一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました

しおしお

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第22話魔王よ、まずは落ち着いて食え。そして心を折られるがいい

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 怒涛の進軍から半日。
 シャーリーの“料理バフ”を受けた討伐軍は、驚異的な速度で魔王城へ到達した。

兵士A
「なんだこの体力……!?」

兵士B
「シャーリー様の昼食“力こぶハンバーグ”のおかげだ!!」

兵士C
「もう魔王城の石扉が指でへこむ!!」

バキッ

ナターシャ
「へこませるな!!
 あなたたち、物理職じゃないでしょう!!!」

 しかし、兵士たちの力は本物だった。
 城の巨大扉は、ほぼノックと同じ力で開いてしまった。

ギギィィ……バタン。

兵士
「開いた……!」

ナターシャ
「開いたんじゃない、砕けたのよ!!」


---

■魔王、登場(するも状況に困惑)

真魔王
「よくぞ来た、人間どもよ……
 我が千年の力を――」

シャーリー
「魔王さん、お腹空いてない?」

真魔王
「…………は?」

シャーリー
「長い封印生活って大変よね~。
 食事とか、まともに取れなかったんじゃない?」

真魔王
「い、いや……まあ……?」

ナターシャ
(答えるんかい!!)

シャーリー
「じゃあ、はい♪ これ、食べて」

 シャーリーは真魔王に、温かいスープを差し出した。
 魔王は困惑しつつも――なぜか飲んだ。

真魔王
「……!? こ、これは……
 体が……ぬくもって……力が満ちる……!」

シャーリー
「でしょ? “魔族でも美味しく飲めるスープ”を作ってみたの♪」

兵士
「魔族対応料理まであるのかよ!!」

ナターシャ
「特級厨師の領域ってどこまでよ……」


---

■魔王、致命傷の一言を言う

真魔王
「……す、すまぬ。
 こんなうまい物を食べたのは、千年ぶりだ……」

シャーリー
「よかった~♪」

ナターシャ
(え、なんか……友情芽生えそうじゃない?
 これ、とどめ刺せる?)

真魔王
「しかし……人間よ。
 これほど温かい料理を作れる者がいる国を……
 滅ぼすのは……正直……気が引ける……」

兵士
「おおっ!? 和平か!?」

ナターシャ
「いや待って、そこまで都合よくいかないから!」


---

■しかし、魔王は思い出す

真魔王
「……だが、我には使命がある。
 千年の怨念を晴らすため――」

シャーリー
「あ、じゃあこれ。デザートのプリン♪」

プリン、とろり。

真魔王
「…………」

ナターシャ
(え?)

真魔王
「…………」

シャーリー
「食べて?」

真魔王
「…………負けた」

兵士
「負けた!!!?」

ナターシャ
「プリンに負けたの!?!?」


---

■魔王の心が折れた理由

真魔王
「甘い……やさしい……
 この国を滅ぼす理由が……見つからない……!」

ナターシャ
「ちょっと待ちなさい!
 あなた千年の恨みは!??」

真魔王
「甘い物の前では薄れる……」
(哲学)

シャーリー
「よかった~♪」

ナターシャ
「いや、よくない!
 締めは私がやるのよ!!
 これは“魔術師の仕事”なんだから!!」

真魔王
「えっ、戦うの?」

ナターシャ
「当たり前よ!!!」


---

■ここからがナターシャの出番

 ナターシャは杖を構えた。

ナターシャ
「……あなたが戦意を完全に失った今こそ――
 私が“人間代表”として、ケジメをつける!!」

シャーリー
「がんばってね、ナターシャ♪」

ナターシャ
「あなたの“激甘プリン”よりは、
 私の“魔法”の方が締まるに決まってるでしょ!!」

真魔王
「(プリンは反則だろ……)」

 魔王は腹を括った。

真魔王
「よかろう。
 最後の一撃、受けて立つ!」


---

■ナターシャの渾身の一撃

ナターシャ
「《極光閃滅(オーロラ・エクリプス)》!!」

 眩い光が魔王を包み――

ドォンッ!!!

 魔王はその場に崩れ落ちた。

真魔王
「……見事だ、人間よ……
 料理と魔法……どちらも強かった……」

シャーリー
「両方味わえて良かったでしょ?」

真魔王
「……うむ……満足……」

 こうして、
魔王の最終戦は“プリンで心が折れた後にナターシャが締める”という前代未聞の決着を迎えた。

ナターシャ
「……締まったのか……? これ……?」

兵士
「一応、締まりました!!」

シャーリー
「ナターシャ、すごかったわよ♪」

ナターシャ
「……やめてよ……そんな素直に褒めないで……
 照れるから……」

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