟む救国スープの功績により、王都の混乱はひとまず落ち着いた。
しかし――
王宮の一角では、ひとりの魔術師が頭を抱えていた。
ナターシャ
「……もういや……無理……。
この国、完全にシャーリーで持ってるじゃない……」
部下
「まあ、事実ではありますが……」
ナターシャ
「認めたくなかった!!
なんで料理で国が救えるのよ!?
おかしいでしょう!?
魔術とは何!? 私の存在意義とは!?!?!?」
部下
「落ち着いてください!!」
ナターシャは机に突っ伏し、肩を震わせる。
ナターシャ
「私……このままじゃ……。
“世界最強の料理人の陰にいる微妙な魔術師”で終わる……!」
部下
(言い方!!)
---
■そんな彼女の前に、告げられた“現実”
文官
「ナターシャ様、報告です。
国民は皆、あなたのことを“シャーリー様の右腕”と呼び始めております」
ナターシャ
「右腕!?!?」
文官
「ええ。
“料理の神と、暴発で魔王軍を吹き飛ばす魔術師”
として、二人セットで語られています」
部下
「つまり人気ペアです!」
ナターシャ
「……その紹介の仕方!!
絶対に馬鹿にされてるじゃないのーーー!!!」
---
■落ち込むナターシャの前に現れる影
ナターシャが頭を抱えていると――
シャーリー
「ナターシャ、今日もありがとう♪」
ナターシャ
「……えっ?」
シャーリー
「あなたが最前線で守ってくれたおかげで、
私は安心して料理できるの。
今日のスープも、あなたの魔力上昇効果があったからこそよ♪」
ナターシャ
「ま、待って……
今、私……褒められてる?」
シャーリー
「もちろんよ♪
あなたが支えてくれるから、私は国を救えるんだもの」
ナターシャ
「…………」
胸の奥が、ふっと温かくなる。
(……こんな気持ち……
いつ以来……?
誰かに“必要だ”って言われるなんて……)
ナターシャ
「……あんたって……ほんと……ズルいわね……」
「そんな顔で……そんな声で……
私みたいな不器用な人間を……救わないでよ……」
シャーリー
「えっ? 救ってる?」
ナターシャ
「自覚はないのね!??」
---
■その日の夕刻
救国食堂には長蛇の列。
シャーリーが鍋を混ぜながら振り返る。
シャーリー
「ナターシャ、配膳手伝ってくれる?」
ナターシャ
「……仕方ないわね。
あんた一人じゃ、行列が終わらないでしょうし」
部下
(ツンデレ発動)
しかし、並ぶ市民たちは――
市民A
「魔王軍を吹き飛ばしてくれたおかげで助かったよ!」
「ナターシャ様も女神だ!」
市民B
「シャーリー様とナターシャ様のコンビ、最高!!」
ナターシャ
「な、な、なんで私まで人気なの!?!?」
市民たち
「だって二人とも国を救ってくれたもの!!」
ナターシャ
「……っ」
その瞬間、
ナターシャは初めて“誰かに必要とされる実感”を得た。
(そうか……
私……
この国のために……役に立ててるんだ……)
シャーリー
「ナターシャ、ありがとう。
本当にあなたがいてくれてよかった」
ナターシャ
「……う、うるさいわね……!
褒められても……嬉しくないんだから……!」
部下
(いや……めっちゃ嬉しそう……)
---
■そして夜
ナターシャ(独り言)
「……変な子よ、まったく……
でも……
あの子が隣にいるなら……
私、戦えるかもしれない……」
こうして――
ダブルヒロインの絆は決定的に深まった。
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