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第23話王妃になってくれ? イヤです。だって料理できなくなるんですもの。
しおりを挟む魔王を討伐した翌日――
王宮は祝賀と安堵に包まれていた。
兵士
「シャーリー様がいなかったら国は滅んでた……!」
文官
「いや、ナターシャ様の最後の一撃も……!」
兵士
「二人セットで英雄だ!!」
そんな中、謁見の間では国王が厳かに立ち上がっていた。
王
「シャーリー・ドットよ。前へ」
シャーリー
「は~い♪」
ナターシャ
(この子、謁見を“友達の呼び出し”くらいに思ってない?)
---
■王の宣言
王
「そなたは国を三度救った。
瘴気、魔王軍、そして魔王そのもの。
この功績、何をもっても返しきれぬ」
シャーリー
「いえいえ、好きでやっただけですので♪」
ナターシャ
(好きでって言えるスケールじゃないのよ……)
王
「そこで――」
空気が一気に張り詰める。
王
「シャーリーよ。
王妃になってほしい。
この国の未来を、共に支えてほしいのだ」
文官
「おおお……!!」
兵士
「国王陛下が……本気だ……!」
ナターシャ
「…………」
王の求婚。
この国で最も名誉ある立場。
しかし――
---
■シャーリー、即答
シャーリー
「イヤです」
謁見の間
「「「即答!?」」」
王
「い、いま……なんと……?」
シャーリー
「だって、王妃になったら――
料理に専念できなくなりますよね?」
王
「し、しかし……それでも名誉は――」
シャーリー
「私、料理するのが一番幸せなんです。
国のためでも、幸せを捨てるのはイヤです!」
ナターシャ
(言い切った……!!)
---
■王、動揺する
王
「し、しかし……
国の未来が……そなたの料理にかかっておるのも事実……!」
文官
「王妃になれば調理場に立てなくなる。
これは確かに大問題かと……!」
王
「そ、そうだ……
お主の料理が無いと……国が……滅ぶ……?」
ナターシャ
「その認識もどうかと思うけどね!?」
---
■王、本気で悩む
王
「むむむ……王妃になれば料理はできぬ……
しかし、料理ができねば国が滅ぶ……」
ナターシャ
「料理する王妃なんて聞いたことないわよ……」
王
「ではどうすれば……
王妃にすると国が滅び、
王妃にしなくても国が滅ぶ……」
ナターシャ
「どっちみち滅ぶ前提やめて!?」
---
■王の迷走
王
「ならば王妃“ではなく”料理長では……?」
文官
「既に特級厨師として頂点です!」
王
「では、王妃兼料理長……?」
ナターシャ
「それ、体制として破綻してるわよ陛下!!」
王
「じゃあ、どうすれば……!」
ナターシャ
「知らないわよ!?
私に求婚の調整までさせる気!?」
シャーリー
「ナターシャも一緒に考えよ?」
ナターシャ
「巻き込むなぁぁぁ!!」
---
■シャーリーは真顔で言う
シャーリー
「王妃より料理が好きなだけなんです」
王
「……ま、まさかそこまでとは……」
シャーリー
「はい。
料理できないなら、生きてる意味がありません!」
ナターシャ
(名言っぽく言ったけど、国王の前で言う台詞じゃないわよ!)
王
「そなたの幸せを奪う求婚はできぬ……
だが、このままでは国が……」
シャーリー
「料理しながら国を守れますよ?」
王&ナターシャ
「どうやって!?」
---
■王、ついに決断を保留
王
「……ちと考えさせてくれ。
儂がこれほど悩むのは久しぶりだ……」
シャーリー
「考えててください♪
私はその間、料理してますね」
王
「ふむ……料理が……世界を救うとは……」
ナターシャ
「(いや、それは事実なんだけど……認めたくない……)」
---
■廊下にて
シャーリー
「ナターシャ、どうしたの? ため息なんて」
ナターシャ
「どうしたもこうしたもないわよ……
国王があなたに求婚して、あなたが即答で断るなんて……」
シャーリー
「だって、料理が一番なんだもの♪」
ナターシャ
「そういうところよ!!
あなたは、自分の“幸せ”に素直よね……
そこだけは……ちょっと羨ましいわ……」
シャーリー
「ナターシャも、もっと素直でいいのに」
ナターシャ
「……無理よ、私はあなたみたいに単純じゃないの」
シャーリー
「大丈夫よ。ナターシャはナターシャで素敵だから♪」
ナターシャ
「やめて!! 照れるから!!」
---
■この瞬間
王妃問題は保留となり――
王宮には新たな議題が投げ込まれた。
「料理人に王妃資格を付与すべきか?」
だが、この議題こそが次の“解決編”(24話)の伏線となる。
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