『婚約破棄された公爵令嬢ですが、王国を救ったので新しい王太子に求婚されました

しおしお

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第二十話 王都の危機

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第二十話 王都の危機

王城、大広間。

廷臣の報告に、広間がざわめいた。

「銀行が……閉鎖?」

「そんな馬鹿な……」

国王グレゴリウスの表情が険しくなる。

「詳しく話せ」

廷臣は息を整えながら言った。

「王都最大の銀行、ヴァルドール商業銀行が」

「資金不足で業務停止しました」

広間に衝撃が走る。

「王都最大だぞ!」

「あり得ない……」

王妃マルグリットが静かに聞く。

「原因は」

廷臣は答えた。

「商人の資金移動です」

広間が静まり返る。

廷臣は続ける。

「多くの商会が資金を引き上げ」

「アルヴァーン領へ移しました」

視線が一斉にローデリックへ向いた。

エドガルドが叫ぶ。

「貴様のせいか!」

ローデリックは眉も動かさない。

「違う」

エドガルドが怒鳴る。

「商人を奪った!」

ローデリックは淡々と言う。

「奪っていない」

「来ただけだ」

広間の廷臣が小声で言う。

「確かに……」

「商人は自分で動く」

国王が言った。

「続けろ」

廷臣は言う。

「銀行の資金の多くは」

「ノクティス公爵家の預金でした」

広間がどよめく。

エドガルドが振り向く。

「ルシエラ……」

廷臣は続ける。

「婚約破棄の後」

「公爵家は資金を引き上げました」

ローデリックが小さく笑う。

「当然だ」

エドガルドが叫ぶ。

「ふざけるな!」

「王国の銀行だぞ!」

ルシエラが静かに言った。

「殿下」

広間が静まる。

ルシエラは穏やかな声だった。

「銀行は信用で成り立ちます」

エドガルドが睨む。

ルシエラは続けた。

「信用を失えば」

「資金は去ります」

ローデリックが言う。

「商人は賢い」

「沈む船には乗らない」

エドガルドの顔が歪む。

その時。

別の廷臣が駆け込んできた。

「陛下!」

国王が振り向く。

「またか」

廷臣は青い顔だった。

「第二銀行も閉鎖です!」

広間が凍りつく。

「二つ目……!」

「あり得ない!」

王妃が静かに言う。

「取り付け騒ぎですね」

廷臣が頷く。

「市民が資金を引き出しています」

広間の空気が重くなる。

国王は腕を組んだ。

「……王都が揺れている」

ローデリックが言う。

「当然だ」

「商人が逃げれば」

「銀行も崩れる」

エドガルドが怒鳴る。

「黙れ!」

その時。

ルシエラが言った。

「陛下」

国王が彼女を見る。

「言え」

ルシエラは静かに言った。

「王都の経済はまだ救えます」

広間がざわめく。

「本当か?」

ルシエラは頷いた。

「はい」

エドガルドが睨む。

「どうやってだ」

ルシエラは答えた。

「信用を戻すことです」

王妃が興味深そうに聞く。

「具体的には」

ルシエラは少し考えた。

そして言った。

「簡単です」

広間が静まり返る。

ルシエラは続けた。

「真実を公表すること」

視線がヴィオレッタへ向く。

ヴィオレッタの顔が青くなる。

ルシエラは言った。

「私の冤罪」

「王太子の誤判断」

「すべて公表する」

広間がざわめく。

エドガルドが怒鳴る。

「ふざけるな!」

ルシエラは静かに見た。

「信用を取り戻すには」

「嘘を捨てるしかありません」

広間が静まり返る。

国王がゆっくり言った。

「……なるほど」

王妃も頷く。

「理にかなっています」

その瞬間。

ヴィオレッタが叫んだ。

「嫌です!」

広間の視線が集まる。

ヴィオレッタは震えていた。

「そんなことしたら……」

声が震える。

その言葉の続きを――

誰もが理解していた。

すべての嘘が。

暴かれる。
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